top> もくじ> 「共同実施」は「共同幻想」だ


シリーズ共同実施

「共同実施」は「共同幻想」だ

 私は採用以来同じ市で30年間仕事をしてきました。それがあと5年を残すところで共同実施のカラミで今の市に異動になりました。県関係は別にして、財務をはじめとする市関係の仕事は全くわからないもので、この歳をして仕事を一からマスターするための苦労をするとは思ってもいませんでした。これまで培ってきたそれなりの財務へのノウハウ、人との繋がり、その他諸々の蓄積を剥がされ、また再度積み直していかなくてはならないわけです。残された少ない期間の中でどこまでそれができるでしょうか?自分の口から言うのもおかしな話ですが、これが人材の有用な使い方としてどうなのか、非常に疑問に思っています。

 実際、市の財務事務については、グループの事務職員に教えてもらうばかりで、仕事の覚えの早い、年下の事務職員に支えられて日々を送っているというのが実態です。といっても、これまでの学校事務職員というのは実際そうでした、どこの地域でも事務職員同士で支え合い、相談しながらやってきたのではないでしょうか。ところが共同実施の目指すところは、「指導」と「被指導」です。そんなことで仕事が進むのかといったら、決してそんなことはない、と私は思います。逆にこれまで事務職員自身が築いてきた、自分たちの立ち位置をなくすだけで、他に何ももたらさないだろうと日々感じています。

 それでも事務長は共同実施を進めなくてはならない立場(服務監督者である市町村の頭越しに、義務校職員の服務を県が直接規定することの違法性について見て見ぬ振りをしている行政の問題性はここでは措くことにします。)、一応リーダーという形で共同実施を運営することになります。分担制も一応割り振りだけはしてみました。ですけどこれまで分担制で効率化されたという実績、あるいは根拠ある見通しが示されたことはありません、そんな現状で事務職員の多忙化だけをもたらすかもしれない分担制を推し進める決断は持てずにいます。

 ただ週1回半日の時間を無為に使うことも許されないので、その時間を少しでも事務職員自身の職能成長や相互チェックなどに使い、確かな仕事を目指そうなどと思っているのですが、それも本筋から外れている、共同実施の目的ではない、などと事務長会からは指摘されています。

 結局どうしたらいいのでしょう、しかし、最初から答えのない問題に解答を求められているのが今の共同実施なのではないでしょうか。「地域の事情」を踏まえ、一人一人の事務長とそのグループで自分たちの「共同実施」をしなさいというのが県教委の立場ですが、「共同実施」=「分担制=「効率化」という誰が考えたかわからない論理(論理になっていませんが)に振り回されている、それが県下の状況ではないかと思います。これからも事務長の苦悩は続くのです。


top> もくじ> 「共同実施」は「共同幻想」だ


無料 WEB-page スペースを利用しているため、広告が表示されますが、全学労連とは無関係です。



inserted by FC2 system