2000年6月24日
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全学労連ニュース今号の内容

 第七次定数「改善」計画の危うさ―給与費の国庫負担の是非がまた問われ

 「学校行革反対」−「定数改善等」で三省折衝―5.15全学労連中央行動報告

 第29回全国学校事務労働者交流集会(全交流・福島)

 

 

第七次定数「改善」計画の危うさ

―給与費の国庫負担の是非がまた問われる―

全学労連学校行革対策委員会

 第七次定数改善計画に向けて審議を続けてきた「教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議」が5月19日に報告を出した。それによると、県費負担制度や国庫負担制度は今後も維持した上で、学級編成基準や教職員配置を、地方の判断により変えられるよう「弾力化」することが打出されている。しかし、これで長年学校事務職員を悩ませてきた国庫問題が終るのかといえば、とんでもない誤りだ。

 ここで言う「弾力化」の手法とは、学校間の職員兼任発令や教育活動・事務の共同実施であり、非常勤講師や再任用制度による短時間勤務職員の活用があげられる。すなわち労働強化と不安定雇用職員の増大である。国はこれ以上の金は出さないが、各地方が合理化に「努力」すれば、独自のやり方を認めてあげましょうということだ。

 事務職員に関しては、教頭や教員が本来の職務に専念できるよう負担軽減を図る必要があるので、事務職員の専門性を高め、効率化・集中化を図り、事務の共同実施を推進すると述べられている。要するに、仕事を増やすから工夫してがんばれ、ということなのだろう。それでは文部省は、事務職員の“本来の職務”なるものを、いったい今までどう考えていたのか。ずいぶん安易に「効率」だの「集中」だの言ってくれるではないか。

 忘れてはならないのは、これは教育行政に関する自らの権益を守ろうとしている文部省が、来年度予算概算要求前に勝手に描いた方策であるということだ。大蔵省は来年度以降の第七次定数改善計画に、財政再建を目指した厳しい目をむけている。自治省は「地方分権化」で自らの権益拡大を狙っている。こうした省庁間の思惑が錯綜する中での「弾力化」は、特定財源である義務教育費国庫負担金の根拠を希薄なものにし、一般財源化への格好の口実を与えることになるだろう。地方が「努力」や「工夫」で変えられるものならば、地方交付税との違いは見えなくなっていくしかない。

 全学労連は「教育改革」の掛け声に惑わされること無く、現実に進行する学校行革の実態をとらえ、取り組みを進めている。6月20日には、文部省のほか、地方教育団体に「学校事務職員・栄養職員に対する人件費の国庫負担制度と必置基準堅持を求める要請書」を提出した。全国各地でも同様の要請行動を展開中である。概算要求前が当面の山場となる。共にがんばろう

「学校行革反対」−「定数改善等」で三省折衝

―5.15全学労連中央行動報告―

 全学労連は、5月15日、学校行革反対−国庫負担外し阻止に向けた三省等への交渉−要請行動を行った。以下、かいつまんで報告する。

《文部省》―「共同実施」反対などを中心とする要望書を提出―

 例年7月に行っている交渉に向け、要望書を提出した。教職員定数の抜本的改善、「共同実施」推進反対、「日の丸・君が代」の強制反対などを中心に要望書の趣旨を伝えた。「共同実施」については、‘99年度の実践研究報告の集約・評価について、及び、‘00年度の状況について明らかにするよう求めた。昨年要求項目に加えた市町村費職員(特に現業職員)を引き上げないこと、これ以上臨時職員の導入をしないこと、又、現在配置されている臨時職員の労働条件を改善することについては、今年も取り上げ、文部省としてどのような努力をしてきたのかを問い質していく。VDT労働がもたらす労働者への悪影響の対応としては、既に労働省がVDT指針(‘85年作成)の見直しを始めている(‘99/7報告書)。これについては、当然、学校現場において、子どもたちへの影響も含めて考えていかねばならないことであり、文部省の見解・対応を明らかにすることを求めた。電磁波、PC食器の人体への影響についても引き続き追及していくことを伝えた。

《大蔵省》―依然として変わらぬ職種間差別の本音―

 「すべては文部省の定数改善計画が出てから検討に入る。国庫負担金の聖域なき見直しの立場は変わっていない…」。予算は一切増やさず、文部省に対する「行革に向けた努力」を求めていく大蔵省の態度はますます強くなっているようだ。極めつけは、「教員(の人件費について)はわかるが、事務、栄養士については…」という言葉であった。‘84年以来、政府−大蔵省の考え方は一貫して変わっていない。文部省が、国庫負担制度の枠組みを維持したまま、大幅な非常勤教員導入、学校事務職員の合理化(共同実施等)を自ら打ち出したことによって、私たちは学校行革攻撃の全体的構図をはっきりと捉えたのであり、大蔵省の発言は改めて、職種を越えた共同の闘いの必要性を私たちに確認させるものとなった。国庫負担外しへの反対、定数の抜本的改善の要求を強くつきつけて大蔵省との交渉を終えた。

《自治省》

 義務教育国庫負担制度に対する自治省の立場は、「変わっていない」と自治省に対して、「地方分権」の流れの中での「地方交付税」等への影響の可能性(※1)を指摘した。例えば、‘00年度から神奈川県で初の「共同実施」研究に入った山北町の場合、「一方で自治省の指導によって役場職員の削減を迫られ、他方で学校事務職員が共同実施によって削減されるとしたら、町教委の業務負担は重くなるばかりだ」(がくろう神奈川との交渉で町教委担当課長の弁)というのは切実な事だろうと思う。私たちの運動が、学校−自治体を貫いた行革攻撃への視点をもっていく必要があることを改めて確認し、今後も自治省への働きかけを継続強化していかねばならないだろう。

※1 政府税制調査会会長は5月19日、「(7月頃にまとめる)税制の中期答申には、(地方の財源不足を国が穴埋めする)地方交付税の縮小を書かなければならない」と述べた。

(地方交付税縮小を提言―税調会長が方針― 「朝日'00.5.20」)

《都道府県教委連合会》―教職員定数改善−主任制改編を申し入れる―

 職員会議、評議員等について、今年1月、学校教育法施行規則が改定され、4月から施行された。この点について、どのように状況を把握しているのかという私たちの質問に対し、連合会は

  1. 職員会議の補助機関化の規定については「大方のところでやっている」
  2. 評議員制度については「47都道府県+18市で導入した」
  3. 千葉で教員以外の校長登用があった

ことを明らかにした。

 市町村教委連合会が目下、「(都道府県教育長協議会が昨年末出した報告書をテキストにして)勉強会をやっている」という話は、「地方分権」というのがほとんど建前に過ぎないことを示して余りあることを感じさせるものであった。準則が、「国の関与を避ける」という理由で示されなければ、条例づくりを業者に“丸投げ”する自治体が続出する。これと同じことが学校管理規則についてもあるということで、都道府県教委が準則を定めなくても結局のところ文部省を起点とした上意下達の構造はしっかりと学校管理規則に反映されていく。このような形骸化した「地方分権」に惑わされず、私たちは対地教委−学校現場における闘いを組織していく必要がある。

 主任制については、「年功序列、手当拠出の是正」の上に、「主任への新たな処遇が必要だ」という言い方をしており、教委連合会としてかなり積極的な主任制改編への意欲を持っていることを感じさせた。新たな主任制の裏付けとなる財政的な問題については、「それがネックになって制度かが遅れていると言うことではない」としており、文部省−日教組間の水面下でのかけひきが続いていることを思わせた。教職員定数の問題で「非常勤崩し(※2)」ということが「(教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議で)検討されている」ことからしても、非常勤等多様な臨時教職員の本格的導入を前提とした校長を支える新たな主任制の在り方が提起されてくることは確実である。

 7月の予算要求の中で、正規職員を基本にした定数改善を打ち出していくこと、主任制改編には反対であることを申し入れて、教委連合会をあとにした。

※2 5月19日、文部省協力者会議は報告書をまとめた。報告書によれば30人学級のための約12万人の教員増と1兆円程度の予算増については「実現性は乏しい」として文部省は大蔵省の立場を代弁し、正規採用の教員枠を非常勤講師で代替し人件費を国が補助する方針を協力者会議が示す。教委連合会が「非常勤崩し」と表現したのは、非常勤講師の導入によって教員の定数を崩すということである。同報告書は事務職員についても言及しており、「事務の効率化、集中化を図り、事務の共同実施を推進する必要がある」と明確に提起している。予算的裏付けのない「学級編制基準の弾力化」が一体何をもたらしていくかは明らかだ。「学校行革」反対―「共同実施」反対の戦いを他職種の労働者との連携の中で強化していかねばならない。

《国会議員への要請》

 国会議員への要請:国庫負担制度に関わる国会請願の紹介議員4人に対して、引き続き本年度の請願においても紹介議員となってくれるよう要請を行った。

以上

全国学校事務労働組合連絡会議

第29回全国学校事務労働者交流集会(全交流・福島)

●「学校社会に風穴を」(仮称)●

 去年の夏、「学校行革に立ち向かうため知恵を出し合いましょう」と呼びかけた全交流・横浜が開催されました。そして、各地から、厳しさを増している学校の中でしなやかに、したたかに立ち向かっている教員の仲間達の参加も得て意見を交換し成功裡に終えることができました。

 

 今年は先に引き続いて「学校行革」の様相を点検しながら、それらの状況に相対する姿勢を改めて確かめようとするものです。

 その上に立って、今年の集会は「第9回福島県学校事務交流集会」とも合体させた、これまでにない若さあふれる(?)、また、気軽なものとしたいと考えています。

 学校社会の風通しを良くし、働きやすい職場づくりを目指すため、共同実施や賃金切り下げ、学校職員への業績評価導入などの状況を打ち破るため、全国の仲間と共に、更に知恵を出し合いましょう。この夏は福島に集まれ!

集会要綱

<第1日目>8月4日(金)

■ 福事労分科会(午前10時〜12時)

 前日に到着している人、福島県内など、参加可能な人を対象にした分科会。福事労劇団の公演も検討中。

■ 全体会

・ 基調報告

・ 分科会

 3つの分科会に分かれて、課題別に学習・情報交換、意見交換を行います。

第1分科会:「どうなるどうする学校行革」

小テーマ・学校行革の流れと現状

  • 学校事務共同実施研究の実際
  • 他職種学校労働者から見た学校行革

第2分科会:私たちをとりまく賃金・権利あれこれ

小テーマ・県教委通知「事務職員標準職務」

  • 事務室設置のたたかい
  • 日の丸、君が代の神奈川での強制の実態
  • 教職員関係職員録

第3分科会:変わろう女性、変えよう職場

小テーマ・育休者の不利益回復措置調査

  • 妊娠に伴う疾病休暇者の産休取得
  • 職場のジェンダーハラスメント調査
  • 女性がつくる労働運動の交流会
■ 懇親会 (午後6時〜7時半)

 一堂に会して、参加者紹介と楽しい夕食。

■ ナイト・トーキング(午後8時〜10時)

 今集会での新しい試みの一つ。

 分科会での真剣(?)な討議から離れて、気軽に発言できるリラックスタイム。言わば全交流番外編。座長のアイディアでテーマを設定されるので当日のお楽しみ。(「事務室獲得者を囲んで」「沖縄サミット始末記ビデオ」などの声が寄せられていますが…。)

 もちろん「アルコール分科会」は必ず設ける予定です。

<第2日目>8月5日(土)

■ 分科会(午前9時〜11時)
■ 全体会(午前11時〜12時)

まとめの会。

分科会報告と2日間の交流の成果をまとめる。

■ 講演会(午後1時〜3時)

演題:未定。「教育問題」or「女性労働者の活動への参加」について、講師と交渉中。

 市民にも参加を呼びかける公開の方式で。

会場・宿泊施設

・ 公立学校共済組合飯坂保養所「あづま荘」

所在地:福島県福島市飯坂町字中の内1−1

電話:024−542−3381

・ 託児室用意

・ 参加費:2,000円

・ 宿泊費:6,000円程度(1泊2食)

参加申し込み

・ 申込先

福島市立松川小学校

長谷川百合子

    電話:024−567−2042

    FAX:024−567−5127

※宿泊希望も同様に

・ 資料購入のみの場合

 郵便振替又は切手(80円切手にて)

※ 全学労連

※ 口座番号 00160−6−34582

※ 横浜市西区平沼1−1−8椎野ビル3F

  (「全交流資料購入」と明記)

※ 「全学労連ニュース」(年間2,000円)、の申し込みも同様

 

<編集後記>

 なんだかんだ、ドタバタと‘00年度から編集を担当することになりました(よ)です。よろしくお願いします。

 最近、やや遅れ気味に発行の『全学労連』。何とか遅れを取り戻そうと、悪戦苦闘していたところ、風邪をこじらせてしまい、のどが痛く食事ができない!「んーこりゃー医者いかないとまずいかな?」と採用以来10年、数回しか使用していない共済組合員証をもって病院へ。「この症状では入院ですな、はっはっは!軽く手術もします。」と言われ、不安いっぱいの“はじめての入院8日間ツアー”。カラダは元気なのに〜。

 自分自身は特に疲れていたとも思えないのに、何でこんな目に〜。とは言っても、事務局会議のあとに中生一本、一時間もかけて飲んでたっけ!?

 みなさんも、早めの療養、休暇でこの夏、元気に過ごしましょう(朝礼の挨拶みたいだな)。

(よ)


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