2000年7月13日
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全学労連ニュース今号の内容

 国庫負担・必置基準堅持を求める要請書提出!!

 沖縄サミットに真の“平和”はあるのか!−在日米軍基地問題からサミットを考える

 全教与謝教組教研集会に講師として参加ー「共同実施」反対で連帯広が

国庫負担・必置基準堅持を求める要請書提出!!

 6月20日、全学労連は文部省、全国都道府県教育委員会連合会及び全国市町村教育委員会連合会の三者に対して別掲の要請書を提出した。

 さらなる厳しさを増すであろう国庫負担問題の要請で、中教審答申や教職員配置の在り方…会議でいわれている、共同実施・定数の「弾力的」運用などの“新たなる国庫負担はずし”の危険性を訴え、大蔵省をはじめとする関係各機関への働きかけの強化を求めた。

2000年6月20日

全国都道府県教育委員会連合会 会長 清水 司 様

全国学校事務労働組合連絡会議 議長 菅原 孝

学校事務職員・栄養職員に対する人件費の国庫負担制度と必置基準堅持を求める要請書

 貴職の日頃の教育行政に対するご活躍に深く敬意を表します。

 大蔵省は、1985年以来義務教育費国庫負担制度を見直し、学校事務職員・栄養職員の人件費を国庫負担制度から削減することを求めてきました。義務教育費国庫負担制度からはずれ、人件費が一般財源化された場合、学校職員としての必置規制からもはずされ、自治体の財政状況により配置が左右される不安定な状態となります。このことは学校職員配置制度を根底から揺るがすもので、当該職員の身分や労働条件に重大な悪影響を及ぼすものです。このため地方自治体の財政負担の増大に対する懸念や、学校教育にもたらす影響の大きさから、地方から強い反対の声が沸き起こり、毎年話題には上るものの、見送られて今日に至っています。

 今年度第六次教職員定数改善計画が完結します。そして第七次計画が検討され、そのための予算編成作業が進められるにあたり、厳しい財政状況の中で、大蔵省がまたも国庫負担制度の削減問題を再燃させることに強い不安を覚えざるを得ません。

 今日いわゆる「教育改革」で「学校の自主性・自律性の確立」が言われ、学校職員の果たす役割はますます大きなものになっていきます。とりわけ職員定数配置基準の改善が切に求められるところです。しかし、中教審答申等では、学校職員の兼務発令や非常勤講師制度の拡大、養護教諭・学校栄養職員・学校事務職員の本務以外での「活用」、特定の学校へ事務職員を集中的に配置し複数校を兼務させることや、事務を共同実施させるセンター的組織を設置することなどが出されています。そして、そのために学校職員定数の「弾力的」運用も言われています。これにより学校事務職員などの必置基準が無くなれば、学校現場では残された仕事の処理に追われ、多忙化がより一層進むことが懸念されます。それは「自主性・自律性確立」の理念と大きく矛盾し、義務教育費国庫負担制度の趣旨までも脅かし、大蔵省に新たな口実を与えることになります。

 既に全国的に市区町村費雇用の学校職員定数は削減され、臨時職員化や業務の民間委託化が進んでいます。こうした中で行われる国庫負担制度の削減や職員必置基準の緩和は、児童生徒の教育に影響を及ぼすばかりか、結局のところ地方自治体の負担を増大させることにもなります。それは地方分権の趣旨にも反し、ひいては定数改善そのものを不可能にし、公教育を空洞化させていくものです。

 私たちはこうした動きに強い危惧を抱き、関係各機関に働きかけを行っています。貴職に置かれましても、学校事務職員・栄養職員に対する人件費の国庫負担制度と必置基準堅持のため、働きかけを強化することを要請いたします。

沖縄サミットに真の“平和”はあるのか!

−在日米軍基地問題からサミットを考える−

沖縄学校事務労働組合 濱川 幸夫

 昨年4月、サミット(主要国首脳会議)の主会場に沖縄県・名護市が決定された。決定当初、県内新聞をはじめとするマスコミの中には、サミット開催は普天間基地の名護市辺野古への移設のための布石ではないかと警戒する報道があった。しかしサミット開催日まで2月をきった現在、沖縄のマスコミはまるで国や県の広報機関のように、サミットは歓迎すべきもの、成功させるべきものと疑わない報道を繰り返している。

 

 マスコミばかりではない、教育委員会は、学校に参加国の旗の掲揚を押しつけ、各国の原語、文化、料理等の情報を知ることが国際化の第一歩と、サミットに関する特別授業を行うことまで求めている。しかし、教育委員会が配布した資料には、会議の目的、会議で何が話し合われるのか、今までその会議で何が決められてきたかについては何も説明はない。その点については、マスコミも含めて意図的に避けているようだ。

 

 そもそもサミットとは一体なんだろう。

 

 サミットは、中東産油国による原油生産量の制限、価格引き上げを原因とするオイルショックをきっかけに、第三世界の資源ナショナリズム(民族主義)に対抗するための先進工業国の経済会議として1975年に始まった。やがて、2つの世界的軍事同盟、NATOと日米安保条約の政治的軍事的結束を誇示する場としての性格を帯び、ソ連崩壊後は、ロシアを加えたG8が国連の枠組みの外で、世界政治を取り仕切る場となっている。サミットでは毎回、“経済的繁栄”や“平和”が語られている。その“経済的繁栄”の正体は、一部大国やその中の特権階級の利益の追求であり、“平和”とは、特権階級の利益を保証する経済体制や国際秩序の維持を意味するものでしかない。NATOによるユーゴ爆撃を支持した昨年のケルンサミットの結果がどのような惨状をもたらしたかは、皆の記憶に新しいことだ。

 

 つまりサミットとは、強大な軍事力を基盤として、サミット参加国に本社を置く多国籍企業が世界中の資源や富を収奪する体制を維持するため、参加国の利害を調整する場なのだ。

 

 沖縄県民のサミットに対する思いはどのようなものだろうか。

■サミットでアピールしたい内容 第一位 米軍基地の現状 27%
  NHK沖縄放送局による 2000年1月
■マスコミに沖縄の何を発信してもらいたいか 第一位 基地の問題・平和の希求 57%
  琉球銀行による 1999年10月
■沖縄の心とは何か 第一位 平和を願う思い 45%沖
  縄国際大学宮森研究室による 2000年2月

 以上のアンケート結果から分かることは、県民はサミットを基地問題解決に役立てたいと思っていることだ。しかし、残念ながらその思いはかなわないだろう。それは、サミット開催地に沖縄が選ばれた理由に沿わないからだ。

 

 警備上の問題の多さ、会場施設の不整備の点で他の候補地に大きく劣っていた沖縄が開催地に決定されたのには、問題点を補って余りあるメリットが日米両国にあったからだ。そのメリットとは、日米安保条約の盤石さと、それに基づく軍事拠点地としての沖縄の重要性を、サミット参加国を始め、世界中へ知らしめる機会としてサミットを位置付けることだ。昨年11月の稲嶺沖縄県知事による名護市辺野古沿岸域への普天間基地移設決定、12月の名護市議会の基地移設促進議決、名護市長の辺野古への普天間代替基地の移設受け入れ表明等、政府の作った沖縄の基地問題決着へのシナリオの一環としてサミット沖縄開催も決まったのだ。つまり、沖縄の米軍事基地の機能強化と安定的使用のためにサミットを利用したいということ。そして、サミット関連の公共事業等の経済的メリットと引き替えに、普天間米軍基地の県内移設問題を決着させようとの目論みだ。北部地区に10年間で1000億円の振興策(10年後のことなど誰が約束できるというのだろう)等、公共事業に頼らざるを得ない沖縄の経済構造を見越した上でのアメをちらつかせて、県民に軍事基地との共生を選択することを押しつけたいのだろう。「沖縄県民は、基地と金を引き替えにした」という事実を作り上げることで、日本全土の0.6%の面積の沖縄に在日米軍基地の75%を強要している後ろめたさ、やましさを拭い去り、基地問題をはじめとする「沖縄問題」を終わりにしようとしている。

 

 これまで積極的に反戦、反基地運動に取り組んできた団体の中には、「来沖する海外マスコミに、沖縄の基地の現状を見てもらう良い機会だ」とサミットの本来持っている問題点をあいまいにすることで、サミット反対との主張を明確に打ち出さないようにしているところもある。このように日本政府の放った沖縄サミットというボディブローは、じわじわと効き始めている。さらに政府は、テロ、ゲリラ対策との名分で、全国の警察官を大量に動員し、反基地運動への妨害活動を行うだろう。これらの動きは、昨年から続く、労働法制改悪、日の丸・君が代法制化、盗聴法、団体規制法、住基法改悪等の戦後体制の解体・再編と一体のものであり、日本という国の在り方を根本から変えてしまおうとするものだ。私たちの職場に照らし合わせれば、日の丸・君が代のあからさまな強制・中教審答申で言及された学校職員の労働強化、不安定雇用化を目的とする学校の事務・業務の共同実施、学校評議員制度の導入や職員会議の補助機関化、管理規則の見直し等が浮かびあがる。私たちが日々、働きながら取り組んでいる問題と沖縄の基地問題は、有事立法、憲法改悪、戦争遂行国家への変身の動きと根をひとつにするものだ。それだからこそ、沖縄の基地問題を沖縄のみの問題に留めてはいけない。

 

 95年10月、10万人もの人々が軍事基地とのこれ以上の「共生」を拒否する意志を確認し合ったきっかけは、幼い少女が3人の米兵に乱暴された事件ではなかったか。泣き寝入りせずに裁判に訴える勇気を少女が示したことに、破壊と殺戮を目的とする軍事基地を見慣れたあまり鈍磨されてしまった感情に気付かされ、軍用地料や補助金に浸かった自らを恥じた者たちが集まったのではないか。県知事をも動かした強制使用への抵抗が、軍用地特措法(個人の所有地を基地に使用するために国が取り上げる、安保優先の土地強奪法)の改悪成立を経て日本国家に抑え込まれる中であれから5年が過ぎ、再び失ってしまった感情を取り戻すためには、新たな事件の発生を待たなければならないのだろうか。

 

 頻発する米兵の犯罪、軍事基地に起因する事件・事故、基地維持政策による産業・経済の歪み、社会的荒廃に沖縄は日々さらされている。被害は沖縄だけではない。在沖米軍は、遠くイラクまでも出撃している。沖縄の基地を拠点する軍事行動の被害の大きさは、県民の被害と比べるまでもない。沖縄から運ばれた銃口の先には、軍事力という暴力に収奪され、人間らしい生活を奪われている人々がいることを忘れてはならない。

 

 私たちが求めるのは、一部の者だけが富を手にする“平和”ではなく、国境を越えて、人々が限られた資源を分かち合い、異なる文化、宗教、価値観を尊重し合って、共に生きていく“平和”な世界ではないだろうか。だからこそ、沖縄の軍事基地強化の道具にされる今回のサミットを受け入れることはできない。サミット反対を通して、共に日米安保に依拠したこの国の再編に抵抗していこう。

全教与謝教組教研集会に講師として参加

ー「共同実施」反対で連帯広がるー

阪学労書記長 銅則夫

 去る6月3日、京都府野田川町の「野田川わーくぱる」で開催された全教与謝教組主催の「仲間を呼ぶ春の教研集会」に参加した。何と、この教研集会の第2分科会「共同実施問題」の講師として招かれたのだ。

 これには少しいきさつがある。「学校事務メ−リングリスト」に参加していた阪学労執行委員が、この間、大阪市の学校事務センタ−の問題と共同実施の問題をからめて発言していたそうだ。そして、同じくこのメ−リングリストに参加していた与謝の事務職員の方が彼のメ−ルに共感して、「是非、講師として来てほしい」と要請してきたのだ。しかも、パソコンのメ−ルで。時代なのかなあ。

 この間、与謝教組事務職員部では「共同実施問題検討委員会」を組織して、資料収集や検討・評価・学習会を行なってきた。その延長として、大阪市の学校事務センターを通して「共同実施」を考えたい、との願いからの今回の講師依頼だった。

 直接要請を受けた執行委員は、これを自分個人への要請ではなく、阪学労に対する要請であるとの確認を行ない、そして執行部としてこの要請を受けることとなった。

 そこで、大阪市の学校事務再編・センタ−化の当時、大阪市支部の支部長だった私が同行することになった。

 私の学校を訪れた他組織の学校事務職員に事務センターの話をしたことはあったが、他の労働組合から講師として呼ばれたのは初めてだ。担当者に「本当に私達でいいのですか?」と念押しした程だ。担当者は、「組織内の人の話では自分達と同じ見方しか出てこないので・・・」とのこと。「それならば喜んで」と参加した。

 当日は与謝教組内だけでなく、周辺地域の事務職員の参加者、さらには教員の参加者もあり、検討委員会メンバーの意気込みが伝わってくる。一方的な話にならないよう、「話の途中でも分からない事があれば質問してください」とお願いし、10年前の大阪市の学校事務再編・センター化前後の状況をするように話した。具体的な資料を多数示しながら、定数・業務内容・人事異動・事務職員の意識の変遷等、そしてそれに関わった市教組事務職員部や事務研の役割、そして現在の状況と話を進めた。

 大阪市費の学校事務職員の置かれた状況の違いや、大阪と京都の制度上の違いがあるものの、同じ学校事務職員なので率直な反応が伝わってくる。大阪市の事務センターが作られた背景や合理化の対象は今回の「共同実施」とは違うが、それが「事務職員の世界」にもたらす分断と精神的荒廃は同じだろう。また、当時の市教組事務職員部や事務研一部役員の果たした役割と、今回の「共同実施」において日教組事務職員部並びに全事研の果たしている役割が酷似していることを指摘しながら、「組織の違いを越えて、学校事務を解体する『共同実施』に共に反対していこう」と呼びかけて話を終えた。

 今回の学習会参加は講師としての参加だったが、こちらも学ぶ事が多かった。そして何よりも、「共同実施」に反対する学校事務職員との連帯がはかられたことが、私達にとっての収穫だった。

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「共同実施が始まる日」

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全学労連まんが部(?)


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