2000年10月2日
top> ニュース> 228号

全学労連ニュース今号の内容

 「日の丸・君が代」の強制・弾圧と第7次定数改善

 《官僚の匙加減に翻弄される地方》の構図−「第7次定数改善計画」瞥見

 全学労連とその仲間たちの夏

 猛暑の福島で熱く燃える仲間たち

「日の丸・君が代」の強制・弾圧と第7次定数改善

全学労連 議長 菅原 孝

 「日の丸・君が代」の法制化は、結局、学校行事における「旗・歌」の強制とそれに抗する運動への弾圧として表れた。

 文部省が、いかに「教育改革」を唱え、「学校の自主性・自律性」を掲げても、「日の丸・君が代」がつきまとう「改革(統制の教育改革)」でしかないのだ。

 先日、文部省が明らかにした「第7次教職員定数改善計画」も同じ流れの中にある。

 文部省は2001年からの5年間に26,900人の「改善」をするとしている。が、その中身は、あくまで教職員の自然減の対応する数をあげたものにすぎず(教職員の数は増えない)、また、改善の方向が「配置基準の改善」ではなく「加配方式」だということだ。つまり、文部省の意向に添ってガンバッタところに、教職員の加配を行うのだというのだ。今回の「定数改善」は、まさに教育の国家管理の新たな方式として登場してこようとしているのである。

 一方、おしゃべりを繰り返している「教育改革国民会議」は「18歳徴兵制(18歳で1年間の奉仕活動、自衛隊でも)」と、650兆円の借金で未来の見えない子どもたちにタダ働きを強要しようとさえしている。

 そのような今年の夏、日教組事務職員部は総会で、「学校事務の共同実施反対」の修正案を否決した。「8級格付け」のためにはそこまでする日教組事務職員部に対して、文部省の回答はつれなく、ただただ「文部省の言うことを聞け」だったのである。

 全学労連は、秋からの「共同実施反対」の闘いに向け、取り組みを強化する。

 新たな行動の開始と、戦線の一層の拡大を求め、そして、「学校事務の共同実施」の問題を、学校事務職員にとっての課題としてだけではなく、「日の丸・君が代」問題を、や、「教育の国家統制のための教育改革」の問題との関連の中で、幅広い仲間とともに立ち向かっていくカクゴである。

《官僚の匙加減に翻弄される地方》の構図

−「第7次定数改善計画」瞥見−

全学労連 事務局 池上 仁

第7次定数改善計画の概要

 2001年度予算文部科学省概算要求が明らかになった。義務教育費及び公立養護学校教育費国庫負担金給与費等の要求碩3兆936億円は、今年度予算比703億円の増であるが、注目される第7次定数改善計画分として内228億円が盛り込まれている。「基礎学力の向上ときめ細かな指導を目指す教職員定数の改善」と銘打った第7次定数改善計画(5カ年)の内容は、小中学校教員22,500人、教頭複数配置612人、養護教諭974人、学校栄養職員962人、事務職員726人、特殊教育諸学校914人、研修等212人。それぞれ初年度分として5分の1の定数改善が計上されている。完結した第6次定数改善計画での改善数に比べると、小中学校教員98%、教頭複数配置226%、養護教諭82%、学校栄養職員82%、事務職員52%、特殊教育諸学校39%、研修等21%になる。自然減分に見合う改善数ということであるが、中での重点の置き所は見て取れるのではないか。ちなみに、昨年度の概算要求資料では「改善数1,200人、教職員定数自然減8,800人、差し引き7,600人の純減」が明記されていたが、今回はない。何かしら意図があるのだろうか。

加配による事務職員定数改善

 説明資料によれば、養護教諭の改善内容には「複数配置の拡充」「児童生徒の心身の健康への適切な対応を行なう学校への加配」が並記されている。学校栄養職員についても同様に「単独校及び共同調理場の定数改善」「児童生徒の食の指導への対応を行う学校への加配」が並記されている。これに対し事務職員については「きめ細かな学習指導や教育の情報化の支援等のため事務部門の強化対応を行う学校への加配」とあるだけ。つまり事務職員については養護教諭、栄養職員と異なり「加配」方式での改善だけが考えられている。それにしても、この記述からは具体的なイメージは結べない。全学労連は目下文部省に詳細な説明を求めているところだ。

 全事研はいち早く9月1日付けで各支部長宛に「緊急連絡」を流した。8月29目に文部省から説明を受けたとして、その要点を挙げている。事務職員定数に関しては「第6次で実現した『標準法上の算定基準』はそのまま(維持)することとしその上に」「『純粋加配』の枠として」「726人計上した。これは『制度の新設』であ」る、「『標準法』における事務職員の定数条文に『内容』に応対する『加配制度』の起項をする」、改善内容の「きめ細やかな」云々は「今回の『計画の趣旨』等を押えた表現であるが、あくまでも(この問課題としてきた、(いわゆる)『共同実施』等の『事務組織の充実』を求めている)、加配方式なので「各県が加配に対する『該当学校・目的・形態』等を個別に申し出ることになる」、「昨年度から実施されている『研修枠』による『(実践協力校)加配』は継続させる」「配置は『正規職員配置(若しくは再任用)』とし、非常勤措置はできない」等々。

 その上で「各支部は県教育委員会が秋に提出する(文部省への)次年度定数要求において、趣旨が徹底されるように図られたい」とよびかけている。

フリーハンドの文部省

 第7次定数改善計画はこの5月19日の「教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議」報告に沿ったものである。この報告書を読んだ時、まず「曲学阿世の徒」という言葉が私の頭には浮かんだものだ。『学校事務』誌10月号で九大の篠原清昭さんが指摘しているように、「文部省の『隠れ簑』や『お墨付き(機関)』であるという批判」がそのまま当てはまる内容であったからだ。議事録によれば、最終会合の場で、報告の取りまとめが座長一任になっていることに一驚した。

 「お墨付き」を得た文部省は何をやろうとしているのか。財務課勝山課長補佐が6月16日に都道府県教育長協議会特別部会・第4部会事務担当者会議で協力者会議報告の説明を行っている。加配方式による定数改善に関連して次のように語っている。「(教員配置について)その学校のやる気や教育課程を見てから決めましょうということで構いません」「学校の実態を知らなければ、学級編制や教職員の配置は今後できません」そのためには「現在の皆様方のスタッフの数倍のスタッフが必要ではないか」、今後の加配措置はT・T等の具体的内容ではなく「学校の自主的、自律的な取り組みを支援する加配というものに一元化」する、「5年継続しても効果のないところはだめですということで、私どもの積算の基礎からは外させていただいております」「やる気次第で私どもから幾らでも分捕っていけるという形式をとりたい」「私どもこれからは定数担当も含めて各県を飛び回って実態を見させていただく」…ざっとこんな調子である。

 同じ勝山課長補佐は8月の全事研岩手大会でもピンチヒッターとして講演している。例によって「率直」な語り口(事務職員をなめているからだろう)で、「『事務処理の効率化』―略―その冒棄をそっくりそのまま使いますとまさに合理化の対象になってしまう危険があります」「事務の共同処理でも類似語です」「嘘も方便。今回の改善でその嘘の部分が見つからない」…これもこんな調子である。

 明確な配当基準をもたない改善定数を使って文部(科学)省がいいように地方をあしらう、地方は文部省の意に沿った「やる気」発掘のために汲々とする、そんな構図が浮かび上がってくる今回の定数改善計画である。負担増と七面倒臭いしばりを嫌って加配を申請しない県も出てくるのではないだろうか。現に財源難を理由にT・T加配を措置していない県もあると勝山氏自身認めている。

全学労連とその仲間たちの夏

−活動報告−

なんと言っても全交流・福島でした

 今年の全交流は、8月4〜5日福島県飯坂温泉において、全国各地から130名の参加を得て開催された。

 今集会のスローガン「学校社会に風穴を」のもと、2日間にわたり、熱心な討論と楽しい交歓が繰り広げられた。そして、明日からの活動のエネルギーを蓄え、1年後に大阪で会うことを約束しながら全国各地に帰っていった。

 なお、今集会は、昨年に続き教員独立組合と臨時職員労働組合の仲間の参加で、学校をめぐる状況について共同で考えるための場ともなった。

 また、今回、1日目夜の懇親会でお互いの交流が深まったことは言うまでもないが、第2ラウンドの「ナイト・トーク」は好評を博した。“アルコール付きの二次会にさよなら”の「禁酒の部屋」、ウンチクを傾け合った「映画の部屋」、忌憚ない意見を交わした「セクハラ駆けこみ寺」、そして、定番の「酒もってこい」の各分科会(?)であった。

 また、一般市民にも開かれた講演会はテレビ局からの取材もあったほどに地元の関心を呼ぶものとなった。講師の角田由起子弁護士は、セクハラ・性暴力に取り組む経過を、自ら手がけた裁判の体験をもとに熱弁を振るい、会場からは大きな拍手が沸き起こった。

<分科会の紹介>

◎第1:「どうなるどうする学校行革」

 去年の同テーマを更に深めて、具体化しつつある「学校事務の共同実施研究」についてや、増員されようとする臨時職員の課題について論議。

 レポート

◎第2分科会

 学校事務と学校をとりまく課題について各県からの状況報告を受けての意見交換。

 レポート

◎第3分科会

 女性にかかわる労働条件の実情と職場環境について、点検と意見交換が、角田弁護士の参加も得て行われた。

 レポート

◎紙上提供レポート

 レポート

教員独立組合の集会 全労交に参加しました

 全学労連も一目置く、元気あふれる、自らの手で自らを切り拓く活動をしている全国16組合の全学労組。彼らも毎夏全国集会を行っている。

 8月23〜24日埼玉に130人以上の人が集まった。全学労連からも各県より8名の仲間が参加し、2日間彼らと話し合い、そして飲んで交流を深めてきた。

 分科会は次の5つ。

『学校での働かされ方、働き方』

『法制化後の「日の丸・君が代・元号」との対決』

『独立組合の闘い方』

『はみだしっこ、世にはばかる』

『どこまで行くの?「教育改革」』

 全学労連は「学校行革の流れと現状」と題するレポートを提起、この間の教育改革に対し、入手した情報の説明と働く側に立ってみたその分析と批判を行った。教員の目から見た分析とつき合わせた意見交換は、双方にとって今後の役に立つものとなった。

 もちろん、「学校事務の共同実施」についての問題性も提起し、反対活動への協力を訴えてきたのである。

暴走やめよ! −全事研大会でのビラまき−

 8月8〜9日、岩手県では全事研大会が行われた。全学労連は会場前で1,500枚のビラで、参加者に全事研の姿勢をするとともに「学校事務の共同実施」に象徴される学校行革に対して戦うことを呼びかけた。

全国代表者会議 −当面の取り組みを練る−

 8月3日、恒例の全国代表者会議を開催した。主要な協議案件は、全国の学校事務労働者の焦眉の課題「国庫・反学校行革」への取り組みである。

 ここで確認された秋冬の、私たち学校事務職員に求められる取り組みは以下のようである。

▲国会請願署名を成功させる
 8月の文部科学省の概算要求には一応入った事務・栄養士の国庫負担。それを確固たるものにするために。
▲各地での闘い
 「地方から中央へ」この構図で大蔵省を包囲するべく、地方議会からの意見書集中や教育長協議会など地方6団体へ要求活動。
▲「共同実施」反対のとりくみ
 学校事務職員として生きる姿勢を全国の仲間に改めて問い、また力を結集するために。
  • 早急に署名活動を開始する。
  • 文部省交渉を設定する。要望書として全国の仲間の声を届ける。
▲全国総決起集会
 各種の取り組みを積み上げて、その集大成として、文部省・大蔵省に対して全国の仲間の思いを直接ぶつける。(12月初旬を予定)

猛暑の福島で熱く燃える仲間たち

福事労 実行委員会 長谷川百合子

 暑〜い福島で熱い議論が交わされて…それは深夜(一部明け方)まで続いたのでありました。

 詳しい報告は、学校事務誌に掲載される記事にお任せして、開催地である福島からは、‘00年全交流福島集会へお集まりいただいた130名の皆さんに感謝の言葉を。

 みなさん一人一人の積極的な参加のおかげで、集会を盛況に終わらせることができました。どんなに準備を重ねても、そこに集まった人が、心からその集会を楽しんだり、意義があると感じたりしてもらえなければ成功とは言えません。その意味では成果がある集会だったと感じています。本当にありがとうございました。

 7名の福事労精鋭の若手で組織された実行委員会は、この日のために約4ヶ月間、知恵を絞り、汗をかきかき準備をすすめてきました。「福事労らしい集会に」この言葉が、時にはその期待に応えなくてはという重荷になることもありました。

 しかし、とにかく新しい企画を持ち込みたい、その一念で実現させたのが「福事労分科会」であり「ナイト・トーキング」や「子どもツアー」だったのです。当日の盛況は私たちの予想を超えるほどのものでした。感謝・感謝(特に禁酒の部屋など…)

 「ナイト・トーキング」は酒飲みばかりでない、新しい夜の過ごし方の提案として。今後定着させたいなと思っています。

 ベテランの全学労連事務局の力を借りながらではありますが、全交流に少しだけ新しい風をふきこむことができたかなと感じています。

 今回、福事労が新しさを持ち込んだのは、集会の周辺部分に過ぎません。今後は福事労でも、もっと、会の運営に関わるところで、アイディアを出し、充実した全交流のために協力していきたいと思います。

 
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 夏季ボーナスカンパ 感謝 

 本当にありがとうございました。

 この夏前、皆さんにお願いした「ニュース購読料」「カンパ」呼びかけに対して、全国の方々から三〇万円余が寄せられました。

 全学労連の活動は大きな団体と異なり、事務局、スタッフの“手弁当”的要素も少 なくなく、“気概”と“みなさんの応援”がその支えです。

 これからも全国の学校事務の課題を解決するために頑張ります。

 御支援のほどよろしくお願いします。


top> ニュース> 228号


無料 WEB-page スペースを利用しているため、広告が表示されますが、全学労連とは無関係です。



inserted by FC2 system