2001年2月10日
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全学労連ニュース今号の内容

 全学労連は、21世紀も全国の学校事務職員の結節点です

 国立市教職員への不当処分撤回の闘いと私たち

 学校行革対策委員会のショートレポート3題

全学労連は、21世紀も全国の学校事務職員の結節点です

 20世紀の後半、「学労運動」の全国の学校事務職員の中に占める位置は小さくはなかったと思う。学校事務職員の「明確な独自の要求」を掲げ、「自立した労働組合」として運動してきたことに、私たちは自らを高く評価している。

 「学労運動」が提起した「校内控除」や「事務室」の問題は、今や全ての学校事務職員が問題を共有化している。「国庫負担はずし阻止」の課題でも、国会請願、地方議会の意見書の取り組みも「学労運動」が先頭をきってやってきた。

 そして、昨年末「学校事務の共同実施」問題では、全事研、日教組が共同実施賛成へと声高になるなかで、唯一「共同実施反対」署名を全国の仲間に呼びかけ、短い期間ながらも多くの署名を集め、文部省に要求をつきつけてきた。この署名では、これまで全学労連とは結びつきのあまりない学校事務職員からのものが少なくなく、「学労運動」の重要性が再認識された。

 

 しかし、「学校事務職員独自組合」は、すでに日教組内にも存在する時代になり、全学労連にとっても20世紀「学労運動」の成果の上に、21世紀「学労運動」を構築していく必要がある。

 全学労連に結集する各組合は単に「独自組合」というだけではなく、「自立した組合」として学校で働く多くの労働者と共に取り組みを続けてきた。全学労連はそれらの自立した各組合の連絡会議として、全国の学校事務職員の先頭で活動をしている。

 21世紀を迎え、全学労連は新たな段階を目指していく。昨年の「共同実施反対署名」行動では、全国の学校事務職員に「学労運動」の輪を広げることを強く感じさせた。全学労連には、いま以上の組織的な幅を広げての活動が求められているだろう。

 

 全学労連は、労働組合や研究会のワクを越えて、全国の学校事務職員の自立した労働運動の結節点として、その役割を果たしていく覚悟である。現在の「全学労連ニュース」は勿論のこと、更なる全国の学校事務職員との情報交換の機会や方法を作り上げていく。それらを通して、全国の学校事務職員の労働運動の前進に寄与していきたい。

 

 全学労連は、学校事務職員の結節点。全国の仲間からの連絡を待っています。

(議長 菅原)

 

国立市教職員への不当処分撤回の闘いと私たち

全学労連 調査部 羽成 純

 

 12月23日、東京・小金井公会堂において国立市教職員への不当処分に抗議しその撤回を求める集会が開かれた(多摩教組、アイム’89、東学と各市民団体実行委員会主催)。広島や千葉などで闘う仲間を含めて約550人が集まった。昨年春以降、学校周辺に連日のごとく右翼の街宣車が押し掛け、「子どもを殺すぞ」という脅迫状が学校に送りつけられてくる。そして都教委による処分攻撃にさらされてきた国立。集会に参加したUさんは次のように語る!「(被処分者は眠れない夜が続き)憔悴しきって発言の声もところどころつまった。そのたびに会場から『がんばれ!』の声。支援しなければ!心からそう思った。…こんな不当処分をこれ以上広げることは許さない!また、必ず撤回させる!強い信念で粘り強く闘っていこう。」(がくろう神奈川討議資料より)。集会当日も執拗な右翼の妨害が繰り返されたが、これを断固はねのけ、「『日の丸・君が代』強制に反対する市民・労働者・教職員の連帯」の場を創り出した(「東学」No.373 '01.1.16)ことは、今後各地の「日の丸・君が代」強制反対の闘いをつなげていく大きな一歩を築いた。

 

 国立への攻撃の発端となった「校長に土下座要求」の記事(「産経」 '00.4.5)を批判された('00.12.26 草野透署名記事―「朝日」)産経新聞は、「われわれはあくまでも校長が市教委に提出した報告書に信用性を置く」と居直り、「悪いのは子どもたちを校長批判の行動に駆り立てた国立二小の教師たちである」といってはばからない(「産経」 '00.12.30)。

 

※ 校長の報告書の内容は市情報公開条例に基づいて開示される以前に何者かによって産経新聞に垂れ流されていた。件の記事はこの報告書を引き写しただけのデマ記事であった('01.1.27 「日の丸・君が代」反対!学校と地域をむすぶ交流会より)。

 

 一方的に「日の丸」を校舎屋上に揚げた校長に対して「どうして『日の丸』を揚げたのか」と真当に問いかけた子どもたちは、校長に土下座要求するような「とんでもない子ども」であり、「偏向教師によって扇動された」存在に押し込められていく。都教委―国立市教委は「偏向教育」を担った教師たちを処分して国立の教育―東京の教育を「正常化」していくと呼号し、産経などの右派マスコミがこれを全面的に支持していく(「産経」 '00.12.30前掲)。何とも許しがたいこの国の時代の閉塞を映し出している構図である。既に国立市教委は都教委の指導の下、今春の卒・入学式で「国旗掲揚・国歌斉唱を実施せよ」と通達を出した(’00年12月18日)。この通達を受けた校長たちは、例えば「必要に応じて職員会議に指導主事等の出席を求める」といった職員会議細則を教職員に押しつけ、がんじがらめの上意下達体制を作ろうと動いている。

 私たちは、12.23集会を一つの出発点にしながら、見せしめとしての処分・弾圧によって各個撃破されてはいかない多様な運動のネットワークを創り出していかねばと切に思う。人々を「国民」に束ね、戦争体制に動員していくことを阻止していく力となるのは、まさに思想・良心の自由を踏みつけにすることを許さない子どもたちを含む人々の自由な関わり合いであり、共に生きようとする意思であると思う。

国庫・国会請願署名今年も採択

 全学労連の国庫負担堅持国会請願署名に多数の皆様のご協力をいただき有り難うございました。請願署名は、衆議院 中川智子・辻元清美両議員、参議院 島袋宗康・大脇雅子両議員にそれぞれ紹介議員になっていいただき、国会に提出しました。12月1日、両院共に請願が採択され、内閣に送付されました。全学労連に集う各組合が今年も取り組んだ各県市町村議会への陳情行動→内閣総理大臣・大蔵大臣・文部大臣・自治大臣への意見書送付と相俟って、国庫闘争17度目の勝利に大きく貢献しました。

 署名にご協力くださった皆さん、そして紹介議員の労をとっていただいた4名の議員の皆さんに心から感謝します。

学校行革対策委員会のショートレポート3題

文部科学技術省の来年度予算を読む

 2001年度文教予算案が策定された。

 第七次定数改善計画へ向け、国庫負担制度は維持され、来年度5380人の増員計画にも関わらず、義務教育費国庫負担金自体は80億5200万円(前年比0.3%)の減となっている。教職員定数の自然減が増員分を上回っているということがわかる。一般会計の文教関係費は307億円(前年比0.6%)増、文教及び科学技術全体では1187億円(前年比1.8%)増である。国庫負担金の割合は年々減少をしている一方で私学助成は約3.6パーセント増加している。

 「学校運営改革に関する調査研究」という名目で、「指導力不足教員」への対応などに1億6千万円の予算がつけられている。これも含め「教職員の指導力・資質の向上」のために20億8千万円が計上されている。人事管理や研修の強化がこれにより現実のものとなっていく。

―文教及び科学技術予算の主なポイント―

1.義務教育費国庫負担金

   (13年度30,153億円)(まま)

2.学校教育等における諸課題への対応

   (13年度257億円)(まま)

(1)教職員指導力・資質の向上(20.8億円)

指導力不足教員への対応等の充実を図るための新しい教員の人事管理の在り方や、学校の自主性・自立性の確立等に関する調査研究を実施 等

 

来年度事務職員、「増員」の行方は…

 文部官僚は、第七次定数改善計画で来年度増員される事務職員145人分を各都道府県に配分する作業を進めている。しかし今までのような学級数に基づく客観的な基準ではなく、「事務部門の強化対応を行う学校への加配」などという抽象的な内容しか示されないままである。文部省の募集に対して、増員枠の倍以上の300人もの要求が都道府県から出されたという。客観基準が示されないまま要求内容を審査し、加配の人数を枠内に収めるのは当然文部官僚がやるのたから、職員配置に関しての恣意性=権限が強化されるということに他ならない。

 現に文部省に加配の要求を出しても却下された県が出てきている。増員が欲しいのはどこでも同じだが、たとえダメでもせめてその理由だけは納得のいく説明が欲しいものだ。

規制改革についての見解=国家改造計画

 行政改革推進本部の規制改革委員会は、昨年12月に「規制改革についての見解」を発表した。各論はこの国の社会の15分野にわたり、その中の13項目目に教育があげられている。その内容は、「学校の個性化と学校選択の拡大」「個性・習熟度に応じた教育」「教員養成、採用、評価等の改革」「教育の情報化の促進」「大学及び大学院運営等の効率化」「産学連携の促進と人材の社会的流動制の増大」と、いずれも中教審答申や教育改革国民会議など、ほかのどこかで聞いたようなものである。

 どちらの議論が先であるかはともかくとして、我々が問題としている学校行革は、この国を新自由主義の規制緩和で改造する計画と、明らかに連携しているか又はそこから派生しているものだということが見えてくる。

 こんな時こそ存在価値が問われる労働組合はといえば、殆どが「地方分権」だの「教育改革」だのの論議には熱心でも、現実に進んでいる学校行革に正面から立ち向かおうとしていない。教育・学校論議でああだこうだと「夢」を語り合うことは、結局改造計画の片棒を担いでいることに他ならないし、ましてや学校事務職員の「職の確立」や「処遇改善」につながるなど期待するのは図々し過ぎるというものだろう。


全学労連へのカンパに感謝します

 昨年末も全国の仲間からたくさんのカンパをいただきました。

 その額、なんと約145,000円!!ありがとうございます。苦しい財政事情の中、事務局一同感謝に堪えません。大切に使わせていただきます。

 購読料・カンパともまだまだ受け付け中です。よろしくお願いします。

 全学労連は今年も、みなさんのご支援が無駄にならぬよう頑張っていきます。


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