2001年8月2日
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全学労連ニュース今号の内容

 「教育改革」の大合唱に呑みこまれるな!―文部科学省交渉報告

 各学労大会・近況報告

「教育改革」の大合唱に呑みこまれるな!

―文部科学省交渉報告―

全学労連事務局  羽成 純

 抜本的な定数改善、「日の丸・君が代」」強制反対などを掲げ、全学労連は文科省と交渉を行なった(7/6)。「教育改革」関連法案が次々と成立させられていく中で行なわれた交渉は、期せずして政府―文科省が狙う「教育改革」の内実の一端を暴露し、これと闘う私たちの方向を垣間見させてくれるものとなった。

「加配方式」がもたらすもの

 例えば、大阪府教委は当初24名の事務職員の加配を申請していた(’00/11)にもかかわらず、結局4名に決定された(’01/2)のは何故か。加配方式と引き換えに全校配置を崩し現場事務職員に2校兼務を強制している神奈川県教委の行動をどう考えているのか…。各地域での教委当局との攻防を踏まえて私たちは加配方式による「定数改善」の恣意性、矛盾を端的に問い詰めた。「申請内容を見てより優先度の高いものをとった」「(加配は『教育改革』に対する)やる気のあるところに使う」というのが文科省の回答であった。仮に文科省の論理に従って考えても、「優先度」というなら神奈川のような事態は考えられないし、「やる気」を評価するというなら「共同実施」に向けて24名を申請した大阪は「やる気」十分だったのではないか。学級数を基準としたこれまでの定数配置は加配方式による無責任体制によって漫蝕され、現場労働者の切実な定数改善への要求は押しつぶされていこうとしていると言わねばならない。(※1) 

※1 因みに交渉後、文科省は「大阪から24名の申請が出ていたという記録はない」と連絡してきた。加配の審査がどのように行なわれたかは闇の中だ。

「教育改革」への動員構造を問うこと

 「教育改革」への「やる気」を昨年5月の協力者会議報告を引用しつつ強調する文科省、その無内容な「掛け声」(※2)に踊らされていく教育委員会、これに協力していく労働組合や研究組織。そこには「教育改革」そのものを問う姿勢は全くない。はっきりしているのは「改革」に異を唱える者を徹底的に排除していく構造は確実に強化されようとしていることだ(※3)。

 私たちが目指すべきは「教育改革」の名の下に打ち固められようとしている上意下達の構造に呑みこまれない闘いをあらゆる場所で創り出していくことだ(その意味では、「具体的な加配校は各県判断」という文科省の発言を運用しつつ、各県教委に真っ当な定数改善を実行させるべく取り組んでいくこともまた必要なのだと思う)。

※2 「教職員配置の在り方に関する調査協力者会議報告」においては、事務職員も又、「教頭や教員が本来の職務に専念できる」ための「専門性」や「事務処理の効率化・集中化」を要求されている。

※3 千葉学校労働者合同組合の渡壁隆志さんは「不適格教員」排除を規定した地教行法改定(6月末)を先取りするかのような弾圧に晒され続けている。「でっちあげ傷害事件」によって千葉県教委は彼を解雇した。5月8日以来、不当な長期拘留は今も続いている。「日の丸・君が代」強制や管理教育、子どもたちの「奉仕体験活動」などに反対する者への排除の圧力は確実に強くなっているのだ。

 

各学労大会・近況報告

北海道学校事務労働組合

 北学労は6月30日札幌かでる2・7にて第24回定期大会を開催した。厳しい政治・経済・労働情勢の中でも我々の前に山積する課題を克服するべく闘う方針を原案通り決定した。

 昨年12月4日、北学労結成時からの重要課題「不当な校内控除撤廃」への1ステップとしての禁止通達文書がやっとのことで出された。まさに四半世紀の時を要したことになる。だが全員、全額給与振込を事務職員の大多数が要望する時代となり、その意義は薄れた感がある。

 給与支給日当日の慌ただしさ、煩わしさからの解放の陰で失ってしまうものに気付こうとさえしない事務職員が圧倒的に増えている。これは政府・財界主導のIT革命の幻想に振り回され、コンピュータリゼイションの波に飲み込まれ、目先の便利さ、楽しさとは裏腹に人間関係の希薄化や管理強化の網にすくい取られていることに気付こうとしない人間が増えていくことと無関係ではない。

 聖域なき構造改革を唱える小泉内閣は、バブル崩壊の責任を弱者に転嫁し、膨大な失業者群を生み出す、弱者切り捨て内閣だ。教育関連6法案で「不適格」教員を排除し、「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を採択し、再び侵略戦争の出来る国をめざす内閣である。

 このような状況下にあっても未だ労働運動は厳しい冬に時代にある。だが労働者が労働者である限り、労働運動は噴出せざるを得ない。労働者にとってさらに厳しくなる環境の中、北学労は、校内控除撤廃運動の原点に立ち返り、少数でも明日を信じて、闘いを続けることを宣言する。

 さあ、今年度も北学労はがんばるぞおー!

青森県学校事務労働組合

 青学労第11回定期大会は6月9日に行われた。今年も福事労から穴澤委員長が激励のために駆けつけてくれた。本当に、ありがたい。

 今年の定期大会では初の試みとして支部大会と分会総会も同日開催した。午前中に支部大会、分会総会を行い、午後は青学労定期大会という日程である。これまで支部大会、分会総会はなかなか時間が取れず、充実した議論ができなかったのが現状であった。今年は具体的な交渉事項まで討論され、ねらいどおりの結果になったようだ。

 今年の定期大会では大阪教育大学付属池田小学校事件、学校事務の共同実施、教育厚生会の退職互助制度問題などが議論になった。

 大阪教育大学付属池田小学校事件以降、各県でも様々な「対策」が取られていることだろう。本県では来校者への受付名簿への記入、名札の着用などの対応をしているが、到底根本的な解決にはなりえない。いずれにしろ、事務職員に過重な負担を強いる「対策」には反対して行かなければならないだろう。

 学校事務の共同実施については他県の動きとは異にしている。研究加配のスタートは1年遅れだし、第7次定数改善計画に伴う加配も7都県とともに受けていない。こうした対応は文部科学省(文部省)の意向に忠実に従ってきた県教委としては異例のことだ。県内事務職員に共同実施反対の声が大きいことと、さらに青学労が取り組んできた運動の成果であると自負している。第7次定数改善計画に伴う加配の動向を睨みつつ、今後の対応が重要になるだろう。

 法定外控除問題で対立している教育厚生会に退職互助制度見直し問題が浮上した。退職互助制度とは教職員の退職後の医療を中心とした補償制度である。それがバブル崩壊の影響で運用益が大幅に減少し、破綻寸前となっており、制度の根本的な見直しが必要になっているというものだ。「組合としての対応は?」という質問があった。「やめる、やめないの判断も含めて自己判断で」と言いたいのだが、教職員の90%以上が加入しているのだからそうとばかりは言っていられない。難しい判断が必要になってくる。

 ところで、定期大会は1年の活動方針を決める組合として最も重要な機関会議だ。しかし、単なる年間行事の一つになりがちだ。例年、組合員から執行部の意表をつく発言が出て、執行部をあわてさせる。それが定期大会の盛り上げに一役買っている。今年の定期大会は例年に比べて「おとなし目」であったというのが執行部の評。執行委員会として責任をもってどう運営して行くかも課題となったようだ。

群馬県学校事務労働組合

―組合員がふえましたー

 この5月、数年ぶりに組合員の加入があった。組合員の高齢化、マンネリ化がすすんでいる群学労にとっては大変うれしい刺激的なことであった。

 加入したのは桐生支部の女性である。きっかけは、4月の人事異動により転任した学校の事務室が、3月末で意図的に廃止されていたことと、職員により法定外控除を強制するかのような扱いを受けたことによる。桐生支部では、2つの問題は群学労結成当時から取り組んできたことであり、また本人の「群学労に加入して解決したい。」という意志が確認できたので、全力で取り組んだ。

 2つの問題とも、長年の交渉により既に市教委レベルでは「事務室の設置は認める。」「法定外控除は違法。」と一定程度結論が出ていることなので、当該校の校長交渉により解決を図ることを決定した。また指導を怠っていた市教委に対しても、問題の所在を明らかにしておく必要があると考え校長交渉を認めるよう申し入れた。

 しかし、今まで当該校に出向いて直接校長と実質的交渉を行なったことはあったが、事前に市教委に認めさせるということを一度もしてこなかったので、認めさせるまでに多くの時間と労力を費やしてしまった。

 校長交渉では、充分ではなかったが、最低ライン市教委見解並の回答があり、現在それが職場で具体化されつつある。

 今回、多少時間がかかってしまったが、初めて公に校長交渉ができたことと同時に「自らのことは自らの手で」という原則にこだわり、運動することの大切さを確認できたことは成果であった。桐生支部は、今後も後退することがないよう継続して取り組んでいきたい。

学校事務職員労働組合神奈川

―民間労組の連帯挨拶に励まされてー

 がくろう神奈川の第5回定期大会は、7月3日開催された。会場の横浜市開港記念会館は、一昨年の全交流全体会の舞台となり、アンティークな雰囲気が大好評だった所。全交流の折には壁が剥落して危険ということで、分科会の会場は別に設定せざるをえなかったが、その後の修復工事も完了し、定期大会も久々に古巣に戻ってきたという次第。

 神奈川では長らく続いてきた事務職員全校配置が今年度になって崩され、初めての兼務発令が出される一方、第7次定数改善計画による加配が県下9校に実施された。旅費制度の変更により新に導入された自家用車利用については、市町村によって扱いがばらぱらという混乱ぶり。教職員の人事評価制度検討委員会が発足し、能力主義・成績主義の導入が図られている。横浜に続き各地で勤務時間延長や服務「厳正化」攻撃がかけられてきている…。

 こうした状況の下での今年の大会、グローバリズムや小泉構造改革の評価から、組合のあり方についてまで熱心に議論が交わされ、すべての議案を大多数の賛成で採択して終わった。

 大会には全学労連の仲間や、共に県共闘に集う組合が駆けつけてくれ、連帯の挨拶を受けた。世界的な反グローバリズムの運動の紹介や、会社側の切り崩し攻撃の中、3人で果敢に闘っているタクシー会社の組合からの報告は、改めて私たちの視野をグンと押し広げてくれた感がある。山積する課題に果敢に立ち向かっていこうと決意を新たにした大会だった。〈池上〉

大阪学校事務労働組合

―学校行革と対決し闘う学校事務労働運動を進めよう!―

 我が大阪学校事務労働組合は、7月13日(金)北区のエルおおさかにおいて第17回定期大会を開催した。大会には大阪全労協の前田議長をはじめ、大阪教育合同労組の寺本書記長、昭和シェル労組の浜田さん、おんな労働組合の和田さん、兄弟組合の兵庫県学校事務労働組合からは小山さんが駆けつけて下さり、連帯の挨拶をいただいた。8月に大阪で開催する全国学校事務労働者交流集会を目前に控え、組合員の意気も高まっている中、積極的な議論が行われ、全会一致で2001年度運動方針案が可決された。

 開会に先立ち、この6月に1年余りの闘病生活の末、惜しくも亡くなられた工藤和実さんの冥福を祈って黙祷を捧げた。大切な仲間を失った悲しみは大きいが、そのことにめげずに、今我々の目前に立ちはだかっている様々な課題に、勇気を持って取り組んでいくことを心の中に刻んだ。

 開会宣言の後、松原支部の松本支部長を議長に選出、今大会の幕が開かれた。

 冒頭、銅委員長より「何一つ具体的政策を実行していない小泉が単にイメージだけで驚異的な支持を得ており、野党が窮地に立たされている。この状況は我々運動側にとっても非常に苦しいものではあるが、決して否定的にならずに、新たな阪学労の一歩を踏み出していくような、そして、全学労連を積極的に担う立場で論議をしていこう」と挨拶があった。

 第1号議案として、池田書記長より「2000年度総括と2001年度運動方針」について提案があり、その後亀井書記次長より「当面の闘争推進に関する件」の提案があった。

 審議に移り執行部から「共同実施についての論議、組織強化拡大にかかわる論議を中心にお願いしたい」旨の提案があり、とりわけ共同実施については、「学校行革」に対する取り組みの総括における「一部の出世主義者」という文言に対し守口の組合員より修正案が出されており、議論が集中した。

 「全事研、主査会をはじめとして職務職階制を容認もしくは推進する勢力を『出世主義者』と見ることは間違いではない」としつつも、「この言葉が持つイメージや周りに対するインパクトを考えるときに、決してベストな表現ではなく、阪学労にとって有利ではない」というのが修正案提出者の提案趣旨だった。

 この修正案に対しては、「大阪市の学校事務センター化において、大阪市教組事務職員部が対案方針を掲げ、事務職員に夢と幻想を振りまいた挙句、結局は労働者の合理化と分断を招き、そして自らは職制へと『出世』した人たちのことを考える時に、彼らに対して『出世主義者』という表現以外見つからなかった。そして今、我々が学校行革・共同実施と闘う時、決して言葉を曖昧にしてはならない。全体の利益を語りながら実は自らの願望を満たそうとしている者に対しては、この言葉が最も適当なのではないか」という意見も出された。

 また、組織強化拡大の議論の中での委員長の催促を受けて、この6月に新しく仲間になった組合員の発言を受けた。市教組を脱退して阪学労に加入した理由について彼女いわく、「まあいっぺん変わってみよかと思っただけ」。軽く笑いを取りつつ、今この時期に阪学労を選択した思いが、淡々とした語り口調の中に込められていたように感じる。

 採択に入り、修正案については、論議の中で共通認識に立つことができたことから取り下げられ、執行部原案どおり大会方針が可決された。また、2号議案の「2000年度決算・2001年度予算」についても、満場の拍手で採択された。

 これから8月の全交流に向け、全組合員一丸となって突き進んで行くことを確認し大会を閉会した。ガンバロー!

沖縄学校事務労働組合

 いつもの場所でいつものメンバーで第9回定期大会を行った。議案書作成の段階で議論し尽くしているので、静けさと和やかさの中、議事がスムースに進行するのもいつものとおり。喧騒と熱気に満ちた結成大会から8年が経った。この間何が変わり何が変わらなかったか。憲法改悪も可能なほど政治の翼賛化が進み、学校事務職域も学校行革を先取りするかのごとく、より働きにくい職場になりつつある。変わらないのは、沖縄における軍事基地の存在だ。先日の北谷(ちゃたん)町での事件では、米兵身柄の日本警察への引き渡しで日米地位協定の抜本的改定か運用改善かで論議が沸いている。しかし、マスコミで言われているような、身柄引き渡しが起訴前か後かということは、米軍による犯罪の根絶という観点からすれば本質的な問題ではない。そもそも基地の存在が問題なのだ。沖縄に米軍基地を駐留させてきた政府とそんな政府を選んできた国民の責任も問われなければならない。沖縄の米軍基地の矛先は、確実に極東アジアに向けられている。沖縄の米軍犯罪を無くすことと軍事基地に抑圧されているアジアの人々の平和を実現することは、同じ1コインの裏表なのだ。

 過去の侵略戦争を正当化し、植民地政策への反省もなく自国の政策すべてを美化しようとする歴史教科書が検定を合格した。刑事事件をでっちあげてまで「不適格教員」を排除しようとする。急速な右傾化を隠そうともしなくなった政府に対し、学校を職場とする者として私たちは、かつて(今も?)学校が皇民化教育の実践場であったことを念頭に置き、自らの取るべき態度について先送りせず、毅然とした選択を下す時期に来ている。

 10年後、沖学労が今回と同様に和やかに定期大会を行なえることを望む。できればもう何人かの新しい仲間と共に。


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