2002年3月10日
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全学労連ニュース今号の内容

 各県の2001人勧・賃金確定状況(特集)

 「ライオン・キンぐ?」福事労学習会特別こう演

各県の2001人勧・賃金確定状況(特集)

全学労連調査部 船橋 享

 2001年度の給与改定は、「ミクロの公民格差」から国においては給料表の改定が見送られ、暫定一時金の支給となった。更に、ボーナスは0.05月削減され、年間所得としてはマイナスの給与改定となった。

 通常であれば、この国の改定と歩調を合わせた人勧・確定が行われるところであるが、公民格差の少なさや「財政状況」から、勧告・確定とも地方によって様々な決められ方がされている。

「公務員制度改革」が及ぼす各県人勧状況

 まず、公民格差をまともに出さない県があるということ。神奈川では現在給与カットが行われているが、実際の公民格差を「明らかにせず」という形である。また、大阪では、24月昇給延伸中であるが、延伸しなかったものとした場合の「給料表改定の根拠となる架空の公民格差」を明示していない。

 次に、暫定一時金については、北海道と大阪が勧告なしになっている。大阪は「昇給延伸等による格差を除くと概ね均衡」だから勧告がないとしても、北海道は71円(0.02%)の格差を出した上での勧告なしである。0.02%は「概ね均衡」の範疇にはいるのだろうか。

 ボーナスについては、公民格差の比較対照に入っていないことから、国に横並びのマイナス勧告になっている。

 地公法の建前では公務員給与は「国・民間準拠」になっており、その根拠となる公民格差は明確にしておくことが基本であるが、それがまともに行われなくなっているという状況がある。「地方財政の状況」や「公務員制度改革」から人事委員会の役割が軽視される現在の傾向の現れである。

総務省通知を根拠に!…確定状況

 総務省は、地方の給与改定にあたって「地方公務員の給与改定に関する取り扱いについて」(平13.10.5付総行給63号)を通知し、「地方行財政の状況ならびに人事委員会・・・勧告をふまえつつ・・・漫然と国の給与改定に準ずることなく・・・」と指導している。これは毎年同様に出している指導通知であるが、今年については公民格差が非常に小さいことや地方財政が「厳しい」といわれていること等によって、「改定をしない」ための根拠として使われている。

 この「指導」が利いたのかどうか分からないが、暫定一時金の支給は全学労連がある9道府県(勧告もなかった北海道・大阪を除けば7県)中3県に止まっている。これがすぐさま全国的な状況となるかどうかは軽率に判断できないが、それにしても異常な事態である。

 

 その一方で、ボーナス削減は愛知を除いて8道府県で実施されている。今年の人勧は総体としてマイナス勧告だったが、マイナスだけを実施という確定状況である。

 その他の関係では、特勤手当の見直しやへき手・調手併給調整など、国の是正指導を受けた改悪が行われている。更に、特昇制度の見直しを始めとして、公務員制度改革に向けた検討課題を具体的に提示している県もある。

確定結果(その他関係)

【福島】

○特勤手当見直し(2002.4.1)

【群馬】

○通勤手当(交通用具)(2002.4.1)

距離40km以上について改定

【神奈川】

○私傷病休職の有給期間(2002.4.1)

但し、2004.3.31まで経過措置で現行のまま

【愛知】

○扶養手当(2002.4.1)

別居の扶養親族の送金要件を国並に

○へき地給料調整(2002.1.1)

へき手・調手併給→へき地手当から10%を控除

へき地特昇(3/3/6短)→へき地特昇12短(赴任時)+給料調整12短(離任時12延)

○勤評D/E判定者の給料調整(交渉中-2002.4.1予定)

県立学校行政職が対象

勤評C判定までは定期昇給12延、特昇取り消し、勤勉手当成績率を「停職」並に

○検討課題

枠外者の増加から特昇制度見直し、配偶者扶養手当、ボーナス役職加算

【大阪】

○へき手・調手併給調整(2002.4.1)

併給→へき地手当から10%を控除

へき手12%→へき手2%+調手10%

へき手8%→へき手0%+調手10%

へき手4%→へき手0%+調手10%

○通勤手当(交通機関)(2002.4.1)

6ヶ月定期券の額を基に4月(4〜9月分)と10月(10〜3月分)に支給

新幹線通勤等の特別料金を除き、支給額の上限を廃止

異動、転居等により変更になった場合は再計算-翌月精算

(4月1日異動者は異動前の額を4月に支給し、5月に精算)

全国的に給与カットが進行中

 これまで、大阪・神奈川・愛知・東京等といった大都市を抱える都府県の話だと思っていたが、そうでもなくなってきている。北海道・兵庫でボーナスカットが行われているし、青森が現在攻防中である。また、福島では管理職に手が付けられている。その手法は、神奈川・愛知で行われた給与の一律カットというやり方と、大阪・兵庫で行われた昇給延伸、北海道・兵庫のボーナスカットというやり方と様々なバリエーションがある。

 1999年に始めて給与カットが行われた頃は、バブル崩壊後の景気対策で無謀な公共事業を乱発した付けが公債費として地方財政にのしかかり、更に景気の低迷から税収が少なくなったところに「地方財政危機」の要因があった。そして今日的には、それらに加えて地方交付税・補助金の削減(よく分からないが小泉内閣の「骨太方針」がこの源にあるのか)という要因が加わり、「地方財政危機」は全国化し、それに伴って給与カットも全国化してきている。

 全学労連の中だけでも愛知の裁判を始め、各地で様々なバリエーションに応じた給与カット反対の闘いが取り組まれているが、これから給与カット攻撃が行われようとする各県のためにもこれまでの闘いの教訓を整理しておく必要がある。もっとも、公務員制度改革が始まる数年後には、国・民間準拠という公務員給与決定原則そのものを飲み込んでしまうので、過去のものになってしまいそうだが。

成績主義導入への警戒!

 愛知で提案されている程度である。もっとも、この提案も「マイナス部分のみの成績主義」で、給与そのものを成績主義によって決定するという公務員制度改革とは若干異なる。しかし、「完成された成績主義」への道を掃き清めるもので警戒を要する。

 

 今回の人勧・確定状況調査は、今年の特徴的な事項のみを対象としたので、全体像を描き出すものとはなっていない。しかし、その限られた調査の中でも人勧制度の破綻や当局にとって都合の良い確定結果が見えてきている。また、給与カットも全国化してきている。そして、これらの動きが今後、公務員制度改革に流れ込んでいく。これらの動きに対決する各学労を全学労連としていかに支援(運動の内実として)できるかが今後の課題だ。

参考

地方公務員の給与改定に関する取り扱いについて(抜粋)

平13.10.5 総行給第63号

各都道府県知事、各指定都市市長宛 総務事務次官通知

1 地方公共団体における職員の給与改定を行うにあたっては、現下の地方行財政の状況並びに人事委員会の給与に関する報告及び勧告を踏まえつつ、各地方公共団体の給与実態等を十分検討の上、次の点に留意して所要の措置を講ずること。

(1) 現に国家公務員又は民間の給与水準を上回っている地方公共団体にあっては、漫然と国の給与改定に準ずることなく、給与改定の見送り、不適正な初任給基準等給与水準を高める要因となっている給与制度及びその運用の見直しを行うなど、必要な是正措置を講ずること。

(2) 国においては、期末手当及び勤勉手当について、民間における支給割合との均衡を図るため、支給月数を0.05月引き下げることとされたところであるが、地方公共団体においても国家公務員に対する措置と同様の措置を講ずること。

(3) 国における高齢層職員については、民間賃金の動向への対処や公務における給与配分の一層の適正化を図るために、昇給停止年齢を原則55歳に引き下げる等の措置が講じられているところであり、地方公共団体においても国家公務員に対する措置と同様の措置を講ずること。

(4) 国においては、勤務実績等をより適切に反映させるため、勤勉手当の成績率の幅を拡大し、特に、特定幹部職員については一般の職員より期末・勤勉手当に占める勤勉手当の割合を拡大する等の措置が講じられているところであり、地方公共団体においても国に準じた措置を講ずること。

(5) 国家公務員の調整手当については、昨年、地域における民間賃金、物価、生計費を指標とした上で、支給地域及び支給割合の見直しが行われたところである。

 地方公務員の給与は基本的に国家公務員の給与に準拠することを適当としていることから、地方公共団体における調整手当の支給地域、支給割合についても、国と同様に、地域の民間賃金等を指標として見直しを行う必要がある。この場合、調整手当制度の趣旨を十分考慮し、下記事項に留意すること。

ア 国の支給割合を超えて調整手当を支給している地方公共団体及び国の支給地域に該当しないにも関わらず調整手当を支給している地方公共団体にあっては、これを是正すること。

イ 国の官署が存在しない地方公共団体で既に調整手当を支給している地方公共団体にあっては、調整手当制度の趣旨に基づき、支給地域として定める根拠及び決定基準を明確にすること。

ウ 国においては、昨年の見直しに伴い、支給割合の引き下げ又は指定地域の解除となった地域においては、平成16年度より段階的に引き下げられることになっているため、当該地域を有する地方公共団体で、まだ、国と同様の措置を講じていない地方公共団体にあっては、国と同様の措置を講ずること。

(6) 級別職務分類表に適合しない級への格付け(いわゆる「わたり」)を行っているものその他実質的にこれと同一の結果となる級別職務分類表又は給料表を定めているものなど、給与制度及びその運用が不適切な地方公共団体は、必要な是正措置を講ずること。

(7) 国における暫定一時金については、来年度以降生ずる官民給与の格差と合わせて俸給表や手当の改定等の措置をとることを前提に、月例給について算出された格差の年額相当額を支給するものであり、従来の手当と異なる性質であることから、地方公共団体においては、今回、国が措置した経緯や制度の趣旨を十分に踏まえ、適切な措置を講ずること。

 また、暫定的な一時金の創設のため必要な地方自治法第204条に係る改正については、一般職の職員の給与等に関する法律(以下「給与法」という。)の改正と同時期に行うことを予定しているので、地方公共団体においては、給与法及び地方自治法の改正等を踏まえて適切に対処すること。

2 地方公共団体における職員の給与改定の実施は、国における給与法の改正等の措置を待って行うべきものであり、国に先行して行うことのないようにすること。

3 給与改定に関する条例その他の議案は、必要な予算上の措置が的確に講じられる見込みが得られるまでの間は、これを議会に提出してはならないものであること。また、給与条例の改正は、その性質上専決処分によって行うことのないようにすること。

4 近年、一部の地方公共団体において、制度の趣旨に合致しない特殊勤務手当、不適正な旅費の執行等が住民の批判を浴びており、住民監査請求や訴訟に発展している事例も見受けられるところである。このような不適正な諸手当、旅費の支給等は、地方公共団体全体に対する不信を招きかねないものであるので、なお一層の適正化につとめること。

5 退職手当については、その最高限度支給率は、全地方公共団体とも国の最高支給限度率と同一になったところであるが、いまだ一部の地方公共団体において退職時の特別昇給等が国の基準を上回っているものが見受けられるので、それらの地方公共団体にあっては、必要な措置を講ずること。

6 既存の事務事業の見直し、組織・機構の簡素合理化、民間委託、OA化等を一層推進しながら、定員の縮減、増員の抑制を行うとともに、数値目標を掲げた定員適正化計画の策定、数値目標の公表はもとより、計画の着実な実行及びその積極的な見直しを行うことにより、行財政環境の変化に即した定員管理を推進し、もって人件費の抑制に格段の努力を払うとともに、従来にも増して行政経費の節減につとめること。

おまけのかいせつ〜っ!

 今号の「おまけ」は、ご存じ“第7次加配”事務職員2002年度各県要求数表です。これは、「平成14年度公立義務教育諸学校研修等定数等配置予定数集計表」と、なんだか舌をかみそうな長い名前の、各都道府県教委が文科省に出した要求表が基です。そのままの生資料ですと、47枚(都道府県)になってしまうので、全学労連事務局の学校行革対策担当で表にまとめてみました。が、読みづらいです。

 注目すべき点は、’00年度からのいわゆる“共同実施研究加配”。’01年度には“第7次加配”とは別に36人という数字が出ています。しかし、’02年度の要求ではその区別が(教委段階でも)曖昧になり、文科省の要求数では合算されていると思われます。

 そこで、’01年度の“研究加配”を含んだ加配総数を’02年度要求総数から引いてみると、120人という数字が出ました。毎年“研究加配”とは別に145人を見込んでいた当初の“第7次加配”とはいったい…。そして、共同実施の行方は…。所詮こんないい加減なものでしかなかったのか〜。まだまだ、分析は続くのでした。(続くかな?)

「ライオン・キンぐ?」

福事労学習会特別こう演

 2月23日、福事労の学習会で全学労連の学校行革対策部の佐野と議長の菅原が、「いわゆる「構造改革」と学校行革を考える」をテーマにシンポジウム風講演(?)を行った。

 徹子の部屋ならぬ、「ライオンの檻」と題し、わかりやすくをモットーに話された内容は、以下の通りである。

質問者(Q)菅原  回答者(A)佐野

Q1 すっかり化けの皮がはがれた小泉さんではありますが、彼の口癖の「構造改革」とは、何なのでしょうか?

A1 不良債権問題や族議員のことでは「何もできない」と見破られつつありますが、「構造改革」に向けて着々と進めようとしているところがあります。

 それは、「規制改革」「地方分権改革」そして、「行財政改革」の3本柱です。

Q2 規制というと、概ね余計なお世話というのが多いのですが、「規制改革」は、何を目的にしているのでしょう?

A2 今言われている「規制改革」は、弱者保護としての強者への規制を緩和しようとするものです。つまり、なにがなんでも自由競争を。としています。

 しかし、「民間にできるものは民間に」と言っていますが、民間がそんなにうまくいっているのでしょうか?雪印を見て下さい。規制の緩んだところで営利主義〜金儲け〜に走ったための行動の証のひとつと言えるでしょう。

 銀行の不良債権問題では、国有化する気かと思うくらい公的資金をガンガン投入しています。しかし、一方では、郵貯の民営化を言うのですから思わず笑ってしまいます。

 また、これまで労働法制の見直しが行われ、労働条件の劣悪な不安定労働者を大量に生み出し、簡単にリストラする企業の姿は、規制緩和がもたらしたものです。

Q3 住民が自らのことを自らが決定できるようになる「地方分権改革」は良いことだと思うのですが。これはどう進んでいるのですか?

A3.「地方分権」と言いながら、今進められているのは自治体統合です。交付税引き下げの脅しで、地方では議論が進んでいます。

 要は、「地方分権」と言いながら国の歳出削減のためのツケを地方へ押しつけるものなのです。

 一方で、注目すべきはナショナルスタンダードの再構築です。「地方分権」と「統合」は、一体となっていることを見落としてはいけません。

 有事立法、海外派兵、「君が代・日の丸」、住民基本台帳など…それらがいっぺんに進んでいます。

Q4 「地方分権改革」が学校事務職員にどう影響してくるのでしょうか?

A4 決して他人事ではありません。

 昨年12月12日に地方分権改革推進協議会が出した「中間論点整理」では、「義務教育費国庫負担制度を見直し、事務職員・栄養職員の必置規定は撤廃すべき」と言っています。

 また、文部科学省は、この推進会議への答弁の中で、「政令指定都市の県費職員の給与負担」を言いだしています。

 その他、経済財政諮問会議でも、委員の意見書「地方行財政制度の確立に向けて」 の中に「事務・栄養職員の必置規制の検討」が述べられています。

Q5 「行財政改革」の中心は「公務員制度改革」であると思いますが、昨年末に出された「公務員制度改革大綱」の基本は何ですか?

A5 「やらずぶったくり」です。

 一時話題に上った、労働基本権の制約の解除はまったくしないで、能力等級別給与制度と業績評価制度を導入しようとするものです。さらに大臣の権限を大幅に強化しています。

 また、キャリアには、大甘な内容で、出世コースは最初から与えられているし、天下りも今以上に認められています。

Q6 地方公務員制度改革と国家公務員を同時決着といわれていますが、国家と地方との違いはあるのでしょうか?

A6 能力主義を中心とした考え方は国も地方も同じでしょうが、現場をたくさん抱えた地方公務員の場合は、「弾力的な多様な勤務形態」ということで、臨時職員や非常勤・短時間勤務職員など、不安定雇用者を現場に数多くしようとしています。

Q7 「構造改革」の中で、義務教育費国庫負担制度問題が新たな局面に至ったというのは、どういうことでしょうか?

A7 1985年以降の国庫負担外し問題は、旧大蔵省が文教予算の削減のために国庫負担制度の見直しを求め、人件費以外を削り落としてきた歴史であり、「教壇に立たない」を理由に事務・栄養職員を削減の対象としてきたものです。

 しかし、今義務教育費国庫負担問題は、単に財務省と文科省の予算を巡る争いではなく、「地方分権改革」「行財政改革」という「構造改革」の中での話題となりつつあります。つまり、地方自治体のあり方、教員も含めた国庫負担制度の見直し等の大きな「構造改革」を推し進める流れの中に私たち学校事務職員の問題が乗っているのです。

 実際にはこの数十倍、話されていたが、内容だけを短く要約すると以上の通りである。

 本人たちは、比較的わかりやすくしたつもりらしいが、若年者が多い福島では、「ねむかった、ちょっとわかんなかったな。(誰かもっと身近な例を入れて「海賊版」をお願いします)」「わかりやすく学べると言うことで参加したのだが、理解をする努力はしたが、最後まで苦手な授業を受けている気分だった。」など、あまり評判は良くなかったようだ。

 しかし、今後この2人はドツキ漫才や夫婦漫才等に形態を変え、より一層わかりやすく努力し、全国行脚することを考えているので、希望があれば、マネージャーの松下までご一報いただきたい。


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