2002年4月20日
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全学労連ニュース今号の内容

 全学労連運動の新しい展開で、小泉「改革」に対峙し、「共同実施」をぶっとばせ!

 2002年度 全学労連 運動方針大綱

 川崎市電子市役所構想反対闘争

全学労連運動の新しい展開で、小泉「改革」に対峙し、「共同実施」をぶっとばせ!

3.23〜24 全学労連全国代表者会議を開催

 3月23日と24日の両日、全学労連に結集する全国の学労とグループは横浜で代表者会を開催し、各地の取り組みを交流し、今年度の全学労連運動の方向を確認した。(運動方針大綱の詳細は別項で)

 9−11以降のアメリカの「報復戦争」は続いているし、イスラエルのパレスチナ人民への虐殺は激化している。国内でも小泉「構造改革」による生活破壊が進む一方で、「戦争法制」が着々と備えられようとしている。また、私たちの職場や労働に対しても新たな攻撃が始まっている。

 であるからこそ、私たちもまた新しい取り組みと展開が求められている。

◆ 小泉「構造改革」に対峙しよう ◆

 18度目の勝利を確認した「国庫負担はずし」の策動は、地方分権改革推進会議や財政諮問会議での議論の俎上に上り、新たな段階に突入した。また、「公務員制度改悪」の動きも各地での「業績評価」の導入等が急である。働くものへの負担を強要する小泉「構造改革」がこれらを押し進める。今こそ、小泉「改革」への正念場のたたかいを。

◆ 「教育基本法改悪」「憲法改悪」への道=「共同実施」を吹き飛ばそう ◆

 全事研、日教組事務職員部が推進する「共同実施」の本性が明らかになってきている。「共同実施」の将来の姿に、「事務職員の人員削減」をあからさまにしている県があり、また「第7次定数計画」における事務職員加配のバラツキは実質的「定数の弾力化」を進行させている。まさに、「共同実施」は事務職員解体の道なのである。

 一方、「日の丸・君が代」の強要と処分で学校を荒廃させている文部科学省は、地方分権はどこへやら、「勤務時間の厳正」「夏休みの勤務強要」を新たに全国に強制しようとしている。そして次は、「教育基本法改悪」を目指しており、「戦争法」を準備しながら、「憲法改悪」を射程に入れた動きの中での文部科学省の行動なのである。

 だからこそ今、学校事務職員にとって墓穴にすぎない「共同実施」の動きを阻止するための取り組みを多くの事務職員とともに組織しよう。

◆ 今年の全交流は「全学労連らしさ」いっぱいで、7月30,31日、横浜で開催します ◆

 今年度の全交流は事務局で実行委員会を組織し、これまでの蓄積の上に、魅力・元気・新しい出会いの交流の場所として、7月末横浜市で開催します。

◆ 全学労連運動の展開を全国の仲間と共に進もう ◆

 20年近く前の「国庫負担はずし」阻止のたたかいから、一昨年からの「共同実施」反対へのたたかいと全学労連の取り組みに対しての全国の仲間の共感は厚く、全学労連は学校事務職員労働運動の結集軸のひとつとしての役割を果たしてきた。

 そして今、「国庫負担はずし」の新たな段階への突入や、「共同実施」反対の取り組み強化を前にし、全学労連運動の新たな全国展開を目指し、多くの全国の仲間に全学労連への結集を呼びかける。

 全学労連は、オブザーバー加入者が事務局員として活躍しており、加盟単組の連絡会議以上の組織として展開しているが、今回の全国代表者会で「全学労連への個人加盟の方向」を確認した。具体的には、全国の仲間の受け皿として「全国学校事務労働者協議会」を結成し、全学労連に加盟する方向にしたい。

 学校現場の労働運動の後退局面の今こそ、全学労連に結集し、共にたたかおう。

 

2002年度 全学労連 運動方針大綱

◎ はじめに

 私たちの願いも虚しく、21世紀最初の年は戦争で始まりました。9月11日の「同時多発テロ事件」を機にアメリカのブッシュ大統領は「テロ撲滅」のための「報復戦争」を開始しました。そして、2002年に向けても「テロ支援国家」に対する戦争拡大を宣言しています。「南北」問題等が深刻化する中で、新自由主義(弱肉強食の競争社会)が私たちにもたらすものは.「戦争」と言うことを実感させる結果となっています。また、同時に日本もアメリカの「報復戦争」支援を打ち出す中で「参戦国家」として大きく一歩を踏み出しました。21世紀を平和・環境・共生の世紀にして行くためにも、私たち労働者・労働組合の果たす役割は重要になってきています。

 小泉内閣による「構造改革」の先行きは不透明なものの、資本の生き残りをかけた再編攻撃は、失業者の更なる増加をはじめ、社会的弱者・労働者・市民の生活に大きくのしかかってきています。また、私たち公務員労働者に対しても支配構造改革の中で「公務員制度改革」や学校行革等によってリストラ合理化攻撃が強化されつつあります。

 しかし、本来これらに立ち向かうべき労働組合も連合発足以来大きく変わり、労使協調路線へと流れ、反戦・平和の課題からも遠ざかる結果となっています。私たちはこの様な労働運動の状況を打開するため、引き続き自立した学校事務労働運動の創造・構築を目指します。そのために自立した運動を進める多方面の労働者(組合)との連帯を大切にして取り組みを進めます。

 私たち全学労連は、一連の再編攻撃に反対して闘い続けます。私たちの組合は少数組合です。これに立ち向かうためには早急に学校事務労働者(労働運動)のネットワークを築く必要があります。「地方分権改革推造会議」「経済財政諮問会議」「総合規制改革委員会」の動きの中で、新たなステージヘ移行しつつある国庫闘争、学校行革反対や学校事務の共同実施反対等の闘いを通じて全国の仲間との連携を密にして行くとともに組織化に着手していきます。

1.国庫負担はずし阻止・反中教審・.学校行革反対のたたかい

(1) 国庫問題

 2001年度国庫闘争も18度目の勝利となりました。

 しかし、昨年の秋以降、私たちの国庫負担はずしに新たな動きが加わりました。10月3日の地方分権改革推進会議で教職員給与費を「都道府県負担分を政令指定都市については移管することを検討」と文部科学省が表明したこと。11月2目には経済財政諮問会議において「栄養職員・事務職員の必置規定の見直しを求める」意見書が出されたこと。そして、12月12日には地方分権改革推進会議の「中間論点整理」で“栄養職員・事務職員の配置を国が一律の基準で義務づけるのではなく、各自治体の裁量に委ねるという観点からの検討が必要。”と言及するに到っています。

 いよいよ国庫問題も、この間私たちが反対の取組みを進めてきた教育再編=学校行革の俎上にのぼり新たな展開が始まろうとしています。小泉「構造改革」「財政再建」の後押しをうける財務省、「地方分権」推進の総務省、国庫負担制度の枠組みを変えても国庫負担を維持しようとする文部科学省、…小泉「改革」の中で正念場を迎えたといえるでしょう。

 学校行革反対の闘いと結合し全力で新たな闘いの第一歩を踏み出さなければなりません。

(2) 反中教審・学校行革反対

 全学労連は「教育改革」の名のもとに進められている教育再編=学校行革の動きに警鐘を鳴らし続けるとともに、反対の取組みを進めてきました。とりわけ、「学校事務の共同実施」「定数の弾力化」「第7次定数計画」(加配方式)の問題については、パンフレットの発行、「共同実施」反対署名、研究集会(全事研・県事研)等での情宣活動、各県での学習会開催等の取組みを全力で進めてきました。

 国庫問題での新たな展開を見るまでもなく、文部科学省の学校事務合理化の意図は明らかになっています。しかし、「教育改革」を無批判に受け入れる全事研・日教組の推進勢力は「共同実施」研究加配・「第7次定数計画」をテコとする一部の待遇改善の幻想のもとに、学校事務合重化への道のりを突き進もうとしています。この動きを阻止するために、「共同実施」・「加配方式による第7次定数計画」反対の勢力を一層拡大する必要があります。

 また、学校5日制の本格実施にあわせて「教育改革」=教育再編攻撃が具体化しつつあります。「教育改革会議」による教育基本法改悪・「奉仕活動」の義務化・「不適格教員」の排除等、の攻撃に対して、学校労働者を組織する他団体等との連帯・共闘を追求しつつ、私たちは主体的に闘いの一翼を担って行きます。

※ 上記(1)(2)について、別途提起【2002年度国庫・反学校行革闘争方針】に基づき全力で取り組みます。

2.賃金闘争

 労働市場の再編と長引く不況によるリストラ合理化は戦後最大の失業率の増加と賃金抑制攻撃によって、労働者を無権利状態に追い込むとともに、生活を根底から脅かす状況となり深刻な問題になっています。

 私たち公務員労働者についても、「不況」「政策破綻」「財政危機」のつけが回されるだけでなく、「公務員制度改革」によって賃金体系そのものを「信賞必罰型」に転換することによる成績主義の強化、年俸制の導入、非正規労働者(臨時・非常勤・派遣)の活用等によって、差別化の拡大と賃金抑制が図られようとしています。

 私たちは、引き続き各組合・団体との支援・連携を強め賃金抑制攻撃に反対する取り組みを進めて行きます。

 また、賃金闘争を再構築し成績主義・効率主義と対抗して行くために、雇用・就業形態が多様化されてきていることを踏まえ、正規・非正規(パート・アルバイト・派遣・嘱託)、女性・男性・「障害」者等あらゆる労働者を視野に入れた賃金のあり方についても議論と検討が必要になっています。

 当面、現在愛学労の賃金不払いに対する裁判闘争を全国の仲間とともに支援していきます。また、2002年度より実施される「再任用制度」の各県状況と問題点を調査し必要な取組みをします。

 引き続き、超勤問題・勤務時間の厳正化攻撃・昇任選考による賃金体系の複線化の拡大・臨時、非常勤職員の賃金(労働条件を含む)等の問題に取り組みます。そのために各県毎の調査と情報交換も行っていきます。

 早期6級到達要求を基本に要求事項を検討しつつ賃金要求にかかる文部科学省交渉を継続していきます。

3.反コンピュータ合理化について

 全学労連は結成以来、一貫して「反コンピュータ闘争」の旗を掲げシステムの導入を阻止することを基本に取り組んできました。しかし現状では、各自治体において全庁的システムとして導入される中で、学校現場だけをシステムから除外させることが困難になるなど、「地方行革」の進行、時代状況の変化に伴い新たな展開が求められています。

 現在、川崎市をはじめとして全国各地で電子自治体化が進められつつあります。そして、学校現場においても愛知県の給与・旅費ネットワーク等、更にコンピュータの高度利用が進行しています。また、「共同実施」研究の裏で「IT化」が進みつつあることも見過ごすことができない状況にあります。

 地方行革攻撃や学校行革反対の闘いと併せて、コンピュータ利用・システム導入・情報管理等の問題についてトータルに見て行くことによって、その問題点を明らかにして行く必要があります。

 また、コンピュータ労働による労働災害でVDT作業指針等、ガイドラインの見直しが迫られる状況等、労働安全衛生問題での取り組みも必要になっています。

 この様な状況を踏まえ、各地で進行するコンピュータ問題の状況・情報を交流し「反コンピュータ闘争」の新たな展開を考えていこうと、咋年より「モモの冒険」一コンピュータ労働を考える一(学校行革対策部〉を発刊しました。各県で活用するとともに、具体の課題に取組んでいきます。

 また、「住民基本台帳法」が改悪されコンピュータによる住民管理が一層強化されようとしています。「個人情報保護法」反対の取組みも重要な局面を迎えています。情報管理・情報公開等についても研究と取組みを進めていきます。

4.全国学校事務労働者交流集会について

 第31回全国学校事務労働者交流集会を横浜市で開催します。

 今次全交流は事務局で実行委員会を組織し、7月30日〜31日の開催に向けて準備を進めています。全学労連の新しい全国ネットワークを築くための場としていくために全交流の紹介とアピールを全国に発信します。魅力・元気・新しい出会いの交流集会のための工夫をしていきます。そのために、各県の実行委員への参加と協力を募ります。

 全学労組との交流も定着しつつあります。今年も全学労組に参加要請を行っていきます。

 全学労連の飛躍と、参加者が元気を持ち帰れる交流集会にしましょう。

5.行革との闘い、諸課題について

(1) 中央省庁の再編に続き、昨年末に「公務員制度改革大綱」が明らかにされました。その中身は、◎労働基本権の制約は維持、◎実力・実績に応じた信賞必罰型の人事制度と給与体系、◎公務員の意識改革、等“アメとムチにより物言わぬ公務員、物言えぬ公務員”を作り出すものといえます。

 また、地方公務員についても「国家公務員制度の改革スケジュールに準じて速やかに所要の改革を実施」としています。

 行革の行き着く先が「大きな権力を持った、小さな政府」であることが鮮明になるとともに「参戦国家」へと踏み出した事と併せて、反行革の闘いが重要になっています。

 学校行草反対の闘いとともに、行革そのものを撃つ取り組みがますます必要になっています。

(2) 第7次定数計画がスタートしました。今回の定数計画は「きめ細かな教育等の支援」に対する加配という曖昧な基準によるもので、文部科学省の窓意的な査定=権限強化につながるとともに、定数の見通しが立たないため、臨時職員の拡大につながること等、多くの問題を含んでいます。

 私たちは、引き続き「共同実施」を推進する研究加配に反対するとともに、加配方式による「第7次定数計画」に反対して行きます。

 また、職員配置の弾力化、臨時職員の拡大、再任用制度(短時間勤務)、兼務発令拡大の動き等、定数合理化に警戒しつつ、引き続き全校配置実現・複数配置基準の大幅引き下げを求めていきます。神奈川の定数引揚げ反対や各県での第7次定数の配置要求等を取組む中で定数改善を実現して行くとともに、全校複数配置を目指していきます。

 複数配置について図書館職員に限定するような配置には反対します。学校外勤務や配置のブロック化を求める動きに警戒を強め、定数削減・職階制強化・市町村費学校職員等の削減・民間委託化に反対して必要な取り組みを行います。

 「標準定数法(第6条)」改定の動向に警戒を強めながら、定数削減・職階制の強化につながる「学校事務の共同実施」・「定数の弾力化」に反対する取り組みを強化します。(反学校行革闘争)

(3) 92年3月、文部科学省の「小学校ならびに中学校施設整備指針」が策定され、事務室の整備について示されています。学校現場において私たちの働く場所の確保と整備は重要です。事務室設置の取り組みを強化します。

(4) 「日の丸・君が代」の法制化以降各地で「目の丸・君が代」の強制が更に強権的になっています。横浜市の「チェック・シート」、そして国立市のピースリボン着用に対する大量処分とその後の職員会議の指導主事による監視体制等、枚挙にいとまがありません。学校現場で「日の丸・君が代」が「異端」「例外」を許さない「踏み絵」となってきています。

 また、右翼勢力の市民運動等への妨害・嫌がらせも一段と悪質になってきています。

 文部科学省の実施状況調査など、強制を助長する動きに必要な対応をするとともに、学校行事等での「日の丸・君が代」の押しつけに反対します。

(5) 昨年の12・7全国総決起集会において、私たちは『アフガニスタンヘの戦争に反対し、日本の参戦に抗議する特別アピール』を採択し、反戦・平和の課題の重要性を全体で確認しました。

 アメリカのブッシュ大統領による戦争拡大の危機と「参戦国家」として一歩を踏み出した日本、改憲に向けた国会法改悪の動きと状況は一段と深刻になってきています。全学労連は反戦・平和の課題を私たち自身(労働者)の課題にしていきます。

(6) 諸課題の解決を目指して、文部科学省交渉を強化します。とりわけ、定期交渉・賃金交渉だけでなく、課題に応じてその都度交渉を申し入れていきます。また、共済組合や福利厚生団体等についても必要に応じて交渉・申入れ等の取り組みを行います。

(7) 賃金・労働条件の各県状況・問題点について研究を深めます。引き続き、再任用制度について実態と問題点を明らかにして行くため、必要な調査を行います。また、地方における公務員制度改革・人事評価システム導入の動きに対する調査活動を行います。

(8) 全国学校労働者組合違絡会(全学労組)の交流集会への参加をはじめ相互の交流を図っていきます。また、具体の課題での共闘についても模索していきます。

6.各地の闘いへの支援・連帯について

(1) 兵庫・大阪・愛知・沖縄の各学労の闘いへの全国の仲間の支援は、多くの成果と学校事務労働運動に貴重な財産をつくってきました。各地の闘争に対し、要請に応じ可能な限りの支援・連帯を行います。

(2) 心ある教職員が、千葉、多摩、国立で、全国各地で不当な弾圧により職場を追われる事態が増えています。更に地教行法改悪により「不適格教員」として排除して行く体制が強化されています。

 千葉学校合同労組の渡壁書記長へのデッチ上げ事件、多摩市教委による根津さんへの不当処分攻撃、国立市のピースリボン処分、等の闘いに対して積極的に支援・連帯していきます。

(3) 今国会で有事立法が焦点となっています。沖縄の基地問題等も深刻になっています。反基地・反安保の闘い、労働法制改悪反対・(労働組合・市民団体)弾圧法反対等の課題についても反戦・平和・反弾圧の立場で各学労の協力を得つつ全国課題として主体的な取り組みを目指します。

7.組織強化・拡大について

 全学労連を全国の仲間に強くアピールするために、学校事務労働者を結ぶ情宣の配布網の拡大を図るとともに情宣・情報提供を充実してきました。引き続き、全学労連の組織的飛躍を目指して取組みを進めます。

 独自組合結成の動きに支援・協力していきます。また、学労結成の展望がない地域の仲間とも連絡を密にして行きにオルグ活動を行うと同時に、一人でも参加できる「全国学校事務労働者協議会」(仮称)の結成を目指し学校事務労働者のネットワークの強化を図ります。

 各組合・団体の学習会への講師派遣等を活用して組織強化・拡大に取り組みます。

 学労運動・労働運動が若年層にとって魅力のあるものとしていく工夫と、全学労連の今後についての議論を進めるとともに、事務局体制の強化を図ります。

 

「不可能への挑戦!」

川崎市電子市役所構想反対闘争

がくろう神奈川 大森

電子市役所構想とは!?

 川崎市は97年より「川崎市情報化基本計画」を策定し、庁内事務の電子化を独自に進めてきた。本庁・出先機関全てを含む役所内の庁内事務の透明性・効率化を図り、市民ニーズに対応できるようにという名目で作られた。このための各部局の電子ネットワークを総称した概念が「電子市役所」だ。そこに2001年1月、国がe−japan戦略を発表した(これはそもそも、アメリカの経済世界制覇のため、先行きに行き止まりを感じた日本のIT関連業界からの要請だが)。そして、総合行政ネットワーク(LGWAN)で国―地方自治体―民間(企業)を電子ネットワークで相互連携するシステムが現在進められている。これには、今年8月から施行される住民基本台帳ネットワークやICカードの情報もリンクされる。要するに利便性が宣伝される一方で私たちの個人情報はすべて国に管理されるということだ。まぁ、これは本題から逸れるのでこのくらいにして。

電子市役所がもたらすもの

 この総合行政ネットワークは国が各自治体に向けた通告であり、川崎市も当然の事ながら従わざるをえない。市当局からすれば、うってつけの条件がきたのだろう。つまり、川崎市由来の「庁内事務の電子化」に「行政情報の電子化」が加わったのだ。組合がこの「電子市役所構想」の情報をキャッチしたのは2000年6月だった。当初しばらくの間は情報収集に動いた。その後、市当局が学校を含めて電子端末の導入を考えていることを察知し、折衝や市教委への申し入れを行ったが、2001年11月、正式に市教委から提案がされた。それは、「文書管理システム」「総合財務会計システム」「市費職員の旅費管理システム」を2003年度から稼働するため、今年度中に各学校2台の電子端末を導入、研修をするというものだ。がくろう神奈川ではこれを重要課題として受け止め、執行委員会では、「全市をあげて推進されている電子市役所構想撤回を勝ち取るのは至難のワザだ。どのように方針を立てるのか。」「学校は切り離させ、端末導入阻止。」等々…いろいろ意見がでたが、委員長の「不可能への挑戦だ!提案撤回で闘っていこう。」で決着。

 早速、「電子市役所化反対闘争委員会」(略称「電闘」)が立ち上がった。執行委員会と各支部・横浜支部は各分会から闘争委員と川崎支部全員で構成されている。川崎に電子端末が導入されれば、ここぞとばかりに全県に広がる。これは学校事務職員の労働条件の変更を意味し、群学労からの情報でもわかるように、労働強化・VDU健康障害をもたらすことは必至である。特に学校事務職員のような閉鎖職種の場合は、VDU障害になったとき、妊産婦や弱視の人、パソコンに馴染めない人などは他に配置転換ができないため退職を余儀なくされるケースも有り得る。趣味で自宅でパソコンを使うのとは違う、仕事として使うことを強いられるストレスは大変なものだ。電磁波障害は花粉症と同じように突然現れるという。また、市教委が提案している『文書管理システム』等は、川崎市の全庁的システムをそのまま学校にもあてはめるもので、総合行政ネットワークとの連動が謳われている。学校事務の「共同実施」促進や「国庫負担はずし」の呼び水になるばかりでなく、川崎市全体で働く人々に対して、業務の再編やアウトソーシング・民間委託、大合理化をもたらす。川崎市が変わってしまう、が、もはや一自治体の問題にとどまらない。

電子端末機なんかいらない!

 がくろう神奈川の取り組み状況だが、2002年1月から月一回のペースで市教委交渉を本部・電闘対応でもった。当局の姿勢は固く厳しい情勢だ。電子端末機の学校への導入を目論む教組や事務研の存在もネックだ。だが、ここで組合は疑問を持っている。川崎市は昨年、本庁や出先機関すべての電話回線を内線化するため光ファイバー網を整備した。この光ファイバー網から市立小中学校は除かれている。それから、情報公開で調べたところ、市教委内部で学校への端末設置を決めた時期が組合との交渉で示した時期と相違することを明示する内部文書や、当局がいうニーズについても、市民からの学校事務への電子化要望はない、つまり、実体のない市民ニーズであるところを掴んでいる。

 市教委から5月末までには組合との決着をつけたいと言われるなかで、提案撤回・端末導入阻止の「不可能への挑戦」は正念場を迎える。

 

予告〜っ

第31回全国学校事務労働者交流集会(全交流)のお知らせ

 今夏の全交流は全学労連事務局主催で、横浜市にて開催します。

日時:7月30日(火)・31日(水)

内容:メインテーマ「『学校行革』に負けない生き方」(仮称)

スローガン:「私たちは変わらない、私たちが変える」(仮称)

分科会:「共同実施」「どーなる私たちの仕事・働き方」「『教育改革』をみんなで押し返す」「職場大点検」

翌日は横浜港花火大会です。夏の計画にどうぞ。

詳細は5月発行の小誌にて!乞うご期待!

募集〜っ

全学労連事務局協力者の募集

 全学労連事務局のお手伝いをしてくださる方を募集しています。組織とか個人とかは問いません。事務局長までご一報を!

☆内容例:

事務局会議参加(月一回)

調査業務(随時)

学校事務情報整理、ニュース寄稿…etc


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