WEB 全学労連 |
246号 |
2002年5月25日 |
でたらめさがますます明らかに
全学労連学校行革対策部
第七次定数計画は2年目に入った。昨年度全学労連が文部科学省から入手し分析した資料によると、今年度の学校事務職員定数の昨年度からの増加は、各県からの要求段階で、共同実施研究加配分と併せても全国で120名にしかならない。そしてこの数は、毎年145名の増加を見込んだ第七次の定数計画(研究加配分を含まない)とは、大きく食い違っていることについて既に指摘してある。(「全学労連」No.244の6ページ参照)
もう少し解説を加えるならば、一昨年から始められた共同実施研究加配は、全国で2000年度39名・2001年度36名が配置されてきた。文部省(当時)が恩着せがましくわざわざ省令を変えて新設した研究加配制度であり、制度の趣旨からして当然通常の計画とは別物だと思うのだが、なぜか今年度から第七次定数計画の中に呑み込まれてしまった。
さらに今年度までの各県からの要求合計は289名であり、これを計画2年目であるから2で割って単年度あたりの増加数を出すと、144.5名となり、計画の145名とほぼ同じになる。“なるほどやはり計画は着実に進んでいるのか”などと早とちりをしてはいけない。いつのまにか第七次計画に紛れてしまっているので判りづらいが、289名という数は共同実施研究加配が始まった一昨年からの加配累積数であり、研究加配分も含めたものであることを忘れてはならない。
いったい研究加配とは、第七次計画を学校事務の共同実施に誘導するための見せ餌に過ぎなかったのだろうか。それとも第七次計画は、事務職員に限っては1年早く開始されていたと解釈すべきなのだろうか。いずれにしてもこのようにして実際配置された大部分が臨時的任用者であることからして、「定数改善」というのとは違うのではないかと思わざるを得ない。
このような問題点を抱えた定数計画であるが、さらに深刻な問題がある。今年2月段階で大阪府教委は、事務職員の定数加配を昨年より4名増の10名要求し、それを受けて文部科学省も、要求通りに大阪府教委に定数を内示していた。ところが実際の配置では、府の財政部局にこの4名分の増加が認められず、昨年と同じ6名の加配に値切られてしまった。これは人件費の半額国庫負担があっても残りの半額を負担する財政当局や人員削減を図る行政の都合により、定数の切り下げが出来ると言うことだ。昨年の沖縄で加配が半年近く遅れて配置された沖縄の例のように、大阪でなくてもこのような教育部局以外からの圧力はあるだろうし、今後ますます増大していくものと思われる。
加配方式というのは、何らかの理由付けを必然的に要求し、無いなら無くても済むものであるからこそ、このような教育部局以外からの圧力の入り込む余地が生じている。特に他の行政と比べやすい事務部門では、それが顕著に表れる。やはり児童数や学級数のような客観的基準に基かない現行の定数計画のやり方に無理があるのだ。
●私たちは変わらない 私たちが変える●
○ 日時:7月30日(火)〜31日(水)
○ メインテーマ:「学校行革に負けない生き方」
○ 会場:横浜市「ポートコミュニティ万国橋」
○ 主催:全国学校事務労働組合連絡会議
<第1日目> 7月30日(火)
全体会
●基調報告●『学校行革の新展開と私たち』
学校と学校事務をめぐる情勢と各地の状況、それらの分析を試みる。また、事例に応じた対処方針を提起。
●特別報告●『電子自治体と学校事務』
国策として進められているその意図を探るとともに、学校事務との深い関わりが示される。
懇親会
懐かしい顔、初めて会う魅力ある人、一堂に会して語り合う楽しいひととき。各地の近況も聞けて、より身近になれる有意義な場。
<第2日目> 7月31日(水)
分科会 ※予定
●第1分科会●『共同実施の傾向と対策』
●第2分科会●『どうなるわたしたちの働き方』
A:コンピュータ化の新しい様相
B:賃金と働き方
●第3分科会●『みんなで押し返す教育改革』
●第4分科会●『職場大点検』
まとめの会
7月30日(火)
受付 10:00〜
全体会 10:30〜14:00(昼食)
分科会 14:15〜17:00
懇親会 17:30〜19:30
7月31日(水)
分科会 9:30〜11:30
まとめの会 11:30〜12:30
●連絡先 横浜市立梅林小学校 池上 仁
電話:045−773−0341(職場)
FAX:045−312−4423(全学労連)
※参加費2,000円 郵便振替にて下記口座へ
全学労連 00160-6-34582
横浜市西区平沼1−4−8 椎野ビル
●集会資料のみの希望者も上記FAXへ申し込む
※代金2,000円(送料込)
記入事項:「全交流資料購入」・氏名・送付先
「価値の一元化」を強制するな!
全学労連事務局 羽成 純
全学労連は5月10日、三省等への要請行動に取り組んだ。文科省に対しては7月の交渉に向けた要望書(別掲)を提出した。併せて財務省、総務省、都道府県教委連合会、国会議員への要請も行った。
アメリカ合州国を中心とした政治―経済―軍事を貫くグローバル化は、ブッシュが呼号する「テロリズムに対する戦争」という言葉が象徴するように「価値の一元化」(要望書前文)を人々に強制しようとする。市場原理による公教育の再編はこのグローバル化と連動した小泉政権の「構造改革」路線と一体のものである。国庫負担外し攻撃や加配方式臨時労働者導入による第7次定数計画はまさに私たちの労働現場で具体的に現れている「構造改革」としてあり、これに反対していく(要望1,2,4)。
「学校選択制度の導入推進」(総合規制改革会議第1次答申’01/12)等によってますます煽られていく競争の中で「障害」児が普通学級で学ぶ権利を侵害されることに反対していく。学校教育法施行令・規則の改定(’02/4)に強く抗議していく(要望8)。
グローバリズムに翻弄され、国家の共同性が「ボロボロに崩れはじめる崩壊感」(「21世紀日本の構想」懇談会報告’00/3)が漂うこの国において戦争国家体制づくり=有事法制攻撃と一体化した「日の丸・君が代」の強制をはじめとした国家主義的教育が突出している。これに強く反対する(要望7)。
休憩・休息を保障させていくなどの極めて基本的な要求を改めて掲げながら(要望3)、学校が「息苦しく閉ざされた空間」に変えられていくことに反対していく(前文)。
2004年の国立大学独立行政法人化に伴い、教員の給与費については「準拠枠がなくなる」(財務省)。この事態をひとつの契機としつつ、義務教育費国庫負担制度も必然的に変容を迫られる。昨年末、文科省によって打ち出された教職員給与費の地方負担分を政令市へ移管するという案も「税(財源)の委譲そのものをどう考えるかということが先決」(総務省)であることは確かであるが、危機的な財政状況が変わらない以上、「都道府県から政令市への移行に賛成する」(都道府県教委連合会)立場は当然出てくる。このような情況の変化の中で、改めて私たち自身の国庫負担外し反対の運動の点検が必要であろう。
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かつて市町村義務教育費国庫負担法(1918)や「義務教育費国庫負担法」(1940)が教員処分体制と不可分な戦争動員体制作りの過程において整備されていった。義務教育費国庫負担制度の変容と絡みつつ、大規模な市町村合併を伴った「地方分権改革」、公務員制度再編と連動した「教育改革」が、不適格とされた教員を排除する分限処分の制度化(’01年)を組み込みつつこの時代における新たな教育支配と戦争への動員の構造を作りだしている。(岡村達雄編著『日本近代公教育の支配装置―教員処分体制の形成と展開をめぐって―』)そのことを見据えた運動を構想していくことが急務だと思う。
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