2002年10月29日
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全学労連ニュース今号の内容

 義教金制度―教基法の改悪への反撃を!―10.4全学労連行動報告に代えて

 10.4 対文部科学省 賃金交渉報告

 12.6 全国総決起集会に集まれ!

義教金制度―教基法の改悪への反撃を!

―10.4全学労連行動報告に代えて―

 全学労連は10月4日、義務教育費国庫負担制度の行方が焦点化する情勢下、文科省との賃金交渉(詳しい報告はP2〜3参照)と併せて、全国知事会などいわゆる地方6団体及び全国都道府県教育委員会連合会などへの緊急要請に取り組んだ。交渉―要請を終えて感じたことは、文科省が示した5000億円の国庫負担金廃止案は想像以上に地方(教育委員会)の反発を招いているということであった。グローバリゼーションに直撃された構造的な経済危機は、地方へのより一層の矛盾の押しつけ、労働現場への合理化攻撃となって現れてきている。そのことが教育行政の場に身を置く人々にも敏感に受け止められていると思う。

 9.12地方分権改革推進会議(小委員会)議事概要(10/4)によれば、5000億円の義教金削減という枷をはめて「(各自治体の)自主的な合理化」を促すといった議論が平然と行われている。また、教員に関しては「人確法は今後も必要」とする一方で、公務員制度改編(’06年を目途)の中で教員を含めた能力給―業績給の導入が主張されている。義教金制度の中にもより一層の競争主義的な要素が取り込まれていこうとしているのだ。因みに、分権会議は10月中にまとめる最終報告で3兆円の義教金のうち、退職金など5000億円の国庫負担廃止の方向を示すという(10/7「朝日」)。私たち学校事務労働者もまた、この制度再編の中で自らの働き方と進むべき方向を見定めていかなければならないだろう。

 より大きな流れとしては、税制も含めた国―地方を貫く支配体制の再編が狙われており、その中で9条改憲と一体のものとして押し進められようとしている教育基本法改悪の動き(中教審中間報告の素案―10/7)がある。民衆の側がいまだ国境を越えた民衆自身の公共性を創り出し得ていない現実の中で、アメリカ合州国議会はイラク攻撃のフリーハンドをブッシュ大統領に与えた。イラク民衆の運命を彼らが決めてしまうことの理不尽。そしてこの国も又、「公」とこれに「主体的に参画する意識や態度」が強調され(素案)、「テロ国家の親玉」(チョムスキー)に連なっていこうとしている。義教金制度改編が憲法―教基法改悪と連動していくものであることをしっかり見据えつつ、イラク攻撃・有事法制反対の運動と結びついた「教育改革」という名の国家―公教育再編、その一環としての義教金制度改悪に抗していきたいと思う。

10.4 対文部科学省 賃金交渉報告

 全学労連は9月11日付けで「賃金改善に関する要望書」(別掲)を文部科学省に送付し、10月4日に臨時的任用職員の雇用・賃金問題を中心に交渉を持った。以下、文部科学省の回答と、全学労連とのやりとりをかいつまんで報告したい。

 

 要望事項1の給与体系について、公務員の給与は職種毎に標準的な職務内容に応じて定められている。学校事務職員に関しては、文科省としても職務の複雑性・特殊性を勘案し適正な給与となるように都道府県に申し入れている。が、昨今の財政状況を考えると、現実は厳しいものがあると考えられる。来年度の国庫負担についても7月に概算要求している。

 2の職制については、第7次定数計画において「きめ細かな学習指導や教育の情報化支援、多様な処理への対応」で「非常勤職員の拠点、情報対応の拠点」として加配を措置しているものである。所謂「学校事務の共同実施」は職制とリンクしているものではない。

 3の学校事務職員の処遇については、関係機関とも十分協議している。超過勤務も、本俸の6%が時間外勤務手当として確保されている。その際手当の支給においても実態に応じ、適正な執行がなされていると認識している。

 4の給与の一部カットや定期昇給については、各都道府県の判断によるものなので文科省として働きかけることは不可能である。

 5の臨時的職員の給与・処遇についても、条例に基づいて適正になされていると認識している。職種毎の給料表により標準的な職務内容に応じて格付けが行われることは、臨時職員も常勤職員も同じであると考えている。また、社会保険制度の適用も適切であると認識している。異なる事例が有ればお聞きしたい。

 6の再任用については、法令では「…任用することができる」となっており、必ずしも任命権者の義務ではない。が、法の趣旨に添い、高齢者雇用促進のため、また、中・長期的視点に立ち、新しい職域開拓や豊かな知識を活用していくためにも再任用制度を推進したいと考えている。その際の給与についても、職種に応じ適正な格付けが行われるよう申し入れている。

 

 これらの回答を受け、全学労連はとりわけ5の臨時的職員の処遇に関し「今現在、学校は臨時的職員が増えている。担任でさえ有期雇用の臨時的職員であるのが現状である。処遇の全国的な差異も大きく、賃金格差が生まれてきている。実態の調査もしていないのに適正になされているかどうか把握できるのか。」と文科省の体制を強く批判し調査を依頼。文科省は「この事例に限らず全般に調査はしている。必要に応じて調査する。」と明確な答えはなかった。

 さらに「臨時的職員の社会保険制度も、任命権者が費用を負担したくないが為に、雇用保険等の社会保険適用を渋るケースが出てきている。本末転倒である。」と今後さらに増えていくだろう非常勤職員等の処遇問題について、早急に手を打つ必要性があることを全学労連が指摘すると、文科省は「今すぐ返事はできない。必要に応じて…。」というのみであった。

 また、国庫負担見直しで文科省から出された“5000億円”の段階的削減案を問うと、「現段階で具体的な作業は決まっていない。これから議論されていくだろう。」と語った。

2002年9月11日

文部科学大臣 遠山 敦子様

全国学校事務労働組合連絡会議 議長 菅原 孝

賃金改善に関する要望書

 今回、人事院は給料表のマイナス改定を勧告しました。これがそのまま実施されますとボーナスの削減を合わせて、私たちの賃金は相当な減額になります。これは全国の公務員の中でも低賃金のままに放置された学校事務職員に、さらに劣悪な労働条件を押しつけるものであります。私たちはこの状況を座視することはできません。

 つきましては、学校事務職員賃金に関して、下記のとおり要求しますので、早期に実施することを要望します。

1 学校事務職員の生涯賃金が、他の学校職員や部局職員に比して低いままであるのは、昇格スピードが遅いことに原因がある。その問題を解決するために、行政職給料表一表の6級に遅くとも30歳台半ばに到達する給与体系にするよう、都道府県教育委員会に働きかけること。

2 一部の学校事務職員を管理職にする職制を設けないように、また所謂「学校事務の共同実施」を理由にして、学校事務職員の管理強化をしないように、都道府県教育委員会に働きかけること。

3 学校事務職員の超過勤務手当予算を7%程度確保するように、都道府県教育委員会に働きかけること。

4 「給与の一部不払い」「ボーナスカット」「定期昇給ストップ」などの不当な賃金カットを行わないよう都道府県教育委員会に働きかけること。

5 臨時的職員(期限を付されて任用された職員や非常勤職員等)の雇用及び賃金の実態(補職名、格付け級、時給など)について、早急に全国的な調査を行い、調査結果を明らかにすること。

  また、法の趣旨を無視し、臨時的職員に雇用保険等の社会保険制度の適用をしていない都道府県教育委員会に対し、社会保険制度を適用するよう働きかけること。

6 退職後、再任用を希望する職員を全員再任用し、また再任用学校事務職員の賃金を、再任用職員給料表の6級に格付けるよう、都道府県教育委員会に働きかけること。

国庫負担はずし阻止! 学校行革反対! 賃金削減攻撃粉砕!

12.6 全国総決起集会に集まれ!

 小泉総理の“各種会議”により、義務教育費国庫負担削減への方向が激化している。「地方分権」を号令に地方へのツケ回し、また、地方は財政悪化を理由に賃金削減攻撃を仕掛けている。さらに今年は人勧制度発足以来初の月例給引下げ勧告…。

 全学労連は、全国の学校事務職員と労働者の職と権利と守るべく、全国総決起集会を行う(場所・詳細は次号)。

 全国から東京―財務省・総務省・文部科学省へ怒りの声をぶつけろ!

日時:2002年12月6日 午後1時15分〜

国庫負担はずし阻止!署名にご協力を

「国庫負担堅持」のために「国会請願署名」にご協力をお願いします!
署名集約最終日間近! 11月8日必着!
全学労連事務局まで!

横浜市西区平沼1−4−8 椎野ビル 全国学校事務労働組合連絡会議 宛


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