2002年11月22日
top> ニュース> 251号

全学労連ニュース今号の内容

 国庫負担問題、結論先送り 年末までたたかいの継続を

国庫負担問題、結論先送り

年末までたたかいの継続を

国庫負担金500,000,000,000円 削減

 昨年から議論を続けてきた地方分権改革推進会議は、10月30日最終報告を報告し、最大の懸案と祭り上げられていた「義務教育国庫負担金」については、「差し当たり共済費長期給付、退職金経費の段階的国庫負担はずし」を提案した。

 議論の途中まで、文科省は国庫負担金の削減に抵抗していた。今年の夏「ぎりぎりの選択」と、共済長期、退職金などを、03年から06年までの4年間で5000億円を削減する提案をして、それを受けての地方分権改革推進会議の報告である。文科省は、03年は共済長期482億円、退職金445億円、国庫負担水準引下げ250億円などで1219億円削減と説明している。

文科省の削減案5,000億円の内訳
(1)共済長期給付2,227億円
(2)退職手当相当分2,407億円
(3)公務災害負担金16億円
(4)児童手当26億円
(5)給与の負担制度見直し250億円
合 計4,926億円
(約5,000億円)

まとまらなかった三位一体

 しかし、地方分権改革推進会議最終報告では、大事なことが先送りにされている。「三位一体」が吹っ飛んでいるのである。6月の中間報告の段階では「国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で検討」としていたのに、今回の報告では5000億円を地方に負担させることだけで、その分の財源をどうするかが示されていないのである。それらは「関係者間で十分に協議、調整が行なわれるべき」とか、「経済財政諮問会議を始めとする政府内での議論へとその場を移す」と放り投げてしまい、全て先送りにされているのである。

地方の大反発

 5000億円のツケを回された地方は大反発している。最終報告の当日、地方自治法で定められている地方六団体(全国知事会、全国都道府県議会議長会、全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会、全国町村議会議長会)は「誠に残念。到底受け容れることはできない。」と意見(会長談話)を発表している。

 その後も11月1日には分権推進会議委員の神奈川県知事が「抗議の辞任?」したし、7日には岩手県知事ら6県知事が「単なる地方への負担で、最終報告に重大な懸念」と緊急提言を提出している。

所詮、借金の付け回しの「地方分権」

 そもそも「地方分権」議論とは何だったのだろうか。10月31日の経済財政諮問会議に提出された竹中大臣の「論点整理」が「地方分権」の課題を整理している。そこで課題の第一にしている「国の過度の関与と地方の個性の喪失」は、町村合併を強要し、住基ネットを強行しながらでは、冗談にしか聞こえないが、第二の「国・地方の財政規模の拡大と財政赤字の膨張」に本音の課題が示されている。

 問題は「財政」なのである。国も地方も借金が呆れるばかりに膨れ上がり、しかし権力の基の財政支出はまったく減らない状況がある。その上税収はますます減ってきている。

 そういう状況での「地方分権」とは、溜まった借金の返済を国と地方のどちらが責任を持つか、財政支出を押し付けあうこと、そして財源の分捕り合戦にすぎないのである。

三位一体の内ゲバ

 地方分権推進会議や経済財政諮問会議の議事録を読むと、塩川財務省と片山総務省が争い、遠山文科省が袋叩きにあっている様子がよく分かる。一番のバトルは、税源を手放したくない財務省と、税源移譲で権限強化を狙う総務省の争いである。「地方分権」を唱えながら、相変わらずの省益争いを続けるこの政府内部の争いの激化に対し、小泉「構造改革」は無力さを露呈しはじめている。

年末までたたかいを

 小泉「構造改革」の目玉商品になってしまった「義務教育国庫負担金」の結論は「見直し」だけが決まっただけで、その中身の決着はこれからである。文科省の5000億円削減案に対し「合理化できない金より、合理化できるものを」の声が出始めている。文科省の来年度削減予定は1219億円、02年度の事務職員分国庫負担は1373億円、そして「学校事務の共同実施」。

 「構造改革」は小泉政権の維持のために不可欠であり、その目玉が「義教金削減」、その生贄さがしはまだ続いている。私たちは、決して気を許すことはできない。年末までたたかいの継続を。

02年度予算の義務教育費国庫負担金の内訳
(1)給与費(本俸)16,220億円
給与費(手当)12,175億円
内 退職手当2,829億円
(2)共済長期給付2,137億円
(3)児童手当16億円
(4)公務災害負担金16億円
合   計30,564億円
職種別教員657,350人28,843億円
事務35,797人1,373億円
栄養9,387人348億円

国庫負担はずし阻止!学校行革反対!賃金削減攻撃粉砕!

12.6 全国総決起集会

日時:2002年12月6日(金)午後1時15分〜
場所:港区立生涯学習センター(ばるーん)
東京都港区新橋3−16−3
JR、地下鉄都営浅草線・営団銀座線、ゆりかもめ
(「新橋」下車烏森口徒歩3分)
地下鉄都営三田線 (「内幸町」下車徒歩10分)
講演:「この閉塞状況を打破するために」(仮)
講師:高田 健 氏(許すな!憲法改悪・市民連絡会)
デモ:午後4時00分 出発予定
会場→文部科学省・財務省→日比谷公園で解散

ボーナスカンパにご協力をお願いします。

 人勧での“一時金カット・3月期一時金廃止再配分”も叫ばれ、心配は絶えないのですが、カンパのご協力をお願いします。

 皆さんの応援が全学労連の支えになります。

 また、購読料のお支払いがまだの方、併せてお願いします。

 郵便振替 00160−6−34582  全学労連


top> ニュース> 251号


無料 WEB-page スペースを利用しているため、広告が表示されますが、全学労連とは無関係です。



inserted by FC2 system