2003年1月11日
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全学労連ニュース今号の内容

 2003年も、全学労連的運動を!

 12.6 全国総決起集会・デモ 力強く開催

 義教制度の限りない空洞化を阻止しよう!―12.6 三省等要請行動報告に代えて

2003年も、全学労連的運動を!

 2002年末、義務教育国庫負担をめぐる来年度予算の問題は一応の決着を見た。来年度は共済長期分の国庫負担金(おおよそ2200億円)をはずし、地方の負担とすることになった。しかし、実際の地方の負担はその8分の1だという。結局のところ国庫負担問題は、小泉「構造改革」の目玉として「三位一体で」とか「2002年からの芽出し」などと持ち上げられていたが、得意の「丸投げ」どころか「問題先送り」で終わったのである。

 かっこよく登場した小泉「構造改革」だが、その大きな柱とされた「地方分権」とはそもそも「財政の問題」でしかない。「国と地方の役割分担」と称した統治経費の押しつけ合いであり、巨額な借金の責任の押しつけ合いなのである。

 しかし、義務教育国庫負担金については全てが削減対象になっており、文部科学省自身が「04年、06年を目標に義務教育国庫負担金の定額化」などと、これまでの考え方を踏み外した言い方を始めてきている。つまり、小泉の「丸投げ、先送り構造改革」は義務教育国庫負担金問題の危機的状況を一層深刻にしている。「三位一体」だの「根本からの見直し」とは異なり、今回の「共済長期」のような補助金の「つまみ食い的削減」が起きるだろうし、「補助金対象の放り投げ」で済ませることもあるだろう。

 そして、もちろんそれは学校で働くものを切り捨てる合理化として、私たちの前に登場してくる。

 

 小泉政権が続くとは思えないが、新自由主義を標榜する統治手段はその後の政権でも踏襲されていくだろう。「全ての人は個人の欲望達成に向けて努力する」を玉条にした新自由主義は、「欲望達成の障害は取り除け」と徹底的規制緩和で競争の激化を進め、「欲望にたどりつけない人は努力不足であり、個人で責任を取れ」と切り捨て、「努力したものは報われる」と金持ち優遇の税制を行い、社会のトラブルの増加には司法の力を増強させていく。そして、「国と地方の役割分担」と称し、最低必要な統治経費さえ削減を目指し、経費の押しつけ合いをやる。

 しかし、ようやく新自由主義の醜さが露わになってきた。マスコミが囃子立てた小泉「構造改革」は、「痛み」だけを増やし続けており。「平穏な生活」からはもっとも遠いことがあからさまになってきた。

 

 こういう時代だからこそ、今年の、そしてこれからの2年間、4年間の私たちの取り組みが重要であり、たたかいがその後も私たちの存在を決めていくだろう。「共同実施」を使った定数削減攻撃への反撃。賃金勤務時間等の労働条件引下げの歯止め。迫りくる業績評価の導入、公務員制度改定などへの抵抗。そして、アメリカのイラク侵攻と日本のおおっぴらな戦争参加を止めるたたかい。

 私たちは、あらゆる戦術を駆使して、この時代のたたかいに向かっていく。それぞれの学労組織も、個人も、様々な場面で全力でその役割を発揮していく。そして全国の学校でたたかう仲間との共同の取り組みを展開し、またあらゆる人々との連帯の場でのたたかいを目指していく。それが今年の全学労連的運動の課題である。

 (議長 菅原)

 

国庫負担はずし阻止!学校行革反対!賃金削減攻撃粉砕

12.6 全国総決起集会・デモ 力強く開催

「国庫負担はずし反対!」声高らかに

 学校事務職員を巡る情勢が近年になく厳しくなっている今年、大きな山場を控えた12月6日、官庁街間近の校庭もそのままになっている元小学校・港区立生涯学習センターにて、全国から120名の仲間が参加して全国総決起集会が開催された。

 今集会・デモは、東京で産声を挙げたばかりの学校事務ユニオン東京の仲間と共に主催、また全国学校労働者組合連絡会や官民労働者の仲間も駆けつけてくれ、共に文部科学省などへ学校事務職員の声を力強くぶつけていった。

厳しさを増す学校を取り巻く状況

 始めに主催者挨拶では、全学労連から菅原議長が「ここ数年は私たちにとって厳しい状況が続いていくが、できることをやって闘っていこう」と、学校事務ユニオン東京から藤井委員長が「少数だから闘えないということはない。悪くなる状況を少しでも変えるために皆さんと共に歩んでいく」と語った。

 情勢報告では、国庫負担はずし問題については、集会前の関係省庁で得た直前情報も踏まえ「『学校事務職員』が急きょ浮上する可能性は消えていない」と、また働き方を巡る状況については「東京では、石原都知事下において、定期昇給さえ人事評価と結びつけられるようにまでなり、ますます働く者への抑圧が強まっている」と述べられた。

 また、沖縄、青森、福島、「国立闘争を支援する会」から取組みの報告と決意表明を受け集会宣言を採択して集会を終了。

 その後デモに移り、文科省、財務省に向け「国庫負担はずし反対!」の声を轟かせた。

参加者を勇気づけた記念講演

 「創意と工夫で逆境を打開できる。」講師の「許すな!憲法改悪・市民連合」の高田健さんは、154通常国会での取組みを振り返りこのように講演を締め括った。

 「初めは有事法制を阻止できるとは思わなかったが、草の根の運動と壮大な統一行動、また国会内と院外との闘いの連携でついにその成立を阻止することができた。有事法制を許さない闘いがこの閉塞状況に穴を空けることができる」と具体的な取組みを交えて市民運動の最前線から分かり易く状況を解きほぐす語りに、集会参加者は大きな拍手を送った。

 小粒ながら情勢に立ち向かう全学労連とそれを支える仲間を大いに勇気づけてくれる講演となった。

 

義教制度の限りない空洞化を阻止しよう!

―12.6 三省等要請行動報告に代えて―

全学労連事務局 羽成 純

 全学労連は12.6全国集会・デモに先立って三省等への要請行動を展開した。かつてない義務教育費国庫負担制度を巡る厳しい状況に直面して、改めて闘いの中身と方向性が問われる中での行動となった。

1.全国都道府県教委連合会等
 三省要請に先立って地方6団体及び全国市町村教委連合会、全国都道府県教委連合会への要請を行った。地方自治確立対策協議会(地方6団体で構成)は、既に「地方税財源充実確保に関する決議」をあげ(11/21)、その中で「税源移譲なき国庫補助負担金の一方的廃止・縮減反対」等を打ち出している。5,000億円の国庫負担廃止が文字通りの廃止、すなわち何らの「財源保障」もなく一方的に廃止されるとすれば、それは義教制度の限りない空洞化に結びついていくだろう。各団体とも、例年になく危機感をもってこの間動いてきたことを強調していたのが印象に残った。
2.文部科学省
 「文科省としては出したくなかった5,000億円を差し出した。これ以上は何も出ない。あとは財務省と総務省で調整してくれればよい」という言い方にはさすがに呆れてしまった。小泉政権の「構造改革」の掛け声の下、安易に5,000億という数字を示してしまった文科省の構造的無責任!全学労連は、文科省が財源保障に向け努力することを強く要請した。
3.財務省
 冒頭、「一般論としては国よりも地方の方が財政事情は良い」という発言が財務省からあった。5,000億円を丸ごと地方に負担させても大丈夫だという財務省の“本音”を端的に物語るものだろう。「標準法は地方への足かせである」(同)という言葉も、40人学級をベースとした予算の大枠を抜本的に改善する意志のないところで語られている空虚なものでしかない。地方(自治体)が様々な政策を主体的に展開していく基礎となる税財源移譲を先延ばしにしつつ、地方への矛盾の押しつけを図ろうとする財務省の姿勢は厳しく批判されねばならない。
4.総務省
 「財源確保がなされないのであれば、現状通りにして欲しい。5,000億円に関してはall or nothingしかない。中途半端な決着は地方への負担転嫁のきっかけになる」(総務省)。この指摘は、「国レベルの政策の失敗の結果地方も又疲弊している」(同)という主張とともに、至極もっともなものだ。しかし、自治体の自立性、多様性を奪う市町村合併を暴力的に推進しながら、国庫補助金・負担金を地方交付税交付金に移行させることでこと足れりというのであれば、何をか言わんやであろう。地方の「代弁者」のように振る舞いながら、結局は省益で動いているということになるのではないか。ともあれ、「自治体財政をこれ以上がたがたにしない」という点において総務省が行動するように伝えて要請を終えた。

 要請行動を終えての実感は、各省庁間、国―地方間の“亀裂”が想像以上に大きいということだった。結局のところ、義教金削減は2,200億円で「正式合意」(「読売」'02.12.19)された。「自治体の負担は8分の1に抑え、残り8分の7を国が地方交付税などで財政措置する」(同)という結論は三省の思惑=省益を一定程度確保しつつ、地方への負担転嫁のきっかけを作り出した。

 「教職員給与の補助にあてる2兆5,000億円なども含めた補助金全体については2006年までに一般財源化について所要の検討を行う」(同)。成績主義、人事評価制度などと一体化した公務員制度再編の中に義教金制度、国家主義の強化を一つの軸とした公教育の改変も又組み込まれていこうとしている。効率という名の価値の一元化に向かって学校は大きく変えていかれようとしていることは確かだ。アメリカ合州国を中心としたグローバリズムの磁場において、市場原理主義と「帝国(的秩序)」に従属するナショナリズムはますます強められつつある。学校に働く者に対する様々な攻撃に対する闘い(義教制度再編との闘いを含めて)を今現在の世界と時代の中に置いてみることが大切だと思う。

国庫負担堅持の国会請願署名ご協力有り難うございました

 全学労連の国庫負担堅持国会請願署名に多数の皆様のご協力をいただき有り難うございました。請願署名は、衆議院 中川智子・山内惠子両議員、参議院 島袋宗康・大脇雅子両議員にそれぞれ紹介議員になっていただき、国会に提出しました。衆議院では12月13日、参議院では12月6日にそれぞれ請願が採択され、内閣に送付されました。

 署名にご協力下さった皆さん、紹介議員の労をとっていただいた4名の議員の皆さんに心から感謝いたします。


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