2003年3月23日
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全学労連ニュース今号の内容

 戦争と合理化に立ち向かう

 会計検査院実地検査が来た!

 シリーズ― 人事評価を考える 大阪―教職員の評価・育成システム

戦争と合理化に立ち向かう

 とうとう戦争が始まった。毎日テレビに登場して、その醜悪さをあからさまにしてきた戦争好きの「アホでマヌケなアメリカ白人」の面々は、全世界の反戦の声を無視して、イラクへ侵攻した。有事体制の構築と戦争参加を決意していた日本政府は「アメリカに追随するしか道がない」を口実に、「戦争への道」を走り始めた。

 学校でも「戦争への道」が一層盛んに唱えられはじめた。「愛国心の教育基本法」の動きが急である。戦争する時代に必要とする、正に「国のために戦争で死ね」の愛国心を何が何でも教育基本法に強行しようとしている。現場では卒業式入学式の「ハタ、ウタ」の定着が進み、それを拒否するのは、「国のために死ぬことを拒否するのは非国民」として排除する思想がのさばり始めている。私たちは、あらゆる場所で戦争に反対し戦争への道を許さないたたかいを続ける。街頭で、職場で、戦争に参加しない者としての生きかたを突きつけていきたい。

2002.12.18 総務・財務・文部科学3大臣合意

義務教育費国庫負担金の取扱いについて

  1. 義務教育に関する地方の自由度を大幅に拡大する観点から、2003年度から学級編制の一層の弾力化や加配教職員配置の弾力化を進め、20004年度において公立学校教員給与についての国立学校準拠制を廃止するなどとともに、2004年度に義務教育費国庫負担制度の改革(例えば定額化・交付金化)のための具体的措置を講ずるべく、所要の検討を進める。
  2. 義務教育費に係る経費負担の在り方については、現在進められている教育改革の中で義務教育制度の在り方の一環として検討を行い、これも踏まえつつ「改革と展望」の期間中(2006年度末まで)に国庫負担金額の一般財源化について所要の検討を行う。
  3. 上記に伴い、義務教育国庫負担金の負担対象経費については、2003年度において共済長期給付及び公務災害補償に係る部分を一般財源化する。また、退職手当、児童手当等に係る部分の取扱いについては、関係省庁間における継続検討課題とし、2004年度予算編成までに結論を得る。

 一方、中央政府地方政府とも財政危機は深刻さを増していて、破綻のツケを労働者に回そうとする動きが急ピッチである。社会保険料の値上げと給付の切り下げ。大衆課税強化と消費税値上げ。そして合理化。

 義務教育費国庫負担問題をめぐっては、これからの国庫負担制度をめぐるスケジュールや内容に踏み込んだ三省(財務、総務、文部科学)の合意が昨年末12月18日なされ、公開された。

 この合意の内容とその他の事項をあわせて、今後の当局のスケジュールをまとめてみる。

課題2003年度2004年度2005年度2006年度
財政諮問会議6月にまとめ   
国庫負担制度削減(共済長期)手額化?(退職金) 抜本見直し
第7次定数3年目4年目5年目 
賃金先行見直し教員給与
人勧準拠問題
  
国立大学 独立行政法人  
公務員制度   改定完全実施
再任用1年間2年間2年間3年間

 学校事務職員が生き延びるためには、ここ数年の活動が正念場である。

 「出世」をその最大の課題に据えた日教組と全事研は、その組織的区別がないように見えるほど一緒に、ますます「共同実施」へ傾斜している。それは「共同実施」の中に学校事務の合理化を見通す普通の学校事務職員への背任行為であることは明白であり、彼らの「出世欲望」でさえ実現は遠いのである。幾つかの自治体で始まった「電子自治体」は学校事務を解体しつくしかねないし、「業績評価」という「競争主義」は職場の協働を破壊する。

 全国の学校事務労働者にとって、ここ数年が勝負の時期である。一人ひとりが、戦争と対峙し、合理化に立ち向かうことを通してのみ、私たちの未来が切り開かれる。

【議長 菅原】

 

会計検査院実地検査が来た!

池上 仁(がくろう神奈川)

憲法

90条@ 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度にその検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。」

会計検査院法

23条@ 会計検査院は、必要と認めるとき又は内閣の請求があるときは、左に揚げる会計経理の検査をすることができる。〜略〜

三 国が直接又は間接に補助金、奨励金、助成金等を交付し又は貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計〜略〜

25条 会計検査院は、常時又は臨時に職員を派遣して、実地の調査をすることができる

26条 会計検査院は、検査上の必要により検査を受けるものに帳簿、書類若しくは報告の提出を求め、又は関係者に質問し若しくは出頭を求めることができる

29条 日本国憲法第90条により作成する検査報告には、左の事項を掲記しなければならない。〜略〜

三 検査の結果法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項の有無

35条 会計検査院は、検査の結果法令、制度又は行政に関し改善を必要とする事項があると認められるときは、主務官庁その他の責任者に意見を表示し又は改善の処置を要求することができる

○会計検査院実地検査とは

 右に、会計検査院の活動の法的根拠をピックアップしてみたが、その権限の大きさを改めて感じる。

 実地検査の重点項目は時々で違う。十数年前横浜市が当たった時は、学級編制=教職員定数が対象になり、児童・生徒数を水増しして本来の定数以上の職員配置を受けている実態が槍玉にあがった。全校に全児童の指導要録や給食費徴収台帳のコピーの提出が命じられて、大変だったことを記憶している。

○勤務時間内組合活動が重点の一つに

 今年度の文部科学省関係の実地検査の重点項目は、(1)初任者研修、(2)埋蔵文化財の発掘調査、(3)学習活動支援設備整備事業(地域住民対象のIT講習事業等)、(4)勤務時間内組合活動であり、全国をまわって、3月初めに神奈川県に入った。勤務時間内組合活動については、義務教育費国庫負担制度に関わる検査の一環であるとし、都道府県ごとの国庫負担の公平の観点からの検査であるとしている。検査に入った県では、勤務時間内組合活動の服務上の位置付け、職務専念義務免除申請手続き、承認基準・範囲の妥当性等が細かく検査されている。

 勤務時間内組合活動についての服務上の扱いは市町村ごとに様々である。神奈川県内でも横浜市のように明確な有給職免基準があるところもあれば、ないところもある。市町村によっては職員団体(組合)がないところもあるし、あっても県費負担職員の扱いについて明文化されていず、慣行に依っているところもある。

 会計検査院の意図は明らかに勤務時間内組合活動の限定・制約にある。地方公務員法第55条に規定する「適法な交渉」を狭義に解し、最低限の時間のみに職免を限定しようとする。会計検査院が入る前から県教委は交渉人数制限等を言い出しているし、市町村でも同様の動きが始まった。横浜のように適法な交渉に不可欠な準備行為として、折衝や機関会議にも制限つきながら職免を認めているところには強く「改善の措置を要求」してくることになるだろう。

○これが会計検査院のやるべきことか?

 今回の検査の目的は明らかに組合運動への抑圧である。それを「国庫負担の公平」という名目でやるというのは、こじつけに近い。今回検査の項目の一つに「心のノート」に関するものもあった。きちんと配布されているか、活用されているかをチェックしている。また道徳の時間数が確保されているか、のチェックもあった。教科書でもない副教材として7億3千万円もの税金を使って1200万部を全小中学校に送り付けた「心のノ一ト」、「国民精神改造運動」の一環(高橋哲哉)と指摘される重大な問題のある「心のノート」について、実地検査の名目で「活用」促進の圧力をかけるというのは、会計検査院本来の役割を逸脱しているのではないか。矛先はむしろこのような施策を行なった文部科学省に向けられるべきだろう。

○勤務時間内組合活動は保障されるべきだ

 勤務時間内組合活動は最大限保障されるべきである。行政当局に対抗するものとしての組合の活動は、労働条件は無論のこと、行政施策に対する内部労働者からの牽制の役割も果たし、行政の民主的な運営にとって不可欠なものである。戦後、軍国主義防止の観点から労働運動の再興が図られたのはそのような位置付けがあるからだ。当局側の労務担当職員は本務として対組合の業務を行なっている。これに対抗する労働組合の運動を充実させるためには、機関会議を含めた勤務時間内組合活動が保障されて当然だ。

 新人事評価制度や人事異動について「管理運営事項」として交渉の対象外とする地公法の解釈を含め、予想される組合運動への制約強化に抗して闘うことは、これ以上の閉塞状況をもたらさないためにも重要だと思う。

 折しも横浜の中田市長は、学校での予算の不正問題を理由に教育長を更迭し、文部科学省から40才の若手官僚を招聘するとの報道が流れた。横浜もまた広島県と同じ状況になるのだろうか。止むことなき闘いを迫られている。

 全学労連は、3月23日の全国代表者会議で左記の抗議声明を採択し、アメリカ大使館イギリス大使館、そして日本政府へ送った。

もう戦争はいらない…

米英両軍のイラク攻撃に対する抗議声明

 3月20日、米英両軍は世界中で澎湃と湧き起こる戦争反対の声を踏みにじり、イラクへの攻撃を開始した。

 この瞬間にも膨大な量のミサイル・爆弾がイラク民衆の上に降り注いでいる。多くの人々が殺され、傷つけられつつある。老人も、女性も、いたいけな子どもも…

 私たちはこの暴挙を絶対に許すことができない。

 米英両軍は直ちに撤退せよ!

 戦争をやめろ!

 人殺しをやめろ!

 突出した軍事力で世界が意のままになるというブッシュ政権の思い上がりは打ち砕かれねばならない。そのために私たちは世界の民衆と手をたずさえ闘う。

 小泉政権は広範な世論を背に向け、いち早く米英両軍の攻撃を支持した。この恥ずべき振る舞いを、私たちは満腔の怒りを込めて糾弾する。

2003年3月23日

全国学校事務労働組合連絡会議

―シリーズ― 人事評価を考える

大阪―教職員の評価・育成システム

阪学労

 大阪府は、なんと昨年11月から本年3月までのたった5ヶ月で「評価・育成システム」の試験的実施を行い、「2003年度を通して試行を実施する」と一方的に宣言し実行に移した。交渉段階で連合大阪教組は、「避けては通れぬ課題」として基本的に合意し、全労連大教組は白紙撤回を求め、当然、我々阪学労も撤回を求めて交渉を重ねてきた。

 そもそもこの「評価・育成システム」なるものは、知事部局で先行実施されていた人事考課制度の学校版であり、ご多分に漏れず目標管理制度によるPDCAサイクル方式を採用している。府教委は、人事考課・査定と言う狙いを隠す為に、「育成」と言う観点を前面に押し出し、透明性・双方向性・公正性を「売り」にしてきた。

 交渉決裂にあたり、阪学労は府教委と3点の確認を行った。それは、

  1. 「自己申告票」の提出、面談は強制でない。
  2. 「自己申告票」の提出、面談に応じない者に対し一切の不利益扱いをしない。
  3. 「育成シート」の開示請求には口頭で応じる。

である。

 ところが、試験的実施に入った段階で、確認事項が一方的に変更されて府下市町村教委へ下ろされている事が判明した。それは、「自己申告票」の提出、面談に応じない者には「育成シート」を開示しないと言うものだ。これは、確認事項の2と3に違反する。直ちに抗議し、無条件で確認事項を履行するよう求めて交渉を開始した。その中で府教委は、我々の要求に応じるどころか、「評価・育成システム」への非協力者への差別・排除を露骨にしてきた。加えて、多忙を極めるこの時期に「実施概況調査」を府下市町村教委へ指示し、職種ごとの「自己申告票」の提出状況、面談の実施状況や「自己申告票」の提出、面談に応じない者の個別理由まで報告を求めた。結果、本年度から評価を受ける校長には大きなプレッシャーとなり、「自己申告票」未提出者や面談に応じない者への圧力を強める事となった。

 府教委は、システムの「売り」にしていた透明性・双方向性・公正性を自らかなぐり捨て、協力者には恩恵的に「育成シート」を開示し、非協力者へは差別・排除で報復すると言う本性を早くも露わにしてきたのだ。「育成」とは名ばかりで、本質は「管理」と「査定」である事が明らかになってきた。

 民間でも人事考課制度が生産性を上げる事よりも、労働者管理に向けられている実態が明らかにされている。我々は、もうこれ以上学校を荒廃させない為に、労働者差別を許さない為に闘って行く。


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