WEB 全学労連 |
259号 |
2003年7月29日 |
全学労連ニュース今号の内容
―’03.7.4文部科学省交渉報告に代えて―
事務局 羽成 純
戦争国家体制作りと不可分なものとして、公教育の再編が推し進められつつある。義務教育費国庫負担制度の転換の動きも又、このような背景のもとで引き起こされている。交渉を終えて、国庫負担外し反対の闘いのこれまでと現在、そして今後の方向について改めて問いを突きつけられているという実感が残った。以下何点かにわたって報告したい。
総務省が主張する「一般財源化」に対して文科省は義教金の「定額化」を主張し、これによってあくまで教育委員会―学校への影響力を保持していこうとしている。だが定額化された義教金の中味をどうするかについては「地方に任せる」(文科省)ということになった場合、事務・栄養については「非常勤換算を含めて定数・賃金の合理化に結びついていく」(全学労連の主張)。
税財源の地方への移譲が税制の基本的な部分まで含めて構想されない中で、総務省のいう「一般財源化」と文科省のいう「定額化」のどちらが教育における地方の主体性を高めるのかといった議論は結局は総務省、文科省のどちらが主導権をとるかということでしかない。そんな議論に私たちがつきあう必要はない。今回の交渉の中でもやたらと「地方分権」という言葉がとび出しているが、それがいかに恣意的に使われているかは、休憩室を巡る回答を見れば一目瞭然であろう。学校に働く者の休憩・休息をきちんと保障していくという問題意識の片鱗すらないにもかかわらず、勤務時間管理はとめどもなく強化しようとする。産業界の意向を受けて電磁波に関する調査は強権的にストップさせ、『心のノート』については「日の丸・君が代」調査と同じように地教行法をふりかざして「活用調査」を強行してくる。それが文科省であり、彼らのいう「地方分権」の内実そのものだということだろう。
差別的な少数職種切り捨てを突破口とした義教金制度改変―公教育再編に対して、「地方分権」などという空ろな言葉に惑わされることなく、現場からの民主主義を基礎に反撃していきたいと思う。
義務教育費国庫負担制度のゆくえについて、
6月26日に出された「骨太方針第3弾」では2006年度までに補助負担金を4兆円削減し、それにともない国から地方への税源移譲は義務的経費が全額、それ以外の経費は8割にするとされた。さらに義務教育国庫負担金に関して
「学校栄養職員、学校事務職員については義務標準法を通じた国の関与の見直し及び義務教育費国庫負担制度の見直しの中で、地域や学校の実情に応じた配置がいっそう可能となる方向で検討を行なう」
と職種名指しで触れられたことを受け、全学労連は7月7日に総務省自治財政局の文教予算担当課長補佐と折衝を行なった。
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と全学労連からの質問に対して総務省側の立場からの説明があった。「地方の自立」「地方分権推進」というのが一種のキーワードとなっているが、財務省との熾烈な権力争いをしている総務省の言うそれであるという事を忘れてはならない。一方で住基ネットや市町村合併の強要など、国家的支配構造を強化しようと策謀しているのが総務省なのだ。
いろいろ言いたいこともあったが、全学労連側からは教育の内容が国家管理されたまま地方の自立と言っても不充分であることと、事務・栄養などの学校における少数職種に対する国庫負担制度がそれらの職種の存在を保証する上で重要な意味を持っていることを強調し、国庫負担制度の堅持を強く求めた。
青学労定期大会は6月14日に行われた。
国庫問題は「2003骨太の方針」で06年度までの補助金4兆円削減が打ち出され、結論は予算編成期に先送りされたものの、厳しい情勢に変わりはない。
共同実施では今年度、加配が17名になり全国でも突出した増大を見せ、さらに八戸市学校支援室=事務センターが新設された。しかも、実践協力校が県内事務職員配置校の5分の1にのぼるというとんでもない事態に陥っている。
二つの重要課題とともに、どこの学労も抱えている組織の高齢化問題があり、組織拡大を真剣に取り組むべき時期がいよいよやってきた。大会ではこうした課題をかつてない決意で奮闘することを意思統一した。
なお、今大会の大会宣言は「出色の出来である」と組合内部での評価は高い。しかも、「木村前知事問題」が暗示的にちりばめられているというのだから一見の価値がある。
「いやぁ、晴れたね」「朝から暑いね」7月5日、リュウキュウクマゼミの大合唱の中第11回目を迎えた沖学労定期大会は久々の快晴。この2〜3年どしゃ降りの大会が続いていたので、雨男の濡れ衣を着た誰かさんもホッとした表情で準備を進めている。毎回お世話になっている日本基督教団「ぎのわんセミナー・ハウス」の会議室。結成以来、あちこち引き回して「ハク」の付いた真っ赤な組合旗を演壇に拡げて、大会は定刻の午後2時に始まった。
労働運動は沈滞を続けている。平和憲法を始め、戦後の「反省」が全て乱暴に踏み破られていく中、ブッシュ政権による先制攻撃と侵略戦争が始まり、これを支持する小泉政権によって沖縄は再び三度侵略に加担させられた。更に北朝鮮に対する敵意を煽って、あっという間にこの国は有事法制と自衛隊の派兵を可決し、戦争(米軍への加担)のできる国への道を突き進んでいる。
ヤスクニ参拝、教育基本法改悪、住基ネット、労働法制改悪、個人情報法、電子自治体構想等、全て国家権力の効率的再編と国民統制につながっている。国庫負担問題を含む公教育制度の再編や「地方分権」に名を借りた自治体行政の全面見直しもそうした流れの中に組み込まれていることを見逃せば私たち公務員には、再び国家犯罪の手先の道が待っているだけだ。
私達が何故、少数職種差別に反対して自立したのかの原点に立ち返って考えれば、今誰と連帯して何と闘うべきか答えは明らかだ。弱肉強食の競争職場や出世を望まない仲間たち。学校教育・教育行政を息苦しく感じている職域内外の人々。権力の自己保身のための「改革」で一方的に「痛み」を強要される労働者・民衆。プッシュ政府が象徴するグローバリズムに抵抗する世界中の人々。こうした人々の思いを自らの日常に結び付けて考える想像力こそが、唯一労働運動の社会的生産を可能にする希望の光ではないだろうか。
冒頭の委員長挨拶を始め、やはり今年は‘93年の結成からの10年を振り返り、自民党単独政権の崩壊と連立政権→社会党の消滅→労働運動・野党勢力の総体制化→戦後の清算(中曽根ビジョンの実現)という流れを踏まえて、これに抗する闘いの方向性を改めて確認する大会となった。
私達は、小さいながらも、満10年初心を貫くことができた。全国の仲間のご支援に深く感謝します。
沖学労はこれからも、少数者を排除する公教育の権力支配と、戦争につながる全ての動きに対し闘い続けていきます。
学校事務職員労働組合神奈川第7回定期大会は、7月2日、横浜開港記念会館で開催された。緊迫する国庫情勢、新人事評価制度導入、会計検査院実地調査以降の組合活動への規制強化、行革による労働強化、そして有事法制成立による新たな戦前の始まりという状況の下で、組合としてどう闘っていくのかをめぐって議論が展開された。機関会議や情宣のありようなど具体的な問題も取り上げられ、修正案も7本提出され、一部は可決されて原案が補強された。
来賓挨拶はいずれも労働者の置かれている状況を浮き彫りにするものであった。国労本部の妨害を受けながらも鉄建公団への裁判闘争を継続している闘う国労闘争団。神奈川県共闘からは労災認定を勝ち取ったが会社側が応じないため裁判に訴えるタクシー労働者の闘い、月300時間働いて時給換算500円にしかならないタクシー業界の現状が報告され、「孫」を戦場に送らない反戦の闘いが訴えられた。一旦争議に勝利したが再び組合への執拗な攻撃が始まり支援共闘態勢構築を急ぐ少年写真新聞社分会。横浜市従財政支部からは、前日前契約部長が市長派の議員に言われて入札予定価格を業者に洩らした疑いで逮捕されたこと、IDカード導入に反対していく決意。全国一般からは現場の熾烈な闘争の生々しい報告、全学労連からは予断を許さない国庫情勢の報告。
組合員の8割が参加し、シビアな議論も交えながら、1日、向こう1年間の組合のありようを考える大会であった。
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