2004年7月17日
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全学労連ニュース今号の内容

 7.8 全学労連 文科省交渉報告

 落しどころはやはり学校事務職員?地方6団体補助金削減づくりへ

 イラク反戦の声渋谷にこだます

7.8 全学労連 文科省交渉報告

―学校事務職員の定数崩しを許すな!―

 義教金削減へ向けて、総務省、財務省、文科省、そして地方の声が錯綜してきている。全学労連は5月7日に提出した要望書をもとに7月8日、文科省と交渉をもった。以下、その要点と文科省の回答を報告したい。

1 義教金制度について
「これまでどおり、義務教育費国庫負担制度は堅持していく方向である。学校事務も同じであると考えている。」
2 定数改善等について
「7次定数改善計画については引き続き定着化を図っていきたい。また、その配置方法も今までどおりである。『学校事務の共同実施』については、昨今の行政職員削減からも避けられない状況に来ている。事務の効率化、強化の点からも推進していきたいと考えている。」
3 労働環境の整備について
「教職員の休憩・休息時間の確保については、各都道府県できっちりやっていると思う。それについての法整備も済んでいると認識している。各県担当者会議などでもこの辺りのことは逐一指導している。むしろ問題があるのならこの場で出していただきたい。」
4 市町村費職員引き上げ、臨時職員の労働条件等について
「市町村費の職員については各地に任せてあり、臨時職員の雇用についてもそれぞれの任命権者判断なので、文科省からどうこうということはない。また地公法22条適用、いわゆる6ヶ月ごと更新、1年未満の臨時的任用職員の労働条件については法律上、正規雇用職員との格差はないと思われる。非常勤講師の労働条件については、今のところトラブルはないと認識している。」
5 学校現場に「日の丸・君が代」を強制しないこと
「学習指導要領に定めてあるとおり、教委、校長の判断で実施されていると認識している。東京都教委のこれまでの政策、性教育に関する事柄についてもその一環として適正に行われていると考えている。」
6 教基法「改正」に向けた作業を中止すること
 「文科省では中教審答申を踏まえて、各地でフォーラム・タウンミーティングなどを行い、議論を深め、改正への動きを広めていきたいと考えている。今のところその法案準備はしていない。」

 これら回答を受け、次のような質問が続いた。  全)=全学労連、文)=文科省

全)今後各県に配分される今年度分の「総額裁量制による義教金の額」は昨年度実績と比較するとどの程度の差を予測しているのか。

文)03年度は27,879億円、04年度は25,128億円でその差は約2,750億円減である。内訳は、定数改善や自然減、合理化ではほぼ0。定昇のストップや人勧のマイナス、退職手当・児童手当の一般財源化によるものである。

全)「総額裁量制による義教金額」が決定されるのはいつになるか。

文)国の人勧(8月)に伴って改正する。閣議決定されるのは11〜12月頃だろう。

 また、7/1付け官庁速報に「加配教員を一般定数に算入=義務教育費、地方の権限強化―文部科学省」との題名で、「同省は、教育支援センターの取り組みを『学校教育』の一環と解釈し、司書や介助員などの専門的な知識を持つ人材を『学校事務職員』として登用できる仕組みを整備して、地方の要望に応えることにした。」という記事がでたことについて追究した。

全)どのレベルまで話が進んでいるのか。

文)庁内で意見としてでているだけで具体的な話にはなっていない。内容はその通りであり、こういう考えもできるという一案に過ぎない。

全)これらは「学校事務職員」を軽視しているものであり、定数崩しにつながる。周囲、地方にも「事務は要らない」ものとしての認識が広まることにことになる。

文)昨年の事務職員定数充足を見ても、全国で500人近く余っていて、配置されていない状況だ。もったいないことである。こういう意見も出てくるでしょう…。

と、文科省では各県の学校事務職員配置状況から“有効な使い方”を模索しているようである。この未配置の問題について、我々はもっと声を挙げていかなければならないことを再確認した。

 今までも、これからも、「学校事務」は存在する。その仕事は校内での教育環境整備などであり決して華やかなものではない。地域、周囲に開かれることはなかったし、これからもないであろう…「学校事務」とはそういったものであると思う。

 これから概算要求・年末予算編成に向け各省は“地方の声”を楯に、その省益を守ろうと様々な手段を考えてくる。全学労連は、「日々安心して働き続ける」というあたり前のことを求めこれからも闘ってゆく。

国会請願 採択される!

 全学労連の学校事務・栄養職員の義教金制度維持を求める請願が採択されました。

 署名にご協力してくださった皆様、並びに紹介議員の皆様、ありがとうございました。

落しどころはやはり学校事務職員?

地方6団体補助金削減案づくりへ

限られた削減メニュ−

 04骨太方針で3兆円の税源移譲が明記され、地方6団体(全国知事会・市長会・町村会、全国都道府県議会議長会・市議会議長会、町村議会議長会)にそれに見合った補助金削減案の作成が8月20日を期限に求められている。

 地方向け補助金の規模は、2004年度予算で20.4兆円、内生活保障費11.7兆円、文教・科学振興費2.9兆円(内義教金2.5兆円)公共事業費4.8兆円、その他1兆円である。全国知事会内では社会保障関係を削減対象から外すことではほぼ一致していることから、文教・科学振興費、公共事業費、その他の8.7兆円の中から削減対象を絞り込むことになる。自治体による削減優先順位の違いから、06年度までに3兆円ではなく、07年度以降も含め8兆円規模の削減案をまとめる案が浮上している(7月3日『日経』)。要するに義教金を含む社会保障費を除いたすべての補助金が対象とされるわけだ。その中で06年度までの削減対象3兆円に義教金を含むか否かがひとつの焦点となっている。知事会内の意見は割れている。日経新聞のアンケート調査では、義教金廃止に反対が16府県、賛成が7県、半数が無回答・検討中とのことだ(6月28日、同紙)。

 知事会等6団体の意見集約がどうあれ、問題は出来上がった削減案が所管省庁に受け入れられるかどうかというところにもある。公共事業関連をリストアップしても税源移譲に見合う廃止対象として認められない可能性がある。義教金ならば確実に税源移譲の対象になる、等々。勢い6団体としては税源移譲につながりやすい削減案をまとめることにならざるをえない。

地方6団体の案を待つばかり・・・7/2総務省折衝

 全学労連は7月2日、総務省から状況説明を受けた。その要旨は

「内閣府から地方6団体に国庫補助金・負担金の削減案提出を求めた。検討の内容についてあまり聞いていないし、省庁が口を挟むべきでもない。閣議決定の上での依頼で、案がでてこないとなると税源移譲、三位一体改革自体が崩れてしまう。どんな案にしたら税源移譲に結びつくか、知事会も悩んでいる。学校事務職員・加配教員で0.3兆円先行的に削減という案はあくまで例示。知事会で特にこの案をめぐって議論しているとは聞いてない。削減案がでてきてから対応策を練ることになる。義教金はこれまでも半分交付税で措置しているから作業は簡単、その他の補助金はどれだけ措置するか精査が必要。文科省は中教審を使って交付税批判をやっているが、現行でも2分の1=2.5兆円を交付税でみている。その努力も分かろうとしないで交付税化を心配する気が知れない。標準法があり、これから外れた場合には文科省に勧告権がある、必要ならもっと縛りをきつくすればいい。削減案の提出期限8月20日は、秋口から議論をやろうということ。概算要求には間に合わない。これからどうやってまとまるかは未知数、義教金だけをやったら他に改革が及ばないという声もある。最終決着のパタ−ンは昨年と同じようになるのではないか。」

予断を許さない今後の動き

 表向きは6団体の作業を静観ということだが、水面下では様々な動きがあると思われる。6月28日の『神奈川新聞』(共同通信配信か?)は、全国知事会内で 「06年度までの改革期間中に負担金の一部を先行して削減し一般財源化する考えが浮上」として、その「一部」の例示に事務職員・加配教員分、給与の内手当分、小学校の教職員分があげられている。5月の折衝の際総務省が「削減には縦割り、横割り色々考えられる」と言っていたものの具体化である。義教金総体を一気に一般財源化することへの抵抗の大きさから、まず部分的に先行実施して突破口とする。

 これが事務・加配教員分の削減先行実施を提案した意図だったろうから、まさに落しどころにされる可能性は高いと言わなければならない。

 全学労連は、7月15日の全国知事会全国会議を前に、全都道府県知事宛に義教金堅持の要請書を送付した。これからが正念場だ。

 

イラク反戦の声渋谷にこだます

 参院選挙投票日を1週間後に控えた7月4日、東京渋谷でワールドピースナウの集会・パレードが行われた。"VOTE for PEACE"―平和のための投票で自衛隊撤退の実現を!をスローガンに、多くの市民団体、労働組合、個人が参加、イラク戦争反対を重点政策を掲げる候補者の宣伝カーも数台駆けつけ、いっとき渋谷一帯にイラク反戦の声が渦巻いた。

◆今や戦中!◆

 集会では、漫画家の石坂啓さんが「もはや戦後でも戦前でもない、まさに戦中に私たちはいる。これ以上小泉政治の暴走を許すわけにはいかない。」と発言。沖縄辺野古の米軍基地建設に向けたボーリング工事阻止の闘いの現地報告。イラク現地からの若いジャーナリストのメッセージは、自衛隊は「宿営地の近くの村々にすら、ロクに水を配ることができず、付近の住民は今も泥水を飲んで病気になっています。学校の修復も、地元業者に丸投げで、しかも業者は手抜き工事を行っています・・・」と実態を生々しく伝える。集会参加を予定していたが、韓国人人質殺害を機にイラク派兵反対運動が急速に盛り上がり、そのための活動で参加できなくなった韓国民主労働党国会議員イ・ヨンスンさんからの熱い連帯のメッセージが紹介された。

 集会に向け、WPNが行った参議院選挙立候補予定者へのアンケート結果が紹介された。回収率56.6%はこの種の調査としては画期的な数字。回答者のうち、民主・社民・共産・みどりの会議は全員「自衛隊はすみやかに撤退すべきだ」、自民・公明は全員「現時点では撤退すべきでない」と回答。

◆不当な過剰警備―3名逮捕◆

 この日の警察の警備体制は異常なまでに挑発的・高圧的なものであった。機動隊が盾を持って並列規制するのは最近見たことがない。通常は普通の音量でやられている内部の命令伝達・・・「前へ」とか「間詰めろ」とか・・・を怒鳴り声でやっているのは明らかにデモ隊への威圧を意図しているのだろう。あちこちでトラブルが生じ、デモ途中で2人、解散地点で1人が不当逮捕され、一時は騒然となった。立川でのビラ入れを理由にした逮捕・長期拘留、政党ビラを配っただけで国家公務員法違反容疑で逮捕という一連の「戦時下の弾圧体制」を演じて見せたわけだろう。総括集会で不当弾圧を糾弾し、直ちに内田弁護士らが警察署に被逮捕者との接見に向かった。

(がくろう神奈川 池上)


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