2004年11月11日
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全学労連ニュース今号の内容

 新自由主義教育改革=義教金制度解体(受益者負担)+教基法「改正」(国家主義)に抗する継続的たたかいを

 10.1 全学労連 三省行動

 04 賃金に関する交渉―文科省―

 全学労連 全国総決起集会

新自由主義教育改革= 義教金制度解体(受益者負担)+教基法「改正」(国家主義) に抗する継続的たたかいを

義教金削減圧力は高まった

 9月の半ばになると地方議会で「補助金改革実現」決議が始まった。地方六団体が決議させているらしい。そして第二次小泉改造内閣に登場した文科省大臣は、大蔵官僚出身で顔見せ会見で文科省官僚の作文を読んではいたが、どうやら「三位一体」の行く末が見好かされる顔である。

 「三位一体改革」は中央政府の財政再建が最大の課題。経費削減と増税以外に策はあろうはずもなく、補助金削減とは地方(結局は国民)への負担押しつけであり、税源移譲は期待を裏切られ、増税は予定より早く実施されそうだ。そして「補助金削減案」には義教金の他にも沢山の項目がリストアップされているが、それら補助金の削減が国民の懐に及ぼす影響も大きいはずで、それと比較して「バッシングしがいのある学校・教員」へ補助金削減は金額が大きくても、抵抗が少なくなっているのではないだろうか。

学校行革に抗するたたかい

 すでに学校事務職員の合理化は進んでいる。第7次で加配事務職員が増えたというのに全国で定数より528人下回った配置である。(全国の配置率は98.5%)なかでも共同実施を推進する広島県の配置率は全国最下位の96.3%でしかない。−方教員の配置は、30人学級が広まっていることもあり概ね100%を超えている。学校事務職員は学校合理化対象としてすでに目を付けられているのである。

 そして今各地で新たな学校合理化の動きが始まった。都市部では「電子自治体化」が学校へ侵攻し、「本人入力+業務のアウトソーシング」で学校事務の解体の動きがはじまっているし、地方では総務省に脅迫されて市町村合併が進み、その結果として学校統廃合が更に促進され、共同実施と合わさり学校事務職員削減と非常勤化が進む。つまり国庫負担はずしを想定した合理化が進行しているのだ。

 学校事務聴員の将来を「物語」に託すのではなく、現実の合理化に抗していくことが将来につながる。今こそ定数100%配置を求め、臨職化を止め(勿論、臨職の労働条件改善の取り組みも同時に)、現場無視の「電子自治体化」を押し止めるたたかいを。

教育基本法「改正」を止めるたたかい

 義務教育費国庫負担制度は、国の教育統制支配に大きな役割を果してきた。今その教育統制の手段たる国庫負担制度の根本からの見直しと教育基本法改悪が同時進行している。

 新自由主義教育改革では、「自己責任」のもとに教育費の負担は国から地方へさらに個人へと移動していくだろうし、一方で分散する国民を統合し、国家の肥大化を進めていかざるを得ない。そのために教育基本法を替え、「国家のための教育」を国庫はずしと同時進行で行われようとしているのだ。

 日本はすでに軍隊を海外派兵し、戒厳令も可能な法律さえ作り、戦争体制は準備できている。そして実際の戦争への道を確保するために、国民の国家への忠誠心を高めようとしている。東京では教員と子供に「日の丸・君が代」を正に「踏み絵」にし、ひたすら国家への忠誠を強要している。これは義務教育費国庫負担制度がなくなっても、国家の教育統制と新たな国家主義教育が貫徹する体制作りなのである。

 学校行革に反対し、新自由主義国家主義教育再編に抗うたたかいを。

職場闘争と全学労連的連帯

 「三位一体」の結末がどちらになろうが、「交付税」も「総額裁量制」も「地方の合理化し易さ競争」になる可能性は高い。正に学校事務労働者として生さ残りを賭け、あらゆる場所で場面でさまざまな戦術を駆使していくことが求められている。

 これまでの我々のたたかいは学校ではほとんど一人だったし、組合も少数派だった。が、それでも我々は「一人の覚悟」と「全学労連的連帯」で、各組合員も各学労も全学労連も十分たたかい抜いてきた。これからの刺激的な場面でも、我々は最もしぶとい学校事務労働者として、職場でたたかい抜き、全学労連的連帯で生きのびていく。

 

10.1 全学労連 三省行動

 全学労連は、地方六団体が3.2兆円の補助金削減案を盛り込んだ「改革案」を政府に提出したことを受け、10月1日、総務省・財務省の今現在の動きに関して折衝を持った。また、文科省へは定例の賃金交渉と併せて、その「展望」を聞いた。

☆総務省☆

 総務省の担当者、黒瀬氏は次のように語った。「義務教育費は義務的経費だから全額補填されると考えている。しかし、地方が協議するものの、決着は閣僚である。また事務・栄養の給与費のみで決着は今は考えていない。12月までかかるだろう。」

 以下は、全学労連 全) と総務省 総) のやりとりである。

全)今の状況は?

総)進展がない。閣僚会議、財政諮問会議の予定もない。国と地方は1回各論でのすり合わせは食い違い。今後の調整法が定まっていない。関係閣僚会議も予定なし(すぐ)あっても合意にはならないだろうし…。

全)対案は?

総)用意していない。環境省などは8割が入っていて、対案どころではないのでは?

全)どこかで打開策は?

総)11月中には出さなければならない。

全)教育関係団体からのアクションは?

総)ここのところない。

全)地方からとして、3兆円削減の案を出したが、それ以上の案となっていることについては?

総)本来は全部受け入れるのでよいが、切り分けしてバランスを取るために3兆円にしたところだ。要は閣議決定の案ではなくて「地方」という形、地方は丸投げされた事への怒りがあった。そういう意識で出したもの。

全)第2期まで考えざるを得ないのか。

総)まだ不明確。

全)地方案の財政の格差が出るので、補助もすることも考えてるが。

総)地方も悩みがある。財源保障が無くなったら困るので、(財務省の考え:過疎地は義務的なもの以外やらなくてよいという案)それに不安が出てくる。

全)三位一体が出たときから、財務省のウェイトが異なる。それは、どういう中身なのか。

総)去年どおり、地財計画は放漫になっていると言う認識、でそれを考えましょう。例えば、3万人減らすとか…。2003年は3年分で公共事業も大きく減らしたが、国と共同歩調を取ろうということにした。

全)地方の財源確保はできるのか?

総)今、地方でも中身によっては増えることもある。地方交付税は今年は減らない(同額ぐらい)と考えている。

全)今年度削減の経過を。

総)地方税が増加し、人を減らし、地方債増やし、結果、地方交付税が減った。財務省は「減らせ」というのでその結果でもある。急に減ったのでショックは大きい。その反省で今回は戻した。臨財債というのがあってというのがあって、それを入れると扱いも変わった(それで不交付団体とされることもある)。

全)地財計画を作るときに「地方も決定に入れろ」という声は?

総)地方とすり合わせをして、地方の立場を取りつつ、総務省が乗り出すというスタンス。地方は決定機関にはなり得ない。それで与党の中は分裂状態だ。

全)3兆2千億円を削るとしてその順番は?

総)そういうのはない。言い出すときりがないので…。ただ、最後までそうかと言われるとわからないが…。各省は細かいところを見ているかも知れない、アラ探し的に…。

全)税源移譲は?

総)うちはそのつもり。本当の税源移譲をね。中学校分を先に…というのもありだ。

全)全国知事会の中で事務・栄養を先にと言う声もあったが…。

総)栃木などの声ですね。全体のことの中では“全部”という案だ。部分的ということになる場合はありえる。“中学校”というのは許容範囲だ。部分(手当)切りというのはだめ、という。人(事務・栄養)に着目したものについては×とは言えないかも…。

全)義教の制度がなくなるとどうなる。

総)負担金がなくなれば、ウラをつける。財務省は、交付金化にして措置。次に、子どもが減ったら減額することはやるでしょう。

全)財務省の事務・栄養の立場は?

総)向こうからは言ってこない。退職金は財務省が出したのに文科省が言った(言わされた)。

全)市町村費の事務はほとんどいない、それが心配になる。

総)それは知事、首長などに認識させるのが筋でしょう。

☆財務省☆

 財務省主計官補佐の加納氏は次のように語った。

「いわゆる『三位一体』の改革のなかで義務教育費の部分についても、地方六団体と政府の議論待ちである。9/14に第1回の協議会がもたれた。10/12には協議会と文科省の補助金部分についての議論が始まる。それを受け11月中にはまとめたいと考えている。財務省は『政府―地方』の議論の違いを見極めたいと考えているが、ではどうすればよいかというと、こうも意見が違うと具体的な方向性が見えてこない。この際、国民も含めて徹底的に議論してもらおうと考えている。例えば、『教育は金がないと国が主導できないもの』か、『本来どうあるべき』なのかと…。」
「『三位一体』の改革の中で、国と地方は互いに財政再建していかなければならない。財務省の使命は、国の財政を『好転』させること、財政再建そのものである。義務教育費の歳出削減のために一部を地方負担へ、という意見もあるが、地方は『単に国の歳出削減で、地方負担は増すだけだ』という。『三位一体の改革を進めるならば税源付で権限、金を地方へ回すべきだ』ともいう。ただ、財務省としては税源移譲はしたくはない。もっといい結果を期待したい。また、かつての学校事務や栄養職といった個別の職種で先行的に削ると言った考え方は、今のところない。が、将来においてはわからない。強調して言いたいのは、『教育のそもそも』をこの機会に十分議論してもらいたい。」

 両者“いずれ譲らず”といったところである。国も借金、地方も借金を抱えている中で、お互いが納得のいくような結論は出るのだろうか、再建できるのだろうか。「教育のそもそも」も大事だが「政治のそもそも」は…?

 さて、「教育は国家の根幹を成すもので…」という言葉によって守られつつ、その中でも少しずつ、共済長期費、退職手当費等を確実に差し出して、なおも国庫負担金の大部分を占め、現在矢面に立たされている文科省は…。

☆文科省☆

 文科省担当者は、「(地方六団体の改革案に)対案はない。」という。また、「『総額裁量制』下では、給与費について職種間の流用もあり、地方の裁量による。地方の自由度は増しているはずだ」という。「この『三位一体』の改革を保護者はどう考えているのか」と、“世論の後押し”を期待しているようだ。

 

 ハタから見れば、「非常に興味深い」縮図である。名プロデューサー“小泉”はマスコミや世間をうまく使い、また、国会内でも得意の「のらりくらり」で、よくぞここまで火を付けたものだ、と不謹慎にも思ってしまうほどだ。これをどう収拾するのか、名プロデューサー、腕の見せ所だ!?

 だが当事者の一人である学校教職員はたまったものではない。現場では「なりふり構わず、働け!」状態、その上労働の対価である給与もおぼつかなくなってしまっては、まさに踏んだり蹴ったりである。

 

 全学労連は11月にも三省に折衝する予定である。今こそ、声を挙げてたたかおう!

 

04 賃金に関する交渉―文科省―

 全学労連は、文科省に9月10日に提出した「賃金改善に関する要望書」をもとに10月1日に交渉を持った。以下、重点項目についての回答を報告する。

<項目2>

 臨時的に雇用されている教職員(期限付き任用職員や非常勤職員等)の賃金の都道府県格差は、一般の教職員の都道府県ごとの差に比べて極めて大きい。

 「同一労働同一賃金」の原則を適用するように各都道府県教委に働きかけること。

 また、これらの職員に、法の趣旨を無視し、雇用保険等の社会保険制度の適用をしていない都道府県教育委員会に対し、社会保険制度を適用するよう働きかけること。

文) 臨時的任用及び非常勤職員の賃金に関しては、各都道府県において適切に支給されていると認識している。また社会保険の適用も適切だと認識している。

全) 社会保険を適用していない、期限付き職員の実態を把握しているのか?

文) 把握していない。

全) 全学労連の調査では各県によりかなりバラツキがある。今後、期限付きの職員が増大することも見込まれる。また、本来正規に職員を置くべきなのに、欠員補充などで臨時的任用をしている実態もある。全国的な実態の調査をすべきである。

<項目4>

「総額裁量制」が導入されたので、学校事務職員賃金改善のため、「義務教育国庫負担額の最高限度を定める文科省令」の別表第六の月額を大きくすること。

文) それは「総額裁量制」の考え方の問題で、“規準”としてあるものなので、“裁量”の中で減るものではない。総枠の裁定に使うものである。

全) 逆に、「地方の自由」といいながら縛られてしまうのでは…。

<項目五>

 「総額裁量制」が導入されたので、超過勤務手当の予算が、財政事情を理由に不当に削減されることにないように、「義務教育国庫負担額の最高限度を定める政令」第2条の「財務大臣との協議して定める」時間外勤務手当を大きくすること。

文) 勤務実態に応じて適正に支給されていると認識している。

全) 6%まで達していないところもある。

 

 「国庫負担」で大いにもめている中だからこそ、「肝心」の部分を抑えなければならない。が、文科省は「ぬるま湯」に浸かりすぎていたのだろうか。他省とも違わぬほど、地方(各県―区市町村)と密接な関係にあったと思われる文科省は、「ゆとり」に目を奪われ、あまりにも現場のことなど考えてこなかった。「日の丸・君が代」さらには「教育基本法」などにばかり注視せず、もっと現場の実態を把握すべきである。もう“きれい事”だけで済まされぬ“段階”なのだから…。

 

国庫負担はずし阻止!学校行革反対!賃金削減攻撃粉砕!教育基本法改悪反対!

全学労連 全国総決起集会

 いよいよ、国庫問題が緊迫感を増している。’84年から始まった学校事務職員・栄養職員給与費の国庫負担制度はずしは、今、負担法学校職員全体を巻き込んでの議論となっている。“地方自治”をたてに、税源移譲による一般財源化を目論む総務省。その税源移譲を拒み、“財政再建”のために弱者切り捨てをたくらむ財務省。自らの省益を守るため、学校のあり方、教育のあり方自体をも変えようとする文科省。

 全学労連は、この冬、例年以上に力を入れて「全国総決起集会」を行う。

12.3 全国総決起集会

日時:2004年12月3日 午後1時30分から

場所:全専売会館(専売ビル)  港区芝5−26−30

   JR山手線・田町駅 都営地下鉄・三田駅 徒歩5分

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