2004年11月27日
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全学労連ニュース今号の内容

 学校事務職員として生き抜くために12月3日、東京で行動を!

 「三位一体改革」は既に破綻した、数合わせの為の予算編成はヤメロ!!

 国庫負担はずし阻止!がくろう神奈川の闘い

学校事務職員として生き抜くために

12月3日、東京で行動を!

「国庫負担はずし」最終場面

 政府財政改善のための小泉構造改革「三位一体」の補助金削減、税源移譲、交付税改革は別の言い方をすれば、、「増税+受益者負担増+合理化」の三点セットである。ただし省庁と族議員の権益が混乱に拍車をかけている。

 義務教育費国庫負担金制度を巡っては、「国家による教育の統制」も絡まって一層混迷している。どうやら先延ばし気配が濃厚だが、「義教金削減ゼロ」では済まされず、「一部削減」での決着が近づいている。

あくまで「国庫はずし」阻止

 そもそも人件費のみになった義教金が「三位一体」で何事かがあったとしても、それは人件費を何処が負担するかの問題にすぎない。中央政府であれ地方政府であれ、財政改善を迫られているのだから、「賃金制度」や「人権制度」に手をかけないかぎり負担は変わらない。

 したがって、今行われようとしている義務教育費国庫負担制度の見直しとは、「補助金削減」でも「総額裁量制」でも、人件費の削減が眼目になっていく。

 わたしたちは、学校労働者の労働条件の悪化を招く「国庫はずし」にあくまで反対していく。

12月3日、最後の行動を東京で

 今年、全学労連は「国庫負担はずし」阻止に向け、あらゆるたたかいを組織し続けてきた。全国ではこれまで以上に地方自治体や地方議会をめぐり、要請行動及び意見書採択請願陳情を成功させてきた。国会署名も例年を超える数で提出した。

 中央行動も強化し、国会議員や中央省庁の他にも、地方六団体や地方教育団体への要請行動を精力的に行い、秋には毎月行動を繰り返してきた。その結果、総務省や財務省は私たちの声に少なくとも耳を傾けているし、地方団体は現場の実態に関心を寄せてきた。これらの成果を引き継ぎ、「国庫負担はずし」阻止を掲げ、12月3日に東京で決起行動を行う。

 「先延ばし」や一部削減が取り沙汰されているが、「学校事務職員先行」の危険も孕んでいる。それを一切許さないためにも、私たちは、あらゆる所に出没し、学校事務労働者の声を伝えていく。すべての仲間が東京に結集することを呼びかける。

12.3 全国総決起集会

日時:2004年12月3日 午後1時30分から

場所:全専売会館(専売ビル)  港区芝5−26−30

   JR山手線・田町駅 都営地下鉄・三田駅 徒歩5分

「三位一体改革」は既に破綻した、

数合わせの為の予算編成はヤメロ!!

―11.12全学労連は12団体へ要請行動を実施、そして12.3全国総決起集会・デモへ―

全学労連事務局学校行革対策部 佐野 均

☆地方の乱入もあり「蹴鞠遊び」は泥沼化

 「三位一体改革」をめぐる攻防が大詰めを迎えている。この中で義務教育費国庫負担金の扱いが大きな焦点となっている。財務・総務・文部科学の3省はそれぞれの省益をかけて必死の攻防を展開している。2年前に全学労連はこの構図を「三位一体の蹴鞠遊び」と評した(詳しくは2002年11月全学労連発行パンフ「蹴トバセ!!共同実施」参照)。今これに地方団体が加わって攻防はさらに泥沼化の様相を呈している。

 地方六団体の補助金改革案をめぐって開催されてきた「国と地方の協議の場」は予定されていた10月中には決着がつかず11月9日にも行われたが、結局接点の無いまま各省庁と地方の主張の言いっ放しで終わった。小泉総理は地方の案を尊重しろと言いつつも、自民党と族議員の顔色も伺いつつ、この問題が政局にならないよう配慮することを忘れない。案の定「三位一体改革」の全体像を示すとされた18日には、「別途検討」とか「さらに検討」などの表現ばかりが目立つ「三位一体改革基本的枠組み」が示されたものの具体策はまた先延ばしされた。

 義務教育制度については「その根幹を維持し、国の責任を引き続き堅持する」としながら、「地方案を生かす方策を検討」とも言い、どっちつかずで良くわからない。「こうした問題については05年秋までに中教審において結論を得る」と言うから、やっぱり先送りかと思ったらすぐ続けて「中教審の結論が出るまでの05年度予算での措置については、別途検討する」と言う。この「別途検討」の中身が問題でこれまで検討がされてきたのではなかったかと思いつつ、自ら定めた18日の期限に間に合わせるために、無理矢理体裁を整えたのがミエミエで妙な納得をしてしまう。

 さすがにこれでお茶を濁す訳にもいかず、政府は11月26日に「三位一体改革」の全体像を正式決定することにしたようだ。こういうのを普通は「先延ばし」と呼ぶのだが…。

☆「三位一体」って…?

 そもそも「三位一体改革」は、2002年5月21日の経済財政諮問会議で当時の片山総務大臣が、国と地方の関係についての議論の中で「税と補助金と交付税は三位一体で、三元連立方程式だ。1つだけでは答えは出ない。」と発言したのがきっかけで、こう呼ばれるようになったものだ。つまり税源移譲・補助金改革・地方交付税改革を一体的に行うことを前提としたもののはずである。しかし最初から議論の当事者相互の利害が絡んで、3つの要素の優先順位や改革の中身をめぐる食い違いがあった。

 それから2年以上が過ぎても財務省は税源の維持に、各省庁は補助金の維持に、総務省は地方交付税の維持に固執したまま「改革」の言葉だけが躍って、タイムリミットも迫ってきている。全学労連が評した「蹴鞠遊び」状態は基本的に変わっていない。「改革者」を自任する小泉首相は、掲げた旗は降ろしたくないものだから、例によって具体性の無い数値と期限の目標を定めては丸投げ・先送りを繰り返している。政権維持の為に一時は「ぶっ壊す」と豪語していた自民党の顔色も気になるし、補助金削減案を丸投げした手前、地方団体の顔色も気になるようである。しかし自民党では族議員が省庁と共に補助金を通じた地方への影響力の維持を図り、地方団体は地方交付税による財源補償を大前提とした「改革」を唱えている。国と地方の関係を見直すために始まった議論がその前提を欠いてそれぞれに都合よく進められている。こうしたことを考えると、「三位一体改革」は既に破綻していると言うべきではないだろうか。

☆この展開はいかにもヤバイ?

 「改革」が破綻した事と予算的な決着がつかない事とは別次元の問題だ。来年度の予算編成作業のタイムリミットが迫っている。先述したように政府は11月26日に「三位一体改革」の全体像を正式決定するというが、調整はかなり難航しているようである。小泉首相は、自分が判断を下さないで済むようにその前で決めてほしいと逃げを打っているようだが、そんな虫のいい話が通用するほど甘い状況ではない。

 はっきりと(しかし中身の無いまま)決まっているのは、約3兆円の税源移譲(ただし今年度実施分も含むらしい)と、約3兆円程度(地方の案は3.2兆円)の補助金削減だ。この数値ノルマをどう達成するかの数合わせの攻防が、今大真面目に進められている。このノルマを言い出したのはすべて小泉総理だ。考えて見れば、ここ何年か総理が根拠も示さないまま言い出した時期や数値を達成する事ばかりが行われている。そのためにどれだけの労力が費やされ、その検討の俎上に度々上らされた学校事務職員が翻弄されたことか。

 最悪なのはタイムリミットが迫り数合わせだけのための総理の「決断」が下されることだ。もともと細かい内容に立ち入ろうともしていなかっただけに、それがなぜそれまで先延ばしになったかの理由も問わずに細部は既存の案をつまみ食いで、例えば財務省・総務省が主張してきた義務教育費国庫負担金の学校事務職員分約1200億円。これがこれまで出ている補助率の引き下げとか加配教員分とかの案にオプションとしてつけられる…。事務職員分なら族議員の抵抗も弱いと判断される。現に総務省は昨年そう読んだ。あまりに悲観的かもしれないが、なまじ「決断力」だけは発揮したがるだけに何が起こるかわからない。

☆取り組みはまだまだ続く

 最悪な結論を想定して嘆いたり諦めたりするのは、これも最悪の選択だ。全学労連は10月の3省交渉に続いて11月12日に、地方6団体をはじめ文科・財務・総務の関係省と全国都道府県教育委員会連合会・全国市町村教育委員会連合会と経済財政諮問会議の全12団体に対して緊急要請行動をおこなっている。それぞれの団体の立場や主張は有るにせよ、各団体に「三位一体改革」は既に破綻し、中身の無い数合わせだけで予算編成作業が進んでしまう事の無いよう訴え、学校事務職員を含む義務教育費国庫負担制度の堅持のために関係機関に働きかけるよう要請した。〈要請書参照〉

 さらに予算編成の大詰めに先駆けて12月3日には全国総決起集会・デモを開催する。〈先頭ページの案内参照〉20年にわたる国庫負担外し阻止の闘いもいよいよ最終局面になるかもしれない土壇場だ。今年の札幌での全国学校事務労働者交流集会での特別アピールから引用して結びとしよう。

 「義務教育費国庫負担制度はひとつの外的条件ではあるが、それが残ろうと残るまいと我々の行政合理化との戦いは続く。制度が我々を守ってくれるのではない。我々自身が制度を活かして守るし、我々の労働条件をも守るのだ。

 『自らの労働条件は自らの手で』この当たり前のスローガンを高く掲げ、全学労連は全国の仲間と共に戦い続ける。」

<11月25日記>

2004年11月12日

全国知事会 会長 梶原 拓 様

全国学校事務労働組合連絡会議 議長 菅原 孝

義務教育費国庫負担制度に関する要請書

 貴職の日頃のご活躍に深く敬意を表します。

 いわゆる「三位一体改革」の名のもとに、国と地方の役割分担の見直しが行われています。地方六団体は総額3兆2千億円もの補助金改革案をまとめ、その中で義務教育費国庫負担金のうち2006年度までに中学校分の教職員給与費8500億円の削減を求めています。さらに2009年度までに第2期分として残りの小学校分の削減も想定しています。ところがこれは3兆円の税源移譲は勿論として、それだけでは地域的な格差を生じることから地方交付税による財源の保障をも前提にしたものです。この案をめぐって関係省庁も加わり、国と地方の協議の場が内閣官房長官の下で9月から開催されてきました。

 しかし地方六団体と各省庁の意見は大きく食い違いを見せ、10月中とされた協議は11月9日にも行われたもののまとまらないまま終わっています。この論議の過程で谷垣財務大臣は、当面の地方財政計画の改革として、地方交付税を7〜8兆円削減することを表明しました。また3兆円の税源移譲の方法でも解釈が分かれています。

 言うまでもなく「三位一体改革」は、補助金改革・地方交付税改革・税源移譲を一体的に行うということで進められてきたはずです。しかるに各省庁は補助金の維持に、地方は地方交付税制度の維持に、財務省は税源の維持に固執したまま改革の全体像決定のタイムリミットが迫ってきています。こうしたことを考えると、「三位一体改革」は既に破綻していると言うべきではないでしょうか。

 もちろん地方自治の理念により地方分権を推進する必要があり、国から地方への負担転嫁は絶対にあってはならないことです。しかしこのような状況に到った中では、スケジュールに追われ中身の議論も不十分なまま、決められた数字上のノルマだけで予算編成の作業が進んでいくことに、私たちは大きな危惧を感じています。

 私たちは1985年度予算編成で当時の大蔵省が、義務教育費国庫負担金からの事務・栄養職員適用除外を言い出してから20年間に渡り、地方への人件費の負担転嫁であるとして反対運動を展開してきました。そして当該の学校事務職員のみならず、地方の教育関係諸団体からも反対の意見が数多く出され、また国権の最高機関である国会においても毎年学校事務・栄養職員に対する国庫負担制度の堅持の請願が採択されています。こうした経緯は極めて重く受け止められるべきであると考えます。

 国と地方の論議の中で義務教育費国庫負担制度は大きな位置を占めています。しかしこれまでの不十分な議論では、結局のところ学校現場の実態を踏まえない財源論から義務教育費国庫負担金の削減をし、地方への負担転嫁をさらに推進することになり、到底認められるものではありません。また、これまでたびたび出されている学校事務職員等の特定職種を取り上げて先行的に削減すると言う案も無くなった訳ではありません。このような考えは、学校現場におけるその職種の役割を不当に軽視しているものであり、学校現場の混乱を助長するものと断ぜざるを得ません。このような措置は、結局負担を学校現場や地方自治体が負うことになり、義務教育の質の低下をもたらしかねません。

 私たちは、貴職が学校事務職員を含む義務教育費国庫負担制度の堅持のために関係機関に働きかけるよう、強く要請いたします。

 

国庫負担はずし阻止!がくろう神奈川の闘い

 「三位一体改革」論議の中で国庫負担問題が急速に焦点化する状況を受け、がくろう神奈川は「やれることは全部やろう」の意気込みで取り組んできた。

 まず、組合内に闘争委員会を設け、月1回定例開催して、情勢分析、行動の企画立案を行って、闘いを牽引した。

 5月、県下全市町村議会への陳情・請願を例年同様行った。37市町村中半分程は郵送で受付けてくれるが、残りは直接出向いて提出しなくてはならない。

 組合員で分担して年休をとって出かける。10数年来続けているので、応対する議会事務局も「今年も来ましたね」といった感じ。陳情書提出に併せて首長・教育長へも要請書を渡す。今年度は26市町村で採択され、意見書が国に送られた。残りは「卓上配布」の扱い(一度採択されたことのあるものは改めて採択に付さないルールの議会がある)で、「不採択」はない。国への意見書作成に慣れていない議会から「雛型を示してほしい」の連絡を受け、送ることもあった。

 7月20日、「国庫負担はずし阻止!」集会を開催、全国知事会の動向等情勢について確認し、「あきた教育新時代創成プログラム」等のポスト国庫を先取りする動きについての認識を共有化した。

 全国知事会で松沢神奈川県知事が義教金廃止の急先鋒の発言を繰り返していることに対し、7月26日、抗議の緊急申し入れを行う。「一般財源で運営している県立高校で、教育がガタガタになった例はあるのか」なんぞと、教職員を含む県職員の賃金を5年間に亙ってカットし、県単職員を減らし続け、旅費の配当も削減し続けている神奈川の知事がどの面下げて言えるのか、と。知事への申し入れ書のコピーを添えて県下全市町村長宛に要請書を送付した。

 9月から10月にかけて、各支部でミニ学習会を開催。多くはないが組合外からの参加者があった。併せて、県下全市町村長、教育長への要請行動を行った。これは郵送でなく足を運んで直接訴えることにする。これまでの陳情・要請の積み重ねで、国庫負担問題への理解が相当進んでいると実感できた。首長、教育長と面談できたところもあった。A町長談「(補助金削減で)防災対策費なども発災時の当該年度のみ補助があるだけで、次年度以降は自前で対応しろということになりそうだ、義教金廃止されれば影響は大きい」、B教育長談 「財政当局は必ずしも教育費を重視するというふうにはならないので、一般財源化されればかなり影響を受けるだろう」、C教育長談「組合と考え方は同じだ、関係機関に働き掛けます」。

 10月29日、「国庫負担はずし阻止!県内総決起集会」を開催。地方6団体の補助金・負担金削減案提出後の情勢について確認し、義教金制度をめぐる論点を一定整理し、国家。地方財政破綻の原因と新自由主義的「改革」への批判を行う一方、組合外の事務職員や職場の教員にどう働き掛けていくか等も討論した。群学労から3名の方が参加してくれた。

 11月12日、全学労連の中央要請行動に参加。12月3日の全国総決起集会には全組合員参加の態勢で臨むことにしている。(池上)


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