2005年10月17日
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全学労連ニュース今号の内容

 怒りの声を! 全国総決起集会へ

 全国学校労働者交流集会に参加して

 総選挙結果と私たち−私的感想

 国会請願署名にご協力をお願いします

怒りの声を! 全国総決起集会へ

 義務教育国庫負担の情勢がいよいよ緊迫してきている。

 10月12日、中教審の義務教育特別部会は、国と地方財政の三位一体改革で義務教育費国庫負担制度について“制度維持”を柱とした答申素案を提示した。この地方の主張が全く受け入れられていない素案に地方六団体側は猛反発。小泉首相も文科相に地方案を尊重するよう指示している。中教審は18日の部会で答申案をまとめる方向だが、負担維持が多数を占めている中教審有識者側からの答申は首相・地方と対立するものとなる可能性がある。

 全学労連は、10月7日、文科省と賃金に関する交渉を持った(詳細次号)。そこでも、文科省側は「(義教金に関しては)中教審に委ねています。」の一点張り。しかし議会請願等に関しては「町村レベルでは請願がそこそこ通ってきている様子だ。」とやはり義教金が外れることへの地方(町村)の声を求めているようであった。いわゆるごく小規模自治体の「地方の声=全国平等な教育行政」が中央に上がってくるに従って「地方の声=地域ごとの特色ある教育行政」へと、さらには「特色ある教育行政=有効な教育費財源の活用」へと変質しつつある。今年も全学労連加盟団体では、がくろう神奈川をはじめ全国各地で市町村議会への請願活動を行った。小さな自治体からの感触は、やはり「国庫負担堅持」なのである。この「地方の声」はどこでよじれ曲がるのか?

 11月2日に、全学労連は総務省への緊急要請行動を予定している。

 さらに、12月2日には全国総決起集会。その前段として、また総務省への要請行動を計画している。

 国庫負担に関する国会請願署名も集約中だ。(本号4P参照)

 例年以上に緊迫している国庫負担情勢。全学労連は、まだまだ、できる限りのことに取り組み、国庫負担維持を訴え、闘い続ける。

 

全国学校労働者交流集会に参加して

――主催 全国学校労働者組合連絡会――

 

 8月下旬の暑い日、かの有名な東京大学の前にある旅館を会場にして、全図学校労働者交流集会が行われました。

 交流集会では全体会や分科会などで個性ある職場の取り組みが、次々に紹介されていきました。それらは大きな方向性はあるものの、決して形式に囚われない多様な運動形態を持っています。たとえば、職場の中で、裁判で、意義申立てを行ってなど、一人ひとりが持てる発想を駆使しながら個性ある運動を作り上げているのです。このように生き生きと、そして悩みながら、「人間らしい労働とはなにか」をきっちりと見つめ主張できる教師達にしばらくぶりに逢った、そういう感想をもちました。

 教員の限定4項目以外の超勤も、超勤と認めるべきであると裁判を起こした人あり、学校現場に内心の自由が許されていないとして、「君が代j強制を憲法に問う裁判を起こした人もいます。理由もないC評定の評価をうけた組合員の昇給延伸を撤回させる人あり、巻き添えで停職処分をうけた職場同僚の不当処分の撤回を求め、意義申立てをする人もいます。そして、条件付き採用者(新採用者)を、いわれもない理由で次々と退職強要した校長・市当局に対して、毅然としてそれを許さず、その責任を追及する取り組みなどが紹介されました。

 労働組合が毛嫌いされるこのような時代ですが、学校ですらこのように厳しい労働環境であるなかで、本当は私たちにとって労働組合こそがなくてはならない存在なのではないでしょうか。そして、この集会のレポートにもありましたが、当該者達の歯がみする悔しい痛みを思いやれてこそ、職場で頼りになる組合となっていくのだと感じました。このような取り組みが多くの学校に広がっていくことを願います。

(福島県学校事務労働組合 O

 

総選挙結果と私たち−私的感想

池上 仁(学校事務職員労働組合神奈川)

選挙とワールド・ピース・ナウと

 9月11日、よりによってこんな日にと思うが、前から予定されていた団地の草むしりを朝9時から。1時間しゃがみっぱなしは腰痛もちの身にはつらい。終わって立ち上がる時にもスックというわけにはいかない。堀口大学の詩に「ながい身振りで手にとった」というフレイズがあったが、ま、そんな感じだ。一休みして、選挙はがきをもって最寄りの小学校に投票に行く。出かける前に最高裁判事の国民審査投票の参考に、再度公報と、アンケート結果の載った新聞を引っ繰り返す。どうせ圧倒的多数で全員信任されるに決まっている。だいたい投票方法がいかがわしい。「信任する場合は○」としたらどういう結果になるだろう。それはともかく、上級審になるほどとみに反動性を強める裁判所、全員×にしてしまえ、という向きもあろうが、私としてはメリハリが必要と考えている。公報と新聞社の質問への回答を見比べて、×をつける判事の名前を確認して頭に入れる。

 投票を終えて、そのまま東京に向う。解散前から決まっていたワールド・ピース・ナウの集会・デモに参加するため、明治公園へ。会場で全学労連の幟旗をもった埼玉の佐野さんに合流。ユニオン東京、がくろう神奈川からの参加者も一緒。集会半ば、沖縄から駆け付けた若者の報告を聴いている最中に突如雷雨が襲う。土砂降り、稲妻の閃光、近くに落ちたのだろう凄まじい雷鳴。「こんなこともあろうかと思ってね」自慢たらたら取り出した折畳み傘も、ないよりまし程度。膝から下は濡れそぼち、靴の中もぐしょぐしょ。それでもにわか雨は止み、デモは予定よりやや遅れて出発した。途中からまた降りだして、佐野さんは全身濡れ鼠、海から上がった白熊のようで可哀相。それにしても、一時期数万人が集まったワールド・ピース・ナウの集会、今回は1000人余りか。

巨大な保守化の流れ

 夜半、選挙結果の大勢が判明し、しらけて酒飲んで寝る。

 これ程の自民大勝を予測していたかというと、それはなかったが、少なくとも民主党が力んで言っていた政権交替の可能性は全くないと見ていた。民主党にそんな迫力もエネルギーも感じなかったから。戦争と平和の問題ひとつとっても、自民党のハト派ほどの存在感もない。自民党と競う「改革」の内容もベクトルは同じ向きだろう。

 若者主体の投票率アップ分が自民党に回った、小泉の「劇場政治」が功を奏した、自民大勝の要因は「改革」をお題目にしつつ現状維持を求める有権者心理……、識者の分析はそれぞれにあたっているのだろう。いずれにしても小選挙区制のマジックが劇的な効果をあげた。その点は「政治改革」論議の際にすでに予測されていたことだった。しかし、それだけでもない。

 90年代初めの選挙制度改革論議の中で小選挙区制導入反対の論陣を張った石川真澄は、亡くなる2004年7月の直前、「世界」3月号で「巨大化した『保守支持』の果てに」と題して書いていた。

 「2004年、ついに戦地にまで派兵するようになった日本の政治は、どこでどう曲がってこうなったのかと考えるうちに、中曽根政治とそれを強力に支持した国民多数の意識に突き当たった」「朝日新聞の政党支持率調査で自民党支持は1955年の結党以来ほぼ25年間、おおむね40%台を上下していた。それが、1980年代に入ってからは突然50%台を超えて急上昇を続け…略…86年には約58%と、6割に手が届きそうになっていた」「不沈空母」発言、靖国神社参拝や防衛費「GDP1%枠」撤廃の「右寄り」「タカ派」路線、審議会を使ったトップダウン手法、国鉄等の分割民営化、「公労協」骨抜き、「ロン・ヤス関係」の日米関係強化、「そのなかに今の『小泉政治』やその改革構想との共通項や源流を見つけることはそう難しくない…略…私にはその『なし崩し』に賛成し、協力し、あるいは傍観してきた『民衆』の膨大さが胸に迫る…略…巨大化した保守支持は、今日の『二大保守政党』時代化へ、真っ直ぐにつながってきたように思える」

 議席の偏りには劇的なものがあり、憲法改悪を含めてどんな悪法も通りかねない状況が作られたことは、強く警戒しなくてはならない。しかし、今回の選挙結果は決して青天の霹靂ではない。石川の描く流れの中に位置づけてみれば、これまでの延長線上にあることは否めない。それは私たちの働く学校現場で息苦しい管理統制強化がなし崩し的に殆ど抵抗なく進行していることとも結びついている。私たちにとっては、新しい壁が登場したのではなく、これまであった壁が改めてくっきりその相貌を示したということだろう。私たちは飽かずに闘い続けるしかない。

国庫問題の行方

 小泉は9月27日、文部科学省事務次官を呼びつけて義務教育費国庫負担金について「しっかりやってくれ」と指示した。(28日「朝日」)記者団の「地方案に沿ってやってくれという趣旨か」との問いに「そうですね」と答えたとか。「三位一体論議の本格化を前に、地方案に反対する文科省にくぎを刺した形だ」とあるが、記事から受ける印象は小泉の投げやりな姿勢だ。折から、PTA全国協議会等18団体(全事研も加わっている)の義教金制度存続の署名運動が全国で展開されている。これはこれで一定の役割は果たすだろう。私たちは全学労連に結集しつつ独自に義教金制度維持の闘いを展開していく。国会請願署名、そして12月2日の全国総決起集会・デモに向けて。がくろう神奈川では、この時期、郵政ユニオンと共に小泉構造改革を問う集会を企画し、また、昨年同様県下全市町村への要請行動を計画している。小泉「改革」がもたらす痛みは随所で様々な軋轢を生じざるをえない。私たちは国庫問題を中心に、丹念に追及・弾劾の声を発していこう。

国会請願署名にご協力をお願いします。

 今年は議会会期の関係で集約が早まりました。現在集まっているものを10月20日までに全学労連事務局へお送り下さい。

送付先:神奈川県横浜市西区平沼1−4−8 椎野ビル 全学労連


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