2006年1月28日
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全学労連ニュース今号の内容

 学校事務労働者の生存をかけてのたたかいへ

 補助・負担金削減から総人件費抑制へー教職員給与費は引き続き標的になるー

 4月から県内全小中学校で共同実施

 沖縄・中頭地区で共同実施

 月給10%カット,期末勤勉15%カット,退職手当5%カット,道・道教委 各労組に提案!高橋はるみ知事は即刻退陣せよ!ー弱者へ、これ以上の負担転嫁は許されないゾ!ー

学校事務労働者の生存をかけてのたたかいへ

 2006年、私の住む田舎の市でも「自治体の市場化・民営化」が進んでいる。新しい市民会館はPFI(Private Finannce Initiative,"昨年夏の地震で天井が落ちた仙台のプールがPFIだった。")で建てられ、運営されるというし、近所の特別養護老人ホームは指定管理者制度に変わった。また、件は来年度の定員を数百人規模で削減することを明らかにし、教育部内の削減(出先の教育事務所の定数削減など)も確実視されている。そして「三位一体」の数字だけは積み上げた政府は、次は「市場化テスト」「公務員削減」と目先を変えて、「公共部門の資本への大売り出し」を本格化させようとしている。

 

 昨年、義務教育費国庫負担制度を「1/3」で乗り切った文科省は「制度の根幹は守った。」と「義務教育は国家の責任」、つまり「教育の統制と評価」の機関として、みずから生きのび策をかかげている。そして、「学校の合理化は地方の責任」とすさまじい地方合理化の中に学校を放り出そうとしている。

 すでに都会では学校もPFIで建築しているし(福祉サービスとの共有部分は運営もPFI)、学校職員の非正規職員化は統計数字以上に進んでいるだろう。

 文科大臣は「純減のためには現業部門の削減を」とまで公言している。

 学校事務労働者もすでに多くの県で定数を下回る配置と、非正規職員化が進んでいる。

 「共同実施」も最近は、本格的合理化の道具として展開が速まっている。

 賃金合理化でも「給与構造改革」は、学校事務労働者の賃金水準を相当低い水準へ押し込めようとする動きが始まっている。それはまさに学校事務労働者を学校からたたき出す攻撃でもある。

 

 私たちの学労運動は「国庫闘争」の中で全国の仲間にたたかいを提起し、先頭を担ってきた。

 今、「新自由主義改革」の攻撃が、学校事務労働者の存在を脅かすものとして表れてきている。(もう一方で憲法ー教育基本法改悪が多くの人々の存在に対する攻撃と一体となっているのだが)学校事務労働者の「安心して働き続ける」ための労働組合のたたかいが、正に重要になっている。私たちは学労運動に新しい火を着けよう。

 

 学校事務労働者の存在を脅かす攻撃に対して、私たちの「生存」を勝ち取るたたかいにいどもう。

(議長 菅原)

 

来年度予算政府案+αを読む

補助・負担金削減から総人件費抑制へ

ー教職員給与費は引き続き標的になるー

全学労連事務局 学校行革対策部 佐野 均

☆第八次定数計画は見送り

 昨年12月24日に来年度予算政府案が閣議決定された。「平成18年度文教及び科学技術予算のポイント(政府案)」によると、「教職員定数・給与のスリム化」という項目で義務教育費国庫負担金は昨年より4387億円少ない1兆6763億円とされている。これは前号で述べた「三位一体改革」の政治決着による削減に加え、昨年八月に文科省が概算要求した第八次定数計画だが、政府案では「計画の策定は行わない」とされ、特別支援教育、食育の充実のための329人(ただし同数の合理化減とセットされている)を除いて1000人の自然減がそのまま反映された事による。定数改善が無いのは、1959年に定数計画が策定されて以来はじめてだという。

 それにしても第7次計画が始まった2001年度予算で3兆153億円あった義務教育費国庫負担金が、わずか5年間で約55%にまで減らされてしまったことに改めて驚く。

☆まだまだ続く「見直し」・「検討」

 しかも政府の予算案は、「三位一体改革」で終わりというわけではなく更なる削減の方向も示している。それは歳出削減の対象がこれまでの補助・負担金から公務員の総人件費にシフトを変えたことに対応している。

 昨年の人事院勧告で「給与構造の見直し」が打ち出され、各都道府県の人事委員会もこれに追随する事態となっているが、政府案でも「給与カーブのフラット化等の教員給与の構造改革につき、平成19年度予算編成に向け、議論を行う。この結果を踏まえつつ、人確法については、廃止を含めた見直しを行い、平成20年に所要の制度改正を行う。」と人勧との連携を明言している。

 また、昨年「三位一体改革」に政治決着をつけた政府・与党合意を受け、予算案でも義務教育費の国庫負担率を1/3に引き下げるとともに、「今後、国と地方の役割分担、義務教育のあり方等につき、検討を行う。(そのための調査研究事業を新設)」とあり、「新教育システム開発プログラム」として新規に15億円を計上されている。これについては「中教審等で提言されたような義務教育改革のアイデアを、将来の制度改正も見据え、実際にモデル施行するための調査研究事業」と説明されている。「将来の制度改正」とは「教職員定数・給与のスリム化」という文脈から考えて、多くの学校関係者が皮算用している国庫負担率の復元という方向ではなく、定数減・給与引き下げによる国庫負担金の更なる縮小であるのは間違いないだろう。学校事務に関しては、文科省の説明では「共同実施」が研究の対象とされている。総人件費抑制策の中で「共同実施」の果たす役割は明らかであろう。

 これと並んで「全国学力調査の実施」29億円、「学校評価システムの構築」6億円が新規に計上されている。どちらも学校及び学校労働者の「生産性」を計る基準を提供するものとして機能する。要するに緊縮財政であっても、競争主義・成果主義を推進するものや人員や給与費を減らすための研究には新規でも金をつけるということだ。

☆定数標準法も見直し?

 政府予算案と同じ日にもうひとつ重大な閣議決定がなされた。「行政改革の重要方針」である。これは小泉政権が「小さくて効率的な政府」実現のため更に推進すべき課題をまとめたもので、「改革の今後における着実な実施のため、基本的な改革の方針、推進方策等を盛り込んだ『行政改革推進法案(仮称)』を策定し、平成18年通常国会に提出する。」とされている。

 内容は多岐に渡るが、総人件費改革の実行計画について見ると、「公務員の総人件費について、定員の大幅な純減と給与制度改革の強力な推進により、大胆に削減する。」と人減らしと賃下げによる合理化を表明している。このうち地方公務員については「総務省は純減上積みの取組を促進する措置を講ずる。」と地方の権限を否定した上で、「国が定数に関する基準を幅広く定めている分野(国基準関連分野)の職員(教育・警察・消防・福祉関係の200.8万人)については、地方の努力に加えて国が基準を見直すことにより、これまでの実績(5年間で4.2%)を上回る純減を確保する。」と国の取り組み手法を提示している。ここで言う「国基準」とは、総務省によると教職員の定数標準法などは「その最たるもの」だそうだ。それを見直して「純減を確保」というならば、第八次定数計画が見送られるのは勿論、国庫負担制度が有ろうと無かろうとそれを減らす方向が検討されるのは当然の事といえる。これに続いて「特に人員の多い教職員(給食調理員、用務員等を含む。)については、児童・生徒の減少に伴う自然減を上回る純減を確保する。」と、わざわざ人員の多い事を理由に「国基準」に無い職員も含めて教職員が標的であると述べている。

 また予算案と同じく人確法の「廃止を含めた見直し」が述べられ、「具体的には、教職員給与関係の法令を含め、教職員給与の在り方について検討を行い、平成18年度中に結論を得て、平成20年春に所要の制度改正を行う。」とさらに具体化している。この通りだとするなら来年度は人確法の取り扱いが焦点という事になる。人確法の評価については全学労連は否定の立場であるが、総人権費抑制策の文脈からくる廃止論には無条件で賛意は示せない。むしろもっと踏み込んで給特法とセットでの廃止と教員の時間外勤務手当の新設を求めたいところだが、政府の意図がそこに無いことは明らかだ。

☆公務員叩きの行く末は…?

 地方公務員給与については、「今回の国家公務員の給与構造改革に準じた改革を徹底し、人事委員会機能の強化に取り組むとともに、給与情報等の情報公開等により住民自治を原動力として不適切な手当等の是正を徹底する。」と述べている。ひと頃は自らの都合で「労働基本権の代償措置」という論理すら捨てて軽視していた人勧制度だが、手の平を返したようにその強化を言い出した(当然そこには涙ぐましいまでの人事院官僚の“努力"があったのだが)。

 さらには情報公開を通じた公務員叩きの手法を推奨している。これを「住民自治」というらしい。これは最近北海道や大阪などで使われた公務員組合の成果潰しの手法に他ならない。公務員組合側のやり方に全く問題が無かったとは思わないが、労使交渉の合意の上で成立した事を、当事者外の世論動員により潰すというエゲツないやり方には大いに違和感がある。残念ながら、公務員とりわけ学校職員叩きに世論が拍手し溜飲を下げているという風潮があるのも現実である。しかしそれは全体的に見れば更なる低位標準化の結果しかもたらさないものだろう。総人権費抑制策は公務員だけの事ではなく、その後には「小さくて効率的な政府」とは相反する大増税と国権の強化としての憲法改悪が控えている事を忘れてはならない。

   

特集「共同実施」

4月から県内全小中学校で共同実施

群馬県学校事務労働組合

 国庫負担の1/3決着から間もない、年の暮れ、群馬の地方紙の第一面を「学校事務の共同実施」の大見出しが躍った。今年の4月から、県内の全ての小中学校で共同実施を行なう、というものである。昨年の4月、県教委が唐突に、共同実施の方針をぶち上げて以来、学校事務職員全体が右往左往、振り回されてきた挙句の、だめ押しのアドバルーン記事である。未だ検討中の事項まで明言されているなど、報道内容はいたって問題が多いものであるが、ともかく、事務職員の受け止め方は様々にしろ、ちょっとした衝撃ではあった。共同実施の推進を悲願としてきた事務職員などは、小躍りして喜びを顕わにしていたという。

 この4月からの導入が進められている共同実施の概略は次の通りである。

 (1) 県内全ての小中養学校において実施する。(2) 中学校区を単位とした5〜6校程度でグループ分けを行い、全県で100グループ程度。同一市町村で編成する。(3) グループに中心校を置く。中心校に事務長又は共同実施責任者を配置。(4) 週に1〜2日、各半日を原則とする。

 さて、群馬においては、第7次定数加配の申請状況は平成15年度の6名に始まり、今年度で3年目、10名である。改善計画の当初、県教委は、共同実施の考えはない、共同実施は人員削減に繋がると明言し、我々組合とも考え方は一致しており、加配を要求する勢力に対し懸念の声さえ発していた。群馬では長年、県単措置による事務職員の全校配置が維持されてきたという状況があり、加配を受けることで県単が引き上げられ、全校配置が崩れることが危惧された。その後、危惧は現実のものとなり、財政当局より、17年度には県単を全廃するとの方針が出される。

 こうした経緯の中、県教委は方針大転換、県行革への対策として共同実施の体制作りが必要であると、昨年の4月、開き直りであるかのように、この全校共同実施方針である。

 当初から、共同実施の具体的な中身はまったく不明で、来年度から実施するということだけが先行、既成事実化し、様々な憶測や思い入れでの先取りの動きに翻弄された半年が過ぎ、昨年の12月、県教委はようやく共同実施導入に向けた検討協議会を開催。学校関係者、市町村教委関係者の代表を委員とする当委員会に、我々も職員団体のひとつとして参加。協議会に先立ち、この無謀にして無茶な導入計画に対する問題点を追及した「要望書」を提出し、共同実施に歯止めをかけるべく、この学校事務の共同実施がもたらすであろう学校現場の混乱と弊害について、学校事務職員として、働く者の立場に立った取り組みを進めている。

 とはいえ、事態はいたって深刻である。こうした事態が学校事務職員自らの働きかけにより道筋がつけられてきたことを、改めて確認する必要がある。「権限と責任」を追い求め、邪まな野望を公言し、共同実施の推進を図ってきた勢力に対し、不安と危惧を抱える素朴な事務職員の声なき声を声として如何に結集していくか、それが問われている。闇雲に推進されていく共同実施に歯止めをかけるべく、組織や団体の枠を超えた、あらたな運動づくりに可能性を見出していきたい。

   

特集「共同実施」

沖縄・中頭地区で共同実施

人員削減・労働強化を許すな!

沖縄学校事務労働組合

 今年度9月から沖縄県中頭地区管内全市町村で「共同実施」研究が進められている。昨年8月に中頭教育事務所によって市町村教育委員会の担当者が集められ、5月に県教育庁義務教育課から出された「事務の共同実施の研究実践に関する要綱」をもとに9月から共同実施研究を始めるようにと“お達し”があったそうだ。沖学労は、複数の地教委に出向き担当者から話を聞いた。「県の事務の人がやっていることなので中身はよくわからない」「やれと言われてやっているだけ」「考える暇も与えられなかった」「義務課の出した要綱を示されたので、従わなければならないと考えた」。担当者の言葉から、中頭教育事務所の強引な手法が浮かび上がってきた。

 中頭教育事務所は、昨年1月の校長会、2月の事務職員研修会でも、管内全校で新年度から「共同実施」研究を行うとの計画を明らかにしていた。この動きに対し、沖学労は県教委との折衝で「県教委・義務教育課として全校実施を考えているわけではない。中頭教育事務所だけでやっていること。実施するかどうかは市町村が決める」との県教委の立場を確認した。それを踏まえて各地教委へ「共同実施」研究のはらむ危険性を説明、服務、権限、個人情報管理等の面での問題点を指摘し、当事者である事務職員の頭ごしに拙速に研究を進めることのないように要望していた。

 その後、教育事務所の直接の担当者の転勤や実施主体である市町村の腰の重さ、兼務辞令なしには一歩も進まないことなどから新年度になっても表立った動きはみられないままであった。

 それが8月に入って急速な動きを教育事務所が見せた。「学校事務コーディネーター設置要項」を作成し、昨年度までの「共同実施」研究実践者で第7次定数改善分の加配事務職員から2名に委嘱。この2名と教育事務所の担当を中心に、冒頭に書いた市町村担当者への説明会、校長会、教育長会、拠点校に予定される事務職員への説明会を矢継ぎ早に行うなど、「共同実施」へ向けた準備がなされた。これに対し本来実施主体のはずの市町村側は、「共同実施」研究の目的や中身を深く理解しないまま、やらなければいけないもの、やらないと何らかの不利益を被るかもしれないと受けとめ、教育事務所が作った雛型の丸写しで「学校事務の共同実施要項」を作成し、「共同実施」研究を行うことを決定している。地教委側は、この研究による結果の取り扱いについても詳しく知らされていない。市町村の名前を借りて、中頭教育事務所が好き放題に事務職員と市町村を振り回しているわけだ。

 この間、地方の自主性を妨げる元凶として指摘されている文科省→県教委→地教委という教育行政の権威主義に乗っかって、ゴリ押しで進められる「共同実施」研究。それに対し沖学労は、現在行われているのはあくまでも研究であり、研究への参加不参加は、事務職員個々の意思を尊重し決めるものという確認を県教委にすることで推進側の動きを牽制し、職域への情宣を行っている。また、地区に勤務する組合員が研究へ参加しないことで、無理のある研究にさらにほころびを生じさせている。

 沖縄における「共同実施」研究は、これまで「ひとつの学校にひとりの事務職員」「事務長等の新たな職階は求めない」ことを前提で行われてきた(推進側が沖学労の追及、批判をかわすため)。しかし、「共同実施」の目的は、事務職員の配置の仕方を変えることで、人員削減、労働強化を進めることにある。沖学労は、これからも続く国庫負担問題、進む市町村費事務職員引き上げ等、労働強化、職の存亡への事務職員の感じる危機感を「共同実施」へと利用されないよう事務職員の仲間へ働きかけていく。

   

月給10%カット,期末勤勉15%カット,退職手当5%カット

道・道教委 各労組に提案!

高橋はるみ知事は即刻退陣せよ!
ー弱者へ、これ以上の負担転嫁は許されないゾ!ー

北海道学校事務労働組合

 道、道教委は10月25日、関係労組に道財政再建のための「給与の独自縮減措置」と称して賃金削減提案を行った。上記3点の他、管理職手当(1〜6種)20%カット、査定昇給に係る特昇相当分の凍結の5点で、06年4月から08年3月までの2年間実施するというもの。

 道では既に3年間、例月給与の1.7%カットを実施しており、やっと本年の3月で終わると喜んだのも束の間、さらに追い討ちをかけるこの提案!

 さすがに怒り心頭に発した関係各労組は道に撤回を求めた。2年間ヒ言うが、果たしてそれで終わるのかという疑念が、これまでの道の姿勢や経緯からいって拭い切れないからである。

 現在の道財政危機を招いた根本原因は、国ー地方を通じた財界のための野放途な公共事業ばらまき政策であり、バブル崩壊後は景気対策と称して財界の権益を守るための道債発行が償還費の累増を招き今日の構造的危機を呼び起こしたことを考えると、まず責任をとるべきは道の幹部達であり財界癒着の構造を断ち切ることこそが問われている。その反省もないままに弱者である道の労動者に一方的に負担を転嫁することは本末転倒である。

国庫負担はずし率先賛成の責任は重いぞ!

 03年7月に道総合企画部政策室は国の三位一体改革に係る本道への影響について地方交付税制度堅持のばあいで60億円減、税源偏在の調整、地方交付税措置がなされない場合は360億円減となる試算を公表しているにも関わらず、高橋知事は昨年の全国知事会で、率先して義教費国庫負担廃止に賛成している。現実には04年度財務省による大幅な地方交付税削減が行われ、道の財政危機をより深いものに追い込んだ。その後も地方交付税削減は続けられており、国の地方への負担転嫁の責任を追及することもなく、安易に弱い立場の我々につけ回し合理化を狙っているのなら、なおさら罪は重い。

 不況のなかにあっても大資本、大手企業は首切り、賃下げにより余剰資本を増やし逆に収益を上げる。常にしわ寄せは経済的弱者である我々労働者に転嫁される。道民のためだとか財政健全化の美名に騙されてはならない。不健全な運営を続けてきたのは一体誰なのか。我々は無責任極まりないこの提案をのむことは出来ない。

カンパのご協力ありがとうございました。

 多くの皆様からの支えが、全学労連や事務局員の大きな原動力となります。今後も厚い支援をよろしくお願いします。

 まだまだ受け付けております


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