WEB 全学労連
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288号
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2006年7月17日
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1/3になったとはいえ義務教育費国庫負担制度はまだ残っているし、学校事務職員もその対象とされている。ところがここ数年の傾向として、学校事務職員の実際の配置数が標準法の定数を下回る都道府県が増えている。(別紙付録参照)
7月10日全学労連は定例の文部科学省との交渉と時期を合わせて、地方六団体と総務・財務三省及び都道府県教育委員会連合会・市町村教育委員会連合会に右のような「公立義務教育諸学校の学校事務職員制度に関する要請書」を提出した。交渉の詳細については次号で。
2006年7月10日
全国知事会
会長 麻生 渡 様
全国学校事務労働組合連絡会護
議長 菅原 孝
公立義務教育諸学校の学校事務職員制度に関する要請書
貴職の日頃のご活躍に深く敬意を表します。
いわゆる「三位一体改革」に関する昨年11月末の政府・与党合意により、義務教育費国庫負担金は、国の負垣率を2分の1から3分の1に引き下げられて約8,500億円が削減されました。このことは、同時に行われた税源移譲も拘らず、国の財政負担を地方に転嫁するものであり、今後憲法で保障された義務教育の水準が地方の財政事情により左右される事態が来るのではないかと、私たちは深く憂慮しています。
既に何年も前から教職員定数標準法の定数内での臨時的任用や非常勤職員化が進行し、文部科学省の進める教職員定数計画も、学級数や児童生徒数等の客観的基準に拠らない加配方式が取られ、定数配置の地域格差が生じている上に、今年度からは計画そのものも見送られています。私たち学校事務職員に関しても臨時的任用者の増加はもとより、標準法定数の欠員が常態化している地域が年々増えてきています。また学校現場から事務職員の引き上げに直結しかねない学校事務の「共同実施」を推進する所も出てきています。
こうしたことは学校職員の労働条件を切り下げるばかりでなく、公教育制度そのものの崩壊を促進するものに他なりません。
私たちは、貴職が下記の諸点実現に向け、貴職の職責に基づき関係諸機関に対し取り組んでいただきたく要請いたします。
記
以上
三位一体改革が一段落したが、結局は数字合わせの義務教育費国庫負担金三分の一が象徴するように、政府財政赤字の僅かな削減にだけに結びつきそうだ。誠しやかに言われた「地方分権」は、交付税削減の嵐の中での市町村合併のドタバタ劇を見せられただけである。
そして政府は、新たな財政再建策を掲げ始め、「三位一体」「地方分権」はどこへやら、今度は歳出削減と増税を明確に言い始めた。増税はすでに定率減税の廃止が決まり、次は消費税増税が目標になっている。歳出削減は福祉関連予算の削減メニューが議論され、老人医療費の改悪は改悪された。
そして「国民に痛みを与えるのだから、その前に国民から遠いところで、痛みを味わってもらう」とばかりに、公務員バッシングが一段と叫ばれている。すでに「給与構造改革」で十分痛手は受けているが、「公務員人件費削減、公務員人員削減」の目標値競争までに至っている。
国民から一番遠いのは、史上空前の大もうけの大企業と株長者だと思うのだが、そこからの徴税は「想定外」らしい。
教員の人確法が話題になっている。政府歳出削減メニューのひとつに揚げられ、文科省は対策に大童である。また、臨時職員の急増に「まあ、地方の財政的問題があるが、文科省は財務省に臨時職員の増加は教育水準の維持では問題があると言い、国会では教育上問題はないと答弁している。」とは文科省官僚の弁である。また、教頭と主任の間に「主幹?」などの中間職を設けて教員の階層化をいっそう進めており、そして「教職員評価制度」が何らかの形で導入されている。
これらの一連の流れは教育への歳出削減を民営化の手法で行う、「実質的な教育の民営化」である。人件費削減は臨時職員を使うことで達成し、その臨時職員の管理は、「新たな評価制度(成果主義)と中間管理職の手」で行い、安上がりの教育制度をめざしているのいるのだ。
まだまだとって付けたような「共同実施」が多いが、「学校事務の共同実施」の本質が学校事務の合理化であることは明々白々になってきた。学校事務職員定数の削減と臨時職員化の動きは活発になってきた。そしてその流れを促すように、今年度文科省は「教員の行っていた事務を事務職員に回す研究」を募集した。到底今の学校事務職員の配置では不可能な事務の量が例示されており、研究結果として「共同実施の推進」が当然想定したものなのだろう。
そこにも安上がりな教育のための「民営化」を狙った意図がある。少人数学級でも教員数が増えず持ち時間が増えた教員や臨時教員の多い学校の事務は事務職具に負わせるのだが、もちろん膨大な量は処理不能で学校事務の共同実施や事務処理の民間委託が必至であり、わたしたちが積み上げてきた「学校事務」はそこには消えてなくなっている。教員は学力向上(工場)をもっとも安く行うことが求められ、学校事務職員は膨大な学校事務をこなすための処理マシーンになる。
今こそ学校に、歳出削減に従わせる「教育の民営化」に対抗するために、労働組合が必要になっている。教員も学校事務職員も長時間労働が常態化しへとへとに疲れた体と、評価に一喜一憂する精神で極限の状況にある。そんな中だからこそ、わたしたちは労働者であることを再確認し、雇用主に事業主に使用者に、労働者の権利を保障させ、責任を追及できる労働組合の力を発揮させていきたい。
雇用主に安心して働き、生活できる賃金を要求しよう。事業主にそこの職場で必要な人員を要求しよう。使用者に健康な生活を送れる労働時間を求めよう。
「教育の民営化」に歯止めをかけ、「国家に奉仕する人つくり教育」を蹴っ飛ばし、教育を、学校を、学校事務をわたしたちの手に取り戻そう。
(議長菅原)
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群馬における共同実施(経過については、全学労連ニュース285号で報告)が、この4月より全県での試行に入った。昨年4月に、県教委が唐突に共同実施方針をぶち上げてからたった1年、市町村教委にも学校長に対してもほとんど説明のないまま、ただ県行革方針への対抗策としての共同実施ありきであった。
そんな中で早くも問題ある動きが出始めている。
あまりにも性急な導入のためもあり、共同実施の中心校は決まったものの、共同事務室としての部屋どころか机や椅子もない状況である。しかしそんな中、県事研を押しのけて張り切っているのが、事務長の権限強化を主張し続けている事務長会なる自主団体である。彼らの作成した「共同実施導入マニュアル」なるものをみてみると、
としたうえで具体的な分掌作成する上では
・・・・・等々となっている。
まさに驚くのをこえて滑稽にさえ思えてくる。たしかに県教委は事務長としてのリーダー性を期待するといっているが、それは経験と事務への精通部分であって、誰も上司(管理職)になれとはいっていない。県教委でさえ事務長の管理職化はきっばりと否定している。となると事務長会は共同実施を利用して長年の夢=管理職化を手に入れようとしていることになる。これはなんとしても食い止めなければならない。あくまでもグループ内の人間関係は、共同実施が入る入らないに関係なく対等なのである。
現在群馬県小中養護学校事務研究会は、夏の関プロ神奈川大会の発表に向けて、その準備を進めているが、その内容は極めて問題の多いものとなっている。
それは「未配置校が増加した場合の学校事務について、共同実施を通して組織形態を考慮」として、未配置校対策としての共同実施の組織形態について研究していることである。そこでは5校中の1校を未配置校と想定し、周辺4校の関わり方を各種パターン化し、そのメリット・デメリットについて説明している。
群馬では県単措置の廃止により昨年度から2校の未配置校がでてしまったが、この責任は県教委が負うべきものである。決して、共同実施を迫られている事務職員が責任を感じこれをフォローすべきものではないし、出来る問題ではない。
群事研の研究の行くつく先は、さらなる未配置校出現の助長であり、その先は事務職員の削減につながるものでしかない。共同実施と未配置校問題は全くの別問題であることをきっちり認識させていかねばならないと考えている。
先日全県に配布した情宣に感想が寄せられた。「今始まった共同実施はここ何年かは耐えられるかもしれない。しかし、今盛んに推進している事務長会の人たちが退職する頃には『成果』が見え始め、そこからが本当の学校事務職員の地獄の始まりなんだ」と。群馬では共同実施は始まってしまった。しかし、それで終わった訳ではない。「地獄」とならないために最大限の抵抗を試みていきたい。
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