2006年11月11日
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全学労連ニュース今号の内容

 県下全市町村教委への要請行動

 9/21、予防訴訟一審勝訴!-「判決」を活かし、でもって乗り越えよう!

 「今、学校にいることにこだわろう」をテーマに

 SSC(総務サービス事務)稼働-大阪府

 

県下全市町村教委への要請行動・・・がくろう神奈川

定数・欠員・非正規労働者の労働条件改善を求めて

 がくろう神奈川は学校事務職員賃金の国庫負担外しを阻止するため、毎年6月議会への陳情・請願と、首長・教育長への要請行動を県下全市町村に対して行ってきた。「三位一体」改革の流れの中で最大の山場となった一昨年、昨年は秋にも要請行動を展開した。国庫問題が負担率切り下げで一応の決着をみ、当面は学校事務職員外しの大きな動きはないだろうとの見通しの下、今年度は議会陳情・請願は見合わせ、かわりに8〜9月の時期に事務職員課題での地教委への要請行動を行うことにした。

進行するポスト国庫状況

 国庫が一段落したとはいえ、学校事務職員を取り巻く状況には厳しいものがある。全国的には標準定数法上の定数に大きな欠員を生じている県が、東京都等都市部を中心に増えている。全学労連の追及にもかかわらず、文科省は是正のために腰を上げる気配はない。今後総額裁量制の本格運用が始まれば、一層深刻化する恐れがある。

 「給与構造改革」によって従来の「わたり」が見直され、学校事務職員賃金の大幅引き下げが行われた県が出てきている。一方、文科省は7月の全学労連との交渉のなかで、「学校事務職員は仕事をしていないという声がある」と暴言を吐いた。現在行われている教員の勤務実態調査の結果とも関連して、労働強化を強いてくる可能性がある。これに呼応するかのように「生き残りのため」と危機感を煽り、共同実施を推進しつつ仕事取り込みに走る全事研勢力の動きもある。横浜では中田市政の下、トップダウンの仕事押し付けで多忙を極める副校長の業務の一部肩代わりを研究会・教組事務職員部(横浜では癒着している)が声高に叫んでいる。

現場の実態を訴える

 要請内容のポイントは定数・賃金改善、共同実施反対、非正規労働者の労働条件改善。全学労連や組合で作成した資料を示しながら、現場の実態を丁寧に説明する。幾つもの教育委員会で教育長が直接要請に耳を傾けてくれた。とりわけ欠員補充臨時的任用職員(県下で2000人を超える)の4月1日任用開始の要請(神奈川では4月5日〜3月25日の任用)には、年度当初「ボランティア」で勤務せざるをえない実態を承知している教育長もいて、強い関心と理解を示してくれた。

 欠員問題では、学校の統廃合の予定があり、町自ら臨任配置を希望したという実例もあった。共同実施については組合員不在の地域で相当進行している実態が分った。実際に足を運んで分ることが少なくない。長年の要請行動の積み重ねで、組合の存在が認知されているためだろう、丁寧に応対してくれるところが殆どだ。

 要請内容については概ね理解が得られた。県に対し地教委からも声を上げてもらうことで、組合の対県交渉に有利な条件を作りたい。

(池上)

 

「日の丸・君が代」強制は「思想・良心の自由」(憲法19条)の侵害!

9/21、予防訴訟一審勝訴!-「判決」を活かし、
でもって乗り越えよう!

「日の丸・君が代」強制に反対する市民運動ネットワーク 京極紀子(がくろう神奈川)

 9/21、東京都立学校の教職員401名が、都と教育委員会(都教委)を相手に、都教委の2003年「10・23通達」による「日の丸・君が代」強制には従う義務がないこと等の確認を求めた裁判の一審東京地裁判決が出た。勝訴! (a)「10・23通達」に基づき出された校長の職務命令-「日の丸」に向かって起立し、「君が代」を斉唱すること、ピアノ伴奏すること-に従う義務無し。(b)起立しない・斉唱しない・伴奏しないことを理由として懲戒処分してはならない。(c)職務命令による精神的苦痛として一人3万円の慰謝料を支払え。訴えをほぼ全面的に認めた。

 

 難波孝一裁判長は「日の丸、君が代は、・・皇国思想や軍国主義思想の精神的支柱として用いられてきたことがあることは否定しがたい事実であり、・・なお国民の間で宗教的、政治的にみて日の丸、君が代が価値中立的なものと認められるまでには至っていない。教職員に対し、一律に、入学式、卒業式等の式典において国歌斉唱の際に国旗に向かって起立し、国歌を斉唱すること、ピアノ伴奏をすることの義務を課すことは、思想・良心の自由に対する制約になる」「人の内心領域の精神活動は外部的行為と密接な関係を有するものであり、これを切り離して考えることは困難かつ不自然であり、・・国旗に向かって起立したくない、国歌を斉唱したくない、或いは国歌を伴奏したくないという思想、良心を有するものの自由権を侵害している」と、「10・23通達」が憲法19条、教育基本法10条(教育への不当な介入の禁止)に反すると明確に判示した。

 

 本当は、至極当たり前の判決が、「画期的」になってしまう現在の司法の状況がある。そして当事者さえも「夢のよう」に思えるほど、東京の(実はどこでも!)現実は厳しいのだ。「予防訴訟Jという日本にはなじみのない訴訟の形式で、処分を受けてからでは回復しがたい権利侵害の救済措置を予め求めた原告たち。「戒告」「減給」「停職」t・と「10・23通達」以後、すでに345人が処分を受けた。ほとんどの人が処分撤回の人事委員会闘争などと平行してこの裁判を闘ってきたのだ。そして、「ココロ裁判」や「ピアノ裁判」等等たくさんの「日の丸一君が代」強制を問う裁判の蓄積の上にこの勝訴があるのだ。嬉しくないわけはない。

 

 都教委は東京高裁に即控訴し一切の反省も見せない。判決翌日には臨時の校長連絡会を召集、「通達に従え」と改めて指示。周年行事の職務命令も変わりなく出ている。ばかりか、「法律以前、礼儀の問題」(小泉元首相)、「控訴は当然、都立高校の現場を見てみるといい」(石原都知事)を始め、サンケイ等右派メディアのネガティブキャンペーンもものすごい。開会された臨時国会、安倍新内閣の最重点課題は教育基本法「改正」だという。この国の形を件り替えるために、全体重をか.けて仕掛けてくる攻撃と闘うための道具としてもこの「判決」を活かしていかなければ、と思う。判決は、国旗国歌法や学習指導要領を前提とする。「日本人としての自覚」「国を愛する心」「国旗国歌を尊重する態度」を育てることを有意義として、強制ではなく自然に定着させるのがよいという文脈にはやはり違和感を持つ。「強制はよくない」といった天皇の発言と重なってしまうのだ。判決の意義と限界をみんなで共有すること。判決を活かしさらに乗り越える運動を作り出していくこと。次を見据えての闘いを早急にみんなで準備しよう!次の一歩もファイト!共に!

 

「今、学校にいることにこだわろう」をテーマに

福島県学校事務労働組合 長谷川百合子

 今年度の福事労学校事務交流集会は「今、学校にいることにこだわろう」をテーマとして、2部構成で企画しました。第1部ではいわき支部などで行っている「学校事務の学校」を県内2カ所で行いました。「福辛労では学校事務をどう考えているのか、学校にいることにこだわるとは?」全国で琴同実施などが行われつつある今、改めて「学校事務職員が学校にいること」の意味を考えてみました。

和やかに「学校事務の学校パート1」開催

 10月21日(土)には、交流集会第1弾となる「学校事務の学校パート1」が南相馬市で開催されました。1コマと2コマの講師の菅原孝さん、阿部靖彦さんは、たくさんの資料を準備して、いつもより丁寧に、賃金や、学校会計についての「講義」を行いました。これから「学校事務職員」としてどう生きるのかというテーマにも触れて、それぞれの意見も交流しました。

 3コマめは県北地区の担当ということで、支部長の佐藤俊子さんが「ある事務職員の一日」というテーマで話をし、学校での仕事について意見交換をしました。県北からの組合員や、未組合員、相双地区の組合員の参加もあって、少人数でしたが、和やかな雰囲気で、ゆっくり語り合える充実した集会となりました。

ベテラン学校事務術 若い世代へ

 10月28日(土)には、白河市地域職業センターで「学校事務の学校パート2」が行われました。

 午前の部、阿部靖彦さんからは、教材費や学級費を含む‘私費の見直し実践’が報告されました。また、学校で行われている「教育」にもっとロを出そうとよぴかけました。午後の部は、若い事務職員の悩みを受けて、鈴木喜一さん、水野安子さんの両先輩から、人生経験をもとに、さりげないながらも核心をつくアドバイスがありました。尾形弘さんからは「法律から見る学校事務」と題して労基法の三大協定や出勤簿の休暇等、‘尾形流法令解釈の極意’が伝授されました。

 いずれ劣らぬベテラン学校事務職員が説く学校事務術は、長年培われた知識と経験に裏づけされた重みを感じるもので、若い世代からも大変参考になったという感想が聞かれました。

学校をどうしていくのか議論していこう!

 これから開催される第2部では、教育基本法の改悪など「教育」が大きく変えられようとしている中で、学校事務職最も、教員も、他の職種も、保護者も「学校」をどうしていくのか、という議論に関わっていくことが必要であるとして、一般公開の講演会を企画しました。「学校は本来楽しいところのはず」との主張を数多くの著書のなかで訴え、教育労働者の運動にも取り組むふたりの講師(横浜の赤田圭亮さん、愛知の岡崎勝さん)を招き、学校事務職員の問題だけでなく、学校に関わる者すべての課題として、「学校にこだわること」の意味を考え、意見を交流させる講演会としていきます。他県の皆さんの参加もお待ちしています!

日時:12月16日(土)14:00〜17:00

会場:郡山市民文化センター郡山市堤下町1−1 TEL(024)934−2288

・仮テーマ「子どもが明日も行きたい学校であるため」

講師 赤田圭亮さん 中学校教員 (横浜学校労働者組合)

講師 岡崎 勝さん 小学校教員 (がっこうコミュニティユニオンあいち)

SSC(総務サービス事務)稼働-大阪府

確認反故し交渉決裂!

 阪学労は9月11日に第7回府教委交渉を行った。このとき府教委は、昨年の定期交渉での「阪学労との懸案事項を解決しない限り見切り発車しない」との答弁を反故にし、この10月からSSCを稼働すると宣言し、交渉は決裂した。

 懸案事項とは、(1)学務管理課の機能・業務の問題。(2)システム機能の担当の問題。(3)端末設置場所のセキュリティーの問題。(4)端末の使用制限の問題。(5)労働安全基準の問題。(6)代行入力・紙入力の問題。である。

 特に(2)システム機能の担当の問題では、法定外控除(諸控除金事務)と主任手当は、その事務が発生した段階から、事務職員の仕事では無い事を府教委と確認してきた経過がある。主任手当は、制度創設時に日教組が反対し、強行実施される際に「管理職が処理する」を条件にし、現在に至っている。法定外控除は、それこそ全く法的根拠が無く、また労基法・地公法で禁止されている事項だ。だからこそ府教委と恩恵を受ける一部団体は、「親睦会連合会」なるトンネル組織をでつち上げ、「個人と親睦会連合会との契約」として法的追求から逃れてきたのだ。「諸控除金計算書」には、提出先の記載も無く、本人の捺印のみで処理されている。諸控除金事務のマニアルは、発行元も所管も記載されていない。実際に学校事藤職員の手を経る事無く完結出来る。しかし、今回のSSCのシステムでは、IDを持つ事務職員が端末を打たない限り成立しない。また、給与事務に組み込まれたシステムとなっている。我々は「諸控除金事務の完全分離」を強く要求してきた。府教委自身法的根拠の無い事を認めているからこそ「見切り発車しない」と言ってきた。しかし府教委は、何処からかの圧力があるのか、強行実施を宣言したのだ。

法定外控除にこだわる理由

 なぜ我々は「法定外控除」にこだわるのか。そ「れは、先にも書いた通り法的根拠の無い事務である事。そして、それを事務職員の犠牲を前提にシステム化されていることにある。「それぐらいサービスしたら?」との声もある。府教委も「協力して欲しい」と言う。しかし拒否出来ないシステムにサービスも協力も無い。あるのは強制である。

 私が勤めた頃の学校事務は、お茶汲み・電話番をはじめ、やり手の無い仕事や根拠の無い仕事が事務職員に押しつけられ、便利屋扱いだった。諸控除金に至っては、教員の弁当代からタバコ代まで給料から引き去っていた学校があったぐらいだ。逆に公費予算・旅費予算等の執行権限は教頭が仕切るありさまだった。そんな状況だったからこそ当時の組合も「職務の確立」運動を取り組んできたのだ。

 30年近く以前、全国で初の学校事務撤員の独自組合、東京都学校事務労働組合(都学労)は、「法定外控除拒否」を掲げて給与支給日にストライキを打った事があった。それは、違法な事務を事務職員に押しつけてきた事に対する怒りからだった。

 我々は、例え「旗末な事」であろうと、法的根拠が無く、事務職員の犠牲が前提のシステムを認める事は出来ない。先人のそして我々の努力が無に帰すからだ。

謝罪だけでは・・・

 9月11日のSSCの市町村への展開に関わる第7回交渉で、府教委が阪学労との定期交渉の場での確認を反故にし、見切り発車を宣言した事に対し、その場で厳重に抗議するとともに文書による謝罪を要束した。地公法で認めている定期交渉の場での発言を、無責任に反故にする事は、労使間の信義則に大きく反するものである。この間府教委は、兼務発令問題についても文書謝罪を行ったが、その後も確認違反を繰り返すなど「謝罪」の意味を理解しているのか疑いたくなる事態が続いている。我々は、謝罪文を求めるのが目的では無いが、府教委には、軽々しく文書謝罪を連発するのではなく、そのような状況に二度と陥る事が無いように猛省を求めるとともに、「けじめ」をつけさせる。

 
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