2007年3月28日

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全学労連ニュース今号の内容

 3.2 全学労連中央要請行動

 連載給与構造改革3 国庫負担制度は「32年通達」を前提にしている

 突如、卒業式で市歌を歌えの通知 改悪教育基本法の旗振る横浜市教委

 止むに止まれず住民監査請求!!

 シリーズ共同実施 「ある事務長日記から」

 

3.2 全学労連中央要請行動

 全学労連は3月2日、中央要請行動を行った。折しも教育再生会議が第一次報告を出し(前号参照)、中教審が教育関連3法案の具現化へと審議している中、総務省へ質問書をもとに折衝した。

全)・教育再生会議の第1次報告(以下「報告」と略記)に関して総務省の基本的立場と文部科学省等と行っている話し合いの論点を教えてください。

総)再生会議報告は総理の指示のもと出されているもので、きわめて重いものとして受けとめている。これまでの論点の整合性をこれからつけていかなければならない。文科省とは、教員免許更新や、学校への責任体制の充実などを話し合っている。

 

全)・「報告」の中には、教育委員会が予算・人事・教員定数の面で学校を支援すること質問メモなどが述べられていますが、その際の財源や制度の裏づけをどのように考えているか教えてください。

総)いじめの項目で18年度補正、19年度当初予算で電話相談、相談員の拡充?、の三面を考えている。具体的な内容はまだない。文科省と調整していく必要がある。

 

全)・「報告」の中に「教員の事務的負担を効率化・削減する。」という部分がありますが、その方法等について議論がなされているならその内容を教えてください。また総務省としてこのことに関しての考えがあれば教えてください。

総)教員は「教育に集中」してもらうことが必要なわけで、当然事務効率化が必要である。文科省とは議論していない。さしあたり、19年度予算で「教員用」のPCを普通地方交付税で財政措置する。全国に年間146億円でリース契約を考えている。これは学校に教員数の1/3ぐらい公費PCがあるという調査結果に基づくものである、今後実情もふまえ拡充も考えている。

 

全)・以前から言われている県費負担教職員の給与負担を政令指定都市へ移すという制度変更の問題と併せて、「報告」で述べられている中核市等市町村教育委員会への人事権委譲について議論の状況を教えてください。

総)中教審の議論からだと思うが、文科省の計画どおり努力していると思う。具体的にはまだ、何もない。

 

全)・教育再生会議が出した教育委員会に対する国の関与のあり方をめぐって、規制改革会議や地方団体から異論が出されていますが、この問題について総務省の意見を聞かせてください。

総)教育長の任命や、違法性があったときの措置のことを言っているのだと思うが、文科省と調整をはかっていく必要があると考えている。このことに関しては、地方六団体から2度、与党会議でも同様の意見が出されていて議論の整理が必要だ。

このほか・・・

 などが話の中で上がった。総務省からは「文科省調査で指導力不足教員が全国で500人」というが現場の実態はどうでしょうか?」といった、次年度の予算措置へと思われる質問があった。

 

 同じ日、全学労連は全国知事会へも出向いた。知事会の担当者は今回の一次報告に対し「具体性が見えていないので、コメントしづらいが、離島や僻地を抱えている自治体のことを何も考えていない。地方からは誰も賛成していない。先般改定された制度も使っていないのに、さらに権限強化だのしてどうするつもりだろう。分権からも逆行している。」と不満げであった。

異動の方、ご連絡下さい。

 人事異動の時期です。毎年4月を過ぎたあたり、この全学労連ニュースが迷手になり返送されることが多くなっています。次号は4月中旬の発行を予定しています。送付先の変更をされる方は、その頃までに同封のはがきをお送り下さい。

 これからも、活きのよい紙面を作っていきます。みなさまの応援を、よろしくお願いします。

 

連載 給与構造改革 3

国庫負担制度は「32年通達」を前提にしている

 

 前回の記事で、国庫負担金を算出する基準となる経験年数別単価表の最高年齢の金額(約44万円)は旧8級の最高号給の金額の相当していることを指摘した。

 今回はその経験年数別単価表をもう少し丹念に眺めてみる(別表参照)。

丹念に眺めた年齢別単価表  

 第1の視点は、「経験年数」とは何歳から何歳までをカバーしているかということだ。一番最後の経験年数が「38年以上」としているが、この「以上」とあるのは経験38年で昇給が頭打ちになることを示している。給与構造改革前までは56歳が昇給停止年齢だったので、この経験年数単価表は高卒採用をモデルとしていることが分かる。

 第2の視点は、各年の間差額だ。これは昇給間差額に相当するもので、この金額が他と比べて非常に大きいところは昇格したか、特別昇給を受けているかのどちらかだ。具体的に見てみると、経験年数13年、20・21年、26・27年、32年、38年が大きな間差額となっている。

 
行(一)初任給基準表
試験区分 初任給基準 学歴差 号俸差 有利差
T種(大学卒) 3−1   2号俸有利
0年 2号俸
U種(大学卒) 2−2 1号俸有利
4年 5号俸
V種(高校卒) 1−3  
 

 これらを実際の給料表に当てはめてみる。スタートとなる初任給は、高卒採用モデルということでV種(高校卒)試験採用者の初任給(1級3号俸)である。

 ちなみに、国の初任給基準は試験区分にしたがって、高卒と大卒で1号俸、同じ大卒でもキャリアとノンキャリアで2号俸の差が生じている。学歴社会の反映か、戦前の身分制の残滓かは分からないが、これはまた別の課題だ。

 

 閑話休題。

 初任給から1年1号で積み上げていくが、3級までは係員の級ということで初号給ワタリ、3級以降は単価表の各年の間差額が非常に大きいところで昇格させる。そうすると、3級以降の各級に6〜7年在級という昇給昇格モデルが見えてくる。単価表とモデルとの間では2〜3%程度モデルのほうが少なめになっていることと、間差額が単価表とモデルと必ずしも一致しないという違いがあるものの、おおむね同じようなラインを描いている。なお、昇格切替表を作成するに当たっては、4級以上の昇格メリットは見込まなかった。これは昇格メリットを見込んだモデルでは経験年数別単価表を大きく超えることとなってしまうためである。

 少なからず問題点はあるものの、文科省がモデルとした学校事務職員の昇給・昇格は、退職時には7級の最高号給あたりに到達していることを念頭においていると思われる。

 

 このことは昨年11月13日に文科省と全学労連との間で行われた交渉で「文科省では今までの水準をキープしたいと考えている」と回答したことと考え合わせると、「32年通達」の事務職員=旧四等級格付は文科省のレベルでは生き続けている。

(続く)

 

突如、卒業式で市歌を歌えの通知

改悪教育基本法の旗振る横浜市教委

 2月半ば、横浜の全市立学校に教育委員会から通知が届いた。「卒業式等における市歌の指導の充実等について」という表題で、要するに卒業式・入学式等で「市歌斉唱の実施を図るよう」求めるもの。突然何を言い出すのかと怪訝に思ったが、ねらいは次のところにあった。日く「平成18年12月22日に教育基本法が改正され、その第1章第2条の5に『伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと』と規定されています。これを踏まえて、児童生徒に市歌に対する正しい認識と郷土を愛する態度を育てるため」と。

 受け取った学校の対応はまちまちの様だ。すでに印刷してあった式次第を急遽作り直して「市歌斉唱」を入れたところ(多分大半はこちら、それが横浜の学校の実情だ)、シカトをきめこむところ。後日市教委はCDまで送りつけてきた。

 それにしても、さすが教育再生会議に人寄せパンダ教育委員ヤンキー先生を送り込んでいる横浜市教委、やることが早い。改悪教育基本法実体化の尖兵気取りなのだろう。ところで件の「横浜市歌」を紹介しよう。作詞はかの鴎外・森林太郎だ。

  1. わが日の本は島国よ 朝日かがよう海に 連りそばだつ島々なれば あらゆる国より舟こそ通え
  2. されば港の数多かれど この横浜にまさるあらめや むかし思えばとま屋の煙 ちらりほらりと立てりしところ
  3. 今はもも舟もも千舟 泊るところぞ見よや 異なく栄えて行くらんみ代を飾る宝も入りくる港

 文語体のこの歌詞、高校生だって内容理解は難しかろう、ましてや小学生にはチンプンカンプンだろう。詩としてみてもさして格調高いとも思われない。この歌に対する「正しい認識」とは一体なんだろう?「み代」は「御代」、広辞苑によれば「天皇の治世、また、その在位の期間を喜んでいう語」である。なるほど、これがミソであったか。市教委の木っ端役人のしたり顔が目に浮かぶようだ。

 さらに追いかけて、「儀式的行事等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施指針」を作ったからこれに従えという文書が届いた。「国歌斉唱に当たっては、司会者が参列者に起立を促し、『国歌斉唱』と発声する」「国歌斉唱は、ピアノ、吹奏楽等の伴奏により、指揮者の指揮の下行う」云々。虎の威を借る狐の増長はとどまる所を知らない風だ。

 思い出す。かつての勤務校で6年生の途中でアメリカから帰国し編入した男児がいた。彼は、卒業式の予行演習(いまだに「作法」の指導などがある)の無意味な退屈さに耐えられず、参加を拒否した。本番の卒業式もボイコットし、校長室で一人だけ卒業証書を受け取った。

 日の丸・君が代の強制とからんで最近の卒業式で強調されるのは「厳粛」さだ。子どもたちにとってどんな卒業式が相応しいのかという議論はついぞされなくなった。子どもや保護者が主人公ではないのだ。倣慢な「国家」が式場の中心にどっかと胡を組んで座っている、そんな気がする。そうした状況を少しも疑わずに、誰が泣いた彼が泣いたと喋々している教員の姿も見苦しい。

 初任の頃の1・2度を除いて卒業式には参列したことがない、職員室の留守番をしている。参列する気になれないのは、日の丸・君が代のためだけではないのだ。

(がくろう神奈川 池上)

   

止むに止まれず住民監査請求!!

 

 阪学労は、去る2月23日、大阪府監査委員会に対し、「総務サービス事務」の内、「諸控除金事務」の運用の差し止めを求める住民監査請求を行った。

 大阪府は、2002年電子自治体構想に基づく「総務サービス事務」の導入に向けNTT他の企業連合と35億円でシステム開発と運用の契約を結んだ。大阪府教委もそれを受けて2003年度から所管内の「総務サービス事務」のシステム開発と運用に着手した。その後府教委は、2004年度「総務サービス事務の市町村への展開」称して小中学校へも「総務サービス事務」を拡大する提案を我々に行った。

 我々は、先行実施されている知事部局や直轄校の「総務サービス事務」に、本来給与支払者が行ってはならない「諸控除金事務」(法定外控除)が含まれていたため、提案当初から、給与事務と「諸控除金事務」の完全分離他を求めて2年以上の交渉を重ねてきた。しかし、府教委は、「阪学労との懸案事項の解決無しに、見切り発車しない。」との確認を反故にし、昨年10月から「諸控除金事務」を給与事務の中に組み込んだ「総務サービス事務」を市町村立学校で強行実施した。結果、「諸控除金事務」が、IDを与えられた学校事務職員の「業務」として強制されることとなった。

 重ねて言うが、給与支払者である府教委は、地公法・給与条例で認められた「法定控除」以外の控除金事務(法定外控除)を行ってはならない。だからこそ府教委はこれまで、「親睦会連合会」なる有名無実のトンネル組織をでっち上げ、「諸控除金事務は、教職員と親睦会連合会とりそな銀行との三者の契約」とし、自らの関与を隠し、違法性の追求から逃れてきた。

 しかし、今回の「総務サービス事務」のシステム化の際、「諸控除金事務」を給与事務の中に組み込んでしまったため、府教委自身がこれまで「親睦会連合会」を隠れ蓑にしてきた「諸控除金事務」の運用処理が、名実共に府教委の「仕業」であることを明らかにしてしまった。加えて、発生源である学校現場では、IDを与えられた学校事務職員が、その「業務」の片棒を担がされることとなったのだ。

 我々は、府教委が、2003年度以降2006年度までで28億円近い財政支出を行い、「総務サービス事務」のシステム開発並びに運用してきた中に、法的根拠の無い「諸控除金事務」が含まれている事の違法・不当性、また、法的根拠の無い「諸控除金事務」を府教委事務局職員及び学校事務職員に「業務」として強制している事の二重の違法・不当性を指摘し、大阪府監査委員会へ運用の差し止め請求を行った。

 府教委自身これまで、「法令遵守」を口にし、我々にもその徹底を指導してきたのだから、例え「填末な事」であろうとも「利便性」があろうとも、「法令に根拠の無い事」をしてはいけないし、我々にさせてもいけない。

   

シリーズ共同実施

「ある事務長日記から」

 学校事務職を生業にしてから30余年、主事として採用されてから、ただただ年齢を重ねていくなかで、補職名も何度か変わってきた。今の事務長発令もその延長上にあり、多少のデコポコはあるものの一定の年齢と経験をへての発令であった。だから、一人職場でも事務長って言うんだ、などと同僚にからかわれたぐらいで、やはりこれまでどおりの一事務職員であることに変化はなかった。

 

 そんな「事務長」が、今年度(06年度)を迎えた途端、事務長たる者は「責任者」「統括者」「指導・助言者」「設定権者」等々でなければならない、などといわれたものだから、ちょっと待ってよ、聞いてないよ、ということになってしまったのだ。そう、それは全て突然の「共同実施」から始まったのである。

 

○月○日

 2日後にはまた共同実施の日がやってくる。

 県教委は回数について週2日各半日を上限としているが、私の勤務するA市では今は週1回半日が上限となっている。週1回というとそんなでもないと思われるかもしれないが、いざ始めてみるととんでもない、あっというまに次週が来てしまう。その度にメンバーは中心校までの出張になるが、週1ペースの出張なんて学校内では他に考えられない。また一方では、学校を不在にすることへの管理職や教員からの不満も聞こえてくる。

 

 ところで、共同処理する業務内容について県教委は、地域事情や共同事務室の整備状況に応じて、共同処理することにより効果が生み出せる業務をやるように、というだけで、あとは市町村教委や各グループに丸投げ状態のままである。したがって、1年の試行期間が終わろうとしているのに、集まったところで何をやっていいのかもわからない状簸である。

 さらには、仕事場となる共同事務室はというと、私のグループでは中心校の「特別教室」を借用することになっている。ところが、執務用の机や椅子さえもなく余り物をかき集めての対応となっている。

 

 こんな状況の中で、県教委は払たち学校事務職員に一体何をさせようというのだろうか.

 考えれば考えるほど「共同実施」に対する疑問はつきない。とはいうものの、2日後にはグループ員がまた集まってくるのだ。さて何をしたらいいんだろうか、今からとても気が重い。

 そんな「共同実施」が、この4月から「本格」実施を迎えるというのだ。

 当分、私のポヤキも治まりそうにない。

『シり一方共同実施』では、「学校事務の共同実施」二対する不安・不満・グチを掲載していきます.皆さんのまわりで「なんかへんだ〜」という共同実施体験がありましたら、全学労連までお送りください.web・携帯メール、封書、faxなんでもかまいません。事務長の立場、部下(?)の立場から日記風・論文風に語ってみましょう。


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