2007年11月30日
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全学労連ニュース今号の内容

 12/7全学労連中央行動前段 「『学校の民営化』をSTOP!11.21集会」開催

 埼玉県教委「職務遂行能力」不足職員研修を制度化―運用面での乱用に組合監視の道は確保―

 シリーズ共同実施「共同実施と事務研」

12/7全学労連中央行動前段

「『学校の民営化』をSTOP! 11.21集会」開催

手応えあったリレートーク

 12月7日の全学労連中央行動を前に、神奈川では標記の集会を開催した。主催はがくろう神奈川、神奈川教育労働問題研究会(高校教員のグループ)、全国一般全国協・神奈川の3団体。協賛団体として横浜学校労働者組合、神奈川県労働組合共闘会議が名を連ねた。

 集会の前に横浜駅東口、中央郵便局前でリレートークとリーフレット配布を行った。張りめぐらした横断幕の前で、学校事務ユニオン東京や「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会のメンバーの応援も得て1時間、こもごも学校の現状を訴えた。「ご苦労様」と声をかけてくれたり、「元教員だが学校がどうなってしまうのか心配だ」と語りかけてくる人も。一方、「競争主義のどこが悪い」とつっかかってきたり、これ見よがしに「君が代」を大声で歌いながら通り過ぎる人もいる。一角ではリレートークの間中侃侃諤諤の議論が続いた。リーフレットの受け取りも良く、街頭宣伝ならではの手応えがあった。

様々な角度から「民営化」を撃つ

 かながわ県民センターに移動して、6時半から集会が始められる。最初にレポート3本。がくろう神奈川から「『共同実施』を批判し学校事務の大合理化と対決しよう」と題して、08年度概算要求に共同実施のための事務職員加配を計上し、「教員の子どもと向き合う時間の拡充」を名目に事務職員に過重な労働を押し付けようとする文科省、各県で加速する総務・庶務事務の集中化・IT化、財政支出削減のための学校の「適正規模化」論や市町村合併が促進する学校の統廃合、これら新たな「差別―分断―合理化」の手法としての「共同実施」に全面対決して行こうと訴えた。

 全国一般全国協・神奈川から「外国語指導助手業務の民間委託と外国語指導助手の雇い止め」の問題。神奈川県教委が直接雇用していた外国人指導助手を雇い止めして、業界でも悪質と評判の「インタラック」に民間委託した経過、県教委のひどいやり口に県労働委員会に「不誠実団交、団交拒否、組合への支配介入」の不当労働行為を申し立て、近々和解提案が出る。外国人講師たちの賃金は直接雇用時は時給3350円だったのが、今では1400円位になってしまったという。このような民営化、非正規労働者、外国人労働者の問題を解決するには広範な社会的運動が不可欠、と提起した。

 神奈川教育労働問題研究会からは「県立学校の学校事務センター化構想」について。現行概ね4〜6人いる高校事務室を廃止し、学校には事務長1人と受付窓口担当として民間派遣職員だけの配置、吸い上げた事務職員を(人員削減を行いつつ)県内10箇所程度の学校事務センターに配置し事務の集中化を図るという構想が県教委から提案され、交渉の結果一定押し返して、事務室は廃止せず、各校1名程度を引き上げて庶務事務の集中処理を行うということで一旦決着した。現業についても共同実施の試行を進め、その間欠員は不補充、臨任・非常勤に置き換えていくという。

 レポートを受け討論に移る。参加者からは相次いで学校現場が荒廃していく現状が様々な角度から語られ、会場の使用時間ぎりぎりまで活発な議論が交わされた。最後に「市場原理万能主義の横行は私たちを窒息させる。当たり前に人らしく生きるために」闘い続けよう!と呼びかける集会アピールを採択して会を終えた。

(がくろう神奈川 池上)

 

埼玉県教委「職務遂行能力」不足職員研修を制度化

―運用面での乱用に組合監視の道は確保―

 教員に対する「指導力不足」という口実による管理強化が当たり前になっているが、学校事務職員も他人事ではない。埼玉県教委は今年9月に「指導力不足」教員に対する研修制度の行政職員版にあたる制度を提案してきた。曰く、「職務遂行能力を十分に発揮できない職員に関する要綱」である。

☆制度の概要

 対象となるのは、教育委員会が任命した教育公務員を除く職員、すなわち市町村立学校の事務・栄養職員だけでなく、県立学校の教員以外の職員や県教育局の職員も含まれる。「職務遂行能力を十分に発揮できない職員」とは、「職務に関する能力不足、仕事に対する意欲の不足、または勤務態度の不良等のために職務遂行に支障を生じている職員」と定義され、県教育局内のそれぞれの人事主管課長からの申請に基づき「教育局等職務遂行能力審査会」の審査・判定により認定される。そう認定された職員に対して、所属長又は市町村教育委員会は、人事主管課長と協議の上指導計画書を作成し、それに基づく職場での「指導及び研修」を原則として年度初めの4月から10ヶ月間行う。その成果に対する「教育局等職務遂行能力審査会」の判定次第で、認定の解除か、研修の継続か、研修効果無しの「退職勧告」かの3つの道が用意されている。

☆問題だらけの退職強要システム

 「退職勧告」までの明文化は、既にある「指導力不足教員に関する要綱」にも無く、規程だけの比較では、教員に対するよりも厳しい人事管理になる。もちろんこの段階では、あくまでも研修結果としての「勧告」なので従う義務は無いのだが、その後には「分限免職」という行政処分が有る事は言うまでも無い。間違いなく職員を退職へ追い込むシステムの構築である。

 また県教育局の人事主管課長がそのような職員の判定を申請するといっても、学校現場、特に市町村立学校においては、校長から市町村教委の管理体制や意向が不可欠な要素となる。つまり現場の労務管理を厳しくすることに直結している。

 さらに問題なのは、当該職員の認定に関する審査・判定をし、「指導及び研修」の結果までも判定する「教育局等職務遂行能力審査会」の組織構成には、申請をするべき小中学校人事課長・県立学校人事課長・総務課長という人事主管課長が入っているのだ。これでは裁判で告発する検事が判決をする裁判官も兼ねているようなもので、公正な審査・判定など望むべくも無い。

 実は同様の制度は、昨年度から知事部局では導入されていて、初年度8名が対象とされ、職場復帰できたのはその内2名のみで、4人が研修継続、2人が退職勧告を受けている。今回の提案は、知事部局の制度の部課を言い替えただけのコピー以上のものではない。今年8月に低投票率ながら再選を果たした上田知事の意志が強く感じられる。

 個々の職員に具体的にどういう問題があったかは、社会正義面して商業的利益の為の餌食を捜し求める「一部」報道業者でない限り、あまり大した問題では無い。問題の本質は、憲法15条に定められた国民全体の奉仕者であるべき公務員(当然採用した人事委員会の責任も含んでいる)を行政当局の都合(若しくは恣意)により退職させる口実となる制度を行政当局自身が得ることにある。「第三者機関」とされる人事委員会や裁判所が登場するのは、緻密な既成事実が出来て後のことであり、そこでの審議は、従来よりいっそう働く側に不利な状況から始めなければならなくなる。

☆運用面での監視の筋道を確保

 埼玉学労協が加わっている地域組合の連合体である学校ユニオン埼玉は、制度化原則反対の立場で県教委との交渉を積み上げていった。先に挙げた問題点以外にも、対象となる職員の定義が曖昧である上に学校現場と「審査会」の間があまりに離れているため、恣意的な運用の入り込む余地が大きい事を指摘。「審査会」の場での権力的な威嚇を該当職員に与えない為に、当事者以外も含む書面による意見陳述や代理人若しくは立会人の同席など、具体的な提案も行った。

 また、特に小中学校の事務職員などの少数職種の場合、「職務遂行能力」が不足しているとされる職員にさらに研修を課すのは、ますます仕事に支障が出て本末転倒ではないかと指摘した。すると県教委は、そのようなケースには再任用職員を追加配置し仕事の「指導・助言」をさせるという計画を言い出した。さすがにこれは、再任用職員はそういう立場にはないという組合の追及により「補助・支援」と訂正したが、これはこれで再任用職員の配置の問題として新たな課題となる。

 残念ながら制度化そのものの阻止には至らなかったが、制度が出来たからといって該当職員を無理やり生み出す事の無いよう、また管理職の恣意が入らない客観的事実の充分な積み重ねに基づいた審査に努める事など、細部の運用については組合の意見を多く反映させた。さらに「職務遂行能力を十分に発揮できない職員の対応に係る細部留意事項について、学校ユニオン埼玉との協議を継続していく。」という県教委担当主幹の一筆を取ることによって、今後の具体的な制度運用について監視し交渉していく筋道も付けることが出来た。今のところ当局は別な制度と言っているが、人事評価制度との連動や先にあげた再任用職員の配置など、まだまだ取り組むべき問題は多い。

 

シリーズ共同実施

共同実施と事務研

 私が転任前にいた市では、共同実施が始まっても、事務研の活動は活動で以前と変わることはありませんでした。しかし、転入先の市では事務研の活動は大きく違っていました。それまでは月1回の給与審査会があり、その場で教育事務所からの連絡、事務確認が行われ、また事務研の活動、事務職員同士での情報交換と相談の時間も確保されていました。しかし、今度の市では、定期的に事務職員が集まる機会はありません、全員が顔を会わせるのは年数回の研修会の時だけで、それも講義を聴けば終了になります。

 市全体に共通する問題、市への要望などが日常的に普通あると思うのですが、それらを自由に話し合い、要望などの形にまとめる場面が用意されておらず、全ては共同実施単位での相談ということになっています。しかし、共同実施から先につなぐルートがあるわけでもなく、結局、事務職員同士の日常的な交流といえば、共同実施グループだけに留まっており、そこから先に開けていないのが現況なのです。もはや、事務職員がみんなで一緒に自分たちのことを考え、仕事のことを考えていこうという場がなくなっていってしまうのではないか、そんな危機感も私の中に出てきました。

 事務職員制度の確立などという言い方もありますが、共同実施が進むと、逆に事務職員の繋がりは薄れていくのではないか、今の進み方を見ているとそう思われてなりません。実際、転任してみて半年たちますが、顔がわかるのがグループの人だけで、他のグループの人の顔と名前は全く憶えていません。これで同じ市の事務職員であるという認識がいつになったら持てるのでしょう?

 共同実施の単位に分断され、そのグループはといえば指導者が控えている、そんな未来図からは事務職員の生き生きとした姿は見えてきません。到底、そこからは学校事務そのものの発展も見通せないのですが、私の思い込みが強すぎるでしょうか?

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12/7集会チラシ  
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