2008年2月29日

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全学労連ニュース今号の内容

 公務員労働運動に対する不当介入を許すな ―総務省との組合職免問題折衝報告―

 学校経営支援フォーラム2007「教員の事務負担軽減」による教授活動の質の向上〜教員が子どもと向き合う時間を確保するために〜 1.23参加報告

 07 賃金確定闘争報告 福事労

 シリーズ共同実施

 

公務員労働運動に対する不当介入を許すな

―総務省との組合職免問題折衝報告―

 総務省は’08年1月16日付で「職員団体、労働組合に係る職務専念義務の免除等」について調査結果に基づく通知を各都道府県に発した。一部の地方公共団体において、依然として、「適法な交渉を行う場合に限られるべき勤務時間中の有給での活動、無給とすべき組合休暇等」について、「不適切な制度又は運用の事例」が見受けられたので速やかに「適正化」せよ、というのがその趣旨である。’06年1月にも同様の通知を総務省は出している。執拗な調査―通知の繰り返しの中で、当局による組合活動への不当な介入の動きが続いてきた。全学労連はこれら一連の状況を踏まえ、2月1日、総務省自治財政局公務員部公務員課と折衝の場をもった。

 総務省当局の見解はおおよそ以下のようであった。@地公法第55条8によれば「適法な交渉」に限り、勤務時間中においても行なうことができる。A「適法な交渉」とは、(@)使用者との協議、交渉、(A)(@)に入る前の20〜30分程度の時間、(B)必要最小限の予備交渉、をいう。B「適法な交渉」の場所に参集するに要する時間とは上記A−(A)の範囲内で認められる時間のことであり、交渉場所への移動時間とは区別されるべきものである。

 この説明に対して、全学労連は見解のA、Bの根拠を問い質した。総務省の担当者は『行政実例』(1966年)によると回答した。各自治体―教育委員会当局は、自治省(当時)によって示された「職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例(案)」(勤務時間中に給与を受けながら職員団体の活動を行うことができるのは地公法第55条8の規定に基づき適法な交渉を行なう場合に限られるべきである)を踏まえて、緩やかな運用を行なってきた。この裁量行為は認められて然るべきである。全学労連各組合の具体的状況に即してみても、交渉のために勤務場所から交渉が行われる場所への移動には相当の時間を要する。地公法第55条の趣旨を保障する観点からすれば「交渉に参集するために要する時間」は交渉場所への移動時間を当然含むべきである。全学労連のこれらの主張に対して総務省は、移動時間は「適法な交渉」に含まれないとし、交渉以外の組合活動に要する時間は「組合休暇(無給)」制度を利用すべきものであるとした。

 総務省が『行政実例』を盾に各自治体を指導することの法的根拠を問う全学労連の追及に対して、総務省は「『行政実例』の範囲を超えた運用については違法とは言えない。しかし、総務省としては適切な運用を求めていく」と繰り返すだけであった。全学労連は『行政実例』を自明の前提とするような発想ではなく、国公―地公法への批判を視野に入れたより積極的な労働組合運動の活動の権利を保障していく方向性を考えていくべきではないかと問題提起し、重ねて不当な介入をやめるよう要求して、折衝を終えた。

 折衝を終えて、『行政実例』に基づく総務省の指導こそが法であるといわんばりの姿勢は、学習指導要領の官報告示(1958年)以来、その法的拘束力を言い立ててきた文科省とあまりにも似ている。「適法な交渉」という当局の考える支配的な秩序の中に押し込められるのではなく、当局に対して突きつけていくべき課題は何なのか、労働組合の団交権を保障させていく闘いとは何なのかを改めて捉え返しながら、労―使の力関係を変えていく粘り強い取組みを進めていかねばならないと切に思う。

(事務局 羽成)

 

学校経営支援フォーラム2007

「教員の事務負担軽減」による教授活動の質の向上

〜教員が子どもと向き合う時間を確保するために〜

1.23参加報告

 大阪市の学校事務職員であるわたしにとって、「共同実施」とはどういうものなのか、いままで勉強不足であったので、今回は学習の意味もこめて、プラス興味半分、参加(偵察)してきた。

 まず、参加者の多さにびっくりした。もっと、閑散として地味なものかと思っていたけれど、管理職、校長?教頭?教育委員会?事務職員はもちろん、事務職員を研究している関係者?で満席で、けっこう熱気を感じる会場だった。そんなに、事務職員にもっと仕事をさせたいと思っているのか?と少々ムカついたけれど。

 午後からの参加で、午前中の内容は知らないが、午前中は教諭のアンケート結果と教諭の発言のようであった。それをふまえて、午後からはまず文科省から「共同実施」を請け負っている各地域からの「6地域共同実施共同提案」があった。

 共同実施が始まって10年が経ったそうだが、初めは、学校間で共通する事務処理の効率化などが研究課題であった。けれど、現在の加配条件は事務室で行われていた元々の事務を共同実施し研究する時代は終わり、学校経営の中に事務職員が参加し、かかわっていくことで教員の行っている事務を軽減できないかという方向になっているとのことで、宮崎県小林市・青森県鰺ヶ沢町・沖縄県沖縄市・大阪府守口市・熊本県西原村・鳥取県南部町の順で報告があった。

 今回は、各学校の特殊な報告ではなく、全国の学校が簡単にマネできる内容にした、らしいが、それを一生懸命言っているのは、宮崎県小林市の教育委員会の古沢という人だけで、内容的には「やはりその市(町・村)でないとできないだろう〜・・・」というような特殊な内容で、とても簡単にマネできるような中身ではなかったし、やはり従来の、学校の事務室内の仕事を「共同実施」によりどこかに持ち寄り、事務処理を行うという内容を報告したところもあった。

 とくに守口市は大阪なので、私自身、どういう報告をするか注目していたが、「共同実施」を盾にしないと学校での事務職員の発言が認めてもらえない学校での立場、教育委員会に「共同実施」を位置づけして欲しいという悲鳴に近い要望を述べていて、内容的には品祖であった。

 次に、シンポジウム「教員の事務負担軽減によって、子どもと向き合う時間の確保を図るために、できることはなにか?」ということで、校長・教頭・事務職員・教育委員会・大学教授と、それぞれ立場の違う人から意見を聞き、清原氏がまとめるという形式で話しが進められた。

 教頭・校長と、それぞれ学校での立場ともっと事務職員がかかわることで期待することを述べ、事務職員(守口市梶小学校)が「職務範囲の拡大のチャンスではないかととらえている」と言い出し、教育委員会がもっと事務職員をヨイショし、おいおい・・・と首をかしげかけたとき、名城大学大学院教授の木岡氏が「本当に教員の事務量が減れば、教員は子どもと向き合うのだろうか?現在でも、仕事をしないでのんびりしている教諭もいるし、子どもと向き合ってない教諭もいるじゃないか。」と言い出し会場の空気を変えた。「教育の専門性をもっと論議していかないと、学校事務とは一般事務と変わらないじゃないか。極端な例でいえば、秋田県のように、事務長だけが本職であとは臨時のパートだけということになる。」「『共同実施』とは、今まで、事務室で一人でさみしかったのが、同じ事務職員どおし出会って楽しくなっただけのこと。」「学校事務を切り刻んで、どの事務を教員から取るか、共同実施するかという考えではアウトソーシングにあいやすい。学校事務は機能である。パイを切り刻むのではなく、パイを積み重ね、分担を担うべき。」と言い出した。

 すると、その発言に清原氏が「今回の教員への事務の移行調査は単純に走りすぎたと反省している。AからBに移行するという単純な聞き方ではいけなかった。全体的な事務の流れの中で考えていく必要がありますね。」と言い出したため、今まで「教員は事務仕事が大変」という空気から、「教員から事務仕事を取ったところで、教員がそのことを気づかなければ意味がない。」という方向に変わってきた。午前中からまる一日かけて議論してきただろうに、根底から覆ってしまった。

 さらに、清原氏は梶小学校の事務職員に「ちょっとだけ変えて効果が上がったことはなんですか?」と聞き、「共同実施を始めて、一人では思いつかなかったようなこと、アイデアをもらえるのが嬉しい。例えば、会議での予算の提案の仕方とか。」などと答え、清原氏は「そういう小さなことの積み重ねが、実は大変重要なんですよね。そういう話が聞きたかった。」と言い、終わりに近づいてきた。私はだんだん、「はて、このフォーラムは一体、何が言いたいのだろう?オチはあるのか?」と思い出した。

 結局、総括すると、管理職・教育委員会・事務職員、そして研究する機関のそれぞれの思惑は発言からもバラバラで、それはさらに各都道府県によってもバラバラで、ひとつに答えを出すことなどできなかった。今回のテーマ、「『教員の事務負担軽減』による教授活動の質の向上」とは程遠い終わり方であった。オチもなかった。遠くから出張してくる価値もない。しかし、清原氏はそれを楽しんでいるように思えた。まるで悪のお代官様である。町人が自分の意見によって右往左往するのを楽しんでいる。だいたい、この人はどうして「学校事務」などというものを研究しているのか本当に不思議なのであるが、それは人の好き好きとしても、あたかも清原氏が一番正しいと思わせるようなブレた意見に、大きく不信感を覚えた。この人のビジネスに乗ってはいけない、この人を講演などに呼ぶ事務研究会の気がしれない、そう思った参加報告でした。

今回「モモの冒険 特別号」を同封しています。

また、コンピュータ化に関するアンケートも同封しています。サンプル数が多い方がより詳しい資料ができますので、周りの方(特に他市町村)にも協力をお願いしていただければ幸いです。3月末締め切りです。

 

07 賃金確定闘争報告   福事労

 9年ぶりとなる増額改定の人事委員会勧告が出た。国を上回る0.49%、しかも、すべての級での増額と、久々に差額が出ると浮き足立っていたのもつかの間、福島県では初となる賃金カットが断行された。

 越年となり計4回の交渉に及んだ、今年の秋闘を振り返って見る。

○ 07/11/08 第1回交渉

 「難局を乗り越えるために、痛みを共有していただきたい。」異例とも言える教育長による「お願い」から、交渉がスタートした。

 当初の提示は

 福事労は「賃金カットは、労働基本権制約の代償である人勧制度を無視して、任命権者が勝手な方法で我々の賃金を決定する行為であり、認められるものではない。」と主張。

 これに対して当局は、「給与削減は財政事情から出た、一方的なお願いの提示である。」とし、財政不足の理由と賃金カットを提案するに至った経緯をとうとうと述べただけで、我々が納得できる根拠は示せなかった。

 そもそも、県の財政不足は県税収入の落ち込みと三位一体の改革による国からの地方交付税の削減などが主な原因。我々の賃金をカットして穴埋めをすることは認められない。まして、財政問題とは職務上、無縁の立場にある県費負担教職員にも負担をさせるというのは合点がいかない。また、「5%カットを3年間」も単なる数合わせで、根拠が明確ではなかった。

 福事労はこの理不尽な賃金カットの受入拒絶を明言して、人勧の早期完全実施を要求した。

 しかしこの日、組合提示と同時に職場で賃金カットの提示がされたことが明らかになり、翌日、提案が白紙撤回された。

○ 07/11/19 第2回交渉

 前回、白紙撤回した事項をほぼそのまま、再提案。

 新たに提示された「永年勤続表彰昇給の特別措置」(詳細は後記表内)は該当者には結構な賃金改善であるが、賃金カットに見合うものには程遠い。交渉は堂々巡りで平行線が続いた。

 財政問題についても、賃金決定についても、元々当事者能力を欠く県教委に業を煮やし、打開策を見出すために、担当部局との交渉を模索したが、受け入れられなかった。

○ 07/12/25 第3回交渉

 このころ総務省から福島県に対し、人勧の取り扱いを早期に決定するよう「お達し」が来ていた。

 人勧に関しては、初めから賃金カットとは別問題としながらも、同じ財源不足を理由に、取り扱いを棚上げにしてきた。

 0.49%で若年層重視、増額改定されても中高年層は現給保障で影響はない。一律5%カットから見れば、極少額の予算措置ですむので、別に決められないはずはない。「財政危機」を印象付けるために先延ばしにしているとしか思えなかった。

 賃金カットについては、ここで初めて5%の線を崩す可能性があることを示唆した。

○ 08/01/26 第4回交渉

 当日付けの新聞各社が前日の県と県職労との妥結を報じたことで、スタートから紛糾。

 その後、新聞記事どおりの提示がされた。

 「一般職3%相当、管理職5%の賃金カット、本年度分の管理職の勤勉手当を除く人勧の実施」

 週明けから「4%カット」の情報が流れてきていたが、県職労が前日の交渉で1%押し返して、その分を管理職が被った形となった。

 交渉妥結に影響しない部分での、人勧未実施は、ここまで取り扱いを引っ張ったことで、何も手を付けないわけには行かなくなった末の結果なのかもしれない。

 今回の賃金カットに関しては、当局が初めから「一方的なお願い」としていたため、組合との合意が図れないと体裁が整わず交渉を終了することができなかった。終了間近「合意ですよね。」と言い寄る当局に対して、福事労では最後まで合意を口にしなかったが、今後、措置要求等の新たな闘争を仕掛けないことを宣締めくくりは再び教育長の登場。理解が得られた(と勝手に解釈)ことへの謝辞があり、異例ずくめの賃金確定交渉が終わった。

 交渉終了後、いつもならすぐに退席する県教委出席者なのだが、今回ばかりは誰一人席を立たず、我々を見送る姿が印象的だった。もっとも、教育長が席を立たなかったことで、出るに出られなかったというのが実情であったのだが。ところで福島県の基本賃金引き上げ率0.49%であるが、給料表で見ると、人事院勧告の給料に一律1.25%程度を上乗せした給料表となっている。

 さて、今回の差額が支給されるのは、3月の給料日後の見込、実際に新しい給料表の賃金を受け取るのは4月からとなる。同時に始まる3年間の賃金カットで、結局は久々の賃上げはまた先延ばしとなった。とは言っても退職まで現給保障の世代には無縁の話だが。

 余談になるが最近、賃金カットに関する教職員への「お願い」の文書が職場に届いた。文末に添えられた教育長直筆と思われるサインは、某組織の議長にも劣らぬ個性的な書体であった。

(報告 福事労 島田)

07 秋闘 賃金等確定事項

○給料の減額措置

  1. 給料月額(給料の調整額を含む)の削減
  2.   

    ・一般職 2.2%減額【当初5%】

    ・管理職 5%減額

  3. 給料月額を算定基礎とする手当(期末勤勉手当、退職手当を除く)については、減額後の給料月額で算出
  4. 期末勤勉手当 5%減額
  5. 削減措置の期間は08.4.1〜11.3.31の3年間
  6. 給料の特別調整額(管理職手当)の減額率の拡大
  7.  

    ・部長職 12%→20%減額

    ・総括参事(部次長相当)職 10%→15%減額 

    【参事(課長相当)職以下(校長・教頭を含む)は現行どおり10%減額】

  8. 給料の特別調整額(管理職手当)の減額措置を11.3.31まで2年間延長

※ 給与の減額措置は総額で見ると、一般職が3%相当、管理職が5%(総括参事相当職以上は5%以上)となる。

○県人事委員会勧告に基づく給与改定

  1. 給料月額 勧告された給料表に改定 平均0.49%増額 若年層に厚く配分 07.4.1〜
  2. 扶養手当 配偶者を除く1人目以外 6,000円→6,500円  07.4.1〜
  3. 勤勉手当 0.05%引き上げ(本年度分は07年12月期分を0.05%引き上げ、08度以降は6月期分、12月期分を0.025%ずつ引き上げる。但し、管理職手当を支給されている者については、本年度分は引き上げない。)

○自動車等使用者の通勤手当の改善

 通勤距離に応じて100円〜900円(2%程度)の増額

○交通用具使用者の通勤手当の分離

 自転車使用者について、支給区分を分離し一律2,000円 08.4.1〜

○保健福祉等特殊業務手当の廃止

 08.3.31

○育児休業の復職時調整の改善(国準拠)

 1/2→3/3  07.8.1以降の育児休業部分〜

○妊娠障害休暇の改善

 半日、時間単位の取得が可能になる。  08.1.1〜

○永年勤続表彰昇給の特別措置

06.3.31の給料月額に旧制度の1号給をプラスした額(現給補償額の引き上げ)と永年勤続表彰昇給を受けた後の給料月額を比較して高い額を支給する。

08.1.1〜(07.1.1の対象者については遡及して適用)

 

シリーズ共同実施

旅費相互確認で見えてきたこと

 我が県では、教育事務所の業務縮小に伴い、07年4月より、旅費請求書を各市町村内の学校でグループをつくり、数校で集まって、学校間で相互確認することになった。

 我が市では、導入当初もグループ割りで「あの事務職員に間違いを指摘されるのが嫌だ」だの「遠出するのがいやだ」だの揉めていた。わたしは、そもそも事務所人員削減のツケが現場に降りてきていることが一番の不満であった。その前年(06年度)には扶養手当・児童手当の認定事務も現場に降りてきている。また、「事務所はより細かいところ(引率旅費や県外旅費)の確認だけをします。その他の県内旅費は縦横の計算間違いやチェックもれなど軽微な間違いが多いので、事務職員同士でよ〜く見ておくように」という態度にも腹が立った。しかし、制度は導入されていったのである。

 実際のところ、ほとんどのグループは請求書を事前に当該の確認校へ送付し、確認を済ませ、集合当日は「ここと、ここね」などと30分程度で済ませている。複雑な事例なども、事前に電話で確認を済ませている。

 この制度も1年が経過しようとしている。先日、市教委が「今年の相互確認の反省と次年度への課題を出してほしい」と市内の事務職員を集めて研修会なるものを開いた。その場で出てきたものは・・・・(続く)

第2回全学労連 代表者会議開催案内

日時:2008年3月23日(日) 9:00〜15:00

場所:横浜市従会館

    

横浜市西区宮崎町25(JR桜木町徒歩10分)

3月22日(土)は14:00からは、がくろう神奈川主催による講演会「教育の民営化」(仮題・佐々木賢氏講演予定)を企画しています。

 
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