2008年5月30日

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全学労連ニュース今号の内容

 5.12 全学労連中央要請行動

 全学労連全国代表者会議

 第37回全国学校事務労働者交流集会「全交流・いなわしろ」案内

 シリーズ共同実施 旅費相互確認で見えてきたこと(3)

 

5.12 全学労連中央要請行動

 5月12日、全学労連は文部科学省に要望書を提出するとともに、総務省、財務省、都道府県教育委員会連合会、及び全国知事会に要請行動を行った。各団体をまわってみて「人事権等の移譲問題」が動きを見せていることが、明らかになった。詳細は次号に掲載する予定だ。文科省への要望書(全文)を掲載する。

2008年5月12日

文部科学大臣 渡海 紀三朗 様

全国学校事務労働組合連絡会議 議長 菅原 孝

要 望 書

 教育を含む社会のあらゆる領域で、格差と貧困が広がり深刻化しています。違憲判決さえ無規して続けられているイラクヘの自衛隊派兵を見るまでもなく、改憲を明確に射程に入れた戦争国家体制づくりがやみくもに推し進められています。

 義務教育費国庫負担制度(以下義教金制度)の改悪に続き、教育基本法「改正」を受けて成立させられた教育関連三法が実施に移されてきました。新自由主義と国家主義に貫かれた教育が「全国学力・学習状況調査」の実施や、「日の丸・君が代」強制、処分などによって進行させられています。「教員の子どもと向き合う時間を拡充する」などという空虚な掛け声のもと、「学力の向上と規範意識の育成」(2008年度文部科学省予算)を目指す教育が具体化されていこうとしています。

 私たち労働者、そして子どもたちの前には「社会総がかりの教育再生」(教育再生会議)という言葉が象徴しているように能力主義を自明の価値とする極めて差別的な労働と教育をめぐる現実が立ちはだかっています。学校はますます息苦しい空間に変えられつつあると言わざるを得ません。

 学校事務労働者にとっては、義教金制度改悪と学校を巻き込む「電子自治体」化の中で学校事務の「共同実施」や外部委託化が狙われており、学校事務職員制度そのものの崩壊すら危倶せざるを得ない状況に直面させられつつあります。

 以上の観点から、下記事項の実現を強く求めます。

1.義教金制度及び学校事務職員制度について

(1) 義教金制度において給与費の国庫負担率を1/2に復元すること。又、学校事務職員の制度からの除外(国庫二負担外し)を行わないこと。

(2) 「総級裁量制」を廃止すること。

(3) 標準法を遵守し学校事務職員に欠員を生じさせないよう各都道府県教育委員会を指導すること。

(4) 政令指定都市への教職負給与負担移管及び市区町村への人事権委譲を行わないこと。

(5) 「学校事務・業務の共同実施」を推進しないこと。又、学校事務職員の兼務発令を出させないこと。

(6) 「事務の共同実施」に関する調査研究を行わないこと。又、2006〜2007年度の「研究内容」及びその結果を明らかにすること。

2.定数改善等について

(1) 加配方式による定数配置をやめ、学級数や児童生徒数(要保護・準要保護数を含む)を基準とした抜本的な定数改善を行うこと。i)30人学級を実現すること。ii)事務職員については複数配置基準の引き下げによる改善を行うこと。

(2) 以下のことを各都道府県教育委員会に対して働きかけること、@)定数内職員は全て正規職員とし、臨時職員としないこと。A)市町村費職員(特に現業職員)の引き上げ、民間委託を行わないこと。B)これ以上の臨時職員(非正規職員)を導入しないこと。又、学校給食等の現業や外国人講師などを含む非正規雇用職員の労働条件を改善すること。C)再任用を希望する職員に対する任用において、所属職員団体等を理由とした不当な任用拒否を行わないこと。

3.教育基本法「改正」を見直し、従前の教育基本法に戻すこと。教育関連三法を見直し、教員免許更新制度を廃止するとともに、教職員の階層化政策をやめること。又、「全国学力・学習状況調査」を直ちに中止すること。

4.労働環境の整備について

(1) 全国の義務教育諸学校に事務室及び休憩室を設置すること。そのため、小中学校の設置基準の中に事務室及ぴ休憩室を入れること。直ちに設置基準に入れることが出来ないとしても施設整備指針に事務室が盛り込まれている点について周知徹底するとともに、休憩室を同指針の中に明確に位置づけること。

(2) 教職員の休憩時間を確保すること。そのために各都道府県の教育委員会に対して、労働基準法に基づく休憩を保障する旨の通知を出すこと。又、勤務時間の中に休息時間を設けること。

(3) 勤務時間内の労働組合の活動に対する不当な規制を行わないこと。

(4) OA機器導人により派生する健康への悪影響や個人情報保護の問題等について、必要な対応策をとるように関係機関に働きかけること。

(5) 労働安全衛生委員会を設置すること。

(6) 「防災」或いは「安全」の問題については、学校労働者の管理強化、負担の増大に結びつかないよう配慮するとともに、社会的な背景を視野に入れた抜本的な対策を考えていくこと。又、「国民保護法」に基づく保護計画の整備をやめること。

5.給料の振込みを教職員に強制しないよう、又、給料からの法定外控除等違法・不当な公務外労働を学校事務職員が強制されないよう、各都道府県教育委員会に働きかけること。

6.独立行政法人教員研修センター主催の「公立学校事務職員研修会」を廃止すること。

7.学校現場に「日の丸・君が代」を強制しないこと。

(1) 教育委員会への「日の丸・君が代」実施に向けた指導をやめること。とりわけ東京都教育委員会による根津公子さんに対する度重なる不当処分をはじめとする強権的な処分行政をやめさせること。

(2) 「日の丸・君が代」の強制、性教育をめぐる差別的な対応(ジェンダーフリーバッシング)をやめること。

(3) 「愛国心」の押し付けを更に強めようとする新学習指導要領(2008年3月28日告示)を撤回し国家主義的教育をやめること。

8.特別支援教育体制を見直し、「障害」児が普通学級で学ぶことを保障すること。その裏づけとなる人的・物的な条件を整備すること。

以上。

 

 −全学労連全国代表者会議−

 去る3月23日(日)、全学労連は全国代表者会議を開催し、07年度の経過報告並びに08年度の運動方針等を決めた。少子化に伴い、学校統廃合が各地で計画・実行に移されていく中、校舎を民間に安く払い下げるなど、今まで考えられなかったことが、現実に学校の周りで起こり始めている。正規採用を非常勤職員でまかない、“教育の質を落とさない”と言い張る文科省と、“経費削減”が至上命題となっている財務省、さらにはそれらをなんとか利益に繋げようとする経済界。教育が「民営化」されようとしている今、学校事務の課題はもとより、広範に「学校」「教育」をめぐる活発な議論が交わされた。

1、はじめに(情勢にかえて)

2、学校事務職員の制度解体・廃職攻撃に対抗する闘い

 先にも述べたように私たちを巡る状況は、学校事務職員の制度解体、廃職へも繋がる危険性を孕んでいます。しかし、学校事務職員の中にわずかなポストと引き替えにこれらの流れに荷担する者がいます。全国のあらゆる立場の学校事務職員が反対した国庫負担はずし攻撃との決定的な違いです。

 私たちは、制度解体・廃職攻撃の荷担する全事研や日教組事務職員部の一部幹部と、多くの学校事務職員との間に分け入り、多くの学校事務職員の利害を代表する理論と闘いを構築しなければなりません。

3、賃金改善の闘い

 給与構造の改悪は、職務職階制の給与体系の中でも、賃金格差を少なくする「ワタリ制」を無くし、「職務給」の考えは、学校事務職員にとっては3級の枠の中に生涯押し止めようとするものです。また、人事考課制度の導入は、勤勉手当や昇給に勤務査定が反映され、ただでさえ抑制された賃金の中に、更に格差を持ち込むものです。これらの動きは、客観的な平等主義から恣意的な差別主義への移行であり、労働者を不毛な競争と差別賃金へと投げ入れるものです。

 格差拡大、差別賃金導入を阻止するための各県での取り組みが重要です。

4、諸課題について

(定数改善)

 04年度の総額裁量制導入以降多くの都道府県では、学校事務職員配置は標準定数法を下回り、逆に教員は殆どの都道府県で定数を上回り、結果的には事務職員定数が教員に「喰われる定数」となっています。特に要準加配は、東京、大阪等殆ど守られていない実態があり、標準定数法の遵守を強く求めていきます。

(事務室設置)

(教育の国家統制反対・反戦平和)

(交渉・申し入れ等)

(調査・研究等)

(共同闘争)

5、反コンピュータ合理化について

6、支援・連帯について

7、全国学校事務労働者交流集会について

8、組織強化・拡大について

 

第37回全国学校事務労働者交流集会
「全交流・いなわしろ」案内

おーい 磐梯山よ

 そこから僕の学校が見えるかい

どんなことをしてもこの学校を残そうよ

 ここで生きていくよ

 

教育を金儲けの道具にさせないぞ

○日時:7月20日(日)
〜21日(月)
○メインテーマ:安心して学校事務職員として
生きるために!
○会場:国民宿舎 翁島荘
○主催:全国学校事務労働組合連絡会議
(全学労連)

 この春、福島県では15の小学校が消滅した。市町村合併の影響が大きく、今後更に5年間で25校程度の小学校が廃止されるというのだ。ところが東京では「夜スペ」と称し、「出来る子」だけが、「学校で、塾の講師に、格安で」特別な授業を受けられるという。

 過疎の地では「小規模学校は非効率」と「適正な学校規模」を強要され、小学生は毎日途方のない遠距離通学をしている。そして都会の子供は、「公立学校で、選抜されないと授業を受けられない」ところまできてしまっている。

 これは、学校を「民間の手法を取り入れて経営する」ことや、「教育の民営化」(学校に市場原理を導入し、競争を激化させ、教育を金儲けの道具にしようとするもの)を至上命題にしている「新自由主義教育政策」の矛盾が地方と都市都でいっぺんに噴出している。

 学校事務職員にとっても無縁ではない。「共同実施」は、ミニ事務研ではないことは明らかになり、「出世」に夢を抱いた諸君の幻想は打ち砕かれた。教育事務所統合の余波を受けているし、学校事務職員の非正規職員化も進んでいる。また「生涯賃金3級頭打ち」など労働条件の悪化も更に広がろうとしている。

 そんな時代に、私たちは「安心して学校事務職員として生きる」ために、何に立ち向かい、何を得ていけばよいのか。

 この夏、全国学校事務労働者交流集会は福島県で開催されます。磐梯山の麓、猪苗代湖湖畔で、「これからの生き方」を討論しましょう。

<集会日程>

集会日程

<集会要綱>

●情勢報告・基調報告●

 文科省や教育委員会サイドから、教員の多忙化解消を口実として仕事を増やすよう迫られ、また、財政削減を迫る財政当局からは人件費削減を迫られ、その両方の要求を満たすものとしての「共同実施」が広がりつつあある。一方、賃金水準の低下、人事評価制度導入など人事管理の強化も画策されています。

 これらの情勢を生活者の視点から見極め、学校事務職員としてどのように捉え、どのように考え、どの世に対処していくのかを刺激的に提起し、参加者で意見を交わすための素材を提供することを試みます。

●分科会●

*第一分科会:管理強化に抗する分科会

 共同実施による学校事務職員制度の変容、行政合理化に伴う非正規雇用者の増加、賃金構造の変化、人事評価の拡大などめまぐるしく変わる私たち学校事務職員の今後を見据え、今後に備えるための意見交流のコーナー。

*第二分科会:変わる職場・忙しい仕事を語る分科会

 今や多くの自治体に広まった感のあるコンピュータ労働。この間その実態や問題点に焦点を当てて論じられることがなかった。今回、その実態調査を分析しながら、今後に向けた課題を探る分科会。学校事務の共同実施で起きている問題点も具体的に掘り起こし、合わせて、参加者の仕事環境についての経験交流をフランクに行う。

*第三分科会:学校の再編・合理化を問う分科会

 学校事務の共同実施で起きうる民間委託や、講師派遣やテスト・補修など学校に入り込む民間委託等の学校の市場化の現状を報告し合いながら今後の対応を模索する分科会。

●発表レポート●

○『コンピュータ労働の実態調査』 全学労連事務局

 県・市・町・村関係事務処理がどのような形で行われているか、また、それがどのような課題があるのか、各地のアンケートを集約した報告。

○『共同実施顛末記』 群馬県学校事務労働組合

 強行導入された共同実施の実態を批判的に報告する。

○『教育の民営化、行政・学校事務合理化の進行とそれへの対応』 学校事務職員労働組合神奈川

 目まぐるしく変化しつつある教育、学校、学校事務の様相を具体的に解析しながら、今後に向けた取り組みの提案も。

○『人事評価に関する現状と取り組み』 大阪学校事務労働者組合他

 人事評価制度を恣意的な職員管理強化に利用させないために、具体的に取り組んでいるところの経過報告を行う。

●紙上レポート●

 分科会での情報交換で利用するために各県から自主的に提供される資料。

・「学校事務の共同実施の現状」

・各県「組合ニュース」

<会場案内>

国民宿舎 翁 島 荘
所在地: 福島県耶麻郡猪苗代町大字翁沢字御殿山1048-14
電話: 0242-65-2811
交通: 磐梯東都バス「長浜」下車徒歩5分
磐越道猪苗代・磐梯高原ICから8km

<申込方法等>

福島県学校事務労働組合(ふくじろう)
Eメール:fukujiroo.1992.05@nifty.com
ファックス:0243-22-6798
参加費:12,000円(1泊2食懇親会費込)
集会資料のみ 2,000円
郵便振替:『全学労連』00160-6-34582
申込締切:6月30日(月)
 

シリーズ共同実施

旅費相互確認で見えてきたこと(3)

 まずい・・・このままでは旅費の誤支給、ケアレスミスをなくすと言う前提で始まった旅費相互確認が、「集まって仕事をすることになれてもらう」という県の表に出ない意向に沿ってしまう。なんとか反撃しなければ・・・”と、わたしも発言しようとするが、『制度そのものに反対』という意見は、この場ではなじまない。なんとか『集まらないで・・・』ということがいえないだろうか。私はいくつかのグループ内は通信で、事前確認を済ませている、ということを強調した。事前に確認が済んでいれば、相互確認当日は、訂正箇所を指摘し合うだけで実際の点検確認作業はあっという間に終わってしまう。それよりも旅費制度の解釈をグループ内であらためて確認する事の時間が多くなっている。ということを発言した。

 実際、当日は事前に目を通して再計算した対象校の旅費請求書を「ここと、ここが計算違うよ」といって、10分程度で1校終わってしまう。複雑な県外旅費は確認対象外だからだ(県外や引率旅費は教育事務所が確認する)。しかし、根っからの事務屋さん達の話は、「事務所では、この引率旅費はこう支給しろと言われた」「え〜っ、うちではこうだったよ」など、確認対象外の話が盛り上がる。

 また、旅費支給額調整の点から通勤手当の認定経路と調整区間などの事例研究のほうが話が盛り上がる。

 んっ、わたし自身、グループ内で、あまり問題点が出てこない。旅費相互確認会場で旅費の確認以外の話しをすると、服務命令違反だ、と言うのはあるにしても、確認作業については何も問題がない。旅費請求の時期が早まり、仕事がひっ迫することや、請求の前提となる正しい旅行命令を旅行命令権者がしていないなど、確認作業とは別の問題が出てきている。

 このまま旅費相互確認は定着していってしまうのか。(続く)

 『シリーズ共同実施』では、「学校事務の共同実施」に対する不安・不満・グチを掲載していきます。皆さんのまわりで「なんかへんだ〜」という共同実施体験がありましたら、全学労連までお送り下さい。web・携帯メール、封書、faxなんでもかまいません。事務長の立場、部下(?)の立場から日記風・論文風に語ってみましょう。

 また、そのほか購読者の皆様の日々の仕事、各県・各自治体の学校の様子、事務職の仕事の変容などの投稿もお待ちしております。

全交流 いなわしろへ参加しよう

今夏の全学労連交流集会は、福事労実行委員会のご尽力により、福島県猪苗代で開催されます(本号参照)。福事労実行委員会の全交流はとても面白いですよ。また、交流集会後には近くに見どころ満載!ぜひ、夏の計画に予定してください。

 
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