2009年1月31日

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全学労連ニュース今号の内容

 議長 菅原 かみブログ 「人材派遣」の思想と出世願望

 学校の非正規労働者の労働条件系善のために!

 「給与データ 一括送受信システム」はいらない

 事務長制度化に反対しよう

 

議長 菅原 かみブログ

「人材派遣」の思想と出世願望

人材派遣

 2009年、「派遣村」で始まった。日比谷公団に集まった労働者の声が、現実を変えた。そして新自由主義がもたらした「格差拡大」などの現実に批判の声が高まっている。しかし、新自由主義思想は、根深く入り込んでいる。一つずつ解き放つ必要がある。

 「人材派遣」という言葉。よく考えると、物凄い言葉だ。こんなに見事に「労働力商品」ということを表した言葉はない。世間的に言えば甘っちょろい職場にいるわが身の「労働力商品」の「値札」は読み取れない。しかし、「派遣村」の「労働力商品」はまさに言葉どおりのものであるように思える。

 人間労働を生産過程のコストとして、まさに「材料」とする思想は、資本主義の根本に横たわるものだろう。しかし、資本主義の時代の経過は、それをソフトにしてきた。まさに「蟹工船」は昔のことだと思わされてきた。しかし、現実はずっと蟹工船状況は続いていたし、ここ10年の新自由主義は、蟹エ船を増やしてきた。

 今まさに、私たちが「労働力商品」であることの再確認と、それへの姿勢が問われる。

労働の評価

 「同一価値労働、同一賃金」という言葉も、多く聞こえてきた。労働現場の男女差別を解消するためには、また、正規労働者と非正規労働者の賃金格差をなくすために実現していくべき課題であることは承知しているが、この言葉も好きじゃない。

 学校で教員と長い間働いていると、つもり積もった何ものかが、「価値労働」という言葉に力チンとさせる。

 「労働力商品」の価格の公平さを求めるのが第一歩だとは分かるが、それで十分じゃなくて、それこそ「同一労働時間、同一賃金」にまで行かなきゃ。

出世願望

 またぞろ、評価されたがる学校事務職員が出てきた。学校職場はいわば「評価」の巣で、教員たちは一年中「評価」」している。一方「評価から遠いところにいた学校事務職員」は、それ幸いと思っていたのだが、最近ずいぶんと「評価」されたがる事務職員が出てきた。

 自らを「評価が低い」と思い込んだ人たちだ。これは、つまり自ら進んで、自分の「労働力商品」を価格競争に出そうとするものだ。

 自ら進んで「派遣の思想」に落っこちてしまっている。

追伸:今、来年度の就学援助申請を受付けている。添付されている保護者の源泉徴収からワーキングプアの実態が浮き彫りになっている。

 

学校の非正規労働者の労働条件系善のために!

福島県学校事務労働組合 書記長 長谷川百合子

 急激に不況の波が押し寄せ、派遣や非正規労働者の一方的な解雇がクローズアップされています。私たち公務員は、「まだましなほう」と考えがちですが、私たちの職場の中にも、低賃金で弱い立場の非正規労働者が存在しています。欠員補充などで働いている、いわゆる期限付き職員、あるいは市町村で雇用されている臨時職員等です。

 これまで労働組合では、同じ職場にいても、組織対象とならない臨時の職員や、雇用形態が異なる労働者の労働条件については、あえて?手を出さないできました。実は非正規の職員こそが最も弱く、労働組合等の助けを必要としている労働者だったのではないでしょうか?今の状況は、その現実に目を向けさせることにもなっています。

 

 福事労では、今年度初の試みとして、県内に60名近く配置されている「期限付き学校事務職員」の聞き取り調査を行いました。

 調査項目は配置の時期、雇用の事由と期間、採用のきっかけ、その他悩みごとなどです。

 

 欠員の補充について、福島県教委では「地公法第22条第2項の規定により6月を超えない期間で任用し、更新する場合には6月を超えない期間で更新している。新年度において再度同一人を任用する場合には、継続更新とならないよう一か月おいて5月より任用している」として、3月まで勤務をした人は、一か月空けて5月配置にしています。他県では、この任用について異なる取り扱いをしている例もあるので、改善を求めて交渉を続けています。他県からの情報提供もお願いします。

 

 4月を一か月空けて5月に配置される学校からは、一番忙しい4月に事務職員がいなくて困っているという声や、周辺の学校事務職員からは、いない学校から仕事の問い合わせが続き2校分の仕事をした、などの相談が寄せられています。

 今回全県の期限付き職員を対象に調査をすることで、地域で差が見られた配置に関する事実を整理するとともに、直接、期限付きの事務職員から聞きとりを行うことで、これまで聞こえてこなかった「期限付き職員の生の声」に耳を傾け、課題を明らかにし、少しでもその解決につなげていこうと考えました。

 

 調査の実施にあたり、組合員からは、「今のところ組織対象としていない期限付き職員の問題について、どこまで踏み込むのか」という意見や、「私たちが関わって要求することによって、かえって期限付き職員に不利になってしまうことがあるのでは?」という意見もでました。しかし、自分たちが産休や育休を取った時に代替として任用される職員や、やむをえず欠員になった学校に配置される職員の労働条件を改善することは、私たち自身が安心して休暇を取ることができる等、労働条件の改善にもなると考えられる、という意見や、同じ仕事をする仲間の労働条件改善を求めていくことは労働組合として当然のこと、などの意見も出て、調査に踏み切りました。

 

 調査の結果からは、次の雇用が不安定な弱い立場のなかで、いやといえずにサービス勤務をしている実態や、一か月雇用がなくなる期間、生活が大変であること、社会保険・年金制度の切替えの煩雑さ等、身に迫った悩みを抱えていることがわかりました。

 そしてこの結果について、11月8日に開催した「福島県学校事務交流集会」の分科会で取り上げ、当事者の期限付き職員にも参加をよびかけました。当日の参加はなかったものの、これまでになく多数の相談が寄せられました。

 交流集会では、期限付き職員の立場に立って、様々な悩みの解決のために、何ができるかが話し合われました。県教委との交渉等で、直ぐに解決できることは少ないかもしれないけれども、継続してこの問題に向き合うことを確認しました。

 今後、期限付き学校事務職員の組織化を含め、福事労のなかで新たな運動の展開のための議論をすすめていきます。

 

「給与データ 一括送受信システム」はいらない

群馬県学校事務労働組合

 「共同実施」といえば様々な問題をかかえているが、今回は事務職員を混迷させている「給与データ 一活送受信システム」をとりあげたい。システムそのものの問題、そして一方ではシステムを「共同実施」にリンクさせ事務職員の階層化の手段として使おうとしている動き、いずれも見過ごすことができない点である。

 今の「共同実施」さらに「一括送受信システム」が学校事務を歪んだ形にしようとしているか、そのことを見ていきたい。

「一括送受診システム方式」にメリットはない

 このシステムでは給与データを送信できるパソコンはグループ1台と限定されており、そのことに起因し様々な問題・不都合が発生している。

 実際の運行はどうなっているのだろうか?

 入力は共同実施の日に行なっていると思うが、その共同実施日に各校の事務職員は事前に作成した帳票データ・各種資料を当日持ち寄ることになる。この最初の段階で資料の紛失の危険性、移動にかかる労力の問題が発生してくるだろう。次にミスが生じた場合はどうなるかといえば、訂正入力をしなければならず、当然再度の出張ということも出てくる。特に山間部では長距離移動に伴う時間的ロスも大きいだろう。

 その労力・経費をどう考えたらいいのだろう?そんな時間があったら学校にいて他の仕事に専念する、そのほうが余程公益に適っているというものである。

 一方「一括方式」によってデータの正確性が確保されるかといえば、これは逆である。データの確認にしても関連資料を全て持参するわけにはいかない。中には入力担当者を一人に固定する分担制を採用しているグループもあるらしいが、自校以外の職員情報をどこまで把握できているだろうか。自分で入力していれば職員の周辺情報まで考えが及び、データの不整合に気づくこともこれまで経験してきたことだ。そのときも自校送信処理なら必要な資料をすぐに参照したり、職員に直接問い合わせたりしてその場で解決することもできる。

 「一括方式」とは、効率性、正確性、経済性などどんな側面を取り出しても、学校にそして事務職員にメリットのないシステムだと結論づけられる。

 事実これまで学校事務の改善に何か役立ったという話は全く聞こえてきていない。実際に利用している事務職員から聞こえてくるのは、負担だけ増えたという話しであり、「単独校方式」のほうが良かったという声なのである。

「一括方式」や「分担制」は目的ではない

 「一括方式」を開発した県教委自身は、その利用について当初から「効率化に結びつくなら使ってほしい」と説明していた。そして現在も「使う・使わないは自由である、強制はしていない」と明言している。

 しかし、ここに導入をひたすら推し進めようとする人たちがいる。彼らはなぜ「一括方式」導入拡大を画策しているのか?それは「一括方式」を「職務分担制」強化の手段として利用し、その先に自分たちの思い描く「共同実施」を遂げたいという意図があるからだと思う。

 その一方、県教委はといえば、「分担制」=「効率化」という図式を勝手に作ってしまい、その実証的・科学的論拠は何も示さずに(実は示せないということだろう)、一般論としての「分担制=効率化」という題目を標榜するだけで、ただただ学校実態から乖離した机上の論を押し付けているだけの状況である。

 学校現場を知る者にとっては、「分担制を柱とした共同実施」の方向が袋小路かあるいは学校事務の崩壊に向かうであろうことは、自明の理だろう。ところがそんな「分担制」を利用できると考えた人たちは、「分担制|」を理由にすれば、事務職員の階層化と「事務長」の権限拡大が図られ、その中で「事務長」の上位化が取れるという思惑があるのではないだろうか。グループ事務職員への年休・出張・超勤命令などの服務監督要求、グループ員人事評価要求、管理職手当要求、認定権・専決権の拡大要求などを見ればそうした意図は明らかだろう。

 事務職員を担当者に位置づけ、「事務長」はその統括者として上位に立つ、そのため必要なのが「分担制」であり、「共同実施」なのだ。

「一方通行の情報」が独り歩きしている

 「分担制」を押し進める手段、固定化する手段として持ち出してきたのが「一括送受信システム」だった。だからシステム自体の利便性、学校・地域の実情、事務職員の仕事スタイル、その他の必要な検証事項は考慮対象外ということになる。県教委でさえ一応「効率化の手段として分担制がある」と説明しているが、ここではすでに「分担制」自体が目的となっている。

 「一括方式」の拡大を図る人たちとそれに悩まされる大多数の事務職員、それが現在の群馬県の構図であろう。これほど問題があるシステムがまだ少数とはいえ何故導入されてしまったのか?その一つの理由に、グループの責任者としての「事務長」の役割が上げられる。

 そもそも事務長の役割はどういうことなのだろうか?群馬県の規定では「共同実施の総括と運営」であり「事務職員への指導と助言」となっている。ところが、その規定を逸脱してあたかも自分が他の事務職員の上司であるかのような考え方をしている人もいるやの風説、あるいはリーダーであることを理由に事務長はグループ員に指示するだけで実務には従事しないことをよしとする考えもあるなどの話しも聞こえてくる。

 意図的|こか、無自覚にかは知らないが、前述したようにそうした願望が一部にはあるようだ。

 これに対し、一般事務職員側の事情はどうかといえば、「事務長の言うことだから従わないわけにはいかない」と思い込んでいる事務職員もいるようだ。そうした思い込みが出てくる背景には、一つの理由として情報不足ということがあるかもしれない。

 「共同実施」に関する情報といえば、現在、教育事務所主催の事務長だけを対象とした研修会で説明されるだけで、事務長以外の事務職員に直接県の話しを聞く機会は設けられていない。(県事務研全体研修会で県教委の説明もあったが、推進しろというだけで現場が直面している問題に向き合う話とはなっていなかった。)そして情報は研修を受けた事務長からグループ員に伝達(あるいは不伝達?)されるだけなのである。その過程で研修内容がどう解釈され、グループ員にどう説明されているのだろうか?加えて、「事務長会」からの情報・連絡が、事務長に入ってきているはずであるが、それも事務長というフィルターを通した情報としてグループ員に配信される。

 ある地区では、県下どこでも「一括方式」が導入されるので自分たちの地区でも導入しましょう、という説明が事務長からなされ、検討する機会もなく導入してしまったということもあったらしい。

 事務長と一般事務職員の関係は、上司−部下の関係では決してないし、いわんや職務を命ずる権限などどこにもない、にも拘わらずそういう実態があるとしたら、それこそ「共同実施」を利用した情報操作であり、こうした事情は、逆に言えば、様々な役割を負わされ過重な負担に四苦八苦している多くの事務長一般にとっても、大変迷惑な事態であるはずだ。

ガマンは状況を悪化させる「一括方式」から「自校」方式へ

 実際に「一括送受信システム」を行なっている地区の事務職員の声を聞いてみると、「何のためにやっているのかわからない」、「二度手間だ」、「時間の無駄だ」などと否定的なことばかり聞こえてきました。

 そもそも「一括送受信システム」を入れる、入れないはグループで決めることだから、導入後でも元の「自校方式」に戻したいという要望が出たら、その方向に向かうべきでしょう。実際に「自校方式」に戻したグループも出てきています。様々な働きづらさを強いる状況にガマンを重ねることは状況をさらに悪化させてしまいます。

 群馬県の今後の学校事務を考えるとき、現在の具体的な課題のひとつが「一括送受信システム」をこれ以上拡大させないこと(人事異動を考えると自分のグループだけの問題とはいえない)、そして「職務担当者制」を見直すこと、それらの点にあるのだと考えます。

 「共同実施」そのものが学校事務に多くの混迷を引き起こしています。

 事務職員には本来不必要な負担までも強いられています。

 いたずらに時間と労力だけが空費される「共同実施」の推進、これほどの「非効率」な制度があるでしょうか?

一人一人が声を上げ

「共同実施」のための「共同実施」にNOを!

 

事務長制度化に反対しよう

 文部科学省が、「事務長」制度化へ動き出した。別紙緊急要請にあるとおり、「学校教育法施行規則の一部改正」をし、「『校長の監督を受け、事務職員その他の職員が行う事務を総括し、その他事務をつかさどる』者として、事務長を置くことができることを規定」しようとしている。かなり急な話だが、09年4月1日施行へ向けての意見公募を行なっている。

 「改正の趣旨」に疑問がある。「事務の合理化・効率化や事務処理体制の充実を図る」ために「事務長」は本当に必要なのだろうか。「『共同実施』による『管理体制の充実』を図る」と読み替えた方が自然だ。

 本来学校に一人で、市町村内・地域内では横並びの学校事務職員である。今でも、校内の事務は、すべてとは言い切れないだろうが、おおよそ「総括」しているのではないか。あえて「事務長」という名がなければ事務が進められない、効率化できないということもないだろう。「共同実施」で集まった時に“階級”が必要ということか?

 本紙、群馬県での共同実施「一括送受信システム」中の記事でもふれられていたが、「事務長」という新たな管理職の登場により、情報の歪曲や、実務をしない「長」の出現など、公平で公正な学校事務を進めていく上で、問題は多々あり、制度化・導入後に不満が噴出するのは必然だ。また、全員が「事務長」になれるわけもなく、選考や試験の導入、さらには給与面でも一部の“仕事をしない”事務職員が優遇されるようになる。「自分は事務長になれるはずだ。」「私がなれないはずはない。」などの甘い願望は捨てた方がよい。制度化されれば、いやでも、人に引かれたレールの上を進んでいかなければならない。

 「改正案」についての意見は、2月20日まで「郵送・FAX・電子メール」で提出となっている。また、「複数の論点は、論点毎に別様で、1枚1意見、1メール1意見」となっている。

 事務長制反対の声・意見を集中させて、事務長制度化を阻止しよう!

 
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