2009年3月21日

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全学労連ニュース今号の内容

 パブリックコメント(意見公募手続)っていったい…?事務長制反対で要望書提出、文科省は話し合いを拒否

 横浜で「標準職務分担表」の制定強行―とんでもない労働強化に断固反対する―

 議長 菅原 かみブログ

 

パブリックコメント(意見公募手続)っていったい…?
事務長制反対で要望書提出、文科省は話し合いを拒否

 「全学労連」No.315で報じたように、文部科学省は今年4月から学校教育法施行規則を改定して、教育委員会の判断で小中学校に「事務長」をおけるようにするという。そのための手続きとして1月22日から2月20日までパブリックコメント(意見公募手続)を実施していた。

 全学労連は、「事務長制」が学校事務職員間の格差を拡大し仕事上でも処遇上でも悪い結果をもたらすとして、反対の意見提出を呼びかけた。さらに3月4日付で文部科学大臣宛に要望書を提出し(別掲参照)、それにもとづく話し合いの場の設定を求めた。

 ところがこれに対して文科省は、「事務長制に反対する団体とは話が出来ない」と回答してきた。それではいったいパブリックコメントとは何だったのか。賛否があるから意見を求めて判断材料にするものではないのか。長年文科省との交渉の実績を積み上げている全学労連に対するこの対応で、結論は初めから決まっているにも拘らず、格好をつけるためにわざわざ時間と労力をかけてパブリックコメントなるものをやったという事が明らかになった。こんな無駄で馬鹿げた行政は無くした方がいい。我々は、この事も含めて事務長制の問題点について、さらに文科省を追及していくつもりである。

2009年3月4日

文部科学大臣 様

全国学校事務労働組合連絡会議 議長 菅原 孝

小中学校における事務長制度化に反対する要望書

 伝えられるところによると、文部科学省は学校教育法施行規則を改悪し、来年度から教育委員会の判断により小中学校に事務長を置くことが出来るようにするとのことです。私たちは以下の理由により事務長制度化に反対します。

1 平等で自主的な職の歴史を尊重すべき

 公立小中学校の学校事務職員は1校1〜2名の配置で研修の機会も少ないという実態から、自主的に学校間相互の平等な学校事務研修をして自らの職務上の向上に役立ててきた実績と長い歴史がある。それを無視して職種内に上下関係を生じさせる「事務長」を置くことで、「事務の合理化・効率化や事務処理体制の充実」が図れるとは思えない。

2 職種内分断の弊害

 学校事務職員は、基本的にほぼ同じ範囲・内容の仕事を行っており、「事務長」とそうでない者とに区分されることにより、他の教職員・保護者からどう見られるかという不安とともに、多くの事務職員の仕事への意欲はそがれる。

3 配置の現実と矛盾

 「事務職員その他の職員が行う事務を総括」というが、たとえ「事務長」という職名を付けても、単数配置がほとんどの事務職員配置の現状では無理があるし、ましてその他の職員のやる事務まで「総括」するとなるとますますスムーズな学校運営には結びつかない。仮に複数配置であっても、県や市の行政現場ではグループ制や班組織を採用するところが増えている。いわゆる「行政改革」で組織の簡素化が求められている時期に、無理矢理「長」の付く職を新設する必要は無い。

4 一部の団体の思惑

 一部の職員団体や研究団体の進めている出世願望を満たすための「事務長」制度化の運動に「学校事務の共同実施」が利用されている。学校現場から事務職員を引き剥がしてしまったらスムーズな学校運営ができるはずがないし、一部の団体の思惑で制度を動かすべきではない。

5 職務の実態に対して無駄

 全国的に自治体財政悪化を理由にした市町村費負担事務職員の引き上げや教育事務所の統廃合に伴う諸手当認定事務等の学校現場への委譲が進んでいる。県・市教委レベルの「合理化・効率化」或いは「適正化」がかえって現場の学校事務職員には煩雑化・多忙化となっている実態がある。「改正の趣旨」に言う「事務処理体制の充実」は、学校事務職員の定数増によって実現されるべきで、事務職員間に格差を持ち込む事は合理的でも効率的でもない無駄である。

6 均一的な職に見合う給与体系が必要

 学校事務職員に職階制は相応しくない。大半が単数配置の中で、事務職員は一校の事務を担っているという自負をもち、経験年数に関わりなく初任者からベテランまで同じ仕事を求められる。経験を積むにつれて仕事の質はそれなりに高まるので、給与体系は採用から退職までひとつの級であるべき。事務長の制度化はその流れに逆行する。
 

横浜で「標準職務分担表」の制定強行
 ―とんでもない労働強化に断固反対する―

突如「交渉」でなく「説明」

 2月中旬、横浜市教委から組合に新たに制定する事務の職務標準についての説明があった。その内容たるや、唖然とするしかないものだ。大半の横浜市の学校事務職員がやっていない「学校基本調査」「職員の勤務日、勤務時間の割振り」「ISO関係事務」「教科書給与関係事務」「学校経営評価の管理部門に関する評価項目等の策定及び集計・分析」等が入っている。これだけでも問題だが、しかし、一番の目玉はなんと言っても「学校納入金」を事務職員の仕事に位置づけていることだろう。概略的な職務標準表に別表として詳細な学校納入金事務分担表が付されていることでもこのことは明らかだ。要は、現状殆どの学校で副校長(横浜では以前から教頭の職名がこうなっている)が担当している学校納入金事務を、事務職員に押し付けようとするものだ。業務量の激増をもたらす職務標準は、まさに労働条件に関るものであり、交渉課題ではないかとの組合の追及に対し、あくまで管理運営事項、ただ労働条件に関係はあるので説明の機会を設けた、として3回僅か30分ずつの「説明」で制定に突っ走るという無茶苦茶なやり方だ。尤も、こうした遣り口は横浜市教委の他市町村に見られない一貫した体質的なものなのだが。

直ちに反撃開始

 上掲の業務について、前からやっているよ、という地域もあるだろう。横浜市でも一部これらの業務をやっている事務職員もいる。それは、学校規模、経験年数、複数配置か単数配置か等の事情による。学校事務職員の業務範囲は全国で様々だ。同じ就学援助事務でも、横浜のように申請から支給まですべて学校事務職員が担当している所もあれば、学校は案内を配布するだけで、後は行政が行っている所もある。いったいに、横浜の事務職員は県内他市町村に比較して多忙と言われている。2年前に財務会計システムが導入され、年間2〜300件の支出命令書を処理するのに、従来の紙ベースよりも数倍の時間を要することになったことで、一層負担が増えた。深夜まで残業をしている例もあると聞くし、新採用で療休に入った人もいる。これ以上の負担増は確実に学校事務職員を過労状態に追いやる。

 がくろう神奈川は直ちに反撃を開始した。情宣で全市の事務職員に知らせ、問題点を明らかにし、警鐘を鳴らした。3月16日には集会を準備している。正式に通知が出されれば、これを盾にした管理職や教員からの業務押し付けに職場で直面せざるを得ない個々の事務職員がこれに抗していく運動を編み出したい。

受け皿作った教組事務職員部・事務研究会

 通知文の中に「学校事務をつかさどる職として責任を持って統括」「学校経営への積極的な参画」といった言葉が並んでいる。以前から「学校にいる唯一の行政職員」(だからどうした!)とうそぶき、学校納入金等の仕事を取り込むことで事務長制を含む「職の確立」に邁進してきた教組事務職員部・事務研究会(横浜では両者は表裏一体、日教組事務職員部長、全事研会長を輩出してきた歴史がある)が今回の攻撃を呼び込んだことは紛れもない事実だ。横浜では2010年度から4つの教育センターが稼動する。事務職員を兼務発令してセンターに配置の動きもある。全国的な流れの横浜版に私たちは断固として闘っていく。

(がくろう神奈川 池上)

   

議長 菅原 かみブログ

 まだ、カラスの合コンは続いています。ちょっと場面が進んで、ペアが周りの樹上や電線に移動して、「アー、アー」「カー、カー」と鳴き交わして、まるで相聞歌を聴いているようです。じっくり時間をかけて相手を選んで、そのうち連れ立って、巣作りに入るのでしょう。でも、子育てが終われば、カラスも個人行動が多いようです。寝ぐらには集まりますが。

 

 私も集まって何かやるっていうのは、本来得手ではありません。子供の時分から、一人でぶらぶら散歩したり、虫をじっと観察したりが性にあっていました。ですから「皆のため」とか「集団のため」と言われ続けられてきたことは、正直ウンザリでした。

 で、結局「個人主義」派なのでしょうか。「新自由主義」はそこをクスグルところがあります。「自立した個人を出発にする」とした新自由主義が、つまりはそうではなく、「人間を数えられる個数」つまりは「ヒトではなく物」として、個人をカウントしてきたことが明らかになっている。

期限付雇用学校事務職員の一方的な雇用切りはおかしい。

 先日、ある「期限付臨時学校事務職員」から電話が来ました。「期限付の雇用で今年まで3年続けてきたのに、来年度は雇用しないと、教育事務所が言っている。3年前『お願いします』と勤めていた職場を止めてまで、この仕事に就いたのに、一方的に雇用を打ち切られることに怒りを覚えている。」と、そして一昨日は、私の職場にわざわざ来て、「怒り」を伝えていった。

 早速、教育事務所担当者に、「雇用切り」を止めるように申し入れた。なんのかんのと言い訳を言っている。月末が近いが、何らかの改善を勝ち取るようにしていきたい。


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