2009年7月4日

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全学労連ニュース今号の内容

 「経済危機対策」関連事業と文科省予算

 期末・勤勉手当0.2月削減に抗議する

 議長 菅原 かみぶろぐ

  

「経済危機対策」関連事業と文科省予算

ー'09年度補正予算から見える国策教育ー

 文科省は「補正予算」成立を受けて具体的な「経済危機対策」関連事業の実施に動き出した。14兆6987億円の総予算のうち文科省関係は1兆3174億円。新学習指導要領の実施等のために理科教育設備の整備費200億円が計上された。文科省の説明によれば、事業総額は400億円、そのうち1/2を国が補助する。これによって1校100万円の設備整備が可能というふれこみだ。「補助裏」(自治体の負担分)についても特例交付金で9割を国が負担するので実質的には国が95%を負担することになるのだという。しかし、文科省担当者自身が「補助裏の区分けに複雑なところがある」と言っているように、今回の予算の執行までの道筋はわかりにくいところがある。「先端技術開発・人材力強化・中小企業支援」(7912億円)の中で理科教育の充実=設備の充実をどう位置付けるのか。結局、産学一体化路線を小中学校段階まで拡大していこうという理屈なのだろうか。

 他方、同じ文科省予算において「低炭素革命」(1兆5775億円)の一環として「スクール二ーューディール」構想が打ち出されている。4881億円の予算のうち学校耐震化、エコ改修はひとまずおくとしても、地上デジタルテレビへの全面切替え、教員一人一台のパソコンなどコンピュータ整備に2087億円を投入するという。情報機器関連産業推進のための予算措置であることがはっきり見えてくる。

 考えてみれば、1980年代以降の「ゆとり教育」から「学力向上」への総括なき「転換」と、破綻した新自由主義への根本的反省のないまま、バラまき予算が実行されていくこととは見事に対応している。例えば「地デジ」への切換えはテレビの受信方法に選択の余地を与えない強制されたものであるということこそ問題にすべきであろう。しかし人々は一律に「地デジ」対応のテレビ(或いはチューナー)を購入する「消費者」であることを強制される。学校は一大マーケットにされていくという構造である。

 国境の内外を貫いた資本主義の重層的な差別と分断システム。その矛盾はかつてない深刻な様相を呈している。バラまき予算のあとには「消費税12%」が早々と取沙汰されている。国内の貧困と格差がさらに押し広げられようとしている。だが、同時にアメリカ、日本をはじめとした先進国の膨大な赤字予算のつけは開発援助ー債務返済を強制され続けている途上国の民衆を更に搾取していることにつながっている。生きる権利を剥奪していく人々を至る所に生み出していく資本主義の状況はいやおうなく転換されざるを得ない段階に来ていると言わねばならない。

 「補正予算」絡みの文科省予算に関連する業務は地方議会の審議を経て早晩私たちの働く学校に現場におろされてくるだろう。その仕事の孕む問題と背景について考え抜いていくことは、私たちの追求すべき労働運動のあり方へのヒントになるのではないか。

(事務局 羽成)

  

期末・勤勉手当0.2月削減に抗議する
差別賃金の廃止を!

ただただ国追従の松沢県政

 5月1日に出された国人勧一国家公務員の6月期ボーナスの0.2月「凍結」を受け、神奈川でも人事委員会勧告が出され、国追従の流れが作られてしまった。15日勧告、19日県提案、20日県労連との決着を受けて強行、翌21日に議会提案というひどいものだ。組合との交渉は文字通り形だけ。

 神奈川県では、未曾有の金融危機一不況による県財政逼迫を理由にこの4月から向こう2年間給与の3%カットが始まったばかり。新採用者は1月の昇給分が吹っ飛び、4月からの給与が採用時よりもダウンするという事態だ。同様に給与カットを行っている他県では、二重のしわ寄せを避けるため、期末・勤勉手当「凍結」勧告を出さなかったところもある(宮城、島根、佐賀)。また、北海道では賃金抑制措置を行うにあたって導入したばかりの査定昇給制度を凍結した。新自由主義の松沢県政はあくまで国追従一辺倒である。

 通常の人勧前の異例の勧告は、秋の賃金交渉に向け大幅賃下げを図るための目論見である。今回の「凍結」は決して「解凍」されるわけではなく、一層の賃金カットを呑ませるためのテクニックにすぎない。

成績主義の撤回を1本番賃金交渉に向け

 神奈川県では昨年度から私たちの強い反対を押し切って、勤勉手当成績率が導入された。10%枠の「成績特に優秀」が「普通」の0.14月増、30%枠の「優秀」が同0.07月増の格差が持ち込まれた。原資はこれまでと変わらないから、要するに「普通」の職員の支給率を引き下げてこれを「成績優秀」者に回したということだ。12月勤勉手当では原資が不足して計40%のはずの「特に優秀」「優秀」枠が32%に縮小された。これは高額給与の総括(主幹)教諭層が高評価を受けたためと推測される。現に、組合員校の実態では、総括(主幹)教諭層に「成績優秀」が集中し、しかも6月、12月連続して上積みを受けているケースが多い。県教委も、人事評価の建前から言えば総括(主幹)教諭には一般教諭とは異なる水準が求められているのだから、高評価が集中するのは本来的でない、と認めている。しかし、そもそも人事評価制度にそのような厳密さを求めるのがないものねだりというものだ。

 校長にとって「成績優秀」とみなされた教員(それはしばしば単なる「お気に入り」である)は、当然にも総括(主幹)教諭の推薦対象になり、人事評価も高評価であって、勤勉手当成績率も「優秀」、査定昇給でも6号・5号昇給となっている。県教委は「いたずらに差がつかないように運用」、と言っているが、すでに実態は格差の固定化の傾向を見せている。このままいけば大きな賃金格差が累積していくだろう。大多数の職員の勤労意欲は減退するしかない。

 このような差別分断の賃金制度の廃止に向け、私たちは秋の賃金交渉に強い決意で臨む。県労連はあくまで本番の交渉に問題を先送りしたが、私たちは早速、「凍結」批判のビラを県教委で撒いた。(がくろう神奈川池上)

ホーナスカンバにご協力をお願いします。

ボーナス0.2目削減に抗議しともに闘いましょう。

郵便振替口座OO16O-6-34582全学労連

  

議長菅原かみブログ090610

 3棟並んだプレハブ、校舎の間は雑草も疎らにしか生えない荒地ですが、そこに見慣れた黄色の花を見つけました。タンポポに似た花を咲かせる豚菜(ブタナ)です。タンポポと異なり花茎が長く、3,4つに枝分かれして花を咲かせる外来種の雑草です。

 私の住まい周辺には沢山生えていますが、その他ではあまり見かけない草です。まだ他の草が生えていない新興住宅造成地に真っ先に進出して花を咲かせ、大きな株を作ります。旺盛な繁殖力で、あたり一面黄色の花で埋め尽くすほどです。それが徐々に広がり、泉まで進出してきました。

 しばらくぶりに、支部に一人加入者がありました。労働組合はブタナじゃないので、そんな繁殖力は到底ありえません。じっくり普通の日常の活動をして、組合員を増やしていきましょう。

破れかぶれの補正予算

 麻生末期政権の補正予算が成立しました。財源は全部借金。どうせ自民党政権が終焉するので、後始末は民主党にやらせようと、破れかぶれの手に出たのでしょう。

 もうひとつ、したたかな官僚の「基金」が目に付きます。天下り規制が強化されそうなので、基金に金を溜め込み、自らの将来に備えているのでしょう。

 実際に私たちの職場に関係しそうな予算もあります。市教委から「教材費で理科設備を購入しないで。」と連絡がありました。それは政府の補正予算に「理科設備各学校100万円」が入っていたからです。早速、ホームページで「平成21年度政府補正予算」を確認しました。

 理科設備については具体的な指示が出ていて、文科省の補助金と内閣府の交付金で地方負担をなくす手法が政府から示されています。そのうち実際に動き出すかもしれません。

 次の項目がありました。

 「景気対策」と銘打った予算だけのことはあります、不景気に苦しむメーカー対策の予算が並び、持ち込まれた学校が扱いに困る状況を生み出さなければいいのですが。

 それにしても思うのは、中央官僚は「ただただ予算を獲得する」のが仕事ということです。昨年度から小中学校に「非常勤講師」を大量に導入する計画を文科省は予算化していますが、どれだけ配置できたかの検証はないのが現実です。中央官庁の官僚は予算が付けばそれで終わり。それこそ、その予算がどれだけ有効だったかを調べたら、自分の首を絞めるのですから、やらないのです。今回の補正は、思いつきで何でもかんでも予算に上げたのが実情でしょう。

 今年度の非常勤講師大幅増の予算も同じことです。予算はありますが、そんなに非常勤講師が増えている事実はありません。最近病休者が出ても、補充の教員が見つからないということからも、教員免許を持っていている人は払底しているのが実情です。それにもかかわらず非常勤講師増予算を作ったのでした。今年、市内では、「特別支援の支援員」が数多く配置されています。時給が数分の一の支援員採用で非常勤講師導入としているのでしょうか。

省令「事務長」は、紙切れだけ

 文科省この舂、学校教育法施行規則を「小中学校にも事務長を置くことができる」と改正して、各県教委に通知しました。「市町村教委が管理規則を改正して」との通知です。

 この文科省通知を受けて各県がどうするか、注目していましたが、どこも何の音沙汰ありません。福島県教委も同様です。なにかアクションを起こす予定はないそうです。また、市教委は「県教委が動かない限り」と、こちらも何も起こさないでしょう。

 私たち県費学校事務職員は、県教委に雇用されています。その職名(主事・副主査・主査・主任主査)は県教委が発令し、それがそれぞれの賃金に反映されます。

 しかし、市教委が事務職員に何かの「職に関する名前」を発令したとしても、そこだけのことです。「主任」がそれぞれの学校で発令し、履歴書に記載しないのと同じ意味です。(ちなみに、他県では履歴書に記載したり、市教委発令だったりするところもあります。)

 県費学校事務職員の職名は、あくまで賃金と連動した県教委の職名が意味を持っているので、今回の文科省令改正で何かが起こるとは考えにくいことなのです。

 まあ、文科省が「小さな紙切れ」を出しただけの騒動でした。

混乱の旅行命令と旅費配分

 旅費が配分されました。生徒・職員が多いので、我が職場は、684,703円です。修学旅行、中体連東北大会引率が別枠になるので、職員の出張は十分カバーできそうです。そこで今年はこんなことを考えました。

  1. 家庭訪問も県費旅費。前後のときはしっかりキロ数を記入。
  2. 遠足バス代も県費旅費。
  3. 修学旅行の班別行動は細かく記録。地下鉄代も支給する。おかげで命令書は7種類。
  4. 中体連は全部県費に回す。市大会は貸切バス総動員で、旅費は少し。

 ところで、学校で職員の「会合」が出張か職免か年休かで揉めていますか。最近は小中教研も整理しているようですが、どうなっていますか。

 研修会に行くのが仕事なら、当然出張でしょう。出張にならない会合は、いわば「趣味の会」です。行くか行かないかは本人が判断すればいいのです。

 だから、「これは出張、これは職免」と書いてある一覧表示自体が摩訶不思議な代物です。それを堂々と明らかにする気が知れません。その行動規則の一覧表を証拠に措置要求をすれば勝つかも知れませんね。

 事務研も出張にならないようです。「趣味の会」になってしまったのでしょうか。学校事務の改善や職務遂行に必要な会議は、当然出張になります。その役割を果すなら、方部事務研や委員会も「職務遂行に寄与する会議」に衣替えすればいいのでしょう。

 小名浜方部事務研は4月の集まりは「歓送迎会」だけ。その場で組織的なことも決めました。12月も「学校事務改善研究会」とでも名称をつけない限り、「忘年会」だけになりそうです。



 ブタナについては、ネットで検索して(カタカナでね)写真を見てください。どこにはえているか興味がありますので、見つけたら連絡してくださいね。

 中央台周辺にはいたるところにあります。暗くなると花は閉じてしまいますので、日中見つけてください。

 ブタナの名前の由来は、フランス語名が「豚の菜」だからです。英語は何とかタンポポだったと思います。


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