2009年8月1日

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全学労連ニュース今号の内容

 7.13 全学労連 中央行動報告

 議長 菅原 かみブログ 090723

 

7.13 全学労連 中央行動報告

はじめに

 全学労連は7月13日、財務省、総務省への要請及び文科省交渉に取り組んだ。各省とのやり取りについて以下報告する。なお、全国知事会、都道府県教委連合会については日程調整がつかず要請書を郵送した。

財務省

政権交代を視野に作業

 東京都議選での自民大敗直後、文科省交渉の前段の取り組みとして財務省への要請行動を行った。

 財務省では、主計局文部科学第2係村田係長が対応した。都議選での自民大敗で霞ヶ関には激震が走ったのかと思いきや普段と変わらない様子で、彼等も自民大敗は「想定内」だったようだ。

 村田係長は、「補正予算も終わり、22年度概算要求基準も示したので今が一番暇な時期です。但し、政権が変われば概算要求基準もガラと変わると思います。民主党のマニフェストを勉強しなければ。」と気軽に対応した。

 要請書の内容に対しては、非正規職員問題では、「21年度文部科学省予算の焦点は非常勤講師問題だったが、当の文部科学省からの配置実態の資料が無く、また、各県バラバラなので実態把握が出来ない。ちゃんと検証しなければいけない。」と文部科学省への不満を述べた。また、非常勤職員の労働条件についても「交付金基準単価を守って欲しい。雇用はきっちり取り扱って欲しい。」と我々の要請内容に添う回答を行なった。

 我々は、文部科学省の加配方式の定数改善が不安定雇用の臨時職員を増やしている実態を示し、これを改善するため財務省として何らかの取り組みを行なうよう求めた。また、2009年度文部科学省予算での1400名の非常勤講師配置については、現状でさえ非正規率の高い教育現場に、更に非正規労働者をばらまこうとしており、非正規労働者の労働条件が更に悪化する可能性があると指摘、改善を求めた。

 また、教職員の階層化については、これまで教職員集団で協同して行われていた教育活動を阻害するものであり、人事考課による賃金格差の導入は、教職員組織の活性化どころか多くの教職員の遣る気を無くさせ、学校を荒廃させるものであるとしその廃止を求めた。 村田係長は、我々の現場実態に基づく話を頷きながら聞いていた。終わりに菅原議長が「政権が変わったらまた来ます。」との挨拶に笑って応えていた。

総務省

 午前の財務省交渉に引き続いて13:30から総務省交渉を行なった。

 冒頭で菅原議長から自治財政局調整課・村岡課長補佐に対し要請書を手渡し、現在の学校現場の混乱について説明があった。特に現在文部科学省が行っている加配は現場の実態を無視したものであり、実態は紐付きの予算をばら撒いているだけと指摘した。

 その後交渉に入り、組合側からは詳細な数字を示しながら文科省の矛盾を指摘した。

 総務省はこれに対し「私達も文科省に対し詳細な数字の提出を求めているものの、なかなか出てこない」と回答。文科省の主張に対してさらに疑問が残った。

 主なやりとりは以下の通りである。

(以下、全学労連の発言を[全]、総務省の発言を[総]とする)

[全] 義務教育費の国庫負担は現在1/3となっているが、上限が決められている。実際はそれ以下だ。

[全] 現場では非正規職員の割合が増えている。

[総] それは非常勤職員か?

[全] 常勤職員だ。学級担任をしている職員もいる。学校基本調査では『講師』という職名で調査しているので、違う職名を含めれば実態はもっといる。

[総] 法的に整理すれば非正規の雇用のパターンもそれほど無いはずだが・・・

[全] 文科省の言うように現場では職員は増えていない。県単独事業で採用している職員を採用替えして補助金対象にした例もある。

[総] 私達も詳しいデータは持っていない。財務省にも無い。このような質問に対して文科省は何と答えているのか?

[全] 地方(教育委員会)の責任と言っている。大阪では定数を守らなくてもペナルティーはないと開き直っている。

[総] 大阪は定数を満たしていないのか?

[全] 満たしていない。

[総] 知らなかった。むしろ独自で加配していると思っていた。大阪は本来もらえる国庫補助を貰っていないと言うことか?

[全] そういうことになる。

[全] 安心出来る職場をつくって欲しい。

[総] 今、公務員を増やす方向には進めない。でも現場からの声は聞こえている。

 

 残念ながら有効な回答を得ることは出来なかった。しかし、現場がいかに混乱しているかを直接伝えることが出来た意義は大きいと思う。

文科省

 5月15日付要望書、4月22日付省令事務長質問書(それぞれ本紙No.319 09.5.31参照)に基づく交渉行なった。要望書そのものは義教金制度、定数、労働環境等、二十数項目と多岐にわたるものであったが、当日はこの4月1日から施行された「省令事務長」に関する件と定数問題と二点に絞った交渉になった。

省令事務長は「職」ではなく「役割」

 当初回答として、「省令事務長」に関し次のように述べた。

 平成19年3月29日中央教育審議会答申『今後の教員給与の在り方について』等を踏まえ、事務の合理化・効率化や事務処理体制の充実を図るために小中学校に事務長を置くことができる、というのが今回の省令改正の趣旨だ。各地の状況に応じて運用してもらえばいいと考えている。今後、必要な情報は出していきたい。

 また、関連して4月の質問書にも次のように回答した。

(事務長設置に伴う経費について)経験年数に応じて必要な給与費を義務教育費国庫負担金の積算基礎として計算してきているところであり、あらためて予算措置をする考えはない。

(役職設定の理由について)今回の事務長は職ではない。教諭で言えば教務主任みたいなもので、役割というように考えている。

(事務長が「総括」する事務の内容について)それぞれの市町村教委で判断すべきことと考えている。

(総括の対象となる「事務職員その他の職員」について)教職員、教員も事務を担うこともあり得ることから、それも総括の対称にするということである。

 これに対するやり取りは…(以下、全学労連の発言を[全]、文科省の発言を[文]とする)

[全] 省令事務長施行後、各県から何か反応はあったのか、また具体的な動きはつかんでいるのか。

[文] 既に事務長が職として設置されているところから、既にあるものとの相違はあるのかという問い合わせがあった。しかし、具体的な省令事務長設置の動きはまだ承知していない。結果のとりまとめをどうするかについては未定だ。

[全] 省令化前には何らかの声はあったのか。また、今後省令事務長を設置するときには具体的にどのような手続きになっていくのか。

[文] 省令化前には中教審答申があったし、地方の声もあった。今後の手続きだが、市町村教委の規則改正になっていく。

[全] 従来から事務長があったところも規則化をしなければならないのか。

[文] 省令改正は明確にしたということで、規則化したほうがより充実することになると思う。

[全] 省令事務長は職(処遇)でなく役割というが、転勤すればリセットされるのか。

[文] それは教育委員会の判断による。普通は役割と処遇は一致しているのではないか。職をつけるということはそれなりの役割を想定している。

[全] 省令事務長は共同実施に箔をつけるための方便に見える。初任者もベテランも業務の中身は一人職種である以上同じだ。しかし職名も同じだと給料が上がっていかない、ずっと同じでいいということではないので職名をつける、というのが実態だ。義教金積算のための別表7も職や役割で作られているわけではない。

[文] 処遇と職名とどのように関連付けるかは教育委員会の判断だ。

[全] 職名と処遇は都道府県、今回のは市町村で、関連はないはずだ。今後、省令事務長の実情調査をするだろうから、情報提供をして欲しい。

[文] わかった。

[全] 今後、都道府県、市町村に省令事務長を働きかけていく予定はあるのか。

[文] 会議の場では周知させていきたい。

[全] 教員の負担軽減関係で、京都府や広島県の資料を提供して欲しい。特に広島では定数割れをしていると聞いているが。

[文] 資料については後日送付したい。広島の定数割れだが、年度終了時点ではうまくいっていると聞いている。

 

 これらの回答とやり取りから浮かび上がることは、省令事務長は職(処遇)ではなく「役割」に過ぎない、ということだ。

 事務長制を推進していた人々は、この省令事務長によって新たな上位格付けを期待していたようだが、すんなりとはいかなさそうだ。省令事務長は市町村発令であり、上位格付けは都道府県であることから、イコールでは結びつかない関係にあるのだ。しかし、文科省は「普通は役割と処遇は一致」と言っているように、都道府県主導で処遇と結びついた省令事務長導入も考えられないではない。もっとも新たな上位格付けを都道府県が認めるとは考えづらいことだが。

 いずれにせよ、鳴り物入りで導入された割にはクールな文科省だった。

基礎定数化が願望だが行革推進法が…

 「定数問題」については、次のように回答した。

 加配方式による定数改善について、児童生徒数で図ることができないものについて事務職員だけでなく他の職種でも採用している。しかし、それらを基礎定数化できないか、ということは検討する必要がある。ただ、加配を基礎定数化してしまうと児童減により定数が減ってしまうこともあり、加配は減員にしないようにするための方策でもある。

 30人学級については今までも、今後も検討すべきものと認識している。都道府県によっては既に実施しているところもあるがこれは地方の自主性によるものだ。それを踏まえナショナルスタンダードにしていくべきかどうかを検討している。

 事務職員の複数基準引き下げについて、事務職員の定数改善は加配方式、共同実施加配として行っているが、これは定数を減らす合理化策として行っているわけではない。教員が授業に専念できるようにという趣旨のものだ。教員の多忙化を踏まえ、勤務時間見直しを図る上で、学校運営全体で検討するということで、共同実施のみのものではない。基礎定数化ということもあるので、今後もその中で検討したい。

 非正規職員について、事務職員だけでなく学校全体で増加していることは承知している。少子化や行政改革という定数削減圧力がある一方、今後大量退職時代が到来することにより、新規採用者が増えていくという状況にあるが、質の担保をしつつ採用をすべきと考えている。何十年後かに歪な年齢構成になってしまうとか、過員により学校から他の部署に移動させなければならないとか、こういうことが想定できるのでそのあり方については注視していく必要がある。

 これに対するやり取りは…

[全] 加配方式があるから非正規職員が増えることと、現場から見ると関連付けられてしまう。非正規職員が担任をするという実態があるが、そういう実情をきちんと調べるべきだ。学校基本調査では浮かび上がらない。

[文] 負担金は正規職員でもいい、非正規でなければならないとは言っていない。福島県の例だが、どうして少人数として雇った非正規に担任をやらせるのか、首をかしげる例もある。

[全] 地方では非正規を雇うほうが、裏負担が軽くなるという事情がある。大阪では教務主任を臨時職員がやっているという実情もある。

[文] 指導をすることは難しいが、現場を見に行きたいとは思っている。

[全] 加配の必要性は言いつつ、それが非正規を増やしている実態があることを自覚はしているようだが。

[文] しかし、行革による定数削減圧力もあり、基礎定数化のみではダメだという事情もある。

[全] 今年度の非常勤1,000人配置はどれだけ埋まったのか。現場から見るとなかなか見えてこないが。

[文] 非常勤は埋まっている。県の単独事業がこれまでもあって、それを回すということで、現場に実感がないのかもしれない。

[全] 現場では臨採と非常勤の取り合いがある。産休代替者を探そうとしても既に非常勤で採用され、人が見つからないという本末転倒の状態が蔓延している。

[文] それも各県から聞いて承知している。非常勤は社会保険に入れないし問題があると思っている。指導要領改定で授業時数が増えようとしているし、基礎定数化を図るべきだし、標準法改善をしたいと思っている。ただ行革推進法があるので、なかなか思うようにはいかない。

 

 官製ワーキングプアの多くが学校で働いているというマスコミ報道を気にしてか、非正規職員課題に対する問題意識はそれなりに発言の端々に出ていた。加配方式が非正規職員を生み出す元凶であること、それを正すためには「基礎定数化」が不可欠であることもそれなりに認識しているようだ。しかし、行革推進法による定数削減圧力や、地方のウラ負担軽減方針によりなかなか文科省のその思いは花開かない。もっとも「検討」というのは何もやらないことを指し示す行政用語らしいのだが。

 

 今回の文科省交渉は東京都議選の翌日、自民敗北が決定付けられたまさにその日に行われた。次の政権がどうなるか分からないという状況の中で、来年度予算も流動的になっている。そのためか、今回交渉での文科省の語り口も、特に定数問題は例年とは異なる印象だった。最後に、流動的な状況に対応できるために相互の連絡を約して交渉を終えた。

文科省関連補足

 交渉当日には取り上げることができなかった項目のうち何点かについて事前に若干の質疑等を行なったので補足しておきたい。

(1)要望項目4−2 休憩時間の確保について

 高槻・休憩時間控訴審判決('09.4.16大阪高裁)をどう受け止めているか質問した。判決は休憩時間に「自発的に」働いたのだから休憩が取れなかったとは言えないというお粗末な内容ではあったが、さすがに休憩が「取れていない」実態については認めざるを得なかった。文科省も又、業務量が増大し続ける中で定数改善がなされず、休憩はおろか、より一層の長時間過密労働が強いられている学校状況については一定の理解を示した。しかし、裁判は係争中なので「見解を示すことはできない」とした。

(2)要望項目7−AB神奈川県教委、都教委の学校現場への不当介入について

1)神奈川県教委の「君が代不起立個人情報の収集」は同県の個人情報保護条例に違反しているとして'08年11月17日横浜地裁に訴えが起こされている。このことについて文科省の考えはどうか?

2)都立七尾養護学校(現特別支援学校)における性教育に対する不当な介入を訴えた裁判で、議員、都教委の非を明確に指摘する判決が出た('09.3.13東京地裁)。この判決をどう受けとめているか?

 以上2点の質問に対する回答はいずれも「係争中でありコメントできない」「各地方(教委)に委ねられるべきことである」という空疎なものであった。裁判の進展、職場の闘いに注目しつつ、引き続き文科省に迫っていく必要があると感じた。

(3)要望項目8 特別支援教育の見直しについて

 折しも障害者権利条約の批准が課題になっている。とりわけ条約第24条(インクルーシブ教育を実現)との関係で、学校教育法施行令(第5条)の改正が必要ではないか。この問いかけに対して文科省は「第5条※の改正でいくか、通知でいくか、まだ文科省としての案は固まっていない」との回答であった。全学労連としては、「子どもの権利条約」批准の際に国内法の改正は一切必要ないとして「通知」(1994)で済ませたような対応はすべきでない、東松山市の先進的な取り組み('07年に就学指導委員会を廃止)を踏まえ特別支援教育が前提としている分離教育の枠組みを転換していく法整備をきちんとやるべきであると主張した。

※ 学校教育法施行令第5条によれば、就学年齢に達した子どもは市町村教委が就学通知を出す。しかし、同第22条の3で定められている「障害の程度」にあてはまると判断された子は除くと規定されている。条約が掲げるインクルーシブ教育に照らしてみれば、学校教育法施行令の見直し、ひいては就学時健康診断の廃止は避けて通れない問題としてある。

まとめに代えて

 文科省は財務省の「非常勤講師の実態を明らかにしてほしい」との要求に対して「各都道府県で実態が違うのでむずかしい」と答えたという。「学校基本調査」を見ても、1級(講師)と2級(教諭)の地域ごとのバラツキを把握できるような調査になっていないのだからそれは確かに「むずかしい」だろう。不十分とは言え、総務省が漸く開始した「臨時・非常勤調査」に学んで、文科省が早急に学校に即した調査を実施するよう求めていく必要があるだろう。「基礎定数化を検討している」「30人学級について検討を続ける」という文科省の今回の発言を「臨時・非常勤」拡大方針を全面的に見直す契機とするよう強く要求していこう。

 「学力テスト」と「特別支援教育」の同時推進体制によって子どもたちはますます競争にかりたてられている。そのような教育のために学校現場で働く労働者も又競わされ、多忙化を強いられていこうとしている。依然として新自由主義におおわれた教育と労働を貫くトータルな現実を見据えつつ、私たちは何に依拠し誰と結んで運動を進めていくのか、共に模索していきたいと思う。

 

議長 菅原 かみブログ 090723

 プレハブ校舎に暑い夏がやってきました。今年はまだ30度半ばの気温ですが、昨年は職員室や教室は40度以上の日がざらにあったそうで、理科設備予算200万円より、地デジテレビより、職員パソコン(各校2台)より、エアコンが欲しい。

 その、地デジテレビを全国の学校に配る、麻生政権最後のあがきの補正予算。7月13日の中央省庁で、官僚たちも「評判の悪さ」を気にしていました。

学校で働く非正規労働者の労働条件改善を

臨時事務職員を福事労組合員に

 福事労定期大会で「期限付雇用事務職員を組合員にする」ことを確認しました。私たちと同じ仕事をしながら、彼らの労働条件は良くありません。賃金に法的根拠なく上限が決められ、続けて雇用されるときは1月空けさせられる。いろいろ問題は大きいです。県内の小中学校には、臨時雇用職員は職員の10%を超えています。事務職員も同様の割合で雇用されています。彼らの労働条件改善に福事労がどこまでできるかが問われています。きちんと取り組みを開始したいと思います。

 この問題は、福島県の学校だけの問題ではありません。総務省のホームページで、「臨時職員」で検索すると、総務省の調査した「臨時雇用公務員」に当たります。それによると、都道府県レベルの「臨時職員」の中で、学校の職員が最も多いのです。また、生活保護を受けている非常勤講師のことなど、最近マスコミでも「官製ワーキングプア」問題を取り上げています。

 7月の中央交渉で、各省庁とも「官製ワーキングプア」に関心を寄せていましたし、文科省の担当官は「福島県のように講師の大量採用は困る。」と言っていました。

学校で働く非正規雇用労働者の問題と課題の整理

●賃金

 採用された公務員の初任給賃金は「初任給決定規則」により決まります。規則でその職の級が決まり、号給は学歴と職歴によって計算されます。期限付雇用職員は毎年採用が繰り返されるので、毎年初任給が決められています。それを規則どおり決めればよいのです。

 ところが、福島県教委は規則を守らず、法的根拠の無い「期限付雇用職員の賃金の上限」を作り、賃金抑制をしています。

 この不法な賃金抑制を突くことが大事です。当局に何の理屈もありません。

 また、福島県では期限付雇用事務職員の職名は「主事」とされていて、賃金の格付けは行政職給料表1級のみです。しかし、正規職員の場合、「主事」のまま4級まで昇格することができるのですから、前歴を考慮して、上位級格付けをすべきです。

 また、期限付教員も問題です。福島県の場合「講師」とされていますが、学級担任をやり、部活動顧問もやり、教諭と同じ仕事をしているのですから職名を「教諭」とすべきです。全国では、すでに多くの都府県で期限付雇用教員の職名が「教諭」になっています。もちろん「教育職2級」に格付けされています。

●雇用期間

 期限付雇用職員を繰返し雇用するとき、県教委は空き期間を置きます。福島県教委は、教員(講師)は最低1日、事務職員は1ヶ月空けています。その根拠は、「地方公務員法22条」です。地公法22条(臨時的任用)では、「緊急の場合、臨時の職の場合、任用候補者名簿がない場合に、6月以内の任用ができ、更新は1回のみ可能で、1年を超えて継続任用は不可」としています。そのため、空き期間を設けています。ですから、福島県のような教員と事務職員とで、取り扱いが異なるのは不当なことです。

 多くの県で、1ヶ月も空ける取り扱いしていません。隣の宮城県では、「6+6職員の空き期間は10日程度」とされています。

 教員と事務職員を区別し、空き期間が違うのも気に入りません。明らかな差別です。

●社会保障

 年金・健康保険・失業保険が三大社会保障です。公務員の社会保障は「共済組合」が担当しています。(基本的に公務員は会社倒産がないので、失業保険は無い。)しかし、福島県の期限付雇用職員は1年以上の雇用期間がないので、共済組合員になれません。そこで、福島県教委は期限付職員の年金と健康保険は、厚生年金と全国健康保険協会福島支部に丸投けしているのです。

 年金・健康保険とも共済組合の方が、条件がよいのが現状です。数年も継続して雇用していながら、社会保障を差別するのは理にかないません。「ふくしま福利だより」を職員に配布する時、期限付雇用職員に配ることができないのがとても悲しい。共済組合員向けにしか書いていないのです。配布枚数も組合員だけです。自らは手にしない配布物を配らざるを得ない臨時事務職員の気持ちを、県教委の役人は想像できないのでしょう。

 これは、福島県教委が自ら雇用している職員の内、その10%にも上る労働者の福利厚生を無視していることの証明です。雇用主責任を放棄しています。

 年金・健康保険に関して雇用者として「責任ある説明・解説」と正規雇用者と同等の条件の整備を要求しましょう。基本的には臨時雇用職員も共済組合員にすべきです。

 「福利厚生の事務の手引き」で、唯一臨時職員の福利厚生内容が書いてあるのは、「失業者の退職手当(条例11条)」だけです。これは、福事労が県教委交渉で記載を求め、書かせてきました。福利課にとって「退職金が貰えない者(懲戒免職者)が該当するもの」の認識でしたが、小中学校で働く多くの期限付雇用職員に関係するものとして記載を要求したものです。(ちなみに、そのきっかけは全学労連事務局会で聞き及んだことからです。)

●健康診断

 健康診断にも問題があります。そもそも日本の労働者の健康診断は労働安全衛生法に基づいて行われているのですが、福島県内の多くの市町村教委では県費負担教職員のための労働安全衛生法に基づく体制が作られていません。そこで、小中学校教職員健康診断は学校保健法で行われています。

 ですから、「雇入時健康診断」(法律で、労働者を雇入れたときは健康診断をしなければならないと定められている。)が実施されていません。また、健康増進法で、メタボ健診が行われていますが、実施主体が「健康保険事業者」とされているため、学校職員は共済組合が担当します。ここでも臨時職員は排除されているのです。

 期限付雇用職員を雇っているのは県教委なのですから、雇用者としての責任を求めていきます。

 

 今年は、春から家の周りでウグイスがよく鳴いていました。そして、最近我が家の庭で、朝とても早くさえずり始めたのです。多分若ウグイスのさえずり練習なのでしょう。それがうるさいのなんの。布団から5bと離れていないところで、日の出前に鳴き始めるのです。山で聞こえるウグイスの声はかわいいものですが、早朝4時だと騒音になります。

 早く山に行ってくれと思う今日この頃です。


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