2009年10月9日

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全学労連ニュース今号の内容

 第38回全国学校事務労働者交流集会(弘前)

 全学労組交流集会参加記

 議長 菅原 かみぶろぐ

  

第38回全国学校事務労働者交流集会(弘前)

弘前・ねぷた

 7月31日から8月1日の二日間、青森県弘前市で開催された集会は、教育の民営化や行政合理化の進行、学校で働く者に対する逆風が吹く状況を受けて、今後に立ち向かう取り組みを追求するための意見交換が、熱く和やかに繰り広げられた。

一日目
 
はじめに、全学労連からの基調報告を受け、全体会方式により、4本の討議の柱に基づきレポートによる報告と意見交換が行われた。夕方には、各地の近況を語り合う懇親会で、舌鼓を打ち、明日への英気を養った。
二日目
午前中は討議の柱に基づく討議を引き続き行い、まとめの会にて今後の行動の提起、集会宣言採択などを行い、集会を終えた。

基調報告

○今日の状況

基調報告

 小泉内閣の下で行われたいわゆる三位一体改革は、結果として地方交付税の大幅削減など自治体に財政的しわ寄せをもたらした。窮地に陥った自治体は今『行政改革』に奔走している。この動きは教育現場をも直撃し、現在教職員定数を削減する動きが全国的に広がっている。また学校の内側も外側もあますところなく市場原理に埋め尽くされ、そのことから現在の教育危機は来ている。

 こうした状況の中、今日の政界再編の動きも含めてかってなく流動的な状況が現出し、一種混乱状況を呈することになるかもしれない。その中で労働運動、様々な市民運動が的確な方針を持ち、効果的な運動を展開できるならば、大きな状況規定力を持つことになるだろう。

○どのように闘っていくのか

 数年来、全学労連は共同実施反対、非正規労働者の労働条件改善、教育の「民営化」反対、教育基本法「改正」反対等を中心に運動を展開してきた。共同実施は秋田県の例を典型に、事務職員合理化策であるばかりか、一層多くの非正規労働者を学校に導入してゆく手段であることが明確になった。非正規労働者の問題は、今や全社会的な問題としてクローズアップされている。教育「民営化」は教育の深部でのゆがみをもたらし、学校で働く労働者に対しては人事評価制度、差別賃金、教員階層化、事務長制導入の攻撃として熾烈化している。総じて、私たちの運動は、非力ではあるが学校現場に即して的確に現状社会の基本的・根本的な問題を取り上げ、その解決を訴えるものでありえたと思う。

 学校事務職員の運動の現状はどうか。日教組事務職員部は文科省との間のパートナーシップを国庫負担問題での大政翼賛会的「共闘」や、事務職員合理化策である共同実施推進で維持しつつ、精々事務長省令化のちっぽけな飴玉をしゃぶらされたにすぎない。事務職員の大勢は事務職員部よりもむしろ折々の文科省の施策に無批判に追随し、臆面もなく流行のスローガンを垂れ流すことによっていっときの幻想を抱かせる全事研に流れていると思われる。共同実施はもともと全事研が発案し、事務職員部が後から便乗したものだった。

 それではわたしたちの場合はどうか。全国の学校事務職員に彼らが自らの「仕事の社会的な意味を確認でき、仕事において仕事の進め方について発言権がある」と言えるような状況に向けた発信が出来ているだろうか。幻想に依拠する「物語」はいらない。しかし、事実的根拠に基づく学校事務の仕事観、学校事務職員像を提示することは必要なのではないか。それは決して抽象的な理論というようなものではないだろう。むしろ運動の内実、スタイル、作風に自ずと体現されるかもしれない。

 非正規労働者の問題が課題として見えてきたのは、学校事務職員として現場で日々働く中で感じた素朴な疑問からだ。昨年の議員要請行動でも私たちの要請に真摯に耳を傾けてくれたのは、現場実態に基づく私たちの言葉に重みがあったからだろう。事務職員というポジションならではの視角・視点というものがあると思う。それを大事にしたい。

 学校事務職員「であること」から「すること」へ、学校事務労働者としてできること、学校事務労働者だからこそできること、そこに豊かな可能性を見出していこう。そして、「競争をおりよう・・・そして希望を語ろう」と呼びかける全国学校労働者組合連絡会と、それぞれの特徴を生かした連携・交流を強めていこう。

討議の柱1≪共同実施の現状と対応≫

 青学労より報告がなされた。青森県では2000年4月に八戸市から始まり、2009年には19市町村43名に達している。その内容はよく見えていない。県教委は2008年「加配のないグループ制」を提示し、検討委員会を設置、青学労組合員1名も参加した。しかし、県教委は突如として2009年2月に地教委、学校長への説明会を強行した。今の加配はどうするのか?「加配のあるグループ」はどうなのか?疑問だらけであった。

 青学労は県教委交渉の中で「加配のないグループ制」については定数削減を招くとして反対し、「市町村教委が希望した場合」とさせた。現在、希望はゼロである。「加配のあるグループ制」は、八戸の学校事務支援室が学校統廃合のための過員対策としてやってきたし、平内町では小規模未配置校で行われている。本来の共同実施とは趣旨が違うが、過疎地域での実情は多少理解できるものがあり、闘い方は難しい。

 都市部では反対の闘いも理解が得られている。加配要員は臨時的任用で、共同実施をやっていない学校にも臨時的任用が入っている。正規職員は480名、一割近くが加配である。県教委は「共同実施の加配は市町村から申請が出たらそのまま文科省へ出す」と言っているので、拡大してきている。

 今後は、共同実施加配という不安定な定数配分に頼らない県単での定数改善を目指す。教育事務所も6から3に縮小再編されるが、グループ制か事務長制と併せて進むのか危惧されている。青学労は七項目の闘争方針(@国庫負担制度の維持、A総額裁量性を実施させない、B共同実施、グループ制の撤廃、C県・市町村教委との交渉強化、D推進派である日教組青森、全事研青森支部に対する批判、E再任用職員を利用した「定数崩し」に反対する、F反学校行革闘争での連帯・共闘関係を強化)で臨むこととしている。

 2007年1月、県教委は研究会・検討委員会を設置して検討に入った。

 研究会は共同実施校7名、未実施地区事務研2名、教育事務所2名、合計11名の構成で5回開催され、2008年2月に今後の方向性として「県教委は、導入には速やかに対応できない課題があることを認め、規定の整備など条件整備に努めることとし、共同実施に取り組むか否かは地教委の判断に委ねた」とまとめた。一方、検討委員会は、共同実施市町村教育長2名、小中校長4名、実施校事務職員1名、八戸市事務支援室事務職員1名、未実施校事務職員1名、合計9名の構成で4回開かれ、2008年10月の最終報告は2月の研究会のまとめとほぼ同じであった。ところが、県教委は2009年2月に説明会を突如実施し、4月には問題を抱えたまま「学校事務のグループ制」(加配のないグループ制)を一方的に実施した。

 レポート後の質疑応答で次の点が明らかにされた。

<各地の報告>

 その後、参加者より次のように各地の報告がされた。

討議の柱2≪学校労働者への管理統制に抗する取組み≫

〔1〕全国学校労働者組合連絡会(全学労組)からの報告

(1)人事査定制度(「評価・育成システム」)反対の闘い

 人事評価を賃金査定にリンクさせ、労働者を屈服させていくシステムに対する抵抗の闘いを組織してきた。2008年1月提訴したエコ評価訴訟(校長によるエコひいきを許さない訴訟)では2009年7月に原告組合員と被告校長らに対する証人尋問が行われたが評価基準が曖昧で恣意的であることが明らかとなった。今後も一律評価を要求しシステムの形骸化と停止を展望する運動として進めていく。

(2)労働基本権確立の闘いと教育運動

@橋下府政による新自由主義的リストラプロジェクト反対の闘い

 2008年4月に出された橋下リストラ案に対して大阪府当局を相手にした初のストライキ(2008年7月15日)などによる闘いが展開された。教育専門員・教務事務補助員廃止、非常勤時間講師20%縮減、私学助成縮減等は強行されてしまったが、時間講師など非常勤部分の賃下げは阻止した。小学校1・2年生の35人学級廃止についても押しとどめた。労組法適用の非常勤特別嘱託員、非常勤若年嘱託員、教育専門員の組合員は一日ストに突入。これに呼応して地公法が適用される一般職公務員、教育公務員である組合員は年休行使による取り組みを追求した。大阪全労協など地域の仲間による支援の集会が持たれた。地方自治体が非正規公務員を大量雇用している中にあって非正規公務員はストライキ権があることをスト実施によって実証した取り組みは公務員部門の労働運動に新たなページを開いた。

A改悪教育基本法の実働化―教育の新自由主義化に対する闘い

 橋下知事は全国学力テスト結果の公表しなければ予算をつけないという脅しをかけながら各教育委員会に迫った。更に、「大阪の教育を考える府民討論会」(2008年秋)で格差助長、競争礼賛で府民を扇動しつつ全国学力テスト対策として大阪府学力テストの実施を強行した(大阪市、堺市は実施を見送った)。新自由主義的、競争主義的な学力観と国家主義に支えられた新学習指導要領(本格実施は2011年)、教員免許法の施行(2009年度から)などによって、より一層の管理統制と多忙化が同時進行させられている状況に抗する闘いが必要だ。

〔2〕「職務標準」と人事評価

(1)レポート:「職務標準」通知と事務職員(神奈川)

 2009年3月に事務職員の「職務標準」に関する教育長通知が横浜で出された。「こうすれば横浜の教育は良くなるプロジェクト」が作られそのうちの一つ「副校長の職務軽減プロジェクト」が今回の通知を作成した。プロジェクト自ら「業務に年間280時間を要する」とした学校徴収金をはじめ膨大な業務を事務職員に押し付けようとする通知(しかも仕事の押し付けをカモフラージュするかのように事務職員の「学校経営への参加」「専門性」をやたらとして強調している)に多くの事務職員が怒った。市教組(事務職員部)がこの通知を受け入れていく中でがくろう神奈川は、全市の事務職員にアンケートを実施し(130余人から回答が寄せられた)、集会を開くなどして「職務標準」反対の声を現場の管理職、市教委当局にぶつけていった。横浜の闘いによって全県への波及を食い止めていかなければならない。

(2)人事評価を巡る闘い 

神奈川―横浜:苦情申し立て等の取り組みをした。2008年度人事評価制度反対の組合方針に基づいて「自己観察記録」を記入しない旨の申し入れを行ったところ校長はC評価(標準はB)をちらつかせて記入をさせようとしてきた。記入を拒否すると実際にC評価を強行した。苦情申し立てに対して審査会はC評価の根拠がないとして、一部を除いてC評価を撤回させた。人事委員会への不利益処分撤回の申し立ては却下されたが情報開示請求は係争中である。自己目標を設定せず従ってまた自己観察記録を書かない職員への圧力が強化される動きが出てきている。

大阪:教育合同労組等と共同で進めている裁判闘争の中間報告をする。評価育成システムが、多職種の協業を阻害するものであり、「学校の目的」が「校長の目標」に矮小化され協業のための条件整備が行われず個々の職員が責任を負わされ少数職種への負担が大きくなっている(2009年3月陳述書)。

東京:「分限自由に該当する可能性がある教職員に関する対応方針(通知)」(2008年7月)によって、分限免職処分が人事考課制度の先にあるものとして強化されようとしている。「日の丸・君が代」処分などにこの通知が利用される可能性がある。警戒が必要だ。

北海道:2008年度から教職員評価制度が導入された。評価する側は「余計な仕事が増えた」と嘆く。評価される側は、「時間外の過重労働をして初めて頑張った」とされる。これは過労死か貧困かと言われる資本主義の最終形態ではないか。

大阪:人事評価との絡みで「(横浜の)職務標準」が出てきているのではないかと思う。大阪でも横浜とほとんど同じ内容の職務標準に関する通知が出されている(2007年11月)。

神奈川:「競争主義的な学力観」に基づく差別的な教育は、「学力テスト」と「特別支援教育」がほぼ同時に始まったことに象徴されている。労働を巡る現実はこのような教育と一体のものだ。教育と労働を意識的に繋いでいく試みが必要ではないか。福事労が試みている組合外の人たちにも広く呼びかけて行ってきた集会は参考にすべき取り組みだと思う。

神奈川:岡村達雄さんの「学校事務労働試論」(酒井雅親編『岡村達雄特集』2009年7月刊所収)などを今の状況に引き付けて読み直してみる必要があると思う。教員の多忙化政策は教員に対して国家が必要とする教育への献身を迫るものとしてある。教員以外の職種の労働者には「教員が子どもと向き合う時間」を生み出すために「もっと働け」と迫ってくる。私たちは何をやらされているのかを考えていきたい。

神奈川:自分の仕事が増やされていくことと「教育改革」の中で起こっていることの繋がりをはっきり押さえて学校労働者への管理統制を打破していく運動を進めていきたい。

討議の柱3≪非正規労働者の労働条件の改善に向けて≫

 福島県学校事務労働組合(福事労)から、「学校の非正規労働者の労働条件の改善に向けて」と題するレポート報告があった。

 報告は、本年度第21回定期大会の運動方針として「期限付き職員の組織化」を決定した経緯から始まった。執行部の「組織化を進める」(案)に対し、「同じ事務職員として働く仲間の組織化は歓迎する」と言う意見に対し、「期限付きの人たちに福事労のことが浸透しているのか?」「期限付きの人たちが組合に入ったらかえって立場が悪くならないか?」等の疑問や「私たちの労働条件の改善を優先すべきでは」「期限付き職員を組織化する事で組合員と利害が対立する事が出てくるのでは」との意見も出された。

 福事労執行部は、この方針の提案前に「期限付き職員の実態調査」を全県で実施している。その中から見えてきた非正規労働者の差別的な労働条件を何とか改善出来ないかと幾つかの取り組みを行い、県交渉の要求項目にも上げ一定の改善も勝ち取っている。それを一歩進めて「組織化を進める」方針案となったのだ。

 大会論議では、「期限付きの職員が加入しないかもしれない。しかし、期限付き職員の組織化を決めることで彼等からの支持を得ることが出来れば私たちの運動が広がり、また彼等から学ぶことで運動が深まる」との発言もあり、賛成多数で可決された。これまで「正規職員の運動」でしかなかった福事労の運動の新たな展開が期待される。

 期限付き職員の労働条件の問題は、地公法22条2項の規定による任用の「空白期間」、それに伴う手当(ボーナスを含む)の損害、賃金の頭打ち、単年度毎の異動等が中心だが、職場での孤立感や、異動の度に変わる業務内容等日常の悩ましい問題もある。

 レポートでは、「学校の中で一人きりで、同じ仕事をする仲間もなく、試行錯誤で毎日の仕事をこなしている期限付き職員の姿は、私たちの採用当初を思い出させる。同じ経験をしてきた私たちが寄り添い、困った事に共感し、困難な事を解決出来る力があることを示せる存在になれば仲間は広がる。」と熱く訴えた。

 それを受け、全国学校労働者組合連絡会(全学労組)代表の増田氏が、自らが大阪教育合同労組結成時委員長を務め、非正規労働者を組織してきた経験から、「企業内労働組合運動の排除と本工主義の克服」を基本に、組織として正規と非正規の利害対立を徹底した話し合いの中で利害の共有化に変える努力をしてきた事、そして非正規労働者組合員の雇用確保を最重要の取り組みとしてきた事、結果として非正規労働者組合員の全員雇用の確保を勝ち取り組織拡大に繋がった事の報告があった。

 また、参加者からは、現状の地公法22条2項での任用は、その根拠規定の@緊急の場合、A臨時の職の場合、B任用候補者名簿が無い場合、に該当せず脱法行為である事を確認し、その上で労働条件の改善に取り組む必要が求められる」。さらに、「非正規労働者、退職後再任用労働者等含む組織形態や、連合体や合同組織等の多様な形態の組織化を視野に入れた組織拡大の方向が必要だ」との意見も出された。 現在の学校には、期限付き職員を含め多種多様な非正規労働者が働いている。そして彼等の労働条件は総じて低い。世間では「官製ワーキングプア」が問題になっているが、学校の非正規労働者の問題は、まさしく「学校の官製ワーキングプア」の問題と言える。

討議の柱4 ≪コンピュータ労働を考える≫

司会:資料の中に約20年前の全学労連の反コンピュータマインドとも言うべき議論が紹介されている。様々な問題点を指摘してきたが、当時問われた問題が解決していないのに使わざるを得ない時代に入ってしまった。そこを整理せねばならない。若手中心のパネラー4人にコンピュータとの関わり方をどう考えるかを問題提起して貰い、今後について全体で討議したい。

パネラー@:マイクロコンピュータの頃から使っていて、反コン方針は反合理化と理解してきた。愛知県の給与電算で時間外手当が一定の級号給で1円少なく計算してしまうという事を独自に計算し見つけた。当局は合理化の為の電算化で条例規則から外れてしまい、現場事務職員は中身を知らされないという二重のブラックボックスとなる。使う側と使われる側双方が検証可能である必要がある。業務の電算化には反対するが、実際現場に入った端末を使わされる側に立った闘い方に問題設定する必要もある。反コンの全学労連のWEBには多少違和感があり、それを担当するのにネット弱者といわれる人々の為アナログ感覚を残して反コンを体現したものにしたいと思う。

パネラーA:ずっとパソコンがある生活をしているので、今更どうという事はないが、当局や事務研の一部の人達が現場にパソコンを持込む事即効率化という発想である点は批判しなければならない。使う事による非効率もあり必ずしも合理化とも限らない。所詮道具でどう使うかは使う側の問題で当局との力関係だと思う。コンピュータやインターネットが我々に役に立たないという訳ではない。WEB全学労連の試みは評価して良い。

パネラーB:就職前からパソコンは使っていた。仕事では手書きとどっちが早いかで使い方を決める。事務用パソコン支給に関わらず使い慣れた自分の物で仕事をしてきた。今年市教委から来年度予算要求書を電子データで出せと言ってきた。使うか否かが個人判断ではなくなり、使える人間中心の論理になる。使わなくても仕事が出来るようにする運動が必要。組合情宣作りには便利だが、組合業務でも同じ事だ。

パネラーC:パソコン無しでも仕事で困らない。誰にとって必要又は便利かを考えるべきだ。使って楽になるならまだしも、共同実施推進の人達に多いが、使う事自体が目的化する事に可笑しさを感じる。

司会:@かつてコンピュータを使わずに済む社会を目指す運動が提起されたが、今後もそれを続けるべきかという問題。A20年前は導入阻止だったが、既に強制される所と使わずに済む所の地域差がある。導入されてない所で導入阻止の姿勢を今後も保つのかという事と、導入後にどう改善させるのかという事。その際強制の有無が問題となる。B技術としてどう考えるかという問題。以上3つのポイントについて会場も含め議論をしたい。

神奈川:重要なのは技術への主体性の問題だ。例えば常に安全性や普及が問われる車に比べ、ボタン一つで大事故が起きるとか画面を見てキーボードやマウスで操作する方式は誰でも使えるものでない。それが普及するのは、導入に使った金の分人切りが出来る事を政治的にパッケージする産業があるから。そうしてウィンドウズの様な不充分なシステムが導入される構造の中に私達がいる。便利だからもっと活用しろとか誰でも出来る世代とか言われるが、上層者に踊らされ慣らされているだけ。誰の為のものか主体的に選び取るのが大事。技術として甘い物なので全面的に反対で良い。

神奈川:養護学校勤務だが、パソコンを使うと煩雑になる事がある。若い時から使わされる事による健康問題を課題にすべき。

福島:使うこと自体が悪いという論調から変わるのは良い。手書きより省力化出来る。炊飯器や車の様な便利な道具と考え反コンは続けなくて良い。

大阪:NEC98が出た時から相性が合わんと思いながら使ってきた。当初大型コンピュータの中央集権的な情報の一元処理に反対するという問題意識があり、市民の情報戦の道具としてパソコンの活用が言われ、清書機としての有効性も有った。合理化に対抗する全学労連の戦略・戦術は極めて有効だったが、使い方の議論を封じる所が無かったか。我々のメディア獲得にどう活用できるかの議論が必要。

神奈川:道具・手段と言う前に仕事や制度の単純化を求めるのが先。複雑だから使えば便利だと言う議論になる。

埼玉:炊飯器で家事労働は減るが、電算化で仕事量は増える。システムに対応出来ない事で仕事を辞めざるを得なくなる実態もあり、便利に見えるが危険性を孕んでいる。

パネラーC:家電製品とパソコンは使用訓練の必要性の点で違う。仕事専用が無ければ使わなくて当たり前と開き直るのが必要。個人的には音楽再生で便利に使うが、仕事なら主体的には使えない。

埼玉:単体で自分の創意工夫でやるうちは便利で快感もある。例えフロッピーでもそれを媒介に他者に組み入れられた途端、主導する主体によって全然違う様相を示す。オンラインなら尚更。パソコン通信で運動が盛り上がる事もあるが、一方でそれを産業として作る企業があり、それに利用された雇用者が合理化を進める。そこをどう腑分けするかが重要。全学労連初期は導入期だからこそ反コンピュータが有効だったが、既に違う問題が出ている。

神奈川:電算化で仕事を辞めざるを得ない人が出る事はきちんと押さえるべき。便利な部分も有るが、最初の巨大な軍事技術の根は揺るがず、枝葉の部分で我々が生かされているのを自覚すべき。我々と逆のネット右翼の運動も増殖する事も考えないと落とし穴にはまる。我々の原点を確認すべし。

司会:所期の目的はほぼ達成出来た。ネットワーク化で監視が強化されると言う事は必ずある。毎日の労働の中でどう接していくかと言うのは長いテーマで今後も追いかけて行きたい。今日発言できなかった人もまた会えればと思う。

まとめの会<意見交換>

●紙上レポート、資料(抄)

・「人事評価に対する取り組み」(神奈川、東京)

・「学校事務の共同実施の現状」(青森、沖縄、ほか)

・臨時・非常勤調査(総務省)

・「組合ニュースこの1年」(各県)

レポート集の申し込み手続き等

 下記のいずれかの方法にて

 ・ファックス;045-312-4423

 ・郵便振替;『全学労連』00160-6-34582

    記入事項:名前・送付先・電話番号・「全交流資料」

          

* 代金;2,000円(送料共)(資料に同封の振替用紙にて後日払い)

*問い合せ先;横浜市立星川小学校 山田 пG045-332-2101

         
    

全学労組交流集会参加記
競争をおりよう・・・そして、希望を語ろう

 8月23日・24日に開催された「全国学校労働者交流集会」に参加した。

 今年は千葉・学校合同と埼玉・埼教労の合同開催ということで、場所は埼玉県労働会館(07年に全交流さいたまを行ったところ)で、集会運営の司会などは千葉の方たちが行っていた。

 集会のオープニングでは哲学者であり、先年までの「教育基本法改悪反対」全国運動の中心人物の一人である高橋哲哉さんの講演があった。高橋さんは06年まで担ってきた教基法改悪反対運動を、近年の日本社会の急激な変貌、子どもたちの状況の悪化、特に90年代からの新自由主義と国家主義に絞ってやってきたと述べ、話に入っていった。07年、雑誌に掲載された論文「丸山眞男をひっぱたきたい。31歳、フリーター。希望は戦争」について、論者はフリーターとしての自分の状況を記した上で、「人間として尊重されていないのが一番つらい」、世間の大部分は、今の自分の現状を守りたいために「平和がいい。民主主義がいい」といっているに過ぎない。だから戦後民主主義の象徴である丸山眞男をひっぱたきたい。現状を変えて自分にもチャンスが訪れさせるには戦争しかないのではないか、と言っている。こういう感情の回路を断ち切るために、どう対話していったらいいのか。そこに教育の役割があるのではないか、と高橋さんは投げかけた。百名を超える聴衆は、熱心に講演に聞き入って、その後、活発な質問や意見発表がなされた。

 集会の全体会には、全国から130名ほどの参加者が集まっている。今回は、交流集会の歴史上初の二つの組合(千葉・埼玉)による共催ということで、全体会では、開催地挨拶に続き、全学労連からは菅原議長が「この埼玉の地にある『埼玉学労協』が全学労連に正式加盟した。また、福事労では『非正規雇用』の学校事務職員も加入できるよう規約改正した。これからの労働運動は様々な労働者と連帯していくことが必要である。」と挨拶した。それから学校ユニオン埼玉の代表から挨拶があった。その後、勝利判決が出た大阪新任退職強要裁判や東京都学校ユニオンの当該組合員から勝利の報告と、飲酒問題当事者からのメッセージが読み上げられた。その後は、各課題を話し合う分科会へと流れていった。

 分科会は今年も五つ。「学校での働かされ方、働き方」、「日の丸・君が代と国家主義教育との闘い」、「独立組合の闘い方」、「学校現場の非正規雇用労働者」、「子どもと親の現在」。それぞれに、現在私たちが直面している多くの問題に対して、どう立ち向っていったらいいのかということで熱心な討論がなされた。第1分科会は二つに別れ、Aパートでは、休憩時間裁判で上告をした高槻と「変形労働時間制」を取り上げた横浜の報告を軸に、Bパートでは東京の主任教諭問題と、千葉からの人事評価制度の調査結果分析をもとに進められた。第2分科会では、つくる会の歴史教科書問題や門真三中卒業式問題の報告が大阪からあって、それにアイムの「校門闘争」映像報告が重ねて語られた。第3分科会では、リストラ撤回を求めて闘った大阪教育合同のストとその後の報告に、さまざまな日常の闘いの兵庫の報告を中心に話し合われた。第4分科会は非常勤講師という再雇用を増やしてきている山梨と全学労連の2本の報告をもとに討論された。第5分科会では、不安定な状態で生活を送る子どもたちの現状を小学校と中学校の現場から報告を受けて、活発な論議が交わされた。

 まとめの全体会では、全学労組の増田代表が、昨年末の中央行動を全学労連と共同開催できたこと、また、夏の全交流弘前に参加したこと、そのなかで福事労の非正規雇用者なども組合員とする規約改正を行なったことなどを紹介し、今後も連帯できるところは連帯し、お互い切磋琢磨し、進んでいこうと挨拶をした。

 いつもの事ながら、全学労組のパワーには圧倒される。あちこちの組合で裁判闘争を行っている。元気をもらう集会であった。

    

議長 菅原 かみブログ 090910

民主圧勝、これから要求をきっちり伝えよう

 総選挙は想像以上の民主党圧勝で終わりました。新政権は、これから学校に何をもたらすでしょうか。

 まず義務教育費国庫負担金ですが、

 「国から地方への『ひも付き補助金』を廃止し、基本的に地方が自由に使える『一括交付金』として交付する。義務教育・社会保障の必要額は確保する。」

 学校や教育委員会については、

 「公立小中学校は、保護者、地域住民、学校関係者、教育専門家等が参画する『学校理事会』が運営することにより、保護者と学校と地域の信頼関係を深める。」

 「現在の教育委貝会制度を抜本的に見直し、教育行政全体を厳格に監視する『教育監査委員会」を設置する。」

 あまり具体的ではなさそう。来年度からすぐ動きはしないでしょう。でも政治状況は流動化していきますから、私たちの要求をきっちり伝える回路を造っていきたいと思います。

09年人事院勧告
給料もボーナスも切下げ現給保障も減額

給料表を平均0.22%引き下げ

 ただし、20歳台は下げない。また「現給保障」の意味を無くし、これも引き下げ。

 こちらは0.24%の引き下げです。

 また、給料表で引き下げに該当すると、4月にさかのぼって減額されます。今回は「所与の調整」ではなく、「調整率0.24%」と名づけています。

 ボーナスは0.35月削減(年間4.15月になる)

 結局、夏1.95月分、冬2.2月分になります。

 合わせると毎月1万円分、懐が寒くなるのです。

 自宅住居手当の廃止。月60時間以上の超勤手当割増率を150/100に引き上げ。

 2013年度から定年年齢を60歳から65歳に段階的に引き上げる。

 非常勤職員制度の適正化(ほんのちょっとの改善)

 
 福島県人事委員会は、昨年、国とはちょっと違う勧告を出しました。今年はどうなるでしょうか。基本的には国に倣った勧告を出すでしょうから、今年も「年収が下がる年」になるかもしれません。

 もっとも、2.2%、5%カットがありますから、すんなり片がつくはずもありません。


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