2009年11月21日

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全学労連ニュース今号の内容

 11.4 全学労連 文科省交渉報告

 新政権の教育に関連した動きあれこれ、そして…

 議長 菅原 かみブログ 091111

12.4 全国総決起集会案内(PDF)
 

11.4 全学労連 文科省交渉報告

文科省と交渉する全学労連

 全学労連は11月4日、文部科学省に賃金改善等に関する交渉を行った(要望書は前号参照)。また、総務省、全国都道府県教育委員会連合会にも出向き、学校を取り巻く現状について訴えた。この後に“事業仕分け作業”が待っているからか、総務省・文科省とも省内の担当者レベルの話からは、国の細かい部分を決めていくところではなくなった感がある。“全て議員(政務官)が決めていく”と言ったところだろうか。折衝や陳情なども「我々省で受けて良いものか」という戸惑いもあるようだ。いつにも増して、歯切れの悪い結果となった。

 

 文科省では、要望書の1の(3)、学校で働く非正規雇用労働者関係の話が中心となった。

1 学校で働く非正規雇用労働者の労働条件の抜本的改善を求めます。

(3) 公立学校で働く非正規雇用労働者の基本的労働条件について、文科省が責任を持ち、その改善をはかること。

@ 「同一労働・同一賃金」を保障するために、文科省は欠員補充・産休補充・育休補充等の職員の賃金を正規職員と同等にするための具体的措置をとること。

A 非常勤講師の労働条件改善のため、1時間あたりの賃金基準を引き上げること。

B 継続的に雇用されていた臨時的雇用学校労働者が、一方的に雇用を打ち切られることをしないように、また一定以上の期間雇用した場合は正規雇用にするように、各教育委員会に通知すること。

C 非正規雇用学校労働者の社会保障(健康保険・年金・失業保険)を雇用主が責任を持つようにすること。特に公立学校共済組合員加入資格を改善し、必要期間を短縮すること。

《文科省回答》

@ 職種毎に応じて、各都道府県教育委員会が適正に定めていると考えている。

A 報酬額は、法律や条令等で定められている最低賃金を、上回っていれば問題ない。

B 職員数は各地方自治体が決めることである。法律により任期の定めがある。

C 非常勤職員が共済加入するためには、常勤の3/4以上の勤務時間が必要である。つまり週30時間未満の場合は国民健康保険、国民年金に加入していただく。共済では一定以上の安定した収入に基づく、安定した掛け金が必要なため非常勤職員をそれに適用するのは難しい。

 

以下は、回答を受けて、全学労連 全) と 文部科学省 文) のやり取りである。

全)今だからこそ非常勤や臨任の労働条件等について整備し、決め事を作っておくべきだ。公務労働では学校だけが1年雇用の不安定雇用職員が蔓延している。その実態を文科省はどれだけ把握しているのか。

文)基本調査ではあくまで算定のみの数で、本採か臨採かの実態は分からないが、各自治体が適正に決めていっていると考えている。

全)最近の副大臣発言や産経の報道を見ていると、このままでは義教金制度が危ない。文科省は義教金制度を守って、教育の一定水準を守ってくれ。

文)文科省は今でも認識に変わりない。

全)地方自治の流れもあり、義教金をなくす方向が出されている。総額裁量制導入や国準拠の給料表がなくなっている今、地方をきっちりまとめていって貰いたい。

文)職員数の半分が臨任というのはおかしいことだが、10%ならいいのかと言うと、そうとも言えないでしょう。ここに関しては各地方自治体に任せるしかないと考えている。一律に「全員本採で」とは言い切れない。

全)くり返し雇用は各自治体がその当事者にお願いして臨任を受けて貰っているのが現状だ。それに当たっては、心配ない労働条件で働いてもらいたい、となるように環境整備が必要だ。回答は「法律がこうだ」とか「現状がこうだ」とかそれは現場が一番分かっている。せめて、号給の頭打ちをやめられないか。経験年数に応じて、講師の報酬単価が毎年アップするように昇給させている自治体もある。

文)国が関われることではない。

全)技術的助言はできるだろう。

文)退職に伴う採用見込は財政的な面からも、各自治体が決めることで文科省に権限はない。

全)せめて各県まちまちに教諭だったり講師だったりするのを、教諭と同じ待遇を指示してほしい。今やらなければ義教金制度が危ぶまれている所で学校現場がめちゃくちゃになる。

 義教金の趣旨からすれば、国が一定の水準を確保すべきだ。文科省として調査をして現状を把握し、基準を示して貰いたい。総務省は必要を感じて調査している。

 地方分権は「地方が何をやっても良い」というものであってはならない。調査をすることにより、各自治体が再検討するきっかけになると思う。何らかの形で文科省から発信してほしい。

要望書を手交する議長  

 文科省から要望のあった「学校で働く非正規雇用労働者の労働条件に関する調査項目」は、事前に送付していたにも拘わらず「要望として受け取っておく」程度のものであった。

 各省とも、新政権の先がまだ不透明なこともあるが、官僚勝手な発言が出来ないなか、我々学校労働者に関係する労働条件さえもまったく先が見えてこない。文科省への要望を継続していくことと、地方での粘り強い闘いがますます重要になってくることを感じた交渉であった。

 

新政権の教育に関連した動きあれこれ、そして…

 民主党政権が誕生してまだ2ヶ月余りなので、総合的に評価を下すのは早計であるとしても、個々の動きを評価分析していく事を怠るわけにはいかない。とりわけ今後の文教政策の展開に大きな影響を及ぼす予算編成作業が「政治主導」という言葉の下で進行中である。それ故に表面上の露出にもかかわらず、逆にそのプロセスが見えづらくなり、危ない兆候も垣間見られる。こうした新政権の教育に関連した動きを以下にいくつか紹介しよう。

☆ 仕切り直しの概算要求

 10月15日に各省庁の来年度予算概算要求が再提出された。事業を精査したとは言うものの民主党マニフェストを盛り込んだ結果、今年度当初予算を6.5兆円上回る総額約95兆円となった。藤井財務大臣はこれを92兆円に抑えると述べている。文部科学省分は今年度当初より4,700億多い約5.8兆、このうち初等中等教育局分が約4,500億の増である。マニフェスト関連の高校無償化等の新規予算約4,624億円がこれに大きく影響している。

 義務教育費国庫負担金は103億減の約1兆6,380億円で、定数改善としては8月の前政権概算と同じく5,500人(126億円)だが、主幹教諭分2,500人が448人に削られた分理科教科の少人数指導として2,052人が新設されている。これは前政権概算で週12時間の非常勤講師として13,400人計上されていた分が定数内に移されたものだが、単純に週40時間換算すると4,020人となり、人数的にほぼ半減だが不安定な雇用よりも常勤であるだけましなのかも知れない。

☆ 第八次定数改善は無い???

 10月22日に鈴木文部科学副大臣は「私は第八次定数改善というのは絶対やるつもりはありません」と記者会見で発言した。エッ!新政権では定数改善しないのかと思いきや、それに続けて「第一次教育環境改善はやるつもりはありますけれども…」とも言う。

 何の事かというと、10月7日に出された地方分権推進委員会の第三次勧告に関して「勧告が示唆されているコンセプトとか哲学において同じ方向を向いている」と言いながらも、政権が変わったのだから自民党政権の延長上の「第三次…」という表現が気に入らないらしい。だから前政権がやった第七次定数計画に続ける事などしないというわけだ。

 新政権での意気込みは結構だが、そんな所で見栄を張ってないで改善の中身で勝負して速やかに実現して欲しいと学校現場は思っている事に早く気づいて欲しいものだ。

☆ 定数標準法の廃止に条件付だが同意

 同じ記者会見で鈴木副大臣は、地方分権推進委員会の第三次勧告が教職員人事権などの市町村移譲に関して、義務教育定数標準法の廃止または条例委任を検討としていることに関して、義務教育一括交付金を前提に廃止に同意する考えを述べた。10月29日の会見でも記者に念を押されてこれを認めている。前提となる義務教育一括交付金の中身が全く出されていないので、直ちに廃止という事にはならないのだろうが、今後の義務教育費国庫負担金のあり方にも大きな影響を及ぼす事は必至だろう。

 ちなみに地方分権推進委員会は、政権交代で居心地が悪くなったせいかどうか判らないが、第三次勧告のほぼ1ヶ月後の11月9日に最終となる第四次勧告を出した。その中には国庫補助負担金制度の見直し・一括交付金化の方向が盛り込まれている。

☆ 義務教育費国庫負担率引き下げ報道

 10月27日産経新聞は、財務省が義務教育費国庫負担金の負担率1/3を1/4に引き下げる事を検討していると報じた。川端文部科学大臣は「そんな事は全く考えた事がありません。検討した事もありません。」と即日記者会見でこれを否定した。全学労連の聞き取りによると、総務省と財務省のそれぞれの担当者は共に記事の内容がどこから出たのか判らないとしている。

 現行負担率1/3で1.6兆円余りの義務教育費国庫負担金を、仮に1/4に引き下げると4千億余りが削減される事になる。先に述べたように文教予算ではマニフェスト関連の影響で約4,500億の増なので、この金額上の近似が憶測(又は担当者の非公式発言)により記事になったのかもしれない。予算編成上の牽制として意図的にリークされた可能性もあるが、どちらにしても義務教育一括交付金が云々されている時に中途半端な検討内容の感が強い。

☆ 「政治主導」で中教審の役割は?

 新政権は「政治主導の政策決定」をうたい文句にして、国家戦略室・行政刷新会議などの新組織を立ち上げ、官僚の記者会見を禁止するなど目新しい手法をアピールしている。これにより従来官僚のやっていた政策の立案・調整を政務三役(大臣・副大臣・政務官)が行い、そうして決定された政策を官僚が執行していくという事になる。その一環で閣議後の大臣記者会見や副大臣の記者会見が定例化するなど閣僚の登場する場が増えている。

 それではこれまで様々な政策提言をし、文教政策の権威付けの役割も担ってきた中教審の位置付けはどうなるのか。何度かの大臣・副大臣の会見で繰り返し話された事をまとめると、要するに今までと違ってマニフェストか一番重いもので、答申は最優先されるものではなく意見・情報としては活用するが、政策決定は政務三役が行う。例えば、中教審の答申に無くてもマニフェストである高校無償化などはやっていく、ということだ。さらに、中教審は法定審議会なのですぐに改変は出来ないしその存在は尊重するが、位置付けが変わり委員自身が任期中に代わりたいという事態は想定していて、具体的に出て来たら適宜検討する、とまで言っている。

☆ 義務教育費国庫負担金が「事業仕分け」の対象に…

 11月9日行政刷新会議は、来年度予算概算要求を削り込むための「事業仕分け」作業の対象として447事業を決定した。義務教育費国庫負担金もこの中に含まれており、11日から始まる仕分け作業で、3つのワーキンググループのうち第三グループによる作業にかけられる。この原稿がニュースになって出る頃には結果が見えているだろう。多分、予算額の調整だけでなく法改正も必要な制度であるだけに即全廃となる事は無いだろうが、中・長期的な道筋が示されてしまう危険性は有りそうだ。

☆ 学校事務の欠員がついに千名を超えた

 以上政権交代以降のいくつかの動きを紹介したが、この他にも免許更新制・全国一斉学力テスト・心のノート等々新たな動きはまだまだある。しかし「期待」や不安が錯綜している新政権の下で、従来からの学校事務の共同実施や事務長制・学校事務の再編・学校現場の不安定雇用職員の増大等の厳しい現実も進行しているという事実を忘れてはならない。今年度小中学校事務職員の定数に対する実数の欠員が全国で1,054名となり、ついに千名を超えた。最近の動きを見て、義務教育費国庫負担制度をめぐる攻防の第何ラウンド目かのゴングが鳴るのを聞いた気がするのは、私だけだろうか?

12.4中央行動・総決起集会・デモへ

 新政権だろうと何だろうと、学校事務職員制度が危機に向かっている事には変わりが無い。我々に重要な事は、我々を取り巻く現実がどうであるかであり、政治状況は状況の構成要素のひとつに過ぎない。くれぐれも政権交代で、現実を見る目が歪むことの無い様にしなければならない。だからこそ我々は政治任せや他人任せではなく、自らの声を上げ自らの体で行動していく必要がある。

 全学労連は教員独立組合の全学労組の仲間と共に、12月4日に中央省庁・関連団体への要請行動と全国総決起集会・デモを行う。共にがんばろう。

 

(学校行革対策部 佐野)

 

 議長 菅原 かみブログ 091111

 先月末、新校舎が出来上がり、引っ越しました。今はプレハブ解体の音が聞こえてきます。完成間際に、設計図を見ていたとき、生徒下駄箱の数が現実の生徒数より少ないことを見つけ、早速増やさせました。今は傘立てが必要数の1/3しかないので追加分を待っているところです。いいかげんな設計です。

 引越し後に新型豚インフルエンザが蔓延し、静かな校舎で職員たち(誰も罹患しない)はもくもくと片付けを進めました。私も新校舎の物品購入のため、経験上最多額の入札を行い、その処理に追われています。談合なしのガチンコ入札だったので、ずいぶん安く導入できましたが、金額が大きいので、なかなか苦労しています。

様子見の官僚たち

 11月6日、総務省・文科省に行きました。例年今頃は来年度予算編成のため忙しい官僚たちですが、今年は様子が違います。鳩山政権は「予算編成の調整」を官僚たちから奪い、政治家が行うことにしたからです。予算編成の妙である「調整」ができない官僚は、ちょっと悲しい有様でした。そんな官僚たちですが、したたかであることはご承知のとおり。「少人数の経験のない政治家にできっこない。」と出番を待ち望み洞ヶ峠をきめこんでいるのでしょうか。

 今日(11月11日)から、概算要求を削り込む「事業仕分け」が始まりました。文科省の「義務教育費国庫負担金」も対象です。でも各省1兆円以上は全てテーマになるということですから、来年すぐなくなることばないでしょう。

 しかし、民主党は「補助金を一括交付金に」と「義務教育標準法廃止」をうたっています。今のところどのような形になるか皆目分かりませんが、来年度中には具体的な議論が始まるでしょう。そうなれば私たちの身の根本が変わります。

 交渉終了後、部屋に帰る文科省の役人の一人がつぶやいた。「民主党は文科省解体と言っていますからね。」仕事が無くなる不安は大きい。国庫負担から外されそうだった学校事務労働者の気持ちが、彼にも分かっただろうか。

編集後記のようなもの

 最近、「エリンギでダイエット」、と言うのを聞いた。1日300c程度食べるだけだという。その真偽はともかく、キノコ類は好物なので、試してみる。スーパーでは売り切れてはいないようなので、ひと安心。

 

 調理方法は何でもいいらしい。とりあえず「青菜・ベーコン炒め」に入れてみた。おー、シコシコしてて、食感がいいねぇ。

 次は、オーブントースターで丸ごと焼いてみた。焼けたところを裂いて、また表面をトースターで焼く。全部焼けたら、しゃれた器に大葉をしいてエリンギを盛って大根おろしを添えてみる。うぉー、高級感あるー、料亭みたーい。ポン酢でいただいた。おいしー。

 このほかいろんな調理方法を試してみた。

 

 その効果は・・・。しまった!今体重が一番減っているところだった。

 更に減ってしまうと体力が維持できない。うーん。家族に聞いてみよう。


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