2009年12月28日

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全学労連ニュース今号の内容

 12.4 全学労連 中行動報告

 議長 菅原 かみブログ 091210

 

12.4 全学労連 中行動報告

 12月4日、全学労連は教員独立組合の全学労組と共催で、「教育の完全無料化!教員免許更新制廃止!学校事務の共同実施廃止!」全国総決起集会を行った。それに先立ち、午前中は各省各団体への要請と、午後の集会前に文教関係の両院国会議員への要請行動も行った。

◎各省・各団体要請行動報告◎

文部科学省

@ 教育の完全な無料化を図ることについて

 1964年の判例では憲法が定める義務教育無償の範囲は授業料のみで、その他の費用については立法政策の問題としている。格差と貧困が広がっている中で、無償の範囲を見直し、国が子どもの教育を受ける権利を保障していくために抜本的な対策を講じていく必要があることについては認識している。政府が打ち出している子ども手当の支給等を社会保障政策との関係も含めて煮詰めていかなければならないだろう。文科省としても具体的な対応を迫られていることを窺わせる回答ではあった。全学労連としては、就学援助制度が機能不全に陥っている状況等を資料で示しつつ、高等教育を含めた教育の無料化をより積極的に推進することを求めた。

A 義務教育費国庫負担金の国庫負担率を1/2に復元することについて

 教育一括交付金という構想も打ち出されている中で、将来的には国庫負担率をどうするかという問題として考えるわけにいかなくなる可能性がある。ただ少なくとも来年度については文科相が現行の1/3を堅持するという立場を表明しているとの回答。これに対して全学労連はいわゆる「三位一体改革」がもたらした深刻な教育条件の格差を総括する必要があること、一括交付金化が義務標準法廃止と連動させられていくとすれば総額裁量制下の事務職員の定数割れ状況はより加速されていくことを指摘した(その意味では全額国庫負担要求を打ち出していくべきだったかもしれない)。

B 教職員定数の抜本的改善、非正規教職員の労働条件改善について

 基本的には30人学級等の客観的基準によって正規教職員を配置していくべきであること、現に働いている非正規教職員については早急に正規教職員との均等待遇を実現していくことを訴えた。

C「学校事務の共同実施」、教職員の階層化を推進しないことについて

 事務長制と結びついた「共同実施」、主幹教諭などの配置は人事評価制度と不可分であり非正規教職員のさらなる導入を組み込んだ階層化をもたらす。労働者の平等な権利を保障していくことと子どもたちの教育を受ける権利(生きていく権利)を保障していくこととは不可分である。@の問題との関連を含めて政策の見直しを強く要求した。

 

 新自由主義の矛盾が激しく噴き出し、とりわけ教育と労働をめぐる状況は深刻なものとなっている。そのことを多くの人々がひしひしと感じている。政権交代はそのような現実のなかで行われた。新自由主義の再編強化の方向を阻止し、政府―文科省の根本的な政策転換を実現していくために、労働運動と反貧困―社会保障を求める諸運動等が連携を強めていく必要性を痛感した要請行動であった。(事務局 羽成 純)

総務省

 自治財政局調整課の文教予算担当と話をした。要請項目にある学校事務職員の定数割れ問題や臨時的任用や非常勤教職員の増大問題には、こちらが提示した数字的な資料や学校現場の実態の話には関心を示しつつも、新政権での「政治主導」による初の予算編成作業に担当者も活躍の場面か大きく変わって戸惑っている様子が明らかであった。例年ならば既に予算の骨格はほぼ固まっていて、細かな調整に入っている時期なのだが、予算の全般的な傾向や焦点となっている点などについて全く中身のある回答は無かった。ただ全学労連の質問に答える形で総務省としての考えを述べた。

@ 来年度予算編成作業について

 年内編成と言われているが、行政刷新会議の仕分け作業もあれで決定というわけではないし、細かな詰めの作業の話も無いので、まとまるのかどうか全くわからない。昨年までとは全然違う。

A 文部科学省の鈴木副大臣が、義務教育一括交付金を前提として定数標準法廃止に同意すると発言した事について

 一括交付金は民主党のマニフェストにあるが、義務教育・社会保障の必要額は確保としているので、それが「義務教育一括交付金」という表現になったのではないか。現行の義務教育費国庫負担金や地方交付税とどう違うのか判らないが、総務省は以前から補助負担金の一般財源化を主張している。

B 産経新聞の義務教育費国庫負担率1/4への引き下げ報道について

 総務省は負担率をどうこうするという立場ではないので、高校無償化の財源との数字上の近さはあるが、記事の意図はわからない。

C 学校事務職員の定数割れ拡大や臨時的任用・非常勤教職員の増大について

 予算の結果としての現場の実態には関心はあるし、報道などで非常勤の教員の事も見ている。しかし総務省内の公務員課へも話をしたが、教職員配置は地方の教育委員会の問題であり、総務省はそれを云々する立場に無いし、教職員は地方公務員法の適用から外れることがある(?)ので、所管する文部科学省と話をしてほしいとのことだ。

 素朴に考えて、行革推進法により公務員の数は減らさねばならない訳で、少子化にもかかわらず教職員は増やすというのには無理がある。

D 新政権の下での総務省との付き合い方について

 事務次官会議が廃止されたり官僚の記者会見が禁止されたり、新政権の「政治主導」により各省庁の外部への対応も変わってくる。総務省にも政策評価陳情課というのが出来て、色々な要請はそこで受け付ける事になっている。ただ調整課としては従来からの関係のある団体とはなるべく今まで通りにしていきたいと考えているが…。

 

 この中で、臨任・非常勤職員の増加問題は文部科学省独自の問題ではなく、地方公務員法17条と22条の問題であり総務省の責任の範疇であること、また教職員定数問題に関しては単純に子供の数に比例しない学校現場の実態からそれぞれ反論しておいた。

 例年と違い官僚の手持ち無沙汰な印象と、この先がどうなっていくのか判らないので、とりあえず従来の関係は維持していこうという姿勢が垣間見えた。政権交代による政府と官僚の「あるべき姿」に我々が振り回される事の無いように、運動の矛先を見定めていく必要を強く感じる。(事務局 佐野)

財務省・全国都道府県教育委員会連合会

 ユニオン東京の宮崎・群学労の山本・阪学労の銅ら3名で財務省へ赴いたが、財務省の対応は政権交代を経て大きく様変わりした。政府民主党の規制で役人(省庁)は、個別に要請・陳情を受けられなくなり、各省庁に設けられた専用窓口(大臣官房地方課)が要請・陳情を受け付ける事となったのだ。これまでなら要請内容に対応した主計局文部科学第二係の係長と直接話が出来、情報も収集出来たのだが、単なる「受付」なので全く話が出来ないし情報も得られない。要請内容の説明をするが、受付係員は如何にも迷惑そうな顔で聞いている。こっちはせっかく来たのだからと全ての要請項目を一つずつ説明したが、係委員は不快感を隠さない。わずか10分程度で話を終え財務省を後にした。今後の省庁要請行動の在り方を考え直す必要を感じた。

 その後、全国都道府県教育委員会連合会へ移動し要請行動を行った。ここは、先月の6日にも訪れて要望書を手交しており、その後の状況の動きについて話し合った。本年度新任の事務局次長は、東京都教委からの出向だがなかなか好意的な対応だ。ちょうど前日の3日に「平成22年度文教予算に関する特別要望」を関係機関に提出した直後だったのでその内容の説明を受け意見交換を行った。

 連合会要望の第1項「教育予算の充実及び教職員定数確保」では、我々との利害が一部で一致する所だが、「・・・必要な財源は国の責務としてこれを完全に保障すること。」とか「・・・国として確実に財源を保障されたい。」の表現があるが、その財源確保の形が義教金制度とは明記されていない。文科省関係の事業仕分けでは、義教金十割負担の声が上がる一方、民主党としては、基本的に全ての国庫負担金の一括交付金への移行を示しており全く相反する方向だ。この件について連合会に聞くと「コメントする立場に無い」としつつも暗に財源確保が果たされれば形は拘らない意向も示した。

 また要望の第2項「高等学校実質無償化に伴う財源確保」でも、「国の責任において財源を確保し、財源補填のために他の教育予算削減及び地方へ負担を転嫁しないこと。」を上げ民主党マニフェストを指示しつつも財源問題では牽制球を投じている。サンケイに義教金1/4の記事が載った直後には、連合会として文科省にその真意を問い合わせており、義教金制度維持の姿勢では我々と同様だ。しかし、基本的には地方分権推進の立場であり、財源確保の上での地方の裁量権を求めており、それが実現した時我々学校事務職員にとってより良い状況になると言う保障はない。

 我々は、教育の場での格差解消への取り組みを強く要請するとともに、地方の裁量権の拡大が現状の格差を拡大し、新たな格差を生む可能性を指摘し要請行動を終えた。

 連合会そのものが都道府県教委の連絡調整機関であり、その要望は全国の共通項でしかないが、我々との利害が一致する部分もあり、また省庁との関係が制限される状況もあり、今後も連合会との意見交換情報交換は重要だと感じた。

 因みに、連合会はその日の午後から財務省へ要望に行くそうだが、その扱いは我々と同様で陳情窓口(大臣官房地方)が対応するとの事。我々の体験を話すと、次長は苦笑していた。(副議長 銅)

全国知事会・全国町村会

 全国知事会では「今年の知事会の政府への要望書に『子どもたちが受ける教育に格差が生じないように、・・・地方公共団体の行財政運営に十分配慮すること。』とあります。『格差』という言葉は始めて使ったのです。」と、まず回答があり、「教員の格差」については同じ問題意識を持っていた。

 また、非正規雇用学校労働者問題には興味があるようだったが、「知事会の政府要望は各県知事からの意見を集約し、提出する。各県知事へ要望してください。」とされた。

 ただ、新政権の予算編成がこれまでと異なっている状況を語り、「役人から情報が入らない。これまでは各担当省庁の役人に聞けば情報が取れたのだが、今年はさっぱりだ。」と、困った様子を見せた。変わりに学校現場での児童・生徒や教職員の様子などを我々に質問してきた。ただでさえ足りない教員に非正規雇用者が増え、正規雇用と同じ仕事をさせられている。採用試験を毎年のように受けているが、学級担任をもったり、部活動へ力を注がなければならなかったりなど、なかなか試験に集中できていない。そういった環境から次年度も臨時的任用を余儀なくされている現状などを伝えた。

 全国町村会では、直接町村が負担している「福祉・介護」への問題意識が高いことを繰り返し言っていた。やはり町村で、現在負担していない「小中学校の人件費」への関心は薄いのだろうか。要請行動の終わりに、担当者が、「子供の担任の教員には言いたいことがあるんだが、ぐっとこらえている。」と言い出したのだが、いったい何があったのだろう。(議長 菅原)

◎参議院・衆議院議員文教関係議員要請◎

 総勢46名で手分けをして参議院文教科学委員20名と衆議院文部科学委員40名の国会議員に要請書を手渡した。ほとんどが秘書対応ではあったが、中には時間をとって直接我々の要請主旨を聞いてくれる議員もいた。

要請書主旨

  1. 教育の完全な無料化を図ること
  2. 義務教育費国庫負担金給与費の国負担率を1/2に復元すること
  3. 学級数等客観的な基準による学校事務職員定数の抜本的改善をはかること
  4. 大量の欠員を生じさせないこと
  5. 非正規教職員の労働条件を改善すること
  6. 学校事務職員を学校から引き剥がすことにつながる「学校事務の共同実施」を推進しないこと
  7. 教職員の階層化を進めないこと

◎総決起集会及びデモ◎

 総決起集会は参議院糸数慶子議員のご尽力により、参議院議員会館内の会議室にて行った。冒頭、前半に文科省交渉を終えた全学労組から増田代表が、教員の超過勤務実態と調査解消と免許更新制廃止を文科省に強く申し入れたことが報告された。また、2年目を迎えた共同開催であるこの決起集会などを通し、中身の濃い共同行動を追求していく決意が表明された。さらに全学労連菅原代表からは、「民主党の教育政策が不透明な中、(午前の要請行動等で)現場の声が中央に届いていないという印象を持った。就学援助家庭の増加や地域格差など現場の実態を伝えていく必要がある。」「担任や教務主任まで臨時的任用職員に担わせている現場実態もある。非正規問題の解消なく標準法改定はあり得ない」と問題提起がされた。

 社民党の服部良一議員からも応援の挨拶を受けた後、各地からの情勢報告がされた。沖縄からは辺野古への米軍新基地移設に対する闘いの報告、大阪教育合同からは私学助成カットや免職撤回裁判の勝利報告、神奈川から横浜・川アの事務職員の労働強化・合理化実態報告、兵庫自教労からは特別支援学校の実態報告、群馬から事務長制・共同実施の実態報告、千葉学校合同からは全学労連と自身の関わりから連帯のあり方などが報告された。共闘団体から連帯の挨拶、集会アピール採択、団結ガンバローの後デモへと移った。

 デモは出発地の社会文化会館から議事堂裏を通り、特許庁の手前までは拡声器などが使えなかったため参加者は地声でアピール。途中参議院で山内徳信議員、衆議院で重野安正議員に請願を行い、挨拶をいただいた。その後文科省と財務省前で大きくアピール。日比谷公会堂脇をとおり、外堀通りを銀座・数寄屋橋方面へとデモは続く。最近銀座ではデモが少ないらしく、沿道では写真を撮る人や、店から見に出てくる人など珍しがられている様子だ。参加者は最後まで大きな声でシュプレヒコールを響かせた。

  集会アピール    

 議長 菅原 かみブログ 091210

 重機が旧校舎を噛み砕いています。ひとつはクワガタ、もう一台はテイラノザウルスというべき形と働きで、一噛みで鉄筋コンクリートの柱や壁が粉砕されています。人気のショーで、多くの職員が2階の職員室の窓に雁首を並べて見ています。

 あまりに簡単に砕け、粉が舞うので、作業している人に聞いたら、やはりやばい建物だったようです。鉄筋の量、コンクリートの質など、相当脆いものだそうです。大地震がなくて良かった。

12.4 中央行動報告

国会前で「辺野古移転を止めろ」のシュプレヒコール

 数年前の沖縄全交流の時、普天間基地と辺野古に行きました。町のど真ん中に基地があり、その周りに住宅が取り巻いています。ヘリコプターがすぐそこを飛んでいます。辺野古では、白い砂浜と青い海がアメリカ軍の鉄条網(それも針金ではなく、刃物が付いている)で真っ二つにされていました。

 普天間は海兵隊の基地です。彼らは海外の戦場に真っ先に駆けつけるいわば「殴りこみ部隊」です。「防衛」を任務にする軍隊ではありません。たとえ日米安保があっても、日本にいるのがおかしい部隊なのです。その海兵隊の基地を辺野古に移そうとするのが今もめている問題です。

 12月4日、全学労迎の中央行動では、国会議事堂で堂々と「普天間基地の辺野古移転を止めろ!」とシュプレヒコールをしました。

共産党議員に呼ばれて、話してきました

 12.4の国会議員要請を事前に通知しておいたところ、共産党の宮本岳志衆譲院議員から話を聞きたいと連絡があり、行ってきました。要請書を元に説明をしていたら、議員は関心のあることを赤ペンでメモしていました。

 まず、学校の非正規雇用労働者問題。その数の多さと労働条件の地域格差。特に大阪の「臨時講師が教務主任」にはびっくりしていました。また就学援助でも「都会では卒業アルバムも援助対象なのに、地方では援助額の切り下げが始まっている。」問題などをメモしていました

 

 インフルエンザによる学級閉鎖で、10、11月の給食費の一部を返金しました。なんと2ヶ月で100万円分。銀行で用意してもらったジャラジャラ小銭は20kg。運ぶのが大変でした。(この職場に来て初めての経験が多いなあ。)

 すでに生徒の1/3はインフルになったようで、最近は落ち着いてきました。が、今も学級閉鎖がありますから、来月以降も返金です。

 さて、50人近くの同僚の中には、濃厚接触しているはずなのに、誰一人発症者がいません。大人はインフルにならないのでしょうか。それとも感染しても分からないほど軽いのでしょうか。


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