2010年2月3日

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全学労連ニュース今号の内容

 2010 学校事務労働運動の存在を示そう

 全ての公務員労働者の反撃を! 橋下発言を許すな!

 2010年度文部科学省予算案のコメント

 横浜で共同実施全市化の動き ―職務標準の強制狙う―

 関東地区学校事務研究大会 アピール行動

 

2010 学校事務労働運動の存在を示そう

 2010年は早々に寒波と春が交互に来て、いろいろ振幅の大きい年になりそうな気配。一日50万円の小遣い首相と強面幹事長の民主党政権がもたらす「不安と期待」の振幅は更に大きいはず。経済の危機的状況もあり、ぐちゃぐちゃな時代への不安が大きくなっていくでありましょう。そうだからこそ、私たち一人一人の活動と団結した労働組合活動で、ぐちゃぐちゃを突破していきましょう。

民主党の政策「義務教育費国庫負担金の一括交付金化」

 さて、夏の参院選の結果次第で民主党政権が4年もつのかどうか分かりませんが、民主党が唱える「地域主権」を注視すべきです。「地域主権戦略の工程表(案)・原口プラン」では次のようにしています。

 当然、地方自治体への義務付け・枠付けの見直し。基礎自治体への権限委譲も同時進行。

 この「一括交付金化」は紆余曲折しながらもある程度は進むでしょう。「義務教育は地域主権で」の考え方を基本に、財界の唱える「道州制導入」も絡みながら、公立学校や学校労働者の存在の根源を揺り動かしていく可能性はあります。

 私たちは昨年末、全学労組の共闘で、中央総決起集会・中央行動を行い、要求を直接、政権、中央官庁、政党にぶつけてきました。その成果を受け、「一括交付金化」の動きに合わせて、さらにきめ細かく、さらに多くの回路を使い、その時々に、要求行動を強化していきたいと思います。

どうした日教組事務職員部

 自民党や文科省との親密な関係で存在を示せた全事研は、今回の政権交代でその政治的存在意義は薄くなったといえるでしょう。事務職員の中では生きていけるでしょうが、元通りの「研究団体」になりました。その意味では、それに成り代わるのが「日教組事務職員部」ということになりそうです。

 2009年6月、国民教育文化総合研究所(日教組関連組織)が「これからの学校事務と学校事務職員」を出しました。まあ事務職員部のこれからの方針を示そうとしたのでしょう。これがひどい。部分部分は書く人の差があって、面白い部分もあるのですが、方針は「事務長」一本槍。

 その中身が酷い。自らが進める「学校事務の共同実施」は、結局事務職員の人員削減や非常勤化の合理化でしかないことが、徐々に暴れていく事に恐怖したのか、次は「学校連携を連合体に高め、地域学校経営の事務長」と言い出してきた。いくらなんでもそれはないでしょう。まさに「改正」教育基本法に乗った方針を出したのだ。

 2006「改正」教育基本法13条(学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力)

「学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。」

 「子供に、規範意識を持たせ、学力向上を図る国民運動」をお上が作ろうとする元がこの「改正」教育基本法なのです。「規範意識強化」と「学力向上」が、子供たちをがんじがらめにしています。学校、家庭と地域全部に見張られて、子供たちは息がすえない。

 今回の日教組事務職員部の「これからの学校事務」は学校や教育の根底の問題に目をそらし、自らの「出世願望」のために、「改正」教育基本法に乗ったものに過ぎません。

 こんな事務職員部のいう「共同実施」を根底から粉砕する行動を始めていきましょう。

 そのうち、日教組は「食育国民運動を進める事務長」なんて言い出すかもしれません。冗談じゃなく。

(参照「子どもの力を邪魔しないために」(PDF)2009.11 国民教育文化総合研究所)

「職務標準」と「保護者負担」

 かつての牧歌的「職務標準」は「事務職員の未分化労働の明確化」のため、事務職員自らが要求していました。しかし昨今出されている「職務標準」は、「評価制度」と相まって、事務職員に過重な労働を強要するものになっています。

 教員の「子供と向き合う時間の確保」をお題目に、「教頭のやっていた集金業務を事務職員に回す。」など、多くの事務職員が今以上の労働強化の現実にさらされ始めました。

 確かに教員の労働時間の長さは尋常ではない場合があります。その改善を求めるのはまったく持って正しい。しかし、それを学校事務職員の労働に置き換えるのはまったく間違いである。

 異常なる労働時間の解消は、労働者を増やすか、その仕事を止めちゃうかでしょう。「教員の集金」が問題であるなら、集金そのものを問題にしなければなりません。公立学校は公の金で教育力が行われており、そこに集金(保護者負担の学校徴収金)があることをまず問題にしなければ。そして集金しなければ成り立たない教育は止めてしまうことです。

 「学校行事の事業仕分け」をすれば、教員の労働も減り、集金額も相当減ります。必要もない個人教材を見直せば、保識者負担は確実に減るのです。

学校・教育は学校事務労働運動の課題

 学校で働く労働者の一人として、また労働組合として、職場の問題を見逃すわけにはいきません。学校の抱える問題、教育の問題に対して、労働組合として何ができるのかを考えるのは当たり前だと思います。

 教員中心主義の労働運動を批判し、学校事務労働者の独立労働組合を立ち上げ、活動してきた私たちが、今教員との共同の取組みを進めています。全学労組の皆さんとは夏の相互の研究会に参加してそれぞれの持ち味を交流し、一昨年からは中央闘争を共催してやり遂げています。

 日教組事務職員部や自治労学校協議会の方々との違いは(方針の違いはもちろんだが)、この教員との関係への姿勢に一層出てきました。

 学校事務職員の労働運動は、自らの課題から運動は出発しますが、現実を俯瞰し、他者の状況を見据え、かつ想像し、方針が定まります。

 日教組事務職員部は、もはや他者を想像する能力は無くなっています。「凝り固まったド壷」のなかから一歩も外にでず、「出世」の旗を振るだけでしょう。悲しい哉。

 自治労学校協議会の皆さんは、自治体労働者運動なのでしょうが、どっちの地面に足を置いているのかときどき分かりません。もっとこっちにきてくれるとうれしいのですが。

 

 年末年始は読書三昧。「1Q84」「巡礼」のあとに「悪武蔵」(小嵐九八郎)を読む。

 「色即是空」を「欲に任せて居直る。そして、それは空しいと、一方で知り尽くす。」とあった。

 

全ての公務員労働者の反撃を! 橋下発言を許すな!

 昨年12月1日付け朝日新聞大阪版で「大阪府給与かさ上げ・昇任せずに170万円アップも」の5段抜き記事が掲載された。その後、全国紙でも同様の内容の自治体名を上げ、総務省も問題視していると報じた。

 

 記事では「大阪府が給与ランクでは最も低い主事級を長年務める行政職の府職員に、それより上の係長級や課長補佐級と同じ給料を払っている事が分かった。」途中省略「橋下知事はこうした事例を2011年度から見直す考えを示した。」とある。

 

 この指摘は、2006年度総務省が実施した「給与構造の見直し」に源を発している。それは、12級制(指定職級を含む)の給料表を10級制に改編し「職務の級の徹底」をはかり、年功序列型の給与体系から能力主義型給与体系へ移行し、また、昇給を年4回から1回に変え、業績評価を反映させると言うものだった。その他には、調整手当の廃止、退職手当の改悪も含まれていた。

 

 その年の人事院、人事委員会の勧告は、総務省の意図を反映したものとなり、結果大幅な給与水準の引き下げが全国的に実施された。橋下知事が問題にした「長年務めた主事」(主担主事・専任主事)に付いては、旧5〜7級の者が新3〜5級に格付けされた。この新3〜5級が、係長級・課長補佐級だと言う指摘だ。しかし、この内容は府の人事委員会の勧告に基づき当局が実施ものであり、同時に激変緩和の措置として「現給保障」(制度改変時受給していた給料の保障)も謳われ、その通り実施されたものだ。この制度改編は、細部の違いはあっても全国的に実施された内容であり、橋下知事の発言は「何を今更?」と言ったものだ。

 

 しかし、小さな独裁者は、知事就任以来それまでの経過や当時の状況を無視して自分の発言を実行してきた。そしてそれに異を唱える者を「抵抗勢力」と決めつけてきた(誰かに似ている)。もし知事の発言通りになれば、専任主事だった人が主事級に格付けされ、5級最高号給408,900円が2級最高号給309,900円に引き下げられる。「現給保障」分も含めれば、新聞が書くように年収で170万円ダウンになるだろう。退職手当にも反映される可能性もある。

   

 橋下知事の「長年努めてきた者」への扱いは、「労に報いる」のではなく「石持て追う」仕打ちだ。決して許されるものではないし、また許してはならない。許せば全国に悪例として波及するだろう。全ての公務員労働者の反撃を呼びかけるとともに阪学労も全力で闘う決意だ。(阪学労執行委員長 銅 則夫)

     

2010年度文部科学省予算案のコメント

コメント(PDF)
 

横浜で共同実施全市化の動き
―職務標準の強制狙う―

職務標準制定から1年

 昨年度末、学校事務の職務標準について、交渉なしにわずか3回30分ずつの一方的な「説明」で制定を強行した横浜市教委は、今度は共同実施を4月から全市で行うことを画策している。今年度「学校事務共同実施プロジェクト」を設置し、すでに11回の会合を重ねている。13名のメンバーの半数以上が学校事務職員だ。元教組事務職員部長や事務研究会役員経験者など。内4人は共同実施加配なのだが、今年度初のケースで教育委員会との兼務発令を受けている。学校事務職員でありながら日常殆ど市教委の仕事をやっていて、教組事務職員部自身文科省の「@学校に居てA校長管理下でB学校の業務を行う」という3要件に「抵触する可能性がある」と危惧せざるをえない勤務実態になっている。プロジェクトの議論内容について組合が要求しても市教委は一切説明を行わない。やむなく情報公開制度を使い会議内容の開示を求めたが、期限を引き延ばした揚句内容のないごく一部の資料以外は開示しない。職務標準同様年度末に数回の「説明」で強行実施する腹なのだろう。

共同実施全市化の狙い

 現在把握している限りでの共同実施の内容は、@2010年4月「分権改革」の一環として4か所の方面別教育事務所開設(分権の実態は殆どなく、指導主事を配置して毎月学校訪問を行い、学校を監視するのが任務のようだ)、その中に学校事務支援センターを置く。Aこれと同時に全市で共同実施開始。1ブロック4〜5校を単位に全市で100ブロック程度、ブロック内の事務職員は全ての学校を兼務、ブロックにブロック長を置く。B月に1〜2回ブロックで集まる。その目的は@効率的・効果的な事務処理、A学校事務の均一化・安定化、B若年事務職員への支援・相互研鑽、C準公金などの事務処理により教員等が本来業務に専念、D学校事務職員が相互に職務内容を組織的にチェック、というもの。

 学校事務支援センターには共同実施加配の事務職員(現在16人)を配置し、彼らは本務校及びブロック内の学校をも兼務する。予想されるのは、センターが定期的にブロック長を招集して会議をもち、また、指導主事同様月1回程度学校訪問を行うことによって事務職員一人一人をチェックする体制ができることだ。人事評価の第一次評価者にブロック長をあてることも十分考えられる。そしてブロック長をセンター配属の事務職員が評価する・・・。月1〜2回のブロックの会合で実質的な共同実施などありえないから、そこでは職務内容=職務標準遂行状況のチェックが主たる内容になるだろう。ブロック長は評価の眼を意識してブロック内の均一化に努めるだろう・・・。事務職員に事務職員を管理させることによって職務標準に盛られた膨大な業務を事務職員に負わせようとする、それが共同実施の全市化だ。

震源地横浜!

 かつて日教組事務職員部長、全事研会長を輩出し、共同実施推進の旗振り役となった横浜。しかし、これまで加配を受けた共同実施を行いながら何ら見るべき成果をあげてこなかった。年に4回くらいの会合しかもたないブロックもあると聞く。それが強圧的な横浜市教委の威を借りて共同実施を強行し、事務職員を激務に追い込もうとする。これが「成功」すれば必ずや他市町村、さらには他県にも波及するだろう。私たちは阻止の闘いを全力で開始している。

(がくろう神奈川 池上)

 

関東地区学校事務研究大会 アピール行動

 全学労連と学校事務ユニオン東京・がくろう神奈川は、1月28日、東京・文京区で開催された「関東地区学校事務研究大会・東京都公立中学校事務職員研究大会」の開会式に合わせて、“学校事務の標準的職務例示撤回”と“学校事務の共同実施・事務長制導入反対”の街頭アピールとビラまき行動を行った。

 会場である「文京シビックホール」は地下鉄「後楽園」駅「春日」駅、JR「水道橋」駅と最寄り駅が多く、入口もまちまちであったため参加者はあちこちから入ってくる。仕方がないので、ホール入り口でビラを配った。すると、大会事務局から中止を求める要請がある。かまわず配り続けていると、建物の警備員らからもすぐに止めるよう要請があった。全学労連内で「中止・続行」の協議時間を確保し、その間500枚あまりのビラを配った。また、その間、建物のメイン入口付近では、東京都教委による「標準的職務表」の一方的な提示や、横浜市教委による「職務標準」の押しつけ、横浜市内「共同実施」導入への抗議をリレートークでアピールした。

 全事研やその他の学校事務研究団体が「職務標準表」なるものを作り、それが「事務長制導入」や「共同実施推進」に拍車をかけている。学校事務制度解体へと推し進めている現状を見過ごすわけにはいかない。今回の関東地区事務研で参加者へこれらの危険性をアピールする取り組みは重要だったと思う。

【ビラより抜粋】

私たちに今必要なものは何だ?!

 「研究」や「共同実施」をやれば「熱心に職責を果たして役に立っている」と思い込んで安心することができるかもれません。逆に多くの人は不安をかかえているからこそ何とかそれを解消しようとして、共同実施や研究という皆と同じ一種の流行に乗ってしまおうとしているのかもしれません。

 しかし、「研究」や「共同実施」は決して私たち事務職員に明るい未来をもたらしません。むしろその逆で、労働強化(多忙化)やリストラをどんどん押し進めるものです。そして、こうした動きに歯止めをかけられるのは決して「研究会」などではありません。今の「研究会」は、教育委員会や文科省と一体になって事務職員はもっと働くべきだとプレッシャーをかけて、その上事務職員の削減にまで手を貸しています。こうした状況に唯一対抗できるのが「労働組合」です。労働組合は労働基準法と地方公務員法に定められた権限を持ち、使用者と対等に交渉することができます。当然、労働強化や雇用(任用)を守らせる実効的な取り組みができるのも労働組合です。

 

 1月15日都教委は「学校事務職員の標準的職務について(通知)」を各組合に提示した。この通知は09年7月に「教育管理職等の任用・育成のあり方検討委員会」の最終報告に基づき、学校事務職員の学校経営への参画を促進するためのものだと都教委は説明している。ところが、示された標準的職務表にはこれまで私たちの職務とされてこなかった副校長の職務(学校基本調査、出勤簿管理、学校施設開放事務など)や管理職が本来担うべき「情報管理」や「危機管理」などが入れ込まれ、全体的に1人でできる業務量を大幅に上回るものとなっている。これらを欠員状況の正規一人職場でやれというのか?現場をきちんと見るべきだ。1人でやったら過労死する他はない。

全国的に「標準的職務表」が示される傾向にあるが

 近年全国的にも「学校経営への参画」という大義名分の下、こうした「標準的職務表」が策定される傾向にある。学校事務の共同実施とも相俟ってこれまで私たち学校事務職員の職務ではなかった職務を取り込み、地位向上へという流れも存在する。しかし現実的には管理職や教員がやりたくない職務を押し付けられているのが実情だ。横浜市でも副校長が担っていた学校徴収金本務を事務職員に押し付けることが「標準的職務表」策定の眼目だったのだ!私たちは定数に見合わない労働強化は断固拒否していく!


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