2010年7月31日

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全学労連ニュース今号の内容

 7.16 全学労連 文部科学省交渉

 市職員を都費事務職員に「併任」配置した八王子市  人事権移譲を先取りした手法を許さず、これ以上の拡大をさせない!

 議長 菅原 かみブログ 100617  民主党政権下の新しい政策課題

 

7.16 全学労連 文部科学省交渉

 7月16日、全学労連は先に提出した要望書(下記)をもとに、文科省と交渉を行った。限られた時間なので要求項目全部への回答が出来ないことから、重点項目を絞っての交渉となる。重点項目への文科省の回答、さらに全体を通しての当日のやり取りを報告する。

重点要望事項 文科省の回答

1−@について

 義務教育費国庫負担制度における給与費の国庫負担率が1/2から1/3に変更されたことによって生じている事態(※)についてどのように考えているか。

(※)文部科学省の資料によれば、2008年度に16道府県で生じた「義務教育費国庫負担金の最高限度額と実額との差」は、総額111億6600万円に達した。これと対応して地方交付税において支出を予定されていた教職員給与関係費が教職員人件費として使用されなかった。

 2008年度の実態を踏まえたとき2009年度の実態がおよそどのようなものになると予想しているか。また2008年度において、限度額に満たない負担金は文部科学省予算としてどのように扱われたのか。併せて、現行の義務教育財政システムの機能不全をどう改善していこうとしているかを明らかにしてほしい。

教育の機会均等の立場から言えば、地方の財政力に差に関わらず、国庫負担を1/2に復元することは、十分検討に値する。政府全体で考えていって貰いたい。学校事務職員も学校の基幹職員として、引き続き国庫対象と考えている。

1−Dについて

 学校という事業所単位で考えた場合、定数増がなされないなかで新たな業務が増大し続けている構造はますます強化されている。「教員の事務負担軽減」を主要な目的として継続されてきた「学校事務・業務の共同実施」がどのような効果をもたらしたか。このことについて具体的に検証した資料を示してほしい。

へき地校には事務が置かれていない状況があることを聞いている。共同実施を先行して実施している所などから意見を聞きながら検討していきたい。

2−@について

 中教審がまとめた提言骨子(6月18日)をうけて文部科学省は30〜35人学級の検討にはいったとのこと(6月19日「朝日」)。学級規模の改善は、子どもたち自身にとっても、教員の長時間過密労働の現実を変えていく上でも切実かつ緊急な課題である。来年度からの実施を考えているのか。また、事務職員の複数配置基準・就学援助加配についても見直しの対象になっているのか。

23年度以降の定数は検討している。中教審の提言や地方団体からの要請も受けているし、意見募集も行っている。その他からもいろいろな意見を貰っている。概算要求までには定数に関する考えをまとめるつもりだ。

2−Aについて

 基本的には、極力正規職員を主体として雇用してほしいというのが私たちの立場だ。その意味では非正規雇用をできるだけ正規雇用に転換していくことを求めている。しかし、同時に、現実に非正規職員として雇用されている職員の賃金、休暇などの諸権利等の水準を可能な限り正規職員のそれに近づけることが必要だと考える。「最低限、自活できる給料がほしい」という非正規雇用の学校労働者の声を受け止め、教職員に雇用条件整備のための実態調査を早急に進めてほしいと考えるがどうか。因みに、文部科学省の「公立小・中学校の正規教員と非正規教員等の推移」(「学校基本調査報告書」)において非正規教員等が増大の一途をたどってきていることが明らかにされているが、事務職員等教員以外の学校労働者についても同様の調査結果が出されているのであれば資料提供をお願いしたい。また、これと関連して、「公立小・中学校の教員定数の標準に占める正規教員の割合(2008年度)」に対応する実数を明らかにしてほしい。さらに、教員以外の職種についても同様の資料を示してほしい。

各都道府県教委において、適切に対応していると認識している。この場など様々な場面で現場の意見を聞いていきたい。

重点要求はこの他にも、

3について

 教員免許更新制の廃止と併せて上級免許の新設等の検討が開始された(2010年6月3日、中教審に文科相が諮問)。教職員のより一層の階層化をもたらす等様々な問題をはらむ施策の検討を中止し、すみやかな免許更新制の廃止こそ実行すべきではないか。今後の検討についてその内容とスケジュールを示してほしい。

 また、全国学力テストについては、今年から抽出式に転換されたが、抽出以外でも6割が希望し結局7割の学校が参加したという。中途半端な抽出というやり方は「学力競争」をいたずらに煽る結果を招いていると考えるがどうか。

4−Aについて

 学校全体として見れば、業務量が増大するなかで、定数はいっこうに改善されないという状況が続いている。長時間過密労働がさらに強化されていくなかでは、休憩時間の確保などおよそ望みえない。学校(教育)の現場で不要なものを精査し、子どもたちや学校現場の労働者を疲弊させる諸制度(学力テストや人事評価制度等はその最たるもの)を廃止していくことが必要だと考える。と同時に、無制限な超勤体制を招いた根本原因である給特法体制を転換していくべきである。給特法の廃止を含めた検討の方向を明らかにしてほしい。

7−Cについて

 今年4月から横浜市の8区の公立中学校で使用されている自由社版「新しい歴史教科書」を巡って極めて深刻な状況が生まれている。アジア太平洋戦争において日本軍の侵略を東南アジアの人々が「歓迎し協力」する態度をとったと教えるのが正しいとする指導書が出回る一方で、横浜市教職員組合が組合員に配布した「中学校歴史資料集」に対して横浜市教委は、違法なものだから使うなという通知を出している(2010年4月28日付)。アジアの人々とともに平和な世界を築いていくための歴史意識の形成という観点を欠落させた排他的な「愛国心」を子どもたちに押しつけようとする教育が検定教科書を使ってまかり通っている。教科書検定へのかかわりを含め、いびつな国家主義的教育に対する文部科学省の責任をどう考えているか。

8について

 子どもたちの教育の場を分けないインクルーシプ教育は、障害者権利条約の批准に向けた国内法の整備と一体的に進められる必要がある。就学時に子どもたちを振り分ける根拠となっている学校教育法施行令第5条、第11条、第22条の3を廃止すべきであると考える。障害のある子どもたちが通常の学級で共に学んでいけるためには、換言すれば、原則統合(※)を実現するためには、しかるべき教員増が図られ、医療的ケア等を必要とする子が普通学級で学べるための法的かつ具体的なてだて等々が講じられていかねばならない。普通教育−特別支援教育という別学教育体制は転換されるべきであり学力テストに象徴される競争主義的教育の見直しが同時に求められている。学校教育法施行令第5条等の廃止をいつまでにやろうと考えているのか明らかにしてほしい。

(※)原則統合について

子どもの就学先を地域の普通学校(学級)に一元化する。ただし本人や保護者が希望する場合は、特別支援学校への就学を認める。このことを法律で定める。

などを挙げていたが、後日回答となった。

【全学労連「以下 全」】臨時的任用職員の割合などのデータを出したと言うことは、それに関して文科省として危惧していると考えて良いのか。

【文】中教審でも資料として出した。話題に上がっているだけである。その数が多いのか少ないのかは判断していない。シチュエーションによっては必要に応じた専門的知識を有した臨時職員もあってもいいのではないか。全て正規職員がいいとは思わない。

【全】同じ臨時的任用職員を毎年任用していることは、地公法22条を悪用していると考えられる。本来の臨時的任用からは外れていると考えるがどうか。

【文】法律に触れているわけではないので、各県毎に判断していると考える。

【全】担任も、一人しかいない事務職員も常勤でない学校があることは知っているのか。そのことへの危惧はないのか。

【文】承知している。児童・生徒の減少で過員になることなど、各任命権者が判断していることなので、文科省がそれについて申し上げる立場にはない。

【全】くり返し雇用は脱法行為ではないか。

【文】意見を聞く場を通じて対応していきたい。

【全】総額裁量制や加配による定数改善方式が臨時的任用者増を加速させている。年度末ぎりぎりでないと加配がもらえるかわからないので、各県は臨時的任用でしか対応できないでいる。

【文】加配は都道府県教委から申請を受けて付けている。年度毎なので加配がつくかどうかわからない。そこで臨時で対応しているというのはわかる。ただし、本当に人が必要なら加配が無くても県は人を置くべきではないか。総額裁量制は事務職員の定数を教員へとか小中学校の定数を特別支援学校へとか、もちろんその逆もあるが、そういうことで始まった。非常勤へも使えるようになったが、そのことが直接臨時的任用を増やしている原因だとは一概には言えないと思う。しかし中教審でも加配方式は良くないと言っているので、今後検討していきたい。

【全】2008年度、国庫負担金が限度額に達していない自治体がある(上記1−@※参照)。満額使っていない事実がある。これまで、運用で1/3の国庫を使い切らずに、残りの2/3の交付金は別の目的で使う自治体があることがわかった。東京など学校事務職の大幅な欠員がある反面、教員実数はかなり増になっている。これらも総額裁量制の影響だと考えるがどうか。

【文】定数標準法通りに行っていて、各都道府県教委の定めで行っている事に文科省が言うことではない。

【全】それらを所管する中央省庁としての指導はしないのか。

【文】5月1日基本調査の定数で、各県担当者とヒアリングをしている。充足状況などを話し、是正を促したり、各会議でも言ったりしている。何もしていないわけではない。

【全】神奈川でも教員で5%は欠員だ。事務職も欠員臨任が多い。今の定数標準法のまま、30人学級や35人学級になったことで学級増になり、事務職定数が増えるというだけでなく、事務職員の複数配置基準の引き下げも含めて検討して貰いたい。

【文】8月の概算要求に標準法見直しを目指して提示していく。事務職員の定数も同じだ。

【全】定数標準法や義教費国庫負担法は「教育の機会均等は国が責任を持つ」と言うことで始まった。地方の首長の様々な施策によりそれがグズグズになってしまう。文科省としてそれを放置せぬよう、もう一度考えを改める機会だ。

 

 文科省は、通り一遍の回答であったが、折しも中教審の提言後ということもあって、この夏の概算要求には学校職員の定数に関して何らかのアクションを起こすことが伺えた。参院選後の「ねじれ国会」復元により、中央省庁として息を吹き返してきたと言ったところであろうか。7月27日には2011年度予算の概算要求基準が示された。「人件費も含め今年度比1割減」という方針に、文科省は国庫負担1/2復元や標準法見直しを含む教職員定数増を概算要求にどう盛り込んでいくのか、注視する必要がある。全学労連は、今学校現場で起こっている様々な課題、とりわけ非正規雇用職員を使い回していることの解消、不安定な生活を余儀なくされている臨時的任用職員などの労働条件改善に向け、これからも要求を突き付け全力で闘っていく。

 

人事権移譲を先取りした手法を許さず、これ以上の拡大をさせない!

学校事務ユニオン東京 宮崎俊郎

 八王子市教委は今年度2名の市教委職員を小中学校に都費事務職員として「併任」配置した。任用期間は3年で給与負担は都教委が行う。

 東京都においては約10年前までは都費事務職員と市区町村費事務職員の2名体制が事務室の主流であった。ところが、財政難を理由として多くの自治体が市区町村費事務職員を引き上げてしまった。本来市職員は都職員と2名体制であるべきで、今回の併任配置は都と市の身分を併せ持つが給与は都負担となり、定数的には合理化の行き着く先としてとらえることができる。併任配置された市職員は主査と主任であり、都としては新規採用であれば2人は雇用できたはずだ。500名にも及ぶ大量欠員を出しながら、一方でこうした併任配置を政策的に行うということは、都教委がいかに否定してみせても事務職員の人事権・任命権・給与負担の市区町村への移譲を制度的に可能な部分から先行実施していることに他ならない。下記の都教委とのやりとりを見ても分かるように決して八王子市教委のラブコールのみで行われたのではなく、他の自治体にも声をかけたところから察するに都教委の主体的な姿勢も垣間見える。

 「八王子市教育委員会職員派遣要綱」によれば、法的根拠は地方自治法第252条の17(職員の派遣)にある。そこでは派遣された職員は派遣元と派遣先の両方の身分をあわせもつこと、給与や手当は派遣先が支払うことと明記されている。退職手当は派遣元が支払うことが原則であるとしているが、協議において派遣先が支払うことも可能としており、今回退職手当は都が支払うことと「協定書」には明記されている。その他、共済組合も公立学校共済で勤務時間条例も都条例を適用する。唯一服務に関しては概ね権限委譲により市区町村に移譲されているからか、八王子市の関係規定を適用することになっている。

 八王子市教委側の思惑を見てみよう。八王子市教委の市職組への提案理由は以下の通りである。「これからの学校は、地域運営をはじめ、地域の人材活用や地域による学校支援など学校活動への地域の参画等を積極的に進めていかねばならない。そのためには、学校事務職が校長や他の学校職員、教育委員会事務局等と連携し、地域の核となれるような体制を整えておく必要がある。また、教育委員会事務局においては、私費会計や学校内トラブル、校務パソコン等の整備によるセキュリティ対策など、学校環境の変化に対応するため校務支援の体制を強化する必要がある。」

 この文書を見れば、思い通りにならない都費事務職員の代わりに市職員を送り込むことで学校現場を市教委の統制下に置きたいという思惑が見え隠れしている。これは東京の各地区で問題となっている職務標準問題とも連動している問題だ。

 今後ともこうした「併任配置」が拡大していかないよう注目していきたい。なお下記に6月21日に行われた都教委からの説明とそれに対するやりとりを掲載する。

 

【組合側】いかなる経緯で併任配置が行われたのか。

【都教委】小中一貫校などには自分のところの職員を配置したいという八王子市教委の希望が伝えられ、協議が整い実施した。

【組合側】都教委から他の市区町村にも声をかけたのか。

【都教委】他にも声をかけたが、地教委の状況もあるので成立したのは八王子市だけだ。

【組合側】法的・制度的に今回の併任配置は問題があると考えていないのか。

【都教委】現行の県費負担制度の範囲内で実施しているので問題はない。

【組合側】文科省や総務局にもお伺いを立てたのか。

【都教委】文科省から市費職員として配置しないことに対する疑問はあったが、併任配置そのものに対する問題の指摘はなかった。総務局にもお墨付きはもらっている。

【組合側】文科省との文書上のやりとりはなかったのか。なぜ大阪のようなやり方をしなかったのか。今回のやり方は教員にも適用できるのではないか。

【都教委】文科省とのやりとりはあくまで口頭のもの。大阪でも文書で確認していないのでは。今回の併任配置はあくまで事務職員のみの限定的な措置であり、教員にまで拡大することではない。

【組合側】八王子市にとっては人件費を都教委が負担してくれるので「美味しい」システムだが、都教委にとって何のメリットがあるのか。

【都教委】地域の事情に詳しい市職員が学校事務職員として活躍してもらうことは学校現場をよくしていくことだ。

【組合側】だったら従来のように市職員のまま配置すれば事足りる。また市職員が地域や学校事情に長けているとは言えず、都費職員の方がむしろ学校のことはよく理解している。

【組合側】今回の措置は、給与上は都が負担しているが、法的壁の厚い人事権・給与負担を市区町村に移譲する方法の突破口として位置づけているのではないのか。

【都教委】人事権移譲の問題と今回の併任問題は全く関係がない。

【組合側】併任問題のベースには人事権・給与負担の移譲という考え方があるのではないのか。

【都教委】人事権移譲という考え方は変わっていないが今回の措置はそれに基づいたものではない。

【組合側】今回の併任配置は3年を限度としているが、継続することはあるのか。八王子市が望めば人数等規模も拡大していくことはあるのか。

【都教委】同一人について併任配置を継続することはありえない。併任配置そのものを継続するか拡大するかは相手のあることだから今のところ何とも言えない。

 

議長 菅原 かみブログ 100617

 さて、今回の「かみブログ」は、民主党政権下の新しい政策課題として何が議論されてきたかをまとめてみました。2013年までに何が変わるのか。

その1 地域主権戦略会議

 民主党政権の「一丁目一番地」(鳩山前首相)の「地域主権戦略会議」。今年の夏には「地域主権戦略大綱」をまとめるとしていました。菅内閣成立と参院選で予定より遅れそうですが、これからの数年で「国と地方のあり方」を大きく変える政策を実行するでしょう。

 それは小中学校職員には特に大きな影響を及ぼすことになります。何しろ私たちはいつも「地方公務員だけど雇い主は県か市町村か、どっち」で悩まされてきたのですから。

「地域主権戦略会議」で、市町村立小中学校に関して議論されている主なもの

  1. 「国の補助金を廃止して一括交付金化にする」の議論では、
  2. ・「義務教育費国庫負担金」を廃止して、一括交付金化(地方の自由度が高い国から地方に渡す金)にすること。その背後には、「標準法の廃止」があります。

  3. 「義務付け・格付けの見直し・権限委譲」の議論では、
  4. ・「学級編成基準の決定・教職員定数の決定の権限」「県費教職員の給与負担」「県費負担教職員の任命権」を、県から自治体に移譲することの3件。

 これらのうち何がどこまで実現するかは、分かりません。官僚の抵抗があるでしょうし、権限が移譲されるはずの地方も賛否が分かれています。ただし、何もなしではすまないでしょう。

 現在の私たちの労働条件を決めている「勤務と労働安全は市町村」「給与負担は県」「人事権は県と政令市」の状況は何らかの変更があると見ておいたほうがいいでしょう。

 では、どうなるか。

 義務教育費国庫負担金の代わりに一括交付金にすることは、自治体側が受け入れれば実現するでしょう。ただし、三位一体改革のような自治体の負担増がないときだけ。

 その時、標準法はあやしくなります。自治体の自由度が増すための交付金ですから。

 給与負担と人事権では、現在も人事権を持つ政令市に給与負担も移譲することや、中核市や広域自治体に人事権を移譲することは十分ありえます。中核市に給与負担を移譲することもありえないことではありません。

 学級編成基準の決定・教職員定数の決定の権限が市町村に移譲されるかは、人事権や給与負担との関係が整理されれば起こりえると思います。

 そうなった時、労働組合の活動も変わります。福島県内では郡山市といわき市が中核市です。万が一「人事権も給与負担も中核市、交付金も中核市」になったら、労働組合の交渉相手は全面的に市になります。郡山学事労(仮称)といわき学事労(仮称)の誕生です。

その2 労使関係制度検討委員会

 この組織は内閣府にあります。そこで「公務員制度の根本」が議論されています。ILO基準からは程遠い状態にある日本の公務員の労働基本権。団結権はあるが、交渉権・争議権は無い公務員労働者に、民間労働者と同じように「労使交渉」で労働条件を決定するための体制を議論していました。報告書が出ましたが、具体策は政治にゆだねられています。

 仮にこの議論が進み、労働条件は労使交渉で決め、「労働協約」を結ぶことになるとやっかいな問題が起こります。

 賃金・勤務時間などの基本的労働条件の他にも、労働者の労働内容も交渉になるでしょう。その時学校で何が議論されるか。職場で大多数の教員が「教員は教授活動に純化する」という協約を締結したがるのはもちろんのことです。その場合、その他の職員(特に事務職員)の大幅増員がなければ、その他の職員(特に事務職員)の労働強化は目に見えています。これは厄介です。

 この問題はすでに都市部で「教員の子供と向き合う時間の確保」を理由にした、「学校事務職員にもっと働かせるための『職務標準』」という動きで始まっています。

 もう一方、パソコンが学校事務職員を追い込んでいます。「学籍・教科書・文書管理・諸調査・公費会計・就学援助・給食費・学校徴収金」をひとつのパソコン(事務職員も一人)でやらせようとするものです。生徒300人ではなく、1,000人でもです。これは厳しい。

 働きやすい・安心して長く働ける職場を作る「労働協約」ができるようにがんばりましょう。

その3 文科省「今後の学級編成及び教職員定数」

 最近文科省は「学級定員の改善・教職員定数改善・標準法改善」を本気でやろうと動きはじめました。関係団体・有識者意見ヒアリングを実施し、中教審でも議論を始めました。

 早ければ概算要求にもという勢いです。「一括交付金」や「権限移譲議論」の決着の前に、実現させないと、それ以後は何もできなくなるために急いでいるのでしょう。(詳しい内容は文科省のホームページを探ってください。)

 そして、特記すべきは、私たちがこの間強く提起してきた「学校の非正規雇用労働者の多さ」を文科省自らが初めて公表したのでした。「総額裁量制」「加配制度」の下、全国の学校で「講師・非常勤講師」が増え続けている実態を自ら認めたのです。私たちの粘り強い要求が実を結んだと思います。

 しかし、これも「教員中心」です。講師の増加は分かっても、臨時事務職員の実態は公表されていません。

 したがって、仮に「定数改善」が実現しても、「学校事務職員の改善」につながる保障はありません。あくまで、事務職員定数改善につながるものを求めましょう。

 

 保護者の生活がより厳しくなっている状況が準要保護生徒の増加で分かります。準保だけで今105人、全体の14%。社会保障や賃金格差の是正なども政府に注文していきたい。

 それにしても就学援助の仕事量も膨大です。しかし、標準法は「100人以上かつ25%以上」ですから追加配当はなし。生徒数が400人だったら加配なのに。これもおかしいぞ。文科省に言わなければ。

 
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