2010年11月11日

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全学労連ニュース今号の内容

 10.22 文科省交渉報告

 APECなんていらない!自由貿易体制もいらない!

 国人勧二年連続引き下げ勧告 橋下知事、府人勧前に給与削減提案!

 

10.22 文科省交渉報告

 10月22日、全学労連は別掲の要望書を基に、文科省と交渉を行った。

 現在、現場では臨時的任用の職員が増えている。以前は保留学級などにより過員が生じてしまう場合などに限って臨時的任用をしていた。もちろん大量退職による大量採用が数十年後にまた同じ事を起こすという危惧から、採用調整をしていると言うことを含めても臨任が多い。全学労連が以前から指摘している「加配による定数改善」の影響が少なからずあるだろう。その臨時的任用教員が所によっては担任を持っている場合もあるという。学級経営をしながら、採用試験を受けなければならないこれではなかなか採用されるのは難しいだろう。35人学級化により、臨任問題については一定程度歯止めが効くかと思われるが、現在の臨時的任用者も含めて賃金や労働環境の整備を行って言って貰いたいというのが要望の主旨だ。以下文科省回答 “文)”と全学労連の質問 “全)”を報告する。

文) 1−(1)−@については、国庫負担対象として事務職員3,519人、栄養職1,478人である。Aについては資料がない。

 1−(2)関連について、地公法22条適用の一般臨時的任用と考えている。地公法適用外の非常勤職員については、各地方公共団体が常勤の扱いを基本に、各学校の状態に応じて適正に行っていると考えている。

 要望2−(1)の32年通知については、かつて“国家公務員教育職に準じて”という定めがあった頃の話である。今は、各県で決めているので文科省は関知しないところである。(2)について限度額に従わなければならないということはない。各県条例により適正な給与水準がなされていると考えている。

 

全) 定数について加配による改善をやめたことは一定程度評価している。各県の声として、いつ剥がされるかわからない制度なので正規を雇いづらいという声が上がっていた。何人教員が必要と言うことがわかれば、採用段階から正規雇用をしていくだろう。しかし今後増えていくだろう再任用者も不安定雇用であることに変わりがない。一年ごとの契約だったりする。

 

文) 定数を満たしていれば、それが正規・非正規は問わない。なにも全て正規職員でなければいけないとは思わない。各県が状況に応じて臨任を置くことはかまわないだろう。

 

全) 文科省はもう少し臨任問題に踏み込んで考えていって貰いたい。給与上限、年齢上限など各県で決めて言っているが、それ故に各県まちまちになっている。1ヶ月空けないと次の雇用が出来ない県もあれば、1日でも空けば継続雇用出来るところもある・・・かつて総務省はこの継続ことを「脱法行為だ」と指摘してはいたが・・・、県によってかなりバラツキがでていることは確かだ。文科省が調査をすることによって、各県は回りを気にしだすようになり良い労働条件へ変化させることも出来る。再度調査をお願いしたい。

 

文) ここでの即答は出来ない。調査の名目や効果を考えなければならない。すぐには無理だ。

 

全) 事務職員賃金に関しては3級や4級止まりの県も出てきている。限度額表を基準に国庫負担をしていくのであれば、6級まで到達できるように給与制度を改善するよう各県を指導できないものか。

 

文) 3級4級にとどまらずそれ以上の仕事をしていって貰いたいというのが願いであるが、条例で決めて言っている以上、国と地方の役割分担からは指導できない。

 

全) 文科省が主導で改善していって貰いたい。

 

文) 定数などに関しては各県を視察する際に、「標準定数では職員は足りないか?」とか「臨時的任用の割合が多いのでは?」など各県担当者に伝えてはいる。

 

まとめ) まだ政治状況も混沌としていて12月まで結果はわからない状況である。「1・2年生の35人学級実現」を特別枠で要求した文科省は「こけるわけがない!」と絶対的な自信を持っていた。民主党マニフェストによる党のバックアップなのか。総務省・財務省は「非常識である。何を考えているんだ」と言っている。いずれにしても政治家レベルでの決着もあり得る状況だ。全学労連は11月26日全国総決起集会を行う。また併せて議員要請や各省要請を行う。中央に現場の声を届けて、教育現場の労働条件改善と臨時的任用者の処遇改善を勝ち取ろう。

 

APECなんていらない!自由貿易体制もいらない!

宮崎俊郎(学校事務ユニオン東京)

 11月13、14日、横浜のMM21地区のパシフィコ横浜を会場に、各国首脳、政府関係者、経済界、メディア関係者を含め約8,000人の参加者が見込まれているAPEC横浜。神奈川県内開催の国際会議としては過去最大規模となるという。職場は東京だが、住居が横浜だったために、対抗運動に関わる羽目に。がくろう神奈川の小内さんや京極さんも中心メンバーだ。

 少し学校事務の課題とは遠いと思われるかもしれない。「学校事務とAPECはつながっている」なんていうつもりもさらさらない。しかし、今の世の中ほとんどのことが国境を越えた連関性の中で動いている。グローバル化だ。ワールドワイドになることをすべて否定するわけではない。でも世界は確実に富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなりつつある。G8やAPECがこうした流れを加速するものであることは間違いないのである。向こうがワールドワイドで攻めてくるのであれば、こちらもワールドワイドの民衆連帯が必要になってくる。今回、G20を直近の時期に終えた韓国から民衆労総の方、香港、フィリピン、パキスタンなどの国々の反グローバリズムを闘う仲間を招いてこちらもワールドワイドで対抗フォーラムを開催する。教育の中にも新自由主義が土足で侵入してきている。私たちはこれらの動向と対峙する論理と運動を手に入れるために世界で新自由主義と闘う人々から学んで行ければ、そういう思いで今回の反APECの運動の片隅にいる。

 10月に入ると横浜駅にもみなとみらい地区の各交差点にも警察官だらけの状況が発生した。9月16日にタレント田代まさしがコカイン所持により赤レンガ倉庫付近で逮捕されたが(APEC弾圧第1号!)、逮捕した警察官は福岡県警であり、APEC警備のために全国から動員された2万人の警察官の1人だった。一方地元神奈川県警はAPEC警備に8億円の予算をかけ、すでに昨年から様々なレベルでテロ対策を名目に過剰な訓練を実施してきている。横浜市は8月30日から会場付近の住民約7000名を対象に身分保障カードまで配布を始めた。桜木町では地下道へのシャッターを取り付け、野宿者排除を敢行した。こうした過剰警備体制は都市型国際会議のテロ対策を大義名分として行われてきているが、対抗言論の萎縮をその最大の効果としていることを私たちは見ていかねばならない。

 APECそのものについても少しふれておこう。APEC(アジア太平洋経済協力)とは環太平洋地域における多国間経済協力を進めるための非公式なフォーラムであり、現在21カ国が参加している。89年に始まり、アジア太平洋地域の自由貿易圏(FTA−AP)の確立を目指して毎年多国間協議が行われてきた。G8同様何の正当性も持たない非公式会議だが、97年アジア通貨危機、01年対テロ対策、08年金融危機などその時期の重要なテーマに対する対策を講じる協議が行われ、加盟各国がその協議内容に沿って国内再編を推進するという意味を持ってきたのだ。つまり、各国のグローバル企業がいかにしてアジア太平洋地域で自由に経済活動を行い、儲けられるようにするか、それによって発生する貧困層に対する治安対策をいかに行うかが主要な課題となっている。

 94年に採択された「ボゴール目標」は「先進」国は2010年までに貿易と投資の自由化を目標とし、今年の横浜会議においてその達成度が評価される。そしてそれを元に新たに「横浜目標」を採択しようとしている。横浜目標の3つの柱は@成長戦略の策定A地域経済統合B人間の安全保障 であるが、日本としては数値目標の入った成長戦略を策定させ、APECにおける覇権を握りたいという思惑が見え隠れする。地域経済統合はアジア太平洋地域の自由貿易圏を2020年までに具体的に構築するために地域経済統合を加速化させることが目的である。最後の人間安全保障は、そうした目論見に対する様々な障害を取り除いていくことが目的であるが、テロ対策を名目として様々な民衆の対抗運動を封じていくことが最大の目的なのであろう。当然軍事的プレゼンスの強化も併せて模索される。

 今回の横浜会議においては成長戦略の提示が際立った特徴であるが、日本の民主党政権の「新成長戦略」はまさに財界の支持を背景として、日本がアジアにおいてリーダーシップを発揮し、アジア太平洋地域への積極的な経済進出を狙うものであり、APECの思想とも親和的なのである。

 私たちは今回のAPEC横浜の打ち出そうとしている「成長神話」が経済間格差を激化させ、アジア太平洋の民衆をますます貧しくさせるものでしかないことを対抗的なフォーラムを通じて訴えていきたいと考えている。

 最後に11月13・14日の予定だが、13日午前中は全体会、午後桜木町駅前情宣⇒デモ。14日は5つの分科会とクロージング集会を行う。厳戒態勢下、会場のパシフィコにどれだけ肉薄できるか、楽しく賑やかなデモにできるか、乞うご期待!

 紙幅の関係で詳細な紹介ができないので、以下のブログを参照してほしい。また、民衆フォーラム実行委への賛同は個人1口1,000円、団体1口3,000円。

郵振口座: 00130−9−781735 加入者名「ピープルアクション」

 
大阪発  国人勧二年連続引き下げ勧告

 橋下知事、府人勧前に給与削減提案!

 8月10日、国人事院勧告が出された。月例給与0.19%引き下げ、ボーナス0.2月分引き下げで、平均年収の94000円の減収となる。昨年が過去二番目の大幅引き下げで平均154000円の減収だったが、それに続く内容だ。また、実際の引き下げは、55歳以上に集中させ、若年層には及ばないよう配慮すると言う。また、定年制延長にも言及している。2013年度から3年毎に1年延長し2028年度に65歳定年とすると言う。同時に60歳代の給与水準の相当程度の引き下げ、50歳代の給与の見直しも言及している。

 例年、国人勧に続き10月に府人事委員会が国に追随した勧告を出すが、大阪府は、人事委員会の勧告を待たず、9月16日給与カット3年延長他の給与削減の提案を行った。それは、6月に大阪府改革プロジェクトチームが出した「財政構造改革プラン(たたき台)」同8月に出された「素案」を受けたもので、給与・ボーナスのカット継続の他、独自給料表の策定により「わたり」の解消、職務の級の徹底、現給保障の廃止を上げている。独自給料表とは、現10級制を8級制に改め、主事=1級、副主査=2級、主査=3級等、職務(職名)に対し一つの級を適用、また、部長・次長は定期昇給を廃止し固定給とすると言うもの。上級幹部職員は別にしても、平の主事は、選考をパスして上位職に成らない限り1級ー157号給(309900円)で頭打ちとなり、生涯賃金では大きく引き下げられる。また、2006年の給与構造見直しの際4級に格付けされた主担主事(見直しで廃止)は、2級に降格させられ、最高号給2−113号給(357200円)で、現給保障の廃止・給与カットと合わせれば月額7万円以上の引き下げとなる。これらが現実のものとなれば「生活給の原則」が崩され、下位職は生活出来なくなる。

 また、正式提案の前に橋下知事は、マスコミに給与カットで年間270億浮かせ、それで私学高校の授業料無償化に充てると発言。財政再建だけでなく、府の新たな政策の原資に職員の人件費を充てる考えを明らかにした。例によって正式提案の前にマスコミに発表し、それを追い風に府職員の人件費抑制を強行する手法は許せない。

 
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