2010年12月18日

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全学労連ニュース今号の内容

 11.26 全学労連 中央行動報告

 10.22 総務省折衝まとめ

 

11.26 全学労連 中央行動報告

 
首相官邸前に向かうデモ隊列

首相官邸前に向かうデモ隊列

 11月26日、全学労連は教員独立組合の全学労組と共催で、「教育の完全無料化!教員免許更新制廃止!学校事務の共同実施廃止!教職員定数の抜本的改善!」をスローガンに全国総決起集会を行った。それに先立ち、午前中は各省各団体への要請と、午後の集会前に文教関係の両院国会議員への要請行動も行った。

◎各省等要請行動◎

文部科学省

 冒頭、全学労連として、文科省が示した教職員定数改善計画へのコメントを述べた。「加配方式から基礎定数化へという方向性が提起されているが、客観的基準による定数配置は、正規職員の拡大と非正規職員の縮小につなげていけるものであり、一定評価できる」。そのうえで、事務職員の定数改善が二次的なものとなっていることを指摘した。総額裁量制の廃止と併せて複数基準等の改善を強く求めた。これに対して、文科省は、「全学労連の皆さんを含めて、学校現場からの声を聞く場を持ってきている。ただ、どこまでその声にこたえていけるか、厳しい状況だ。」と回答。文科省は前回の交渉(10月22日)では、「小学校1.2年生の35人学級実現」を特別枠で要求したことについて、自信を持って説明していたが、政策コンテストでかなり手厳しい評価を受けるなかで、戸惑いを隠せない様子であった。「政策コンテストで外された場合、それを通常の概算要求にどう移すのか」という私たちの質問に対しては、「現状では、即答できない」と応じるにとどまった。

 経済成長優先の路線に転換(6月、「新成長戦略」の確定)した民主党政権は、医療・介護、教育を含む子育てや、環境の分野における雇用創出に向けた富裕層や大企業への課税強化など公正な税負担の増大という方向を明確にとり得ない。その一方で、尖閣諸島をめぐる問題を見るまでもなく、排外的なナショナリズムを煽りながら、軍事費の拡大を当然のように実行していこうとしている。政策コンテストで米軍駐留経費(思いやり予算)が早々と特例扱いされるなかで、文科省の「35人学級」への風当たりは強い(11月5日「朝日」)。小泉流の市場原理主義ではさすがにないが、修正新自由主義ともいうべき路線が依然として教育状況を規定している。公教育を国家による投資と位置付け、差別的な学力競争に子どもたちを駆り立てていく、そのような教育に学校労働者を動員していく攻撃に反対していく運動を力強く進めていきたい。文科省の「戸惑い」と財務省の「教育だけを特別扱いすることはできない」(10.15財務省文部科学第二係長)という発言がともに孕んでいる問題性をしっかりと見据えつつ。(事務局 羽成)

総務省・全国知事会・全国都道府県教育委員会連合会

宣伝カーに横断幕で街頭アピール

宣伝カーに横断幕で街頭アピール

 総務省では、要請書を手渡すと「義教金の問題についての要請は受けます」とコメント。「文科省の政策実現には法改正が必要である。今回の35人学級は今後8年の計画である。次年度のみの政策コンテストにそれを載せることに疑問を感じる(別掲「10.22総務省折衝まとめ」参照)」と語った。

 全国知事会は、要望は受けるが回答は出来ないという。同時に渡した資料で「東京都の事務職員充足率」に興味を示していた。

 都道府県教委連合会は、「要望は受け取るが、各県に下ろすことはない。むしろ、各県での要請がここへ集まってきた方が、実現しやすい」と語った。政策コンテスト35任学級実現へ向け「文科省にガンバって貰わなければ・・・」と強いエールを送っていた。

参議院・衆議院議員文教関係議員要請

 総勢46名で手分けをして参議院文教科学委員20名と衆議院文部科学委員40名の国会議員に要請書を手渡した。ほとんどが秘書対応ではあった。野党である自民党から「労働組合が元気にならなければ・・・」という応援を貰ったグループもあったようだ。

◎総決起集会及びデモ◎

集会の様子

集会の様子

 総決起集会は参議院糸数慶子議員のご尽力により、新しくなった参議院議員会館内の会議室にて行った。冒頭、全学労連菅原代表からは、「文科省は政策コンテストC評価にややトーンダウンしている。これからもっと教育に関しても格差が生じてくるであろう。労働組合の役割は重要になってくる」と語った。午前中に文科省交渉を終えた全学労組の増田代表からは、3年目を迎えた共同開催であるこの決起集会などを通し、中身の濃い共同行動を追求していく決意が表明された。また教員の免許更新制廃止と現場の過重労働解消を文科省に強く申し入れたことが報告された。

社民党へ請願。警官が物々しい

社民党へ請願。警官が物々しい

 その後、各地からの情勢報告があった。大阪教育合同からは戒告処分より減給される「賃金カット」の状況、がくろう神奈川からは、県内3番目の政令指定都市「相模原市」誕生から、政令市への移管問題に注視する必要があるとの問題提起がなされた。北九州ういからは、夏休み・放課後の教室開催、時間外の職員会議開催など教職員の労働条件改善が急務であることが伝えられた。阪学労からは人事評価システムを骨抜きにするため自己申告書未提出者を支援していくための闘いが語られた。アイム‘89東京からは、東京都の主幹制度、主任教諭に連なる教員の現状と、新採用者が自己申告に縛られ、息苦しい職場が多くなって生きている現状が語られた。また沖学労からは、翌々日(11/28)に迫った沖縄県知事選挙にからめ、普天間基地問題と沖縄県民の意識などが語られた。共闘団体から連帯の挨拶、集会アピール採択、団結ガンバローの後デモへと移った。

財務省前

財務省前

 デモは出発地の社会文化会館から議事堂裏を通り、特許庁の手前までは旗を揚げることが出来ないため拡声器などによるシュプレヒコールでアピール。途中、衆議院で社民党中島隆利副幹事長、服部良一国会対策委員長、吉泉秀男労働委員長に請願を行い、挨拶をいただいた。その後文科省と財務省前で大きくアピール。日比谷公会堂脇をとおり、外堀通りを銀座・数寄屋橋方面へとデモは続く。参加者は最後まで大きな声でシュプレヒコールを響かせた。


   

10.22 総務省折衝まとめ

 全学労連は10月22日(金)、総務省自治財政局に対し、文科省の「新・教職員定数改善計画に関する質問書」に基づいて交渉を行った。

 

 自治財政局は、文科省の計画には「財政運営戦略」に基づく恒久財源を明らかにしていないことが問題であるとした上で、今後8年間も固定化する計画は認められない、とした。更に内閣として2兆円の特別枠を設けたコンテストに出しているが、中身を詰めていない、1・2年生を35人学級にするというのをコンテストに入れているが、駄目な場合は理論上ゼロになるがそれでいいのか、と批判した。なぜ今年でやらなければならないのか、35人学級は現実的にはほぼ実現できている、副大臣・政務三役もやる気になっているが、財務省との予算の話が問題である、とも述べた。

 

 この文科省が揚げた項目は11月下旬のコンテスト優先順位決めでC評価を受けている。大臣折衝項目は12月末まで続くこととの見通しだ。「定数改善計画には法律改正が必要なので並行的に検討していくことになるが、野党から理解を得られるものなのかは不明だ。35人学級などは県の基準や区市町村も決められる、基礎定数のやりくりで35人学級が出来ているので純増はできない。加配を振り替えて定数化するしかないのではないか」との考えも示した。コンテスト項目は概算要求の外で「文科省は『ゼロに出来るわけがない』とタカをくくっているが、どこで常識的なところに落ち着けるか、そこが問題だ」とも述べた。また、一括交付金の話は出ていないとし、総額裁量制についてもコメントする立場にない、との姿勢であった。

 

 内閣は国債発行を今年度当初並みの44兆円に抑えると宣言している。税収は40兆円でこれだと84兆円の予算となるが、10年度92兆円の1割減の超デフレ予算になる。文科省の改善計画も財源が問題視されており、どうなるか最後まで綱引きが続きそうである。

 
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