WEB 全学労連 |
338号 |
2011年6月3日 |
全学労連ニュース今号の内容
5月13日、片山総務大臣は国家公務員給与の10%削減を、2011年度から2013年度まで3年間行う方針を閣議で報告し、国家公務員の主要な二つの職員団体と交渉を行った。職員団体側は難色を示し、労働条件を交渉で決める協約締結権の付与を要求したため、双方が持ち帰ることとなった。削減分は年間3000億円、決着すれば2011年度の第二次補正予算の震災復興費の財源に充当される。「人勧によらない異例の引き下げ」と言っている。いかにも世論受けする提示である。
政府は更に、5月17日、月給の10%削減を緩め、本省課長級以上10%、本省課長補佐・係長級8%、係員5%とする案を職員団体に提示した。又、管理職手当、期末・勤勉手当は一律10%削減する案も提示した。民主党政権はマニフェストで、公務員人件費の20%削減を掲げており、自治労・日教組などの職員団体の指示を受けているためになかなか手を付けられずに来たが、この地震、津波、原発災害の復旧を口実に打って出てきた。
公務員給与は民間給与の実態調査(民調)を人事院や人事委員会が行い、それに基づいて議会・長(首相や知事など)に勧告して決めていく構造になっている。これが公務員、特に非現業の公務員にスト権、団交権、協約締結権(労働三権という)が付与されていないための代償措置としての人事委員会勧告制度である。ところが、毎年5月初旬から行っていた今になっても実施されていない。そこで10%削減提案である。昨年の公務員制度改革で、人事院・人事委員会勧告制度を廃止し、賃金を交渉で決定する方式に変え、労働三権を労働組合に付与することが議論されたが、スト権は時期尚早とされ(公務員にスト権が付与されていないのは日本など少数、ILO条約に違反するなど国際的にも問題視されている)、付与されなかった。今回の政府の提案からは、人勧制度が国家公務員人件費の20%削減に障壁となっているとの認識から、民調・人勧を先延ばしにし、人勧制度をなし崩し的に崩壊させ、公務員労働者は労働三権もない形だけの交渉で従えという姿勢がかいま見える。私たちは、「人勧制度を政府は守れ」とは言わない。政府に労働三権の付与を要求し、労使対等の原則のもとで賃金交渉を行えということだ。地方公務員給与への波及も必至である。東京都知事が早速‘国がやるなら都もカット’‘都民のために使えばいい’と述べたようだ。ちょっと待ってもらいたい。東京都の職員の定数削減は、04〜09年度の6年間で8500名も行われており、11年4月の学校事務職員の定数は標準法と比して571名の欠員となっている。東京の1兆円近い積立基金はこうした雇用制度と都政の合理化(福祉・教育の切り捨て)の上に築かれたものだ。それに招致に失敗したオリンピック基金4,000億円も残っている。仮に「東京だけ富裕」論があるとしたら、それは東北や新潟の電力に支えられたものであるので、東京の支出した100億円ではなく、オリンピック基金4,000億円全部を東北の復興に充てるぐらいやったって「天罰」はくだらない筈だ。現に北海道や大阪府などでは大幅な賃金カットが行われている。これ以上の賃金カットも定数削減もご免こうむりたい。軍事費や原発関連予算を削減し、被災地を中心に正規雇用の公務員を大幅に増やすことで雇用が内需を拡大することが肝腎である。そうしないと震災不況にデフレスパイラルが日本を襲うこととなる。
5月23日、連合系の公務員労働組合連絡会は、若年層の削減幅縮小と今国会中の労働基本権拡大への道筋をつけることを条件に、この削減提案に合意した。
一方全労連系の日本国家公務員労働組合連合会は6月2日の交渉で決裂した。地域経済への悪影響や財政悪化の責任の所在の不明確さなどが反対の理由だ。交渉後、片山総務大臣は「今日の結果を踏まえて政府方針を決め、出来れば3日に閣議決定したい」と語っている。
地方公務員への影響はと言うと、管首相は地方まで手を広げることには否定的だが、野田財務大臣は「地方交付税、義教金の国費負担を下げるべきだ」と5月17日の閣僚懇談会で訴えた。これを受けて5月20日、片山総務大臣は「国がやったから自治体も一律何%下げろなんて全く愚策」と批判している。まだまだ予断を許さない状況は続いている。
全学労連は以下の要望書を文科省に提出し、早期に話し合いの場を設定し、交渉に応じるよう、文科省に求めた。
この要望書の中で特に重点項目は、1.震災関連、2−B.事務職員欠員問題、2−D.「学校事務・業務の共同実施」「事務長」問題、3−@−@).30人以下学級、5−E.防災と労働環境である。
1についてはA福島第一原発事故に伴う周辺地域の安全を中心に取り上げたい。特に、4月19日付「福島県内の学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について(通知)」については、極めて大きな問題を含んでいると考える。子どもたちに年間20ミリシーベルト(通常の生活では1ミリシーベルトが目安)の被曝を強制する内容であり、撤回すべきだ(後日1ミリシーベルトを目指すと修正された。別掲福島記事参照)。子どもが大人よりも被曝の危険度が高いこと、しかも内部被曝を考慮した数字ではないことをどのように考えているのか。子どもたちを被曝から守るために、集団的な疎開が必要な段階なのではないか。@でふれた就学援助などの教育支援や学校における雇用の拡大について、不要不急の事業を凍結して予算を確保するなど、文部科学省としてできることを示してほしい。Bで述べた原発推進教育の自己批判とは、今まさに福島で引き起されている状況(要望書前文およびCでふれた原発労働に従事する労働者の問題を含めて)をどう受け止め、何をやっていくかという問題と不可分である。
また、3―@―@)に関連して、35人学級の今後の見通しをどう考えているかについて問うていく。5−Eについては、今回の震災の影響を踏まえて、施設面での防災、安全対策と併せて、被災地における学校労働者の労働条件確保(定員増など)についてどう考えているか聞く予定だ。
いわき市でパレード。最近はデモと言わない。
放射線を心配する母親たちが主催する集会とパレードは500人以上を集めました。いつもの労働組合中心の集団ではなく、市民が集まりました。全国からも集まり、音楽隊もそろっている。組合員参加は私とAさん。二人ともパレード指揮を任されました。1時間ハンドマイクを手にして、腕が痛い。あまり人通りが少ない田舎のパレードですが、各所で市民の歓迎をうけました。
市内の学校には文科省から放射線量計が配られている。毎日校内各所で測定する。最近の線量は下がり、0.3マイクロシーベルト毎時に下がっている。それでも側溝は1を超える場所もある。文科省からきた線量計と他の線量計では1未満の数値に誤差がでる。文科省の機械は少なく表示する。なんだかなあ。
最近、市内の温泉異常の報道がある。その一つが我が事務室から見える温泉の吹き出し。所のかつての炭坑施設(通気孔らしい)から温泉が吹き出した。数メートルもあるコンクリートの筒から温泉が吹き出し、湯気が上がっている。近づくと硫黄の匂いがする。
原発自治体からの転入生は多い。就学援助、学用品の支給など事務手続きの混乱がある。ある原発自治体は他の自治体に住所を異動しないで転校した生徒も就学援助対象にするとしたが、他はない。我が市は就学援助の申請を学校で預かれと言う。
組合員内外から仕事の問合せが来ている。就学援助、兼務辞令の職員の労働条件、給食費が毎月違うこと、避難生徒の救援品。それぞれ職場で頑張っている。が、たまに会って話す機会を欲しがっている。組合で集まろうと思っている。組合員以外にも呼び掛けよう。
トップダウンで次々と妙案が打ち出されるF市。
一部の学校での表土除去。県外までバスを利用してのプール授業。夏休み延長(8月31日まで)に伴う、冬休み短縮(12月28日〜1月3日まで)。各校、普通教室に扇風機4台設置。教内換気のため窓開けするよう通知。
被災し区域外就学している児童生徒には、就学援助児童生徒と同額の補助をすることがやっと決まりました。これがまた煩雑。我が校は19人ですが、補助金のうち学用品費は学校で預かり、その都度支出するようにとのこと。個人個人異なる場合もあり、かなり大変そう。
校内集金(私費)の大部分は集金しないようにはしたのですが…これだって、結構大変だったのに〜。個別に通知作ったり、申請書回収したりと結構忙しい日々です。
毎日校庭の放射線量をはかっている職員が、私の車内まではかってましたが(笑)、校庭の数値は固定してしまったかのように、あまり変化は見られません。ずっと2μSv/h前後です。
通勤途中、200戸位の仮設住宅が建築中、まもなく完成予定です。神戸での全交流後に訪れた、六甲アイランドの仮設住宅に暮らすお年寄りを思い出しました。
今まで、明確な根拠も示さないままに、まるで呪文のように繰り返されていた20ミリSv/年が、今日突然とんでもなく小さい数字に代わった。
20の根拠も不明なら、置き代わった1もどこから、どんな基準で出現したのか…。
それにしても、いきなり20分の1はないでしょ。私の肌感覚では、既に越えちゃってるかも。学校の校庭使用は20を目標に解禁したんだし、プール使用オーケーだした市町村あるし、運動会を屋外で目一杯やった学校多数。
ある町では、子供一人ずつに線量計を渡し記録、健康への影響等を長期に調べるという。どっかの大学と連携して…。棄民の次はモルモットだ。
それにしても、こんな状況下でも、避難するわけでも、防護服を着用するわけでもなく、日々の仕事をいつもどおりこなしている私は一体何?と思う。いろんな本から、放射線の危険を感じながらも、タバコ一本の方が余程癌になりやすいとか、どうせ30年生きないからなんて言って笑っている。
この緊迫感のなさ、およそ対岸の火事。この感覚はどこから来るものなのか。職場の妊娠初期の体育教員は屋外で授業をやっている。大丈夫?外の授業は危ないよと言ったけど、『頑張ります』という。そういうレベルじゃないと思うが。
今日は仕事が終わってから、実家に来た。ここには様々な石が埋まっている。第二次世界大戦終わりの頃、日本でも原子爆弾を作ろうとしたと言う。この地にあるウランを当時の中学生達が手掘りしたと言うのだ。ここは固い岩盤の層で、あの大地震でも被害が近隣の市町村より小さかった。
この辺りでは、普段でもガイガーカウンターが反応すると聞いたことがある。ひょっとしてホルミシス(?)効果だから私は元気?
例年、7月末から8月初旬に開催していた全交流は、3.11震災後の影響を考慮し、今年は9月の開催といたします。交通の影響なども考え、東京または横浜周辺で、9月17日(土)から18日(日)で行う予定です。
スローガン
重点課題として1.震災・原発2.学校の仕事などを討議する予定です。
詳細がまとまり次第、あらためてご案内します。
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