2012年3月2日

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全学労連ニュース今号の内容

 文部科学省来年度予算の義務教育費国庫負担金
 概算要求から実質 100億円削減、法改正は無く加配で措置

 福島・・・今

 議長 菅原 かみブログ 120229

文部科学省来年度予算の義務教育費国庫負担金
 概算要求から実質 100億円削減、法改正は無く加配で措置

 文部科学省の来年度予算案のうち義務教育費国庫負担金は、今年度より 70億円少ない 1兆 5,597億円となった。概算要求が今年度より 8億円多い 1兆 5,675億円であり、しかも別枠であった東日本大震災の復旧・復興対策費 22億円が、予算案では復興特別会計として同じ 22億円が内数に変わっている。すなわち実質的には、概算要求から 70+8+22で100億円が削減されたということになる。

 最大の焦点であった小学校 2年生の 35人以下学級実現のための 4,100人(事務職員 110人を含む)基礎定数化は、法改正を見送り未実施の学級への900人の加配措置となった。このためだろうが、「小学校 2年生の 36人以上学級の解消」(下線は引用者)という妙な表現にすり替えられている。これを文科省は「実質的に実現」と言っているが、基礎定数 4,100人と未実施学級への加配 900人とでは数字以上に大きな違いがある。

 既に地方独自の措置で約 8割が 35人以下学級を実現しているというから、その分を削減したということだ。900人に事務職員は含まれておらず、加配で学級数が増えても事務の配置は増えない。さらに実現している所に何の措置も無いということでは、地方の努力は報われない。文科省は他の加配でバランスをとると言うが、少人数学級の実現とはそういう問題だったのだろうか?

 このほか、被災した児童生徒のための学習支援 1,000人など、さらに既存の研修等定数▲100人の合理化減を合わせ合計で 3,800人が、定数「改善」として全て加配で措置されることとなった。(右資料参照〈財務省主計局作成「平成24 年度文教・科学技術予算のポイント」より抜粋〉)

 トータルで見ると、概算要求時の 7,000人から 3,200人が削られているが、この数は概算要求の「35人以下学級実現」のための 4,100人が予算案で 900人にされた削減数に合致する。すなわち少人数学級のための部分だけが削られたということだ。しかも、繰り返すが基礎定数化ではなく加配方式によってである。

 資料にあるように、財務省と文科省の間で合意があったようだ。しかし結果を見る限りでは、一昨年加配方式から基礎定数化に切り替え、8年計画で義務教育の 30人学級を実現しようとした文部科学省の「定数改善計画」は、2年目にして無効化したというべきであろう。

福島・・・今

穴澤 明子

 私の日常を話しましょう。普通に出勤して、今までと何ら変わることなく淡々と仕事をこなし退勤。 自家製の野菜や米を食べ、ふつうに呼吸し、ふつうに生活しています。

 福島に住んでいる私たちの生活は、一見3・11以前に戻ったようです。

 目に見えず、色も匂いもなく、触れることのできない放射性物質が身の回りに充満しているというのに…


 でも本当は違う。

 絶対にあの日以前には戻れない。払っても払ってもこの身に纏わりついて離れない何か。それは、心の奥底に沈みこみ、日々堆積しています。消すことができるのは、死によって心が解き放された時にでしょう。


 放射能は話題にしない…そんな空気が支配的です。

 ローカルニュースのメニューには【各地の放射線量】が挿入され、町なかに設置された電光掲示板には【現在の放射線量…屋外・屋内】が表示されています。

 この写真は、全ての学校に設置されたモニターです。数字は 2月 20日のもの。

 0.138μSv/hと表示されています。今は雪があり線量が低いと言われています。

議長 菅原 かみブログ 120229

小鳥の異変

 昨年の今頃の通信に「小鳥の声が聞こえる季節になった、春は近い。」とある。しかし、今年はおかしい。小鳥の姿が断然少ない。鳴き声も聞こえない。カラス、トンビ、シラサギなど大型の鳥はたくさん見かけるが、学校脇の藪で普通に見かける小鳥が非常に少ない。我が家の庭にもやってこない。

 昨年の夏には、ジョロウグモの異変を伝えた。数の少なさと成長の悪さ。冬になって、干からびたジョロウグモが木の枝に引っかかっていた。初めて見る姿だった。

 昨年春の原発事故で放射性物資がまき散らされ、放射線が小さな昆虫たちを減し、クモや小鳥に影響が出たのか。不気味な様子が広がっている。

「なんちゃって少人数学級」

 2012年予算で、文科省は「2年生35人学級」を強く要求していたが、政府案に示されたのは、「2年目での頓挫」である。「2年生学級定数」を引き下げることができず、「未実施学級への加配」が認められただけ。まさに「なんちゃって少人数学級」なのである。

 つまり昨年とは異なり、仮に2年生の35人学級で学級数は増えても、定数法は40人のままだから、事務職員や養護教員の複数配置にはつながらない。教員の加配があるだけだ。

 しかし、このような「なんちゃって少人数学級」はすでに各自治体で行われている。多くの地方で40人未満学級が行われているが、基本の教職員定数は40人で数え、少人数学級に必要な教員は加配で対応している。教員の臨時職員の多さの原因の一つであろう。

 わが職場も同様で、少人数学級では9+8+9の26学級と特別支援学級を加えて27学級あるが、臨時教員は8人(そのうち代替職員は3人)。そして県費負担事務職員は1人。定数法通り40人で数えても7,7,7で標準法21を超えるが、事務職の複数配置はない。県教委は小規模学校に事務職員を配置するために、24学級未満の中学校は一人配置という。教員も一人あたりの持ち時間数は増えている。

 このように、学級定員をきちんと減らさず、学校労働者の負担を増しているのが、「なんちゃって少人数学級」の現実だ。

 子供の数に対して教職員の数を増やす方法は、学級定数削減だけではない。児童生徒数、学級数に応じて教職員数を増やせばいいのだ。文科省が「少人数学級」にこだわったのは何故だったのだろう。といっても1年で頓挫では検証もできない。

霞んできた「共同実施」

 2012年文科省予算で、事務職員に関しては「地域連携による質の高い教育の実現」のための100人加配のうち幾分かは「地域連携のコーディネーターとしての役割を担う事務職員の充実」として増やすということだけである。昨年は「小学校1年35人学級」で事務職100人増だった。

 注目すべきはこの間「共同実施」の姿が消えていることだ。かつて「きめ細やかな教育ナンンタラ、事務部門の強化カンタラ」で事務職員の加配がセンター校や拠点校にあった。これがどうなるのか。いっぺんに加配が消えることはないだろうが、あくまで加配だから未来の保証はない。

 「共同実施」が事務職員定数改善につながらないのは、当たり前のことだ。事務の効率化をはかり、少人数で多くの業務をこなすのが「共同実施」の神髄。学校ごとの特徴・個性・凸凹を「標準化」でつるつるにし、大規模処理するのが「共同実施」。そこに事務職員定数増は入ってこない。文科省予算でも「共同実施」は霞んできた。

 さて、「共同実施」にいろいろな幻想を抱いていた皆さんがいた。教員との差別を超えたい思い、見栄を張れる「長」への憧れ、人並みの賃金などがあったのだろう。「学校を離れた学校事務センターの一つにイスに踏ん反りかえって、高い賃金を得たい。」という幻想。

 しかし、いまや定数増のない「共同実施」ではそのどれも遠くなってしまった。いや、それらを「共同実施」に求めたのが誤りだったのだ。

 それぞれの課題は、それぞれに解決するしかない。差別は糾弾し、それをもたらす構造を壊すしかない。労働組合はそれを突破する場所でもある。そして方針は「給特法廃止」である。賃金改善は以前より厳しくなってきた。国の義教金ホ高限度額別表7の事務職員賃金水準を守ることさえ困難な状況で、やはり労働組合ががんばる他はない。

 まあ、「見栄」については、なんとも言いようがないが。





臨時職員の労働条件に関する調査について

 標記のことについて、拡大事務局会議で臨時職員の労働条件に関する調査の必要性が議論されました。最終的には、夏の全交流に向けて調査をしていくつもりです。今回は比較的簡単に集計できそうなフルタイムの臨時職員と再任用職員についての調査を行ないます。

 日程的に厳しいものはありますが、読者の皆様にも、次の要領で回答してくださるようお願いします。

1 調査項目:web参照

2 回答期限:2012年3月15日(木)

3 回答先:e-mail添付 gakurou2006@yahoo.co.jp

 回答用紙は「WEB全学労連」の中の「組合員・読者の頁(ID・パスワードとも[****])」に掲載しています。愛知県の場合の例を添付しました。回答の際の参考にしてください。


 ご協力お願いします。


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