2012年10月8日

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全学労連ニュース今号の内容

 来年度予算概算要求で、文科省は「新たな教職員定数改善計画案」を提出

 第41回全国学校事務労働者交流集会 全交流大阪

 福事労結成20周年記念定期大会報告

来年度予算概算要求で

文科省は「新たな教職員定数改善計画案」を提出

☆5か年計画の初年度要求―基礎定数化はどこへ?―

 来年度予算の概算要求が各省庁から提出された。文科省は重点施策の筆頭に、下の資料の通り「少人数学級の推進など計画的な教職員定数の改善」を掲げて、1兆5,629億円を義務教育費国庫負担金として計上している。

「下の資料」

 資料にある通り、このうち119億円(5,500人)が新規の定数改善分だが、教職員定数の自然減▲70億円(▲3,200人)と教職員の若返り等による給与減▲ 17億円により、今年度予算より増える分は32億円となる。さらに上記要求額は、復興特別会計分として1,000人(前年同)の加配定数を含んでいる

 改善数5,500人の内訳は、「35人以下学級の推進など学級規模の適正化」で3,900人と、「個別の教育課題に対応した教職員配置の充実」で1,700人の合計5,600人だが、既存の研修等定数を▲100人程度合理化減することで5,500人としている。

 35人以下学級の推進では、「各都道府県の判断で実施学年等を選択」としているのが、これまでの低学年から順次実施方式と違って目新しい。現在小学校1年生が法改正により、2年生は加配により35人以下学級の定数措置がなされているが、都道府県により実施学年が違うことでどのように法改正をするのだろうか。それとも今年度のように法改正無しの加配方式で措置されるのか、大いに気になるところだ。

 個別の教育課題対応の1,700人の中身は資料にある通りだが、別の資料によると加配による措置が目立っている。Eの「地域連携強化のための事務職員配置やICT教育推進等に取り組む学校への支援」の100人も加配による措置である。

 つかの間の花火で終わった2年前の8年計画構想では「加配の基礎定数化」が言われていたが、予算編成過程で財務省・総務省の圧力により、昨年度小学校1年生のみ法改正が実現したものの8年計画は単年度の措置に縮小され、今年度は法改正を伴わない加配措置がされている。こうした経緯を踏まえて、概算要求は来年度から5カ年の「新たな教職員定数改善計画案」の初年度分と位置づけられる。(次の資料参照)

次の資料

 強調されているのが「12年ぶりの教職員定数改善計画」であることと、学校が抱える様々な課題(別の資料によると、指導が困難な児童生徒の増加による学校の負担増大、家庭の経済状況による教育格差への対応、新学習指導要領による双方向・協働型の新しい学びへの授業革新を言うらしい…)を解消し、きめ細やかで質の高い世界最高水準の教育を実現するために「少人数学級の更なる推進と個別の教育課題に対応した継続的な教職員定数改善が必要不可欠」であるという。また、都道府県が先の見通しを持った計画的採用・配置が行えないため非正規教員が近年増加し学校運営や教育の質の面で問題であるので、「国による計画的な教職員定数改善が必要」であるという。


☆加配方式を克服できるか?

 まだ概算要求の段階なのでこれがそのまま実現するわけではないが、若干コメントを述べておく。

 2年前の頓挫にめけずに新たな定数計画案を出してきたことは素直に評価していいだろう。ただしその理由付けには違和感がある。第1に現在の学校の抱える困難は、定数改善計画が無かったせいだと言わんばかりで、放置してきた文科省の責任はどうなっているのかという点。第2に非正規教員の増加は学校運営や教育の質の問題ではなく、学校労働者の雇用不安定化と労働条件低下の問題であること。第3に基礎定数化の方向が曖昧であり、加配方式が目立っている。加配方式そのものが都道府県の先の見通しを失わせるものであり、それを放置しておいて非正規教職員の増加を抑制するのは困難と思われる。

 3点目について補足すると、全国都道府県教育委員長協議会と全国都道府県教育長協議会は今年の7月に文部科学大臣宛に意見書を提出し、その中で少人数学級の推進について「加配定数を確保したうえで、基礎定数の増加により対応すべきである」と述べている。文科省の概算要求もこの影響を受けていると推察するが、今年度予算編成の過程で財務省や総務省の圧力により、小学校2年生の少人数学級が基礎定数化から法改正を伴わない加配方式への転換で決着したのは記憶に新しい。定数問題に関して二兎を追える状況なのか疑問である。いずれにしても、政局も絡んで来年度予算編成に向け注視していかなければならないだろう。

註 ここで引用した資料の全体は文部科学省の次のWEBページからダウンロードできます。

http://www.mext.go.jp/a_menu/yosan/h25/1325564.htm

第41回全国学校事務労働者交流集会 全交流大阪

○スローガン

「暑い大阪を、熱い連帯で、なお熱く!」

○集会テーマ

「天災・人災・恐怖政治の下でも、労働者の連帯と誇りを懸けて生き残ろう!」

 「全交流」大阪集会は7月28日(土)・29日(日)国労大阪会館にて開催された。3.11東日本大震災と東電福島第一原発の爆発事故は1万5千名の命を奪い、今もなお3千名以上の行方不明者を残す状況にあって、生き残った人々も住む所を奪われ、職を奪われ、また放射能被曝の危機に今なおさらされている。そんな人々に何かしたい。励ましたい。寄り添いたい。また、大阪の公務員が知らぬ間に大阪府民の「敵」に仕立て上げられ自分が公務員である事を明らかにする事が憚られるところにまで追い込まれている有り様を全国の公務員や学校労働者の共通の課題として考える。そんな思いで、開催された。

 

 詳しい集会内容は報告集を見ていただきたい。本誌では、大阪の決議、オスプレイ配備に反対するアピールと集会宣言などを紹介する。

全交流集会決議を大阪市へ手交

決議を大阪市へ手交

 8月13日、全学労銅副議長(阪学労委員長)が、第42回全国学校事務労働者交流集会での橋下大阪市長への集会決議を大阪市へ手交した。決議の内容は、7月27日大阪市会最終日に可決成立した「労使関係に関する条例」「政治活動禁止条例」「学校活性化条例」等の内容を批判し、直ちに廃止する事を求めるもので、全国学校事務労働組合連絡会義他加入組合・参加者一同により決議されたものだ。

 これらの条例は、8月1日に施行され、早くも混乱を生じさせている。「労使間系に関する条例」は、一切の便宜供与を禁止したため、学校を会場に予定されていた大阪市教組の研究集会が会場使用拒否に合い訴訟騒ぎになっている。「学校活性化条例」は、校長の公募制を挙げており、来年度の小中学校長50名(退職補充分)を公募した。これまでは校長候補扱いだった経験3年目以上の教頭も、校長昇任選考を受けるのではなく、一般の応募者とともに公募に応募することとなった。また、学校選択制度に関連して区長(これも公募により採用された)が、学力テストの学校ごとの正答率の開示を求め教育委員会ともめている。また、民営化の方針に危惧するチラシを撒いた環境事業局の組合が処分の対象になったり、保護者との雑談で保育所民営化に反対の意見を述べた保母が、処分の対象になっている。

 公務員と公務員労働組合に対する規制と弾圧は、今後拡大し混乱が増大するだろう。この様な憲法違反の「悪法・悪条例」は直ちに廃止されなくてはならない。

第41回全国学校事務労働者交流集会「全交流・大阪」集会決議

オスプレイ配備計画撤回を求め宣言を政府関係機関に送付

 集会で決議された本宣言は、沖縄県民集会へ提出、さらに首相・外務・防衛大臣、米大使館に送付した。

普天間飛行場早期返還とMV22オスプレイ配備計画撤回を求める宣言

集 会 宣 言

 

福事労結成20周年記念定期大会報告

福島県学校事務労働組合

 福事労が結成されて、20周年を迎えました。大会の昼食休憩時に飯坂温泉あづま荘での結成大会を記録したビデオを流しました。若い時の自分の姿や組合員を見つけては、「髪型が変!」とか「洋服が古!」等ツッコミが入り、盛り上がりましたが、なんといっても全国から駆け付けてくれた全学労連の皆さんの「若さ」には驚きました。全学労連も福事労も確実に年を重ねていました。

 20周年の記念パーティーを付き合いのある県内の労働組合や市民団体・個人をお招きして開催しようとも考えましたが、震災原発事故状況下でもあり、内輪でのささやかなパーティーとしました。参加いただいた埼玉の布川さん、吉田さん、青森の土屋さん、神奈川の宮澤さん、南会津の大宮さんありがとうごいました。

 

 今回の定期大会では、集中的に討議する3つの柱を立てました。

 

 一つは、県教委が春の交渉の中で提示した「共同実施の検討」です。福島では、主査のままでは4級止まりとなる給与制度を導入されました。全員が5級へ到達するためには、主任主査の発令が必要になったのです。主任主査発令数の拡大を要求する中、県教委は「大義名分としての共同実施」を検討すると交渉の中で明らかにしました。大会では議論の末、「合理化につながる共同実施には反対する」ことを基本に交渉のテーブルに付くことが確認されました。

 

 二つは、定年後の働き方(生き方)です。定年間近な菅原さんから定年制・年金制度・再任用などの行方について、解説や問題提起を受け、組織方針を強化しました。

 

 三つは、原発に対する方針の確認です。福事労では、政治的な課題を組織決定して組合員へ押し付けない、ことを基本としてきました。それで原発に対する組織方針は、ありませんでした。福事労では、原発問題は政治的課題だったのです。今回の福島第一原発事故では、組織として反原発という方針を明確にするべきだ、という意見と、これまでどおり、政治的課題について組織的決定をするべきではない、という二つの意見があり、議論になっていました。定期大会では「福島県に原発はいらない」という方針を確認しました。

 

 最後に、定期大会へメッセージをいただいた各学労へお礼を申し上げます。ありがとうございました。

「10.13 さようなら原発集会 in 日比谷」

日時:10月13日(土)13:30開会 15:00パレード出発

場所:日比谷野外音楽堂

 詳しくは http://sayonara-nukes.org へ

 改造内閣後も、今後の原発に関して、方向性が見えていない状況の今、私たちは声を上げ、意思を表示しましょう。



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