2012年12月26日

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全学労連ニュース今号の内容

11.30 全学労連 中央行動・決起集会報告

 文科省・全国都道府県教委連合会 

 総務省・全国知事会・全国都道府県議会議長会・全国町村会 

 全国総決起集会 

11.30 全学労連 中央行動・決起集会報告

 2012年11月30日、全学労連は、文科省及び各省、都道府県教委連合会など地方団体への要請行動を行った。また、午後には参議院文教科学委員の議員をはじめ各県選出議員への要請、その後全国総決起集会を行った。以下、当日の様子を報告する。

(要請書はこちら)

≪文科省≫

要請項目1.について
 いまだ収束しない原発事故によって深刻な放射能汚染が広がっている。健康被害への不安とともに、今後の大地震によって倒壊し使用済核燃料プールの火災が水素爆発につながる可能性がもっとも高い4号機に対する不安感が増大している。いわき市の学校で予告なしの防災訓練をやろうと計画したが、3.11の一ヶ月後に起きた余震(マグニチュード7)の記憶が強く子どもたちの心に残っているなかで、とても実施できないという職員会議を昨日やった。子どもたちとともに私(たち大人)もまた言いようのない緊張のなかで日々を生きている。要請事項の具体化を1日も早く進めてほしい。福島の仲間から切実な訴えが行われた。
要請項目2.について
 法改正を伴わない加配だと地方(自治体)は、正規職員を採用しないことを指摘し、文科省として法改正に努力してほしい旨要請した。要請書に添付した資料に基づき、事務職員の充足率が年々下がってきているが、それは、総額裁量制によって事務職員分が教員分に流用されてきた結果であること、併せて本採用に比して臨任の割合が増えていることを具体的に示した。加配方式の転換が必要であることを重ねて訴えた。「文科省として長期的に見直しをしていきたい」との回答があった。
要請項目3.について
 就学援助加配の条件規定を「100名以上」一本にすることを求めた。150人から160人の援助対象者がいても加配されないという具体的な現場の状況をあげながら、25パーセントの規定がいかに不合理かを強調した。
要請項目4.について
 翌年も続けて採用されるかという不安を常にかかえながら日々働いている非正規職員の労働条件について、身分上の不安定さを含めて改善するよう求めた。賃金や休暇等は勿論、健康保険や年金制度の適用についても著しく不利な状況を強いられている非正規労働者の増大を放置し、その生活権をないがしろにすることは、教育にとどまらず社会制度そのものの存立を危うくし私たちが生きていくことをますます困難にていく。正規事務職員を次々非正規に置き換えてきた東京(足立区)の学校状況を具体例として示しながら、文科省自身がまず教育現場から非正規労働者の労働条件改善に取り組むこと、そのために総務省と連携した実態調査を早急に行うことを要求した。
要請項目5について
 地方交付税措置の就学援助の水準にも大きな格差が生じている。所得制限のばらつきだけでなく、生徒会費・PTA会費を含めて援助しているところと援助していないところがある。その一方で既に全国でいくつか給食費を無料化しているところがある。保護者(労働者)の格差が広がるなかで子どもたちの教育を受ける権利が損なわれている。義務教育費無償の原則に立ち戻った制度と施策の実現を強く求めた。

≪全国都道府県教委連合会≫

 文科省要請で訴えた内容に加えて、以下のような要請を行った。

要請項目1.について
 いわき市では双葉町の生徒50人が避難してきている。仮設住宅で大きな不安をかかえて生活している。県内外に避難している多くの被災者・子どもたちにとって生活していく権利、学校で学ぶ権利を保障していくために連合会は、自治体間―学校間の相互支援体制を強化していくうえで、大きな役割を果たしてほしい。これについては、「各地の試みが始まっているとの認識を連合会としても持っている」とのコメントがあった。
要請項目2・3・4について
 資料を援用しながら、標準法の趣旨が浸食され、非正規教職員の増加とともに事務職員の充足率が著しく低下している状況を指摘した。また、臨任者の採用については、県によって2級、1級の差があり、3月末に採用期間を空けることが、非常勤で対応している東京を除く全国で行われている。不安定な労働条件を強いられている非正規職員が増やされる一方で正規職員が様々な業務を引き受けざるを得ない状況がある。連合会として問題点を明らかにして各教育委員会の政策を是正―改善させる後押しとなるような調査―研究をして欲しいと要請した。これに対しては、「各県で事情が違う」ことを理由に積極的な回答は得られなかった。
要請項目5.について
 就学援助制度及び給食費の無料化の全国状況についての調査を求めた。基準のばらつきや交付税措置で市町村の負担が増大しているという指摘に対して、市町村の問題であり、連合会としては、手が出せないという何とも気のない対応であった。
 総じて義務教育費国庫負担制度の後退によって地方の格差が広がり自治体―教育委員会の連携も難しくなっているのではないか。「各県事情」という言葉を繰り返す連合会事務局の姿勢にそんな感想を持った。

※文科省―連合会への要請を終えて

 依然として3.11原発震災以後の困難な情況が続くなかでの要請行動であった。今年6月にようやく成立した原発事故子ども・被災者支援法の具体化が急がれねばならない。要請1の@〜Cで述べた政策、とりわけ@の「被曝量が年間1ミリシーベルトを超えるおそれのある地域を選択的避難区域に指定すること」と必要な支援を行うことは、子どもたちを放射能被害から守っていくために何としても実現していかねばならない。文科省に対して市民運動と連携しながら今後も迫っていく必要がある。原発事故の収束工事において多重請負構造による被曝労働を強いられている労働者に思いを馳せつつ、学校で働く正規―非正規の分断を克服し労働者の権利を守る(獲得する)取組みを持続していきたいと思う。

≪総務省≫

要請書の2について
 文科省が法改正については動きをする。各県・各地教委で対応することになる。総務省としては受け止める。
臨時職員について
 任用のあり方・報酬のあり方を確認してもらうよう実態の把握を引き続き行う。先日おこなった分についてはとりまとめをしている(学校職員も含まれている)。どんなことが出来るか、総務省も検討したい。
要保護・準要保護について
 17年度から地方団体が自らの判断によることになった。文科省の国庫補助から一般財源化されたためだ。
臨任調査について
 一般部局と教育現場ではボリュームが違う(法的根拠は22条。)
 (全学労連)教育現場は正規職員と全く同じ業務をしている。この内容が見えてくればと期待している。臨時職員は「22条」であることを指導していただきたい。
調査の取り扱い
 取りまとめて早めに明らかにしたいが、内容を精査している。3月までには出したい。 公表する。調査時点は24年4月。前回は20年4月。
 (全学労連)4月だと、前年度になってしまう。教職員の調査は5月1日現在で行っている。
 念頭は一般部局である。内容は前回とほとんど同じ。総務省のホームペイジで確認できる。H21.1月「短時間勤務職員の勤務実態のあり方に関する研究」
文科省の5カ年計画について
 35人学級・加配で行うということが一番いい方法なのか、文科省と総務省で議論している。教職員の勤務軽減が40 人から35人にすれば、全て解決するのか?TT/小人数指導とかの方法もある。基本定数でやると、加配より増えてしまう。知事会からも採用の安定化の要望がある。
 文科省は教員の数を増やそうとするのみで、何がこどものためになるか、検討しきれてないのでは・・・。引き続き議論する必要がある。財政当局としては、何が一番いいのか考えるのみ。

≪全国知事会≫

 要請の趣旨を一通り説明すると、「公務労働や学校に限ってではないが雇用問題に関しては知事会としても、危惧している。教職員定数改善は、この間の小学校低学年での教員増は一定評価している。これが小学校全体、また中学校へと拡がっていくことは重要なことだ。」と知事会のスタンスを語った。

 全学労連から、東京の事務職員の欠員状況をさらに説明すると、「個人的には学校現場で教員が多忙であることは認識している。教員をはじめ、事務職やその他の職員が増員されることが、さまざまな面で学校現場が改善されることもわかる。国庫負担が1/2から1/3へ変わったことでその財源の保障も重要だ。」と各県負担への憂慮も語った。「高校の授業料無料化など良いものは継続を求めていけるが、知事会は全都道府県にお願いしていく立場ではないので、新規の要請については、各県で交渉し要望を挙げて言ってほしい。」と語った。

≪全国都道府県議会議長会≫

 要請趣旨を説明すると、「議長会では10月の定例総会で、さまざまな決議をまとめている。その一部では、要請に沿ったものもある。」と第143回定例総会議決事項の冊子を提供してくれた。「原発問題で言えば『東日本大震災に伴う原子力発電所事故対策に関する決議』で“原子力事故への対応”や“住民の放射能対策”、さらに“放射性物質の除去対策 ”、“原子力災害に伴う損害賠償等 ”、“原子力発電所立地地域の復興 ”など、ほぼ要請どおりの決議を決定し、文科省関係で6項目挙げている。

 また雇用対策では学校に限ったことではないが、『雇用対策の推進について』で若者の雇用対策を、“国民の労働意欲を喚起し、若者にとって魅力溢れる社会を構築するためには、先ず実効性のある雇用対策を継続的に推進する必要がある。”と国に必要な措置を求めた決議を採択している。さらにその中で“正規労働者と非正規労働者との均衡ある処遇の確保、非正規労働者の正規労働者への転換のための支援措置の充実を図ること。”としている。」と議長会の取り組みを話してくれた。

≪全国町村会≫

 当初20分の予定が延びに延び、約1時間話し込んでしまった。

 例年なら陳情に駆けずり回る時期なのだが、衆議院が解散してしまったので…とか。(時間的余裕、大いにありということか?)

 要請書の内容をひととおり説明した後、原発被災県福島から来たということで福島の実情を話した。

 10/1現在、福島県内外を合わせた避難者総数は約31,000人。うち、18歳未満の子ども約17,000人が県外に避難している。県内の小中学校は702校あるが、うち警戒区域のため県内各所に移転が24校、計画的避難区域に伴う臨時休校が24校となっている。

 自主的に避難している世帯では、父親が仕事の関係で福島県に残り、母子のみ避難というケースが多く、二重生活に伴う経済的負担が依然として大きな問題となっている。

 

 地方公共団体最小単位となる町・村は明治・昭和・平成の大合併を経て最大14,000が現在900弱という。大合併がもう一度あると担当が言っていたが、道州制も睨んで危機感は大きいようだ。

 過疎化と少子化は小中学校の合併を益々進めていくだろう。それは単に私たちの働く場が減っていくということだけではない。悪循環の連鎖は地方(田舎)を疲弊させ、消滅に向かわせる。閉校や合併は財政上の理由によるものだけでなく、教育政策への保護者の要望という側面もある。地方と都市、富めるものと貧しいもの、単純な対立構造ではないが、地方が抱えている課題は大きい。原発に頼らざるを得なかった地方の苦渋の選択が今日の福島の姿なのだと、胸中複雑だった。

 しかし人は豊かな自然の中で、自分が口にする野菜を育て、四季を感じ暮らしたいと願っているのではないか。リタイヤした団塊世代や自然志向の人口移動は確かにある。そこに暮らし生活を営んでいる普通の人々の日常を政治や政策は無視しないでほしい。

 

 移動の前後に民主党本部前を通ったが、狭い歩道に10人以上の警察官が立っていた。『どこに行くんですか?』と聞かれること再三。張り巡らされた監視網の中、治安維持を名目に私たちはいつ連行されてもおかしくないのだと強く感じた一日だった。

参考: 明治の大合併 71,314 15,859
  昭和の大合併 9,868 3,472
  平成の大合併 3,234 1,821

≪全国総決起集会≫

 午後2時からは、参議院議員会館内にて総決起集会が開催された。

 はじめに全学労連議長の挨拶があり、続いて全学労組の吉田代表から連帯の挨拶があった。大阪で日の丸・君が代に関する処分が続いていること、全学労組内では自分たちの経験を若い人達に伝えていく取り組みがされていることが報告された。最後に、これからも同じ「学校」に勤務する全学労連とはこれからも一緒にたたかっていきたいという決意が表明された。

 次に各県からの闘争報告があった。

 はじめに福事労から、「もう大丈夫」という声が聞こえているが、実際にはまだ高い数値が続く放射能への不安の中で生活が報告された。特に放射線量の測定方法等が実態とかけ離れている事が明らかにされた。続いて沖学労からオスプレイ配備阻止へ向けて基地のゲート封鎖などの取り組みが紹介された。また、各地で米軍兵士による不祥事が未だに続いていることが報告された。ユニオン東京からは事務職員の定数割れ続いている中で、都教委が共同実施を導入する事で正規職員を置かない事を正当化しようと考えていることと7組合が共闘で反対運動を進めていること。大阪からは副校長制度の導入や土曜日の授業が始まること、公募区長が各地で混乱の原因になっていることがそれぞれ報告された。その後、がくろう神奈川から新たな組合弾圧が行われたことについて、明らかに別件逮捕であったことが伝えられた。

 続いて共闘団体から挨拶があった。

 全国一般神奈川から非正規職員の契約更新の問題と東芝との裁判闘争について、神奈川県共闘からは今回の衆議院選挙に関して、多くの政党が右傾化している事に注意が必要であること、全国で困っている非正規職員との共闘を進めて欲しいとの報告がされた。

 この後、集会宣言が採択、団結ガンバローと続き、デモ行進へと移った。



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