2013年3月6日

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全学労連ニュース今号の内容

 アベノトンデモ政策を撃てpart2  まだすぐそこに壊れた原発がある  それでの再稼働なのか

 来年度予算案での教職員定数  アベノミクスは学校労働者を救うか?

 原子力規制委員会の新安全基準案はより厳しくなるも、結局は原発を稼働させるための条件でしかない! 原発は即やめる。これしか選択肢はない!

アベノトンデモ政策を撃てpart2

議長  菅原 孝

まだすぐそこに壊れた原発がある

それでの再稼働なのか

 地震が止まない。今日も地震速報が鳴り、少し揺れた。尾瀬付近が震源だが、地震の少ない栃木県(だから、かつて首都移転の候補に名乗り上げた。)が立て続けに揺れた。今日の地震も2011.3.11の地震が東日本の大地に及ぼした影響であろう。遠くのプレート境界地震ではなく、近くの大地が震源になっている。これがいつまで続くのか。

 実は、私が住むいわき市はあの3.11のちょうど一か月後の4.11に大きな揺れが襲った。3.11の千分の一のM7クラスの地震だったが、夕方5時過ぎ、雷雨の中で起きた。3.11と比べると振動の時間は短いが、一瞬の揺れの恐怖はむしろ大きかった。3.11では停電しなかったのにすぐに暗闇、学校の非常扉も閉まった。外を見ると嵐の中で稲光、続く余震、まさに地獄絵図の様相だった。

 震源は、職場の西15キロの山間部で地下10q。もともと地形から断層であろうといわれていた場所からちょっと離れた場所。地表に現れた断層は2mの高さで、数日後に見に行ったが、私の背より高い段差が道路に出来ていた。(実際の断層の姿、立木の杉が切断され、川の流れが堰き止められた様子は、つくばの産業技術総合研究所のホームページで見ることができる。ほんとにこの写真を見て欲しい。)このようなプレート境界型巨大地震ではない直下型地震は、どこでいつ起きるのか、まったく分からないのだ。

 4基の福島第一原子力発電所は地震と津波で破壊され、そこには穴が開いた原子炉と瓦礫に埋まった使用済み燃料プールがある。放射性物資は外に放出し続けていて、人が近づけば数時間で死に至る場所がそこにまだある。

 最近の地震情報は、震源が福島県沖の深い場所だったり、内陸直下なら原発から遠い浅い場所などを知らせてくれる。が、原発のすぐ西には、地図でもよくわかる双葉断層があるし、4.11のように少しずれることもある。福島第一に近づくこともあり得る。

 それが、今まだ壊れたままそこにある福島第一から50q離れた場所に住む私の恐怖だ。


 今原発の直下または近くの活断層が議論されているが、問題はそれ以前なのだ。地震は、想定した場所で起こるとは限らない。断層はかつての場所をなぞるわけがなかろう。全国54基の原発近くで地震が起きないのか、断層は生じないのか。日本の国土は地殻変動で作られた大地なのである。そんな簡単な事実が分かっているのに、原発を再稼働するというのか。新しく作るという。それは許されない。

(つづく)

来年度予算案での教職員定数

アベノミクスは学校労働者を救うか?

全学労連学校行革対策部 佐野 均

☆公務員の削減・賃下げが前提

 昨年12月の政権交代により、来年度予算編成作業は1か月以上遅れ、今年度補正予算と合わせて「15ヶ月予算」として編成された。財政措置・規制改革・金融政策を「3本の矢」と称して緊急経済対策を実施する。公共事業を大幅に復活させ、規制緩和で大企業のやりたい放題を促し、円安を誘導し輸出産業を保護すると同時に輸入品の価格上昇を招きデフレ脱却の起爆剤とする。その財源は国債の増発で賄われこの国の借金はさらに増大する。そして日銀総裁の首は挿げ替えられた。全ては早急に経済成長の効果を上げて、半年後の参議院議員選挙に勝利し、安倍首相の本性をむき出しにした憲法改悪・軍備増強・国家主義教育等の政策を実施するための地ならしなのだ。

 では、仮にこの政策がうまくいったとして、景気が良くなり我々の給料が増えるのかというと、そうはいかない。1月24日に閣議決定された予算編成の基本方針は次のように言う。

「国家公務員の定員については…略…可能な限り純減を図る。…略…国が法令等で配置基準を定める地方公務員の配置(教職員の定数標準法もこれに該当する―筆者注)についても、行財政改革の取組を踏まえ対応する。」

「また、国家公務員の給与については、前政権時の平成24 年人事院勧告の取扱い(再来年度から実施が検討されていた高齢層職員の給与水準等の見直しのこと―筆者注)を変更し平成25 年度から実施する。」

地方公務員の給与については、平成24 年度から実施されている国家公務員給与の平均▲7.8%の削減措置に準じて必要な措置を講ずるよう地方公共団体に要請するとともに、それを反映して、平成25 年度予算における地方交付税や義務教育費国庫負担金等を算定する。また、地域経済の活性化の観点や各地方公共団体の行政改革の取組を踏まえるものとする。」

 特にアンダーラインを引いた部分に注目すべきで、削減を前提にして国の予算の段階で地方に金を出さないと言っているのだ。これでは「要請」ではない「強制」だ。

 安倍首相は、経団連に景気浮揚のために労働者の賃上げを要請したというが、これも参議院選挙に向けたパフォーマンスに過ぎない。首相に要請されなければ実現しない賃上げとは…、労働者側もなめられたものだ。

☆「新たな教職員定数改善計画」は早くも頓挫

 政府原案決定に先立って、1月27日に財務省と文科省の間に次ページのような合意が成立している。これによると来年度は「1,400人の加配定数増」を行うが、合理化減で600人を減らし、「外部人材の活用事業を新たに実施」。これとは別に「東日本大震災にかかる教育復興支援のための加配定数1,000人を措置」というように、数的な枠組みをまず決めている。

 その後で少人数学級推進は、その効果の検証の課題を課した上で、人事管理という課題も加えて今後の検討に先延ばしする。さらにその検討結果は、少子化や財政の状況という別の要素の勘案や「教育の質の向上につながる教職員配置の適正化を計画的に行うことその他の方策」とやらを検討の上乗せをし、やっとその結果で中身の曖昧な「必要な措置」を講じるということになる。

 ずいぶん遠い処へ先送りされたようだが、検討して「必要な措置」が講じられるまでに5年くらいは過ぎてしまうだろう。要するに文科省が概算要求で掲げた「12年ぶりの新たな教職員定数改善5か年計画」は、財務省との協議の中で無くなったということだ。

☆「改善」は加配のみで、しかも事務はゼロ

平成25年1月27日

財 務 省

文部科学省

 義務教育費国庫負担金については、以下の基本的な考え方に沿って扱うこととする。

1 平成25年度については、教育再生実行の基盤として、いじめ問題への対応、学校運営体制の整備(主幹教諭の配置促進)、特別支援教育(通級指導の充実)、小学校における専科指導の充実等の教育課題に対応するため1,400人の加配定数増を行う。

 一方で、少子化による児童生徒数の減少等を踏まえ、既存の加配定数について必要な合理化を図る。(合理化減▲600人)

 また、学力向上のための補習等に対応するため、地域人材による指導員等外部人材の活用事業を新たに実施する。

 これらとは別に、東日本大震災にかかる教育復興支援のための加配定数1,000人を措置する。

2 今後の少人数学級の推進については、習熟度別指導等とあわせ、文部科学省において、その効果について平成25年度全国学力・学習状況調査等を活用し十分な検証を行いつつ、教職員の人事管理を含めた教職員定数の在り方全般について検討する。

3 「2」の検討を見つつ、今後の少子化の進展や国・地方の財政状況等を勘案し、教育の質の向上につながる教職員配置の適正化を計画的に行うことその他の方策を引き続き検討し、その結果に基づいて必要な措置を講じる。

 「教職員定数の改善」をもう少し詳しく見てみよう。合意にある通り「改善」分は震災復興支援も含めて全て加配措置である。震災復興支援以外の1,400人の内訳は、@いじめ問題への対応400人(うち主幹教諭配置促進が200人)、A特別支援教育充実600人、B小学校専科指導の充実400人である。1,400人とは言っても既存の加配定数の合理化で600人の減だから実質的には800人の増加にとどまる。

 別な見方をすると、これまでの加配600人分の名目を@ABに切り替えたという結果になる。概算要求との比較でいうと、@ABの名目は確かに概算要求の中に含まれていたが、@については主幹教諭ではなく養護教諭の活用の支援とされていた。またBは概算では100人の要求だったのが400人に増やされている。主幹教諭も小学校の英語専科指導も前回の安倍政権下で推進された政策で、別項目で「全国的な学力調査」が悉皆にされたり、「道徳教育の充実」で心のノート活用が出ているのも安倍政権だからこそと見るべきだろう。

 ちなみに「教職員定数の改善」とはいっても事務職員の「改善」はゼロである。

 義務教育費国庫負担金で見ると、1,400人の「教職員定数の改善」で29億円増えるが、自然減・合理化減で82億円、給与臨時特例法を踏まえた削減で631億円、若返りによる給与減で13億円が減るため昨年度より697億円減少した1兆4,879億円となる。合理化減や給与減によるマイナスにより、義務教育費国庫負担金はさらに先細りを進める。

 アベノミクスで学校労働者は救われない。



原子力規制委員会の新安全基準案はより厳しくなるも、

結局は原発を稼働させるための条件でしかない!

原発は即やめる。これしか選択肢はない!

 原子力規制委員会は1月末に原発の新安全基準(骨子案)と原子力災害対策指針案を決めた。新安全基準(案)は、@重要施設は活断層上に設置できないAフィルター付きベント装置の設置B第2制御室を設置し遠隔操作で冷却するC放水設備の設置D移動可能な電源車やポンプ車の設置E免震重要棟の設置F原発ごとに最大級の津波に耐える防潮堤の設置G原子炉建屋に津波を浸入させない水密扉の設置 などを義務付ける。しかし、活断層をめぐっては当初「40万年前以降の活動」だったのが、「12〜13万年前の活動」に後退し、新しい地層が残っていない場合にのみ40万年前とした。また、圧力容器のメルトダウンを引き起こした水素について、水素除去施設の設置は現在1基に予定されているが、これが義務付けられていない。

 しかし、そもそもどうだったのか。新安全基準案はこれらが整えば原発は動かしてもよいという原発稼働基準でもある。既設の原発は設計がもう古く、これらの付帯設備をつなげていくことは原子炉そのものの構造破壊に行き着く危険性がある。それならば廃炉にして、新しくフル規格で建設した方が、既設を改修するよりは比較的に安全ではある。30年であった廃炉の基準は40年に延長され、格納容器は中性子の照射でもろく弱くなっていくので、とても危険だ。老朽原発は廃炉にすべきである。一部に「安全な新型の原発」ということが言われているが、たまり続けている放射能のゴミ、高レベル放射能廃棄物は、六ヶ所村や各原発の敷地内にあふれ返って満杯であり、10万年かかるという処理の方法は見つかっていない。「トイレなきマンション」のようなものと言われている原発のこの問題を不問に付したまま原発推進政策を採ることは許されないことである。そしてまた、新安全基準案による改修は多大な費用を増大させる。アメリカでも3基の原発が改修費用とシェールガスによる安価な火力発電に押されて廃炉が決定されている。原発は経済的にも成り立たないのだ。日本の原発は総括原価方式と発送電一体経営によって高い電力料金を消費者に転嫁することで守られている。発送電分離はこの3月にも法案が出される予定だが、電力会社の抵抗はものすごい。総括原価方式も改めるべきである。

 また、そもそも新安全基準案に満たない大飯3・4号機を原子力規制委員会は動かしたままである。規制委には止める気がないのだ。普通は1ヶ月の期間を取るパブリックコメントの期間を2週間ないしは3週間に短縮したのも異常な対応だが、島崎委員長代理に至っては、敦賀原発で専門家チームが「活断層の可能性が高い」と判断したにもかかわらず、「別の専門家に見てもらう」と妙な抵抗を示している。国会に1月、規制委を監視する目的の「原子力問題調査特別委員会」が自民党主導でできた。これは規制委の独立性を脅かす政治的な圧力にもなりうるもので、先が危惧される。

 原子力災害対策指針案は30キロ圏内の21道府県135市町村に防災計画を作らせることとなったが、そもそも福島第1原発の爆発時、アメリカは80kmまで避難するよう在日アメリカ人に指示している。影響はもっと広範囲に及ぶ。5〜30km圏での毎時0.5ミリシーベルトは年間の被曝線量限度にたった2時間で達するというあまりに高い設定となっており、これを下げるべきだという声が上がっている。そして135市町村のうち38市町村が計画の作成を自前で行うことなく、コンサルタント会社に丸投げで委託していることも発覚した。どこもかしこもズサンなこの原発立地の国だ。地震列島日本の最大リスクが原発であり、即やめることが賢い選択肢である。経済性=儲けることばかりが頭の中にある強欲な人々に任せておくわけにはいかない。次のような集会が予定されているので集ろう!

つながろうフクシマ! さようなら原発 大行動

3月9日(土) 14:00開会 明治公園
15:15パレード出発
主催:さようなら原 1000万人署名市民の会

原発ゼロ大行動

3月10日(日)13:00開会 日比谷野外音楽堂
主催:首都圏反原発連合

つながろうフクシマ!さようなら原発 講演」

3月11日(月) 18:30〜20:30 大井町きゅりあん
主催:さようなら原発 1000万人署名市民の会





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