2013年12月25日

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全学労連ニュース今号の内容

 11.29 全学労連 中央行動 及び全国総決起集会報告

 12・7 共同実施反対全都総決起集会で共同実施を止められるか?

 人事委員会は「制度上の公民格差」を放置するな  改定なしの給与報告と「結論先延ばし」に丸投げした雇用と年金接続

11.29 全学労連 中央行動 及び全国総決起集会報告

 去る11月29日、全学労連は文科省等関係省と地方六団体に要請書の提出と、「こどもを放射線被害から守れ!学校で働く労働者の権利を守れ!全国総決起集会」を開催した。各省等への要請主旨は以下のとおり。

1.収束しない原発事故から子どもたちを守る幅広い施策をとること。また「子ども・被災者支援法基本方針」を抜本的に見直し、支援が必要な被災者に十分な対策が取れるようにすること。

2.学校事務職員を学校から引き剥がし、人員削減や廃職につながる「学校事務の共同実施」の施策をとりやめること。また、「共同実施」を目的とした定数加配を廃止すること。

3.非正規雇用学校職員の労働条件を改善すること。

4.学校事務職員の定数について、学級数等客観的基準に基づき、複数配置基準引き下げ等により定数増をはかること。また、欠員を生じさせないこと。

5.義務教育費国庫負担制度を堅持・改善すること。また、労働条件と教育の公平・均等を破壊する、教職員給与費・人事権等の基礎自治体への「権限移譲」を行わないこと。

6.義務教育の完全な無償化を図ること。

7.「特定秘密保護法」を廃案にし、あるいは賛成・協力をしないこと。

 これらに関して、文科省要請行動の報告に代えて、以下の通りまとめる。

≪項目1 原発事故による被災者支援について≫

 福島の仲間から、原発事故以後放射能汚染に苦しむ福島の状況、とりわけ健康不安が重くのしかかり、学校における子どもたちの心身ともに不安定な状況が増していることを訴えた。また、法成立から1年余のたなざらしの後、ようやく打ち出された「子ども・被災者支援法基本方針」(10月閣議決定)は、「被曝を避ける権利」という支援法の原則をないがしろにするものであること、支援対象地域を福島の一部に限定することによって、県内での分断、他県に広がる汚染への無対応を結果するものであることを指摘した。基本方針を見直し、追加被曝線量年間1ミリシーベルトを基準とした対象地域の設定と具体的な対策に着手することを要請した。

≪項目2・3・4 学校現場の労働条件に関して≫

 「学校事務の共同実施」等による非正規学校労働者の拡大が学校現場にもたらしている現実、非正規労働者への差別的待遇と正規労働者のより一層の労働過重が同時に進行していることを指摘した。東京の共同実施攻撃の先鞭をつけた大分の共同実施において、県教頭会がそのホームページで事務職員を引きはがされた学校現場の悲惨な現状を訴えていることにも言及しつつ、非正規学校労働者の労働条件改善と「共同実施」によらない抜本的な定数改善を求めた。

≪項目5 政令市費化問題について≫

 全国20政令指定市と指定市のある15道府県が教職員給与費の政令市費化に合意した。このことを文科省としてどう受け止めるのかについて問いただした。文科省は、当事者間での「合意」を踏まえて「政令市費化に伴う関連法整備等について検討していくことになるのではないか」といういささか投げやりな対応であった。政令市費化は、国と地方を貫く深刻な財政危機を背景とした新たな自治体再編の一環であり、義務教育費国庫負担制度を更に形骸化させていくものであることを訴えた。自治体間の格差を広げ教育や私たちの労働条件にも大きな影響を及ぼす政令市費化に文科省としても反対することを要請した。


(※ 義教金の政令市費化について全学労連は声明を出しています)

≪項目6 義務教育費無償化について≫

 子ども手当は児童手当に代わって所得制限がかかることになり、就学援助制度は、国の補助が廃止されて明らかに制度の後退が引き起されている。全ての子どもたちの義務教育無償化に国が責任をもって対応することを求めた。

≪項目7 特定秘密法について≫

 特定秘密法成立強行の動きが急激に加速される緊迫した状況下の要請となった。この悪法に対する反対・非協力を要請した。「『スピーディ』やもんじゅ等に関する情報が特定秘密の対象になるのだろうか」という文科省担当者の言葉は、期せずして法の危険な性格を物語っていよう(3.11原発震災発生以後文科省は、「スピーディ」の予測データについて一部を除いて2カ月近く公表しなかった。その一方でこのデータを直ちにアメリカ軍に提供していた。その無責任ぶりは、「もんじゅ」をめぐるこの間の対応を見ても明らかだと言わねばならない)。


 放射性物質の飛散が増えた2011.3.15を住民避難の観点から「運命の日だった」と指摘し、文科省の責任回避を批判した民間事故調査委員会報告は、福島の困難な現実をもたらしたこの国の官僚組織の頽廃とその強固な権力的支配の構造を明らかにしている。特定秘密法の成立強行という状況のなかで、私たち公務員労働者自身の労働運動をいかに創りだしていくか。そのことが根底的に問われている。文科省要請行動を振り返りつつ、そう思う。

(2013.12.12記)

≪全国総決起集会及びデモ≫

 午後2時からは、参議院議員会館内にて総決起集会が開催された。はじめに全学労組・吉田代表の挨拶があり、続いて全学労連・佐野議長から挨拶があった。組合員の退職などをうけ組織の問題があるものの今こそ組合が必要なときであることが報告された。最後に、これからも同じ「学校」に勤務する全学労組と全学労連はこれからも一緒にたたかっていきたいという決意が表明された。

 次に各県からの闘争報告があった。

 はじめに東京都学校ユニオンから教育内容を攻撃され解雇攻撃とたたかった17年間の報告があった。所属していた教組から支援を受けられず、ユニオンを結成した経緯も報告された。続いて学校ユニオン東京から共同実施導入阻止を目指したたたかいが報告された。都内の7組合が共闘することとなった事や、全国に例のない東京型共同実施の内容も明らかにされた。春日井学校労働組合からは「現場の課題は現場で」を目標に休憩を取れていない実態を認めさせることから始まり、超過勤務時間の回復を勝ち取ったことなどが報告された。また、福島県学校事務労働組合からは被災児童への就学援助制度の問題点が紹介され、がくろう神奈川からは不当に分限免職された新採用事務職員の解雇撤回闘争について報告があった。

 続いて共闘団体から挨拶があった。

 神奈川県共闘からから首切り特区や派遣法の改悪など労働関連法制の改悪と安倍政権による「戦争する国づくり」への懸念が表明された。

 全国一般神奈川からは労働相談などを通して多くの労働者が非常に厳しい状況に置かれていることが明らかになっている事などが紹介された。

 この後、集会宣言の採択、団結ガンバローと続き、デモ行進へと移った。

12・7 共同実施反対全都総決起集会で共同実施を止められるか?

学校事務ユニオン東京 宮崎俊郎

 12月7日、水道橋の全水道会館で14:00より集会は開催された。3月2日より参加者は少なく60名だったが、全学労連の仲間も4名駆けつけてくれた。主催は7者協議会。今回の共同実施総決起集会は名前は勇ましいのだが、中身は見えない都教委の構想に対する分析や江東区や武蔵村山市の試行実施地区に対する評価、そして今後の闘い方について議論するものとなった。

☆試行実施はいかに☆

 冒頭、今年度試行実施地区である江東区と武蔵村山市の事務職員より報告があった。江東区では区費の学校専門員(非常勤)を共同実施連携校から引き上げて、その他の学校に異動させようという動きがあることが報告された。今年度の試行実施では学校現場に都費共同実施支援員と区費学校専門員の2人の非常勤職員が共同化できない学校現場に残った仕事を分け合っていた。しかし、学校専門員が引き上げられると一人で非常勤2人分の仕事をすることになり、かなりハードではないかという見方が示された。江東区からすれば区費学校専門員を配置しなくてよいという人件費削減くらいしかメリットがない。さらに財務処理について試行では学校担当制になっており、これではわざわざ共同事務室で仕事をする必要のないことが指摘された。区教委は来年度以降「学校担当制」から「業務担当制」に変更するよう検討しているようだ。

 しかし、学校専門員の引き上げにしろ業務担当制への移行にしろ、試行実施において行うべきであり、試行の体制で高い評価をしたとしても本格実施において違う体制で実施するとしたらそれこそ詐欺まがいの手法ではないのか?私たちはそうしたインチキな試行実施に対する評価が出てきたら徹底して批判すべきである。

 武蔵村山市は全体的に「緘口令」が敷かれているのか、試行実施の実態が私たちに伝わってこないのがもどかしい。ここでも学校現場には都費共同実施支援員と私費嘱託員の非正規2名体制が存在している。この体制を崩すという江東区のような話は浮上していないようだ。ここには市部の財務は概ね市費職員が担当してきたという23区とは異なる事情がある。財務は市費嘱託員が従来どおり担い、給与旅費にいて都費共同実施支援員がデータを収集して共同事務室の都費職員に送るというシナリオは江東区より成立しやすいのかもしれない。しかし、武蔵村山市教委の資料によれば、各校事務室の業務改善例として出勤簿整理や学校施設使用申請の受付という副校長の業務や社会教育業務まで事務室の業務は広げられており、「校務を教員から事務職員へ」という標題が踊っている。この体制でそこまで業務範囲を広げられると本気で考えているとしたらあまりに学校現場を知らないとしか言いようがない。とにかく情報公開して真っ当な批判を浴びるべきではないのか。

☆来年度は本格実施に突入するのか?☆

 その後、地教委要請した3地区から報告を受けて討論に移行した。まずは都教委がどこまで来年度共同実施を拡大しようとしているのか、本格実施に移行するつもりなのか、の分析である。これまで7者協が把握している各地教委との要請の中では一つも都教委から打診されている地区がない。都教委は本気で拡大する気なのか。この議論からより決め細やかに各地教委への要請を行っていくことがその後の7者協の会議で確認されることとなる。

 さらに来年度事務職員定数基準を変更してくるのかどうか、について議論された。松山総務部長の構想のように基本定数割れを現実化するのかどうか。この点については定数問題は交渉事項であり、応じないことは許されない。諦めずに都教委交渉を追求してほしいという意見も出された。その他政令市費化など全国的な事務職員制度をめぐる情勢の流動化が起こっており、共同実施の問題とも通底するという本質的な意見も出され、今後の闘いへとつなげていける論点が提示され、元気の出る集会となった。

 4月に共同実施をいかに拡大させないか、が私たちの取り組みの最大の獲得目標である。まずは本格実施1年目の来年4月に共同実施の出鼻を挫くために、いま私たちは50ある市区町村で空白地区を作らないよう要請行動の精密化に勤しんでいる。全国の注目している仲間たちに勝利報告をできるようにするために。

人事委員会は「制度上の公民格差」を放置するな

改定なしの給与報告と「結論先延ばし」に丸投げした雇用と年金接続

 10 月8 日、人事委員会は給与報告を行った。

 月例給・ボーナスとも「おおむね均衡」ということで、いずれの改定もなかった。…と一言で言ってしまえばこれで終わりの内容だが、いくつかポイントらしきものをあげるとすると…。

● 給与抑制に不快感!?

 公民格差は71 円(0.02%)だが、今年度は5 年目の給与抑制が行われ、抑制後の公民比較では10,466 円(2.72%)の格差がある。

 どちらの数字を採用するかということについて、いつもなら「勧告制度の本来の趣旨からすれば、本年4月現在における特例条例による減額後の職員給与と民間給与との較差の解消を図るべきところであるが、本委員会としては、特例条例による職員給与の減額措置は勧告制度とは異なる次元で実施される例外的、時限的なものであり、当該減額措置の影響による較差については、勧告制度の枠組みを超える」とあっさり実際の公民格差を退けるのだが、今回は「職員給与の減額措置が既に5年間という長きにわたり実施されていることから、労働基本権制約の代償措置である勧告制度の趣旨を踏まえると、特例条例による減額後の職員給与と民間給与との比較を行うことも考えられる」と幾分、気を持たせる書き方をしている。

 もっとも、「減額措置は、本県の深刻な財政状況に鑑み、県財政に責任を持つ知事において提案され、議会の議決を経て勧告制度とは異なる次元で実施される例外的なものであること、また、勧告に基づき給与条例で定められる職員の給与水準を明らかにする必要がある」として、例年と同様の減額前の公民格差を採用した。

 ただ、「給与減額措置が終了する平成26年4月以降は、給与勧告制度に基づく適正な給与水準が確保される必要がある」と強い調子の不快感を示している。こうした人事委員会の意思は、抑制条例に対する議会への意見で当初は「現下の諸情勢を勘案すればやむを得ない」というものだったが、一昨年あたりから「回避に向けて最善の努力を」、「回避に向けて最大限の努力を」と強い調子に変わってきていることとも符合している。

 知事の政策である減税のことや財政状況など、昨年と情勢はそれほど変わっているとは思えないが、こうした人事委員会の意思は、来年度の給与抑制への大きな圧力になる。

● 「給与制度の総合的見直し」来年の人事院を見てから考えればいい

 人事院は、@民間の組織形態の変化への対応、A地域間の給与配分の在り方、B世代間の給与配分の在り方、C職務や勤務実績に応じた給与として、人事評価の適切な実施と給与への反映、技能・労務関係職種の給与の在り方、の4項目を給与制度の総合的見直しとして報告している。これに関連して人事委員会は「その動向を注視」としたが、中には気になる記述もある。

 地域間の給与配分に関連して、「県内の公署に勤務する職員の地域手当の支給割合については、国や他の地方公共団体の支給水準を考慮して定められているが、支給地域の区分などのあり方についても、引き続き、地域の実情等を考慮して検討していく必要」としている。給与構造改革をきっかけに調整手当が地域手当の名称変更し、支給率も引き下げられてきたが、その動きの中で話題になった県内の支給地域割りが再燃する可能性がある。

 世代間の給与配分について、50 歳代後半層を狙いうちとした昇給・昇格見直しや現給保障廃止について国の動向を紹介し、「引き続き対応を検討する必要」とした。そもそも50 歳代後半層の給与の問題は、人事院が定年延長をにらみながら、60 歳以降の給与を現行の70%にすることを前提に50 歳代後半から逓減させていく、という議論の中で出てきたもので、そうしたトータルな賃金制度をどうしていくのかという議論を抜かしたところで、個々を摘み食いして語られるべきことではない。

● 「制度上の公民格差」を放置した「雇用と年金の接続」

 雇用と年金の接続については「国の動向を注視しながら、本県の実情を踏まえ、適切に対応していく必要」とし、給与について「再任用職員の俸給水準や手当の見直しについて、公的年金が全く支給されない民間再雇用者の給与の具体的な実態を把握した上で、職務や働き方等の人事運用の実態等を踏まえつつ、必要な検討を進めるとしていることから、その動向を注視しながら、適切に対応していく必要」と人事院の「結論先延ばし」に丸投げした。

 そもそも民間にある雇用保険の高年齢雇用継続給付が公務員にないという制度上の公民格差を放置して、民間再雇用者の実態把握ということ自体がおかしい。これまで人事院は再雇用者の賃金を退職時の70%と言ってきたわけで、その線させも守られない制度上の欠陥をどうしようというのだろうか。

 来年の報告・勧告で再任用職員の公民格差が遡及改定されることを願うばかりだ。

(「WEB愛学労」より転載しました)




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