2014年2月7日

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全学労連ニュース今号の内容

 来年度の義務教育費国庫負担金について  文科省は少人数学級推進を放棄したのか

 横浜新人学校事務職員不当解雇事件・第2回弁論  自らの責任を棚上げした主張を展開する横浜市教委

来年度の義務教育費国庫負担金について

文科省は少人数学級推進を放棄したのか

はじめに

 来年度予算案の文教関係予算が増額したとマスコミ等では報じられている。ひょっとしてアベノミクスの効果か…?その事の本当の意味と予算案における義務教育費国庫負担金の実態について以下コメントをしてみよう。

1.財務省と文科省の「温度差」について

 どちらも文教関係予算では「教育再生」を枕詞的に掲げた上で、

 要するに従来の教育施策の「根幹」として守るか、それを否定するかのスタンスの違いだ。

2.前年度予算額より増額したとされるマヤカシについて

 文科省一般会計69億円(0.1%)、文教関係302億円(0.7%)、とされるが、確かにそれはその通りで間違いではない。ただし、一般会計よりその中に含まれる文教関係と更にその一部である義務教育費国庫負担金の増額が大きい事に注目する必要がある。

 今年度は国に準じて給与特例減額が強行され、国庫負担金や地方交付税が減額されている。来年度その分が復元される。資料には「給与臨時特例法の終了に伴う増 617億円」とある。「前年度予算より増額」の源泉はまさにここにある。だが義務教育費国庫負担金の増額は443億円だけ。すなわち実は減額されているということだ。

3.減額分の中身について

 では、443億−617億=▲174億円はどこが減ったのか?

@ 教職員定数の増(703人) 15億円  
A 教職員定数の自然減・統合減、合理化減 ▲97億円 (▲3,800人+▲313人+▲400人)
B 若返り等による給与減 ▲92億円  

 @からBの合算で、15億−97億−92億=▲174億円となる。

4.「定数増」の中身について

 @の定数増(703人、もちろん全て加配措置)の内訳は次のとおり。

 文科省資料ではこれに並べて合理化減▲400人しか書いてないので差引303人は増えると誤解してしまうが、そうではない。

5.定数削減の実態について

 ところで、Aの自然減は少子化に伴うものだから別として、統合減、合理化減とは何か?財務省の資料によると、次のようにある。

既存定数の合理化縮減(▲713人)の内訳
 ・学校統合の支援による政策減   ▲313人
 ・指導方法工夫改善加配   ▲400人

 すなわち財務省にしてみれば、統合減も合理化減も定数の合理化縮減に違いなく、自然減には目をつぶったとしても、@の定数増703人よりも多い713人が減るということ。財務省資料には、「定数改善(自然減)の推移」という表があり、来年度は「▲10人」と記されている。

 ちなみにこれまで何とか改善増をしてきたが、マイナスとなるのは加配方式が始まってから初めてである。財務省にしてみれば自然減は当たり前で、ついにそれを上回る削減をしてやったりというところだろうか?

 このほか、義務教育費国庫負担金ではないが、定数に関係するものとして昨年同様に復興特別会計で、被災児童生徒対応の加配定数1,000人(21億円)が予算化されている。

6.給与の見直しについて

 文科省の資料だと「メリハリのある教員給与体系の推進」としか言っていないが、財務省の資料では、「頑張っている教員を支援」「教員の士気を高め」「教育活動の活性化を図る」という文言でその狙いを明らかにしている。要するにまた成果主義と格差拡大ということに違いない。しかも「既存予算の範囲内で対応」とあり、金をかけずに済ます気らしい。

 具体的には、

 どうやら管理職にも格差ができるようだ。

7.概算要求との比較について―財務省の圧勝?

 冒頭で財務省と文科省の「温度差」を指摘したが、それぞれの資料を比較すると財務省の方がより内容を明示していてわかりやすい。もちろん内容的に良いというものではないが、既に述べたように自然減以上の定数削減を実現した自信の表れなのだろうか。

 9月の概算要求以降、予算編成を巡って両省の激しい駆け引きがあったのだろうが、定数削減の事だけでなく財務省の圧勝だったと推察される事例を、概算要求と予算案の資料比較で見ることができる。義務教育費国庫負担金を計上する際の政策目標的な表現は、文科省の概算要求では「少人数教育の推進など教職員等指導体制の整備」であったが、予算案では「少子化時代に対応する教職員配置改善等の推進」である。要するに「少人数教育の推進」の文言が消えたのだ。

 財務省や総務省は、以前から少人数学級の教育効果には異議を唱えて文科省に反対していた。しかし今年度の予算案でも「今後の少人数学級の推進や計画的な定数改善については引き続き検討」という表現で残っていた。それが概算要求を経てこの結果である。文科省が「少人数教育の推進」を断念した(若しくは、させられた)というのは考えすぎではないだろう。

 この他概算要求から何が削られたかは割愛するので、示した資料で読み取ってほしい。




平成26年度文部科学関係予算(案)のポイント

(原文は文科省の「平成26年度文部科学関係予算(案)のポイント」2頁)




財務省 平成26年度文教科学予算のポイント

(原文は財務省の「平成26年度文教・科学技術予算のポイント」5頁)




平成26年度文部科学関係概算要求のポイント

(原文は文科省の「平成26年度文部科学関係概算要求のポイント」2頁)




横浜新人学校事務職員不当解雇事件・第2回弁論

自らの責任を棚上げした主張を展開する横浜市教委

傍聴席が満杯に

 12月19日、横浜地裁で開催された第2回口頭弁論。51人の傍聴者が駆けつけ、法廷に入れない人も出るなか行われた。

 被告市教委側から、原告Sさんの採用から免職処分までの事実関係についての書面が提出され、原告の訴状への反論がなされた。

 組合と支援の仲間は閉廷後に報告集会を行い、市教委書面の解説と批判点を概観。また、仲間の激励と、Sさんの挨拶を受けた。

責任転嫁の市教委主張

 Sさんが単数配置校に配属された一昨年4月、週休日や校外研修などを除くと校内業務可能なのは実質10日だけだった。更に市教委からの事務支援は半日5回しか受けられず、5月6月はゼロ。また、校長・副校長もSさんの事務処理に対して具体的事務支援を行なうことはなかった。

 経験者による、現場感覚を基にした生きた現場研修が全く不充分だったのである。そうした中で、彼は1人で関係規則やマニュアルを読みながら事務を遂行することを強いられた。

 市教委は相談受付態勢も敷いていたと主張しているが、何が分かるか分からないのかも分からない新人に対する責任転嫁も甚だしい。

免職理由は無効だ

 市教委は「時間外勤務をしていても帳簿が整理されていなかったので免職の理由の要素だ」とする。しかし、最も優先されるべき事実確認作業を怠ったまま免職を決定したこの主張は法律無視であり、使用者としての法的義務を放棄した怠慢でもある。「時間外勤務手当不正受給」なる免職理由が破綻した苦し紛れに他ならない。

 次回公判案内・2月25日11時〜横浜地裁502号法廷・10時50分地裁5階ロビー集合・多くの仲間で駆けつけよう!



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