2014年5月31日

top> ニュース> 364号

全学労連ニュース今号の内容

 2014年 全学労連 文科省要望書

 2014年度全学労連スローガン

 臨任職員の社会保険継続問題は労働条件全般の問題として捉えるべきだ

 政令市費化に警鐘を鳴らすーおかしいぞ!横浜市教委ー

おまけ

2014年 全学労連 文科省要望書

 前号にて要望書提出時の、折衝の様子は報告したが、以下が今年度の要望書の全文だ。この中の重点項目を中心に、7月に文科省交渉を行なう。交渉だけでなく、質問書や電話聞き取りなどを通じて、全学労連は学校現場に山積する教育問題解決に向けて文科省を追及し続ける。

2014年5月8日

文部科学大臣  下村 博文 様

全国学校事務労働組合連絡会議 議長  佐野 均

 

要望書

 

 第二次安倍政権は、民主主義の根幹を揺るがす特定秘密保護法を強行成立させ、辺野古への新たな米軍基地建設、原発の輸出‐再稼働をやみくもに推し進めようとしています。日米安保体制による「平和」と原発による「繁栄」を自明の価値とする戦後の核心的本質は、沖縄―福島の人々の犠牲と中央−地方の差別的な構造の固定化によって維持されようとしています。しかし、安倍首相の靖国神社参拝を巡る日米間の軋み、参拝への国際的批判を想起するまでもなく、敗戦を終戦と言い換え、アメリカに隷従することによって、アジアの人々に対する戦争責任・植民地責任を引き受けようとしてこなかったこの国の戦後のありかたは明らかに破綻に瀕しています。この現実をしっかりと見据えて、私たち自身が生き延び、次の世代に共に生きていける世界を手渡していく途を探っていかねばなりません。

 強権的な国家主義と新自由主義的な市場主義、そして、なによりも能力主義に貫かれた新教育基本法体制下の教育は根本から転換されていかねばなりません。「全国学力・学習状況調査」を中止し、インクルーシブな教育―共に生きられる社会の実現に向けた教育改革こそが目指されなければなりません。教育委員会制度の実質的な廃止を梃子とした、「日の丸・君が代」の強制、侵略戦争の総括を欠落させた教科書の使用強制など、差別的―排外的な国家主義に貫かれた教育の在り方は改められなければなりません。「教育民営化」による非正規労働者のさらなる導入・拡大が図られていくことに私たちは学校に働く一労働者(労働組合)の立場から強く反対します。東京で開始された新たな学校事務の「共同実施」−標準法を無視した定数改悪の動きは、教職員給与費の政令市費化の動きと連動しつつ、文字通り事務職員制度解体―廃職を狙うものであり、決して許すことは出来ません。

 人々が横につながり共に生きていける社会をいかにして創り出していくかという根本的な問いを欠落させた「学力」至上主義的な教育は、子どもたちにとっても、そのような教育のために動員されていく私たちにとっても、息苦しい学校の現実を強めていくものでしかありません。

 以上の観点から下記事項の実現を強く求めます。

 

 

1.2011.3.11震災以後の状況を踏まえ、「原発事故被災者・子ども支援法」(2012.6成立)のすみやかな具体化を図り、政府―各自治体、東京電力等関係機関に対して積極的に働きかけを行うとともに文部科学省自らも努力を傾注することを求めます。

@ 「子ども・被災者支援法基本方針」を抜本的に見直すこと。@)被曝量が年間1ミリシーベルトを超えるおそれのある地域を、選択的避難区域に指定すること。A)選択的避難区域及び既存の避難区域(以下当該区域)からの避難または移住、当該区域への帰還を選択する全ての住民に対して、住居の確保、生活必要物資の提供、雇用の援助等の生活再建支援を行い就学援助などの教育支援を実行すること。B)そのための予算措置を講ずること。軍事予算とりわけ思いやり予算(1848億円)、破綻した高速増殖炉「もんじゅ」―高速増殖炉サイクル技術予算 (199億円)―をはじめとした原発推進関連予算、全国学力・学習状況調査等のための予算(61億円) 等を充当すること。

A 福島原発の事故について、現状と被害の性格並びに範囲など環境汚染に関する正確な情報を公表し、対策をとること。@)当該区域に居住する人、または居住した人に対しては、医療費・健康診断費用を無料化し、健康管理手帳の交付など自己の累積被曝線量を把握できる仕組みを導入すること。A)乳幼児や子どもや妊婦、病人や障害者や高齢者などの健康と安全の確保を最優先すること。

B 福島原発の大事故を招いた根本的な原因が、安全神話を振りまいて原発建設を推進してきた政策の過ちにあったことを認識し、即刻原発を全廃すること。@)六ヶ所再処理工場の即時閉鎖と全土の原発の廃炉、使用済み核燃料の厳重管理とともに、分散的な自然エネルギーへの移行を目指すこと。A)これと関連して、アジアへの原発輸出政策を即時中止すること。B)原発推進教育を自己批判し、原発に依存した産業エネルギー政策への批判を踏まえた教育に転換すること。全国の学校に配布した『放射線等に関する副読本』 (2011.10文科省発行)を回収、撤回すること。『新しい放射線副読本』(2013.12文科省公表)の配布を中止すること。

C 原発事故の現場で、生命と健康にかかわる被曝に晒されながら作業している労働者に対して、東京電力は、被曝線量管理を厳格に実施し、政府はそれが行われるよう責任をもって監督すること。緊急時の原発作業員の被曝限度量について年間現在の250ミリシーベルトを100ミリシーベルトに戻すこと。

 

2.義務教育費国庫負担制度(以下、義教金制度)及び学校事務職員制度について

@ 義教金制度において給与費の国庫負担率を1/2に復元すること。また、学校事務職員の制度からの除外(国庫負担外し)を行わないこと。

A 「総額裁量制」を廃止すること。

B 標準法を最低基準として学校事務職員に欠員を生じさせないよう各都道府県教育委員会を指導すること。

C 政令指定都市への教職員給与負担移管及び市区町村への人事権移譲を行わないこと。

D 「教育の民営化」の一環である学校事務の「共同実施」並びに「外部委託」を推進しないこと。

E 学校教育法施行規則の一部改正による「事務長」制度化を撤回するとともに、学校事務職員の兼務発令を出させないこと。

F 独立行政法人教員研修センター主催の「公立学校事務職員研修会」を廃止すること。

 

3.定数改善等について

@ 加配方式による定数配置をやめ、学級数や児童生徒数(要保護・準要保護数を含む)を基準とした抜本的な定数改善を行うこと。 @)30人以下学級を実現すること。また、インクルーシブ教育を推進していく観点から、一学級あたりの児童・生徒数に囚われない教職員の増員を図ること。A)事務職員については複数基準の引き下げによる改善を行うこと。B)標準定数法の要保護・準要保護加配の省令働きかけること。@)定数内職員は全て正規職員とし、臨時職員としないこと。A)市町村改定(25%かつ100名以上を、100名以上へ)を行うこと。

A 以下のことを各都道府県教育委員会に対して費職員(特に現業職員)の引き上げ、民間委託を行わないこと。B)これ以上の臨時職員(非正規職員)を導入しないこと。また、学校給食等の現業や外国人講師などを含む非正規雇用職員の労働条件を改善すること。臨時的任用職員の任用が1日ないし数日の間をあけて再度行われる場合の被保険者資格の取り扱いについて、事実上の使用関係が中断することなく存続していることを踏まえ、被保険者資格を喪失させることなく取り扱うよう都道府県教委を指導すること。C)再任用を希望する職員に対する任用において、所属職員団体等を理由とした不当な任用拒否を行わないこと。

 

4.労働環境の整備について

@ 全国の義務教育諸学校に事務室及び休憩室を設置すること。そのため、小中学校の設置基準の中に事務室及び休憩室をいれること。直ちに設置基準に入れることができないとしても施設整備指針に事務室が盛り込まれている点について周知徹底するとともに、休憩室を 同指針の中に明確に位置付けること。

A 教職員の休憩時間を確保し、休息時間を設けること。

B 勤務時間内の労働組合の活動に対する不当な規制を行わないこと。

C OA機器導入により派生する健康への悪影響や個人情報保護の問題等について、必要な対応策をとるよう関係機関に働きかけること。

D 労働安全衛生委員会を設置すること。

E 「防災」或いは「安全」の問題については、学校労働者の管理強化、負担の増大に結びつかないよう配慮するとともに、社会的な背景を視野に入れた抜本的な対策を考えていくこと。また、「国民保護法」に基づく保護計画の整備をやめること。

F 給料の振込を教職員に強制しないよう、また、給料からの法定外控除等違法・不当な公務外労働を学校事務職員が強制されぬよう、各都道府県教育委員会に働きかけること。

 

5. 国家主義的―新自由主義的教育をやめること

@ 「改正」教育基本法を見直すこと。教育関連三法を見直すこと。

A 教員免許更新制度を廃止すること。

B 教職員の階層化政策をやめること。

C 「全国学力・学習状況調査」を直ちに中止すること。

D 首長‐教育長権限の強化を狙う教育委員会制度の更なる改悪をしないこと。現在の形骸化した教育委員会制度の在り方を改めること。また、首長による教育委員会への不当な介入をやめさせること。

E 学校現場に「日の丸・君が代」を強制しないこと。教育委員会への「日の丸・君が代」実施に向けた強制的な「指導」をやめること。また、東京・大阪をはじめとする不当かつ強権的な処分行政及び「君が代」斉唱時の不起立・不斉唱等に関する現認調査及び氏名報告をやめさせること。

F 性教育をめぐる差別的な対応(ジェンダーフリーバッシング)をやめるよう教育委員会に働きかけること。

G 「心のノート」の全校配布を撤回し、道徳の教科化を行わないこと。

H 「愛国心」の押しつけを更に強めようとする新学習指導要領を撤回すること。

I 朝鮮学校への無償化からの排除を直ちに中止し、補助金を復活すること。

J 実質的な教科書の国定化を進めようとする教科書検定制度を廃止すること。当面、基本的人権の軽視と自国中心的な歴史観に貫かれた教科書(育鵬社版歴史・公民等)を検定合格させないこと。

K 大阪府・市における教育行政条例等の一連の条例化による首長の教育委員会への不当な介入、教職員に対する管理強化、子どもたちに対する過度な競争の強制等をやめるよう大阪府・市に働きかけること。

 

6.インクルーシブ教育の観点から特別支援教育体制を見直し、「障害」児が普通学級で学ぶことを保障すること。その裏付けとなる人的・物的な条件を整備すること。3−@−@)との関連において実効的な対策を講じること。

以上。

2014年度全学労連スローガン

臨任職員の社会保険継続問題は 労働条件全般の問題として捉えるべきだ

 今年度から多くの自治体で、任用期間に数日の空白がある場合でも社会保険は継続扱いがされるようになった。これは厚生労働省が1月17日付で、有期労働者等に対して1日ないし数日の間を空けて再度行われる契約に対して実態にあわせて社会保険を喪失させないこととする通知を出し、文部科学省も2月10日付で取り扱いを促す通知を出したことによるものだ。

ブラックな社会保険逃れを許さない

 厚生労働省の通知は次のように言っている。

「社会保険の被保険者は、適用事業所と常用的使用関係にあるものであり、事業主との間の事実上の使用関係が消滅した場合に被保険者資格が喪失・・・この使用関係の有無等は、契約の文言のみを見て判断するのではなく、就労の実態に照らして個別具体的に判断する必要・・・ 有期の雇用契約又は任用が1日ないし数日の間を空けて再度行われる場合においても、雇用契約又は、任用の終了時にあらかじめ、事業主と被保険者との間で次の雇用契約又は任用の予定が明らかであるような事実が認められるなど、事実上の使用関係が中断することなく存続していると、就労の実態に照らして判断される場合には、被保険者資格を喪失させることなく取り扱う必要・・・」

 2か月以内の雇用の場合社会保険に加入しなくてもいいことになっているが、その契約満了後も事実上の使用関係が中断することなく存続している場合には、文言上の数日の空白でもって社会保険喪失を判断してはならないという通知だ。2か月以内の短期雇用契約を繰り返しながら、社会保険の手続きを逃れようとするブラックな行為に対して適切な周知や指導を促す内容だ。

 学校現場では、地公法第22条をクリアさせるために1日の空白期間を設けることによって臨時的任用を繰り返し行い、恒常的な人手不足をクリアさせる慣行があるが、月の末日を空白とするときには、資格喪失と資格取得を行ってきた。こうしたことも「事実上の使用関係が中断することなく存続している」ことであり、その是正が求められたのである。

各県で理解はバラバラ

 しかし、それを受け取った都道府県や政令市の教育委員会の理解はバラバラだ。「事業所の範囲」や「使用関係の継続」、「1日ないし数日」をことさら狭く捉えることによって社会保険の継続を否定する例が多くある。

 臨時的任用職員の任命権者は都道府県教育委員会か政令市の教育委員会で、雇用主もそれぞれの教育委員会になるはずだが、教育事務所・給与事務所を適用事業所としてその枠組みを超える任用は継続を認めない(小中学校)。さらに、同じ教育事務所の管内でも異なる学校での任用に対して継続を認めないというところもある。また、学校が適用事業所になっている県立学校では同一校の任用しか継続を認めない。事業所は狭く捉えるのではなく、同じ任命権者のもとでの任用であれば等しく継続性を認めるべきだ。

 使用関係の継続も、「任用の終了時にあらかじめ、事業主と被保険者との間で次の・・・任用の予定が明らかであるような事実が認められる」という文言を「次の任用が確定していなければならない」と捉えて、始業式の日の児童生徒数によって学級数が変わる場合の任用を継続と認めない例が多い。こうした場合も、いくつかの条件はあるものの「任用の予定は明らか」であるには違いがないわけで、これも継続扱いすべきところだし、事実そうしているところもある。

 「1日ないし数日」の取り扱いは自治体によって非常にその幅が大きい。1日しか認めないところから、10日未満、14日まで、1か月(夏休みをはさむ時はそれを超えても可)までと、その取り扱いにばらつきがある。これは使用者の裁量で決められることなのか、それとも全国で統一的な基準があるものなのか、必ずしも明らかではないが、すくなくとも1日しか認めないというのはあり得ない。

「継続」扱いは労働条件全般の問題だ

 今回の「継続」問題は社会保険に止まるものではない。

 社会保険の「継続」扱いは、任用の空白期間があったとしても「事実上の使用関係が中断することなく存続している」と認められるから行われるものであり、この「事実上の使用関係」云々は社会保険だけに限定される話ではない。共済制度、給与制度、休暇制度等、全ての労働条件の中で適用されるべきことだ。

 数日の空白でも社会保険が継続扱いになるのであれば、同じ社会保険の制度である共済組合も適用されるのが当然で、社会保険が12月経過したのちには共済組合に加入させるべきだ。

 諸手当についても、月の初日の任用がないとその月分は支給されないことになっているが、使用関係が継続しているのだから支給しない理由はない。さらに、手当の認定も継続するのだから任用のたびに「届」の提出を求める理由もない。

 年次休暇の付与日数や繰越日数を計算する際も、任用のたびに分断し毎年初年度で付与するのではなく「継続」扱いで考えるべきだ。

 このような観点から、文科省への要求や各県での要求を全学労連は考えている。

(事務局 船橋享)

政令市費化に警鐘を鳴らす

ーおかしいぞ!横浜市教委ー

 政令市移管で神奈川県下の学校事務職員の労働条件がバラバラにされることが懸念されている。中でも横浜市ではこれを期に一気に学校事務職員制度が解体されるのではないかが危惧される。この年度替わりに横浜で起こっている事態一つを見てもこれは決して杞憂とは言えない。

特異な5・6級昇格

 既報の通り今年度の5・6級昇格でも横浜市は他地区とは際立って異なった結果となった。五十歳代4級解消の課題は県央地区で実現したが、横浜では取り残された。年齢跳び越しで他地区には見られない若年層に発令するブラックボックス化した「成績主義」は相変わらずだ。

新採用者複数校配属問題

 新採学校事務職員Sさん分限免職問題を教訓に市教委が導入したと推測される、新採事務職員複数配置校配属(但し1年度限りで異動)については、四月末段階で改正後の人事異動要綱が校長に伝達されていず、新採用者の中にはきちんと説明を受けていないと不安を抱えている人がいる。

半ば強制の人事異動

 市教委は今年度3名の学校事務職員を市教委(学校教育事務所)に異動させたが、校長・本人に事前の承諾をとっていなかった。極めて不本意な異動を強いられた方もいると聞く。横浜市教委のやりたい放題を看過することはできない。これらの問題について組合では経過を明らかにするよう早速申し入れを行った。

(がくろう神奈川 連帯より)



無料WEB-pageスペースを利用しているため、広告が表示されますが、全学労連とは無関係です。



inserted by FC2 system