2014年11月4日

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全学労連ニュース今号の内容

 10.17 全学労連 文科省 賃金交渉

 7.4総務省通知「臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等について」を、臨時学校事務職員の労働条件改善につなげよう。

 処分事由の立証なしに処分を正当化できるか!  横浜新人学校事務職員解雇問題・免職処分取消請求訴訟

 共済宿泊施設 フロラシオン青山の閉鎖に反対!  共済組合は雇用者責任を果たせ!

 都教委は今こそ誤支給の責任をとって成績率を廃止せよ!  現金返納事務などの事務職員への押し付けを許さない!

10.17 全学労連 文科省 賃金交渉

 全学労連は、10月17日、先に提出した「学校労働者の賃金に関する要請書」に基づき、文部科学省と賃金に関する交渉を行なった。今交渉は昨年度末から今年度にかけて、臨時的任用者の社会保険関係が継続したことを受け、その解釈の問題と、今後の拡大の展望、さらにはその労働条件の改善へと向けた点を主な課題として望んだ。非正規雇用公務員増加をうけ、学校現場の現状を訴え、文科省の改善へ向けた施策を促した。以下その様子を報告したい。

3 臨時職員の労働条件について、次のようにすること。

(1) 臨時職員の社会保険・賃金・休暇の実態を文部科学省自らが調査し、公表すること。

文科省: 各県の実態、給料上限等があることは承知しているが、調査し、公表することは考えていない。地方のことは地方に任せている。(財務課給与企画係)

(3) 臨時職員の雇用期間の中断等を止めさせること。

 臨時職員の労働条件について、総務省から「臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等について(平成26年7月4日付総行公第59号)」が通知された。

 現在、多くの自治体で「再度の任用」をする場合、2週間乃至1カ月程度の空白期間を設ける等、雇用期間の中断が行われているが、そうした取り扱いは、総務省通知が「再度の任用の場合であっても、新たな任期と前の任期の間に一定の期間を置くことを直接求める規定は地方公務員法をはじめとした関係法令において存在しない。任期については、1(3)Bに記載したとおり、任用されていない者が事実上業務に従事することのないよう、あくまで職員に従事させようとする業務の遂行に必要な期間を考慮して適切に定めることが必要」というように理由がない。

 事務職員は1校1名で配置されているが、2週間乃至1カ月程度の空白期間は、この配置の有り様からいって「任用されていない者が事実上業務に従事」せざるをえない実態がある。

 この総務省通知の趣旨を順守されるよう都道府県教育委員会を指導されたい。


○ 2012年3月調査 ○

 空白期間1日とするところ、年度末・年度初め数日とするところが多数だが、事務職員の場合、1カ月(福島)、半月(愛知)の空白期間を求めるところがある。

 人が変われば空白が生じなくても同一人のときは空白を求める(愛知)。これは任用期間を「職員に従事させようとする業務の遂行に必要な期間」としていない例に他ならない。

文科省: 任用の空白についての考え方は、総務省通知のとおり。空白はいらないということだ。今回の総務省通知はH21年の通知にはなかったものも含まれているので、より踏み込んだ形となっている。特に各県の教諭・講師等の臨時的任用に空白のあることは承知しているので、文科省としても10月10日付けで各県に通知を出したところだ。これにより適正な運用が行われるよう促すものだ。空白を開けるなら開ける理由、開けないのなら開けないという理由があればよいということ。任期は仕事があるから設けられているもので、「同一人だから」という理由はあり得ない。「空白を置かねばばらないという懸念は不要」という趣旨だ。重大な関心を持っている。(初等中等教育企画課教育公務員係)

(4) 任用期間の終期と始期の間に短時日の間隔を置いても「連続勤務」として、有給休暇の付与、年休の繰り越しを取り扱うよう都道府県並びに政令市教育委員会を指導すること。

 年休付与の「継続勤務」の取り扱いについて、この総務省通知は「労働基準法における年次有給休暇の付与に係る『継続勤務』の要件については、『勤務の実態に即して判断すべきものであるので、期間の定めのある労働契約を反復して短時間労働者を使用する場合、各々の労働契約期間の終期と始期の間に短時日の間隔を置いているとしても、必ずしも当然に継続勤務が中断されるものではないことに留意すること』(平成19年10月1日付厚生労働省通知『短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律の施行について』)とされており、再度の任用を行う場合の適切な対応に留意すべきである。」としている。この通知に基づき、年次休暇の付与、繰り越しにあたっては先に行われた社会保険の「継続取り扱い」と同程度の日数の中断期間については「連続勤務」として取り扱うよう都道府県並びに政令市教育委員会を指導することを求める。


○ 2007年7月調査 ○

 多くは1日でも任用期間が空けば、継続勤務が中断されるとして、年次休暇の繰り越しを認めない。

 この総務省の通知、厚労省の通知の該当部分「勤務の実態に即して判断すべきものであるので、期間の定めのある労働契約を反復して短時間労働者を使用する場合、各々の労働契約期間の終期と始期の間に短時日の間隔を置いているとしても、必ずしも当然に継続勤務が中断されるものではないことに留意すること」を文科省として、年休付与日数、年休繰越について、どのように解釈しているのか。

文科省: 総務省通知も厚労省通知も「連続勤務として扱われるので、そのようにやるべき」というもの。文科省が出した10月10日の通知もそのことの周知を図ったものだ。各県では7月4日の総務省通知を承知していないところもある。今回の通知はその注意喚起である。(初等中等教育企画課教育公務員係)

(5) 臨時的任用職員の任用が1日ないし数日の間をあけて再度行われる場合の被保険者資格の取り扱いについて、事実上の使用関係が中断することなく存続していることを踏まえ、被保険者資格を喪失させることなく取り扱うよう都道府県並びに政令市教育委員会を指導すること。

 2014年1月17日の厚労省通知、及び2014年2月10日の文部科学省通知に基づき、多くの自治体で臨時的任用職員社会保険の継続取り扱いがこの4月から行われるようになった。

 しかし、一部の自治体では未だ導入されないところがある。

 また、導入された自治体でも、「1日ないし数日」の解釈、「事実上の使用関係が中断することなく」の解釈、「適用事業所」の解釈をめぐって、さまざまな取り扱いがされている。

 そもそもこの通知は「同じ会社で働いているのに年金期間が細切れになっている人がいる。このような取扱は本人に不利であり資格を継続すべき」という発想から出てきているものである。臨時的任用職員の社会保険の問題は1年を超えて任用できないという使用者の側の事情によるものであり、職員の側にその責を科せられるものではない。このことから、通知の解釈にあたってはできる限り職員に有利になされるべきである。具体的には、@次の任用が(確定していなくても)予定されていれば継続扱いにすること、A「1日ないし数日」は長期休業中をはさんだ場合も継続扱いにすること、B同じ都道府県内の任用であれば継続扱いにすること、が実現されるよう求める。

 さらに、厚労省通知は「使用関係の継続」という言い方をしているが、この「使用関係」は社会保険に止まるものではなく、労働条件全般に適用されるべきことである。地方公務員法第22条の定めから1年を超える任用ができないとしても、C「使用関係の継続」が1年を超えることとなった場合には共済組合の加入を認めること、D扶養手当・通勤手当・住居手当の支給も「継続」の取り扱いをすることをはじめ、その他の労働条件に関しても社会保険と同様の措置ができるように策を講ずることを求める。


○ 2014年8月調査 ○

 多くは教育事務所単位を適用事業所としているが、任命権者ごとに適用事業所を運用しているところ(青森・神奈川)もある。一方、東京は市町村ごとの運用になっている。

 「任用終了時に予め」について、多くは産休・育休代替のように確定していることを求めているが、学級数の増減により任用が未確定な場合でも予定があれば可とするところもある(神奈川)。一方、埼玉は確定していても2日以上の空白は認めないとしている。

 「1日ないし数日あけて」の解釈について、各県でばらつきがある。1日しか認めない(埼玉、兵庫)、10日未満(福島、大阪)、30日(東京)、明示なし(青森、群馬、神奈川、愛知、沖縄)となっている。

文科省: 1月17日厚労省通知を受けて、文科省も2月10日に事務連絡で通知した。また、各種会議でもさらに周知を図っている。ただ、その運用に関して、たとえば事業所の範囲などは、各自治体で違い、個別に判断されていると思う。

 一年を超えての共済加入については、法により「12月を超えて」となっているので、「みなし」ではできない。また、公立学校共済だけでは動けない。国、地方共済すべてで動かなければならない。

 ただ運用に関しての解釈に幅があることはよくないことだと思うので、総務省に伝えていきたい。

 社会保険に関することは文科省では支持することができない。実務レベルでいえば総務省や年金機構へ聴いてくれとしか言えない。(初等中等教育企画課教育公務員係)


 文科省は、おおよそ当事者意識のない回答であった。総務省が言ったからとか厚生労働省が言ったからとか、詳しくは社会保険を掌握している個所へ聞いてくれだとか・・・。判断を各県任せにしていることで、自治体レベルでの相違が出てきている事を解消しようというのが、今交渉の課題であったが、文科省側にその意識がなさ過ぎる印象だ。後追い的ないろいろな政策に、文科省自身が動きが取れなくなってきているのであろうか?全学労連はこの先の教育課題に関し、労働者の立場から今後も働きかける。

7.4総務省通知

「臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等について」を、

臨時学校事務職員の労働条件改善につなげよう。

 今年の7月4日総務省は公務員部長名で上記文書を発出した。5年前にも同様の文書(21年通知)をだしたが、その後の判例などを考慮して新たに通知を出したのだろう。しかし、労組法適用の特別非常勤を一般職特別職に変更させ、労働運動の弱体化を狙っているなど問題もある。

 今回の通知が「臨時学校事務職員の労働条件改善」につながるか、役に立つのかの視点から見ていきたい。

総務省の通知はこちらの7月4日のところを参照

1 雇用の空白を作るな

 通知では「再度の任用であっても、新たな任期と前の任期との間に一定の期間を置くことを直接求める規定は地方公務員法をはじめとした関係法令において存在しない。」と宣言している。【T-4-(2)】

 これまで、地方公務員法22条2項の「6月プラス6月」に縛られ、再雇用の時はリセット期間が必要と、私たちも当局も思わされてきたのは、何だったのか。総務省が「そんな規定は法令に存在しない。」と宣言したのだ。

 全国の臨時学校事務職員(欠員補充、産休補充、育児代替、病休補充)は3月末に雇用を打ち切られ、(昨年までは社会保険も切られていた。)数日間、長いところでは1ヵ月間の雇用の空白がある。それが必要ないと総務省は宣わった。

 これは、使える。「雇用の空白期間を作るな。」と要求しよう。

2 有給休暇は「継続勤務」要件で通算できる

 「労働基準法における年次有給休暇の付与に係る「継続勤務」の要件については『勤務の実態に即して判断すべきものであるので、期間の定めのある労働契約の終期と始期の間に短時間の間隔を置いているとしても、必ずしも当然に継続勤務が中断されるものではないことに留意すること』(平成19年10月1日付厚生労働省通知「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律の施行について」)とされており、再度の任用を行う場合に適切な対応に留意すべきである。」【T?1-(2)-A】

 厚労省の通知をもとに、臨時職員の年次休暇の「繰り越し」を適用することを求めている。これも1と同様に、雇用の再度の際にリセットしていたが、「継続勤務」だから「繰り越し」ができる。

 その他の有給休暇でも、年間取得日数に制限があり、暦年で管理しているものなどの整理ができることになる。

 臨時学校事務職員の休暇の通算を勝ち取ろう。

3 手当認定も「継続」にできる

 扶養、住宅、通勤手当などの認定について、社会保険、年休の「継続勤務」同様に継続とすることができる。そうすれば、任用ごとに改めて「手当認定届」をする必要がない。

 一番の問題は、月の初日に雇用されていないと、その月の手当が受給できないことを改善させるにつながる。4月2日任用で、その月の通勤手当が出ないといった、不合理を解消することができる。

処分事由の立証なしに処分を正当化できるか!

横浜新人学校事務職員解雇問題・免職処分取消請求訴訟

 9月16日、Sさんの分限免職処分の撤回を求める裁判の第6回口頭弁論が行われた。

 裁判の前には恒例となった関内駅頭ビラ撒き情宣と横浜市教委前抗議行動。ビラの受け取りは良く、横断幕に見入る方も少なくない。関心の広がりが感じられる。

 裁判は、被告の横浜市側が準備書面(2)を提出。とても分厚いものだが、中身はほとんど従前の主張の繰り返し。何度でも言えば真実になるとでも思っているのだろうか。

 処分事由の立証責任について被告側は曖昧な主張を展開したが、原告Sさん側弁護士が所在を追及。最終的には立証責任が自身にあることを認めざるをえなかった。

 また、原告側の求釈明に対して、人事情報・個人情報だから開示できない、と拒否。個人を判別する情報を伏して開示をと、原告側から重ねて求め、裁判所からも促されて、被告側は再検討を約さざるを得なかった。

 今回は給料日の午前という、学校事務職員にとってはつらい時間帯での行動でしたが、まずまずの結集、感謝します。

 次回は、11月25日10時半から、横浜地裁502号法廷で。引き続き注目を!

(がくろう神奈川「連帯」No.247より)

共済宿泊施設 フロラシオン青山の閉鎖に反対!

共済組合は雇用者責任を果たせ!

 公立学校共済組合の宿泊施設・フロラシオン青山が、今年いっぱいで閉鎖の危機にある。

 経営母体である公共済東京支部から7月にこのことを知らされた同施設の労働者は、直ちに労働組合を結成し、共済組合理事者側と団体交渉をもったという。あわせて、この問題を広く知らせるとともに、施設閉鎖反対の声を集めるために、全国に向け署名要請を行っている。

 全学労連もこの問題を重く受け止め、共済組合本部・同東京支部に対し、閉鎖撤回の要請を行うことを決め、要請書を送った

 共済組合理事者側は閉鎖の理由として「施設の耐震工事に費用がかかりすぎる」としている。当該労組に対しては、施設閉鎖は運営審議会で決定・承認されたことなので、撤回する考えはないと表明したという。

 しかし、耐震工事費の算出にあたって、1社からしか見積りを取らなかったことや、国の助成金を考慮していないことなど、重大な疑義がある。また、運営審議会が閉鎖の決定に際して、当該労働者や地域住民の声を無視した一方的なことも大問題だ。

 同施設に働く労働者とその家族の、雇用と生活を一方的に奪うことは許されない。共済組合は閉鎖を撤回し、雇用者責任をまっとうすべきだ。

都教委は今こそ誤支給の責任をとって成績率を廃止せよ!

現金返納事務などの事務職員への押し付けを許さない!

内容の知らされない情報提供

 8月末に勤労課労務係担当より給与に関する情報提供を行いたいので来庁してほしいという電話が入った。内容は言えない、という。概要がわからないとわざわざ都庁まで足を運ぶ必要があるのかどうか判断がつかない。概要について押し問答となったが、わからないまま、都庁へ。

勤勉手当誤支給の概要

 9月2日17:30から情報提供は行われた。2013年度6月・12月の期末勤勉手当における成績率の主任教諭・教諭の上位者について誤りがあり、そのために過払いが生じた。ご存知のように勤勉手当の成績率は全体から原資を集めてそれを上位以上に配当するというシステム。よって教育一般職員については中位以下の成績率は規則で定められていたが、その時の厳密な対象者の人数等によって上位以上者の割合は変動するのである。

 都教委はその計算プログラムによる算出を民間会社に業務委託していた。その会社のプログラムミスにより誤った上乗せ割合を算出していまい、都教委は誤った成績率を検証もせずに使用して勤勉手当を支給してしまったのである。

 正誤の差は2回とも0.0174月。給料月額を43万円とすると43×0.0174=7,482円。

 平均7,500×2回=15,000円の返納額となる。

 小中学校で約1万人、都立・特別支援学校で約5千人、合計15,000人が対象者。つまり15,000円×15,000人=約2億2千5百万円を過払いしたことになる。

成績率の廃止・返納の中止を!

 制度導入最初の成績率の計算を間違うなどということは本来あってはならないことだ。給料の査定に屋上屋を重ねる勤勉手当への成績率の導入は学校現場の協業意識を破壊し、モラルダウンを招来するものに他ならない。複雑な計算を伴うがゆえに今回のような誤りも発生したのである。今回の誤支給の責任はひとえに都教委にあり、そうした成績率を廃止すべきである。

 都教委が間違ったから職員が返納して終了、という子供だましのような決着には到底応じられない。都教委の誤支給に対する責任はどうなるのか、そこが示されない限り、問題は解決しない。

学校事務職員は尻拭いをしない!

 もし返納が行われたら今年の12月の期末勤勉手当で本人同意書を徴し、相殺するが、その時点で退職や休職等でいない場合は現金返納となる。この場合都教委は本人に納付書を配布するのではなく、所属給取が徴収して納付することを想定している。さらに昨年の所得の変更については再年末調整が必要になる。それらの事務について当然のように事務職員が行うという説明に私たちは唖然とした。他組合からは超勤手当要求も出されていたが、これらの事務処理は全く余計なものであり、都教委の責任において実施すべきものであり、現場学校事務職員に押し付けられるべきものではない。私たちは都教委のミスの尻拭いを決して行わない!そもそも余計な事務をお願いするという姿勢を取っていないことにもその尊大さが目立つばかりであり、私たちは協力できない。もし協力を乞うのであれば、それなりの「お願い」の仕方があるだろう。当然新たな仕事の転嫁なので交渉として組合に正式に提案すべき事項である。都教委は対等な姿勢で私たちと協議に応じろ!

(学校事務ユニオン東京「JIM−UNION No.241より)



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