2014年12月24日

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全学労連ニュース今号の内容

 11.28 全学労連 中央行動 及び全国総決起集会報告

 内から壊れていく学校 ー 学校事務職員が副校長に

11.28 全学労連 中央行動 及び全国総決起集会報告

政令市費化反対等を掲げて要請行動

 全学労連は、11月28日全学労組とともに中央行動を展開した。

 それに先立って省庁―地方団体に対する要請行動に取り組んだ(要請書別掲)。衆議院が解散された状況での行動のため、国会議員要請については各県判断で参議院のごく一部に限定し、三省及び全国知事会ほか五団体(都道府県議会議長会、市議会議長会、町村議会議長会、全国市長会、中核市市長会)に対して政令市費化問題を重点に要請した(都道府県教委連合会、町村会、指定都市市長会については郵送等で対応)。以下、文科省への要請を中心にかいつまんで報告する。

(1)文科省

 政令市への教職員給与費移管撤回、「学校事務の共同実施」反対、非正規雇用学校職員の労働条件改善、標準法の遵守と学級数等の客観的基準に基づいた複数配置基準改善による定数増等を強く要請した。加えて財務省(財政審)が35人学級を40人学級に戻せと言い出していることに対する文科省の対応等を問いただした。

 既に深く進行させられてきた現業労働者の民間委託や非正規雇用の拡大等の動きのなかで、政令市費化は学校事務職員にとって全市的な合理化に直接さらされていく大きな契機であり、「教育の民営化」を一層加速させていくものだ。早くから一般行政職と任用一本化されてきた東京では、都教委が就学援助児童生徒数による加配定数を措置せず、正規雇用の事務職員を非正規雇用職員に置き換える「共同実施」を推し進める等、義務標準法を公然と無視した動きを強めている。東京の仲間から、暴走する都教委の施策の問題点を具体的に指摘したところ、さすがの文科省も「義務標準法を大きく逸脱することは問題だ。都教委がどのような意図でこのような施策を進めているのか実情をよく聞いてみたい」と回答せざるを得なかった。「チーム学校」という学校における多様な職種の労働者の協働を強調する文科省の考え方に照らしても、現場事務職員を臨時職員で充てるという都教委の考え方がいかに非現実的なものであるかを強く訴えた。

 「35人学級の成果が見られないので40人学級に戻せ」という財務省(財政審)の主張については「多くの団体等からおかしいという声を聞いている。文科省としては今後も35人学級を推進していく」と回答した。文科省が、「地方分権改革」の一環として政令市費化を主導した総務省と皮相な成果主義を前面に掲げて少人数学級の試みを葬り去ろうとする財務省(財政審)に挟撃されていると言えなくもないが、基本的には、原則分離教育を何ら変えようとせず新自由主義的な教育を推し進める文科省自身の立脚点そのものが問われているというべきであろう。

(2)総務省

 「政令市費化の財政措置については必要(2017年度までに)と認識している。県と市の合意や、これに所管省の文科省を加えた関係者間の調整を受けて検討していくことになる。市町村への更なる移管については文科省の所管である」。これが、県・市合意のお膳立てまでしてあとは文科省に丸投げするという総務省の政令市費化に関する回答であった。まるで他人事といった不誠実な対応であった。

 また、非正規雇用については、7.4通知の通りであり業務内容に応じて適切な任用をしてほしい。永年業務があるなら常勤にすべきであるというのが総務省のスタンスだという。非正規雇用職員の労働条件については総務省の回答も踏まえつつ各県での取り組み(当局の追及)が大事になると思う。

(3)財務省

 35人学級については、政策効果が出ているかどうかで判断するという立場だ。教員が本来の業務でないものに追われている問題の解消が必要であり、「チーム学校」については、単に教員増を言うだけでなく別の方法・配置を文科省が提起してきたものとして評価する。これが財務省の回答である。成果主義を盾にした少人数学級否定の主張である。ソーシャルワーカーなど非正規職員の加配よりも少人数学級を基本とした正規雇用教職員の充実こそが多様性を保障したインクルーシブ教育に繋がっていくのではないかという思いが湧いてくる。

(4)地方団体

 @全国市議会議長会〜全学労連の要望書にあることは国への要望(※)に毎年盛り込んでいると回答。(※少人数教育については、現状から後退することなく、定数改善計画の早期策定・実施、小学校第2学年から中学校第3学年までの学級編制基準の35人への引き下げなどにより、・・更に推進すること。また、少人数教育の推進に向け、教職員定数の適正配置などに所要の税財源措置を講じること。)

 A全国町村議会議長会〜政令市移管については立場が違うので賛成との回答。ただ、「地方分権」という名のもとに、地域間格差が拡大されていくのではないかという指摘は分かる。地方議会の合同などと同じで効率化できればよしということではない。といった発言もあった。

総決起集会で各県闘争報告

 午後2時半からは、参議院議員会館内にて総決起集会が開催された。

 はじめに全学労組・高橋事務局長の挨拶があり、続いて全学連・佐野議長から挨拶があった。今回は衆議院解散を受けて、議員要請は出来なかったが、省庁・地方団体への要請を行ったこと、特に給与費の移管問題と臨時職員の劣悪な労働条件について重点的に要請したことが報告された。また、全学労組・全学労連共に小さい組合であるが、年に1回の中央行動は小さい組合でもきちんと取り組んでいることの証明であり大変意味深く、今後も続けて生きたいとの決意が表明された。  次に各県からの闘争報告があった。

 はじめに沖学労から今回の知事選と今後の闘いについての報告があった。現職の仲井眞知事が前回選挙での「新基地を認めない」という公約を反故にしたことがきっかけで、これまで選対本部長を勤めた翁長前那覇市長との保守対決になった経緯が紹介され、今後は基地を造らせない闘いをすすめる決意が表明された。次に福事労から震災後初めてとなった知事選について報告があった。共産以外の主な政党がすべて相乗りとなり、初めから結果が決まっている選挙であったこと。しかし、その中で反原発と健康被害を訴えて立候補した北塩原村の女性が都市部でも予想以外の得票を得ていたことが紹介された。続いてがくろう神奈川から給与費の政令市費化との闘いについて報告があった。政令市費化はそれぞれの市によって労働条件がバラバラとなってしまうばかりではなく、学校事務制度を変えてしまう危険なものであること、このままでは中核市へと拡大していくことが予想され、国庫負担はずし以上の問題であり、今後は全学労組とも一緒に取り組みたいとの決意が発表された。また、大阪教育合同からは貧困家庭・就学援助世帯が増え、それに伴って加配された事務職員の算出方法の間違いが発覚し、約100名以上の臨時主事が半年で職を失うことになったことが報告された。その中で府教委が自らの責任を認めていない事実も明らかになった。がくろう神奈川からはSさん解雇問題についても報告された。全国からの署名・応援への感謝の後、市教委は処分後の書類を証拠として提出するなど、解雇の理由をいまだに示すことが出来ないでいることが報告された。最後に横校労から管理職からのパワハラとの闘いが紹介された。非組合員も含め闘争を繰り返しているが、デリケートな問題であり配慮が必要ななかでの取り組みであることが報告された。

 続いて共闘団体の神奈川県共闘から連帯の挨拶があった。

 地域の取り組みとして労働相談を行っていること。Sさんもはじめは相談に来てがくろう神奈川と繋がったことが紹介された。

 この後、集会宣言が採択、団結ガンバローと続き、デモ行進へと移った。


2014年11月28日

  ○○○○○○○様

全国学校事務労働組合連絡会議
議  長   佐 野   均

要   請   書

 日頃より、学校事務職員の労働条件改善及び義務教育諸学校の教育条件整備にご尽力いただいていることに感謝申し上げます。私たちは、全国の公立学校に働く学校事務職員で作る労働団体です。学校事務職員の労働条件を維持改善するとともに、学校ならびに行政の民主化を推し進めるための活動に取り組んでいます。

 教育は、現場の声を尊重してこそその役割を十全に果たすものと考えます。貴職におかれては以下の要請内容にご理解をいただき、諸課題解決や関係方面への働きかけを行ってくださいますよう、要請いたします。

1.教育に地域間格差をもたらす、教職員給与費の政令指定都市への移管決定を撤回すること。同様の理由から、給与費・人事権等の市町村へのさらなる「権限移譲」を行わないこと。

 今年5月28日に国会で成立した通称「第4次一括法」において、現在都道府県が負担している義務教育諸学校教職員給与費のうち、政令指定都市の教職員について給与負担を政令市に移管することが決定されました。私たちは従来よりこの教職員給与費の政令市費化について、教育に地域間格差をもたらすものであるとして反対してきました。

 現行の「県費負担教職員制度」は、市町村の財政力の強弱により教職員の給与水準や定数に格差が生じることを防ぎ、教育の機会均等を保障するためのものとしてありますが、政令市費化はその制度を改変するものとなります。それにより、各市の財政力が教育に直接的に影響してきます。具体的には、政令市費化にあたっては道府県から政令市への一定の税源移譲が予定されていますが、試算によればほとんどの政令市が税源移譲分だけでは給与費がまかないきれないとされています。これを補う措置が政令市より要望がされていますが、成果は不透明です。試算を見ると政令市間の不足額の差も目に付きます。

 こうした実態は、賃金をはじめとする労働条件や定数にも強く影響してきます。財政力のない自治体は教職員給与の引き下げや定数減に、いやおうなしに踏み切らざるをえなくなるでしょう。加えて、学校業務の外注化・非正規雇用への転換など「教育の民営化」も加速させます。とりわけ少数職種である学校事務職員については、全市的合理化の対象に組み込まれ、一般行政職との任用一本化や定数の大幅削減、センター化、そして外注化・非常勤化といった、学校事務職員制度の解体が強く懸念されます。こうしたことはひいて、教育全体に影響するものと考えます。

 政令市に次いで、中核市やその他市町村への人事権を含めた移譲についても、実施の方向に舵を切っています。しかし、こうした「権限移譲」は「地方分権」の美名とは裏腹に、地域間格差をよりいっそう拡大・全体化していくものに他なりません。貴職におかれても反対の立場から働きかけを要請します。

2.学校事務職員を学校から引き剥がし、人員削減や廃職につながる「学校事務の共同実施」の施策をとりやめること。また、「共同実施」を目的とした定数加配を廃止すること。

 「学校事務の共同実施」は数校の学校事務職員を定期的に1ヶ所に集め、事務の共同処理を進めるものですが、学校現場を離れることで校内業務への対応の遅れや個人情報の校外持ち出しが生じるなど、事務職員・勤務校双方の業務に支障が出ます。また、「共同実施」は学校事務合理化の施策の面が強く、「共同実施」推進の先には義務教育費国庫負担制度からの事務職員はずしや事務センター化、人員削減、そして廃職まで想定されます。

 こうした想定は現実に、「共同実施」先行県において非正規雇用事務職員の増大が顕著であることや、明確に人員削減を目的に掲げ導入を進めようとしている自治体まであることからも、明らかです。これらは学校事務職員の労働条件と雇用を破壊するとともに、学校運営にも不安定・不均衡をもたらすもので、私たちとしては到底受け入れられるものではありません。

 あわせて、2001年以来事務職員定数加配として「きめ細かな学習指導や教育の情報化の支援等のため事務部門の強化対応を行う学校への加配」が設けられていますが、その内容は「共同実施」の推進を目的としています。加配方式のため毎年受けられる安定したものとはなりえず、定数改善とはまったく無縁です。

 学校運営と学校事務職員制度を守るため、「共同実施」とそれにつながる施策をとりやめるよう要請します。

3.非正規雇用学校職員の労働条件を改善すること。

 学校現場には臨時的任用や非常勤といった非正規雇用職員が多数配置されており、その数は年々増え続けています。学校において臨時的任用職員の職務は正規となんら変わらず、事務職員の場合単数配置校への配属、教員の場合学級担任の担当も珍しくありません。非正規雇用職員も学校運営に不可欠の存在であり、特に事務職員の場合定数内職員に該当することも多くあります。

 にもかかわらず非正規雇用職員は、賃金・休暇等のあらゆる労働条件について正規職員より著しく低く抑えられています。賃金については、何年何十年と繰り返し任用されていても、昇給に上限が設けられており低い水準にとどめられています。休暇制度でも、正規職員なら有給なのに非正規雇用だと無給であったり、期間等が制限されているものがいくつも見られます。

 国は「労働条件は各都道府県の裁量」としていますが、教育を支える学校職員の労働条件はすなわち教育にかかわる問題であり、全国的に同様の状況がある以上、教育に対する責任の一環として国が果たすべき役割は大きいと考えます。国が主体性を持って取り組まれるよう要請します。

4.義務標準法に定める学校事務職員定数を遵守させ、欠員を生じさせないこと。また、学級数等客観的基準に基づき、複数配置基準を改善し定数増をはかること。

 学校事務職員の定数は義務標準法(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律)により定められています。この法律は教職員配置の適正化と義務教育水準の維持向上を目的としており、これに基づく職員定数は、全国的な教育の機会均等を保障するためのものとして、自治体の財政的事情や政策にかかわらず当然に遵守されるべきものです。

 しかし目下、学校事務職員の定数を割り込む「欠員」が全国で多数生じています。その数は今年度1,061人で、定数の3.2%にのぼります。内訳を見ると、最悪の東京都では実に25%近くもが、次いで大分県・愛媛県でも15%前後が欠員となっています。その上、義務標準法に定める複数配置基準について公然と無視し、学級数や就学援助児童生徒数に基づく補正定数を廃止した独自基準を定める自治体まで現れました。法に定める標準定数が公然・常態的に無視されている現状は是正されるべきあり、欠員解消に向けた取り組みを要請します。

 また、現在の学校事務職員複数配置基準は小学校27、中学校21学級以上となっています。しかし学校現場の事務量は増大の一途をたどり、特に複数配置にわずかに達しない学校でひとり働く事務職員の多くが、重い負担を強いられています。加えて、就学援助児童生徒数に基づく複数配置基準は「受給児童生徒数が100人以上かつ25%以上の学校」となっていますが、大規模校では率がネックとなり、業務全体として見れば莫大な量になるにもかかわらず補正定数が受けられない不合理があります。複数配置等定数増は、一定の線引きをせざるを得ないにしてもそれは合理的であるべきです。まして先述した「共同実施」加配のような、客観的基準に基づかない職員配置は定数改善と見ることはできません。「客観的基準に基づく定数増」という、真の定数改善に向けた取り組みを要請いたします。

5.義務教育費国庫負担制度を堅持・改善すること。

 教育の機会均等を図るための義務教育費国庫負担制度ですが、1984年以降、国庫負担から教材費・旅費・退職金等が次々に外されてきました。さらに三位一体改革で実施された給与費国負担率の1/2から1/3への切り下げは、地方への負担転嫁を一段ともたらしました。こうした動きは私たちの労働条件の悪化につながるとともに、これまでもあった教育格差の一層の拡大を進めるものです。

 教育の機会均等は国の義務であり、その観点に基づく義務教育費国庫負担制度の堅持・改善を求めます。

6.義務教育の完全な無償化を図ること。

 憲法第26条において義務教育無償の原則が謳われています。しかし義務教育にかかる保護者負担の実態は、給食費・教材費・校外活動費等少なくありません。過去最悪の貧困率を記録する中、負担に耐えられない世帯が増えています。これを救済するための就学援助制度も、2005年度より国庫補助の対象から外され、地方自治体の財政難や生活保護基準の引き下げにより充実するどころか逆に後退している現実があります。

 今年8月に政府は「子どもの貧困対策に関する大綱」を閣議決定し問題は認識されていますが、一度は後退させた既成制度の復元・拡充なども積極的に行い、取り組みを進めるべきです。親の所得水準や自治体の財政事情に関わりなく、すべての子どもに等しく義務教育を保障するよう求めます。

7.収束しない原発事故から、子どもたちをはじめ被災者を守り支援するための対策・施策をとること。また、福島原発事故の責任もとらないまま進められようとしている、原発の再稼働に反対すること。

 4年近く経つというのに、福島第一原発事故はまったく収束していません。福島の住宅の庭には除染で出た土が埋められています。放射性物質を集めたフレコンパックはそこここに野ざらしにされているのが目に入ります。

 メルトダウンした福島第一はいつ何時に起こるかわからない地震で倒壊し、大量の放射性物質をまき散らす装置として、何十年、いやそれ以上に身近にあり続けます。

 放射線被曝による健康被害への恐れが人々を苦しませています。これまでの、現在の、そして将来の被曝が子どもたちにどんな影響を及ぼすのか、不安だけがのしかかります。

 理念だけの「支援法」ではなく、将来に渡る具体的な、子どもを含めた人々への支援を求めます。

 川内原発をはじめとする再稼働に反対します。原発の非経済性は明らかになりました。また地震・火山大国の日本での原発は非現実的です。さらに、福島原発事故の原因を意図的に隠し、事故責任をだれも取らない体制のまま再稼働するのは言語道断です。全国の原発の再稼働に反対します。

以上

内から壊れていく学校 ー 学校事務職員が副校長に

地域連携・マネジメント強化のための副校長

 大阪では、規模の大小にかかわらず、小中学校には各1名ずつの校長教頭が置かれていた。2013年度から2年間のモデルケースとして大規模校を中心に15校(小8校・中6校・小中校1校)に副校長が配置された。教員から3名(小2・小中校1)、市長部局から4名(小2・中2)、学校事務職員から8名(小4・中4)の登用だ。公募校長に続き教員以外から管理職への門戸を拡げた。給料は、行政職給料表から教育職給料表3級になる。募集要項による試算では55才の事務主幹は120万円、40才の事務主任だと210万円、50才だと220万円、55才の事務長(高校)では230万の増収が見込めるという。管理職手当が支給され、時間外勤務手当はない。副校長は、校長を補佐する職だが一部決裁権を持ち、校長と教頭の間に位置付くことになる。業務内容は学校の組織マネジメント体制を強化し、学校協議会、PTA、連合町会との連絡調整、校内の服務規律確保、学校財政の管理とされ、「学校事務の経験を活かし学校組織の運営を活性化させ、地域連携等調整力を発揮できる」人物を求めるとしている。

事務研幹部のための副校長

 11月7日に「副校長モデル設置事業中間報告書」を明らかにし、「実効的な制度」とまとめ、2015年度から制度として新たな募集を行っている。募集人員は15名程度、応募資格は、市費事務職員(高校)は事務長、府費事務職員は事務主幹、事務主任、選考はレポートと面接としている。

 大阪府下では学校事務職員が教頭になり校長になったケースは既にある。大阪市ではこれから始まる。大阪市は、教頭の資格を教員に限定しており、教員以外の校長は、公募による外部登用が先行実施されている。

 今回の副校長がもたらすのは事務研が目指す「学校事務の確立」ではなく、事務研幹部の出世の道が確立されたことになる。

事務センター廃止から再合理化のための副校長

 若年層が多くなった学校事務職員に市教委・学校経営管理センターが業務のシステムを使って休日や時間外に無給で職務研修を「自主的」に展開したり学校間連携で事務主任を職制化して管理体制を構築したり事務研を通した組織化を図ろうとしているが依然離職率の高さは解消されていない。また、定数内臨時主事を抜きには学校を維持できない状況は全く改善されていない。現業では隣の学校の同職の「主任」が人事評価を行うようになっている。大阪市小中学校459校の内の15+15校が多いのか少ないのか、同時に進められている学校間連携(共同実施)で中学校区の小中学校に事務主任を配置する人事異動も強行しており、事務職員人事は一気に流動化することとなった。事務職員の「リーダー」を引き抜いて事務職員でなくしてしまうことが「職の確立」に寄与することなのか聞いてみなければなるまい。

 かつて大阪市の全中学校事務室には、府費以外に市費学校事務職員が2名配置されていた。1990年から2010年までの学校事務センター(当初4カ所から最後は1カ所)は、中学校から市費事務職員1名を引きはがした。その学校事務再編が各学校現場の自立性を阻害して失敗、学校経営管理センターに再編され、学校事務だけでなく教員の成績処理や服務管理までコンピュータ化する大合理化が行われた。そして中学校市費事務職員制度は廃止され府費事務職員のみが置かれることとなった。学校現場の多忙化は底なしとなり全国最低水準の賃金カットが追い打ちを掛ける。学校事務にとりわけ冷淡で厳しい労働強化と差別的な職の解体に熱心な大阪市が、このような中で一部の者達に200万円以上の増収をちらつかせて出世の道を煽る。市教委の意図が理屈で批判が出来ても腑に落ちなかったのは多くの事務職員の実感であっただろう。「中間報告」にも管理職の時間外勤務数が減らなかったとか、教育職である必要があるのかとか、あげている数字のどれもが根拠を持っておらず、モデル校は有用と言っている(自分たちは無能だと報告する馬鹿はいない)というだけで中身の乏しい報告しか書かれていない。

教頭不足のための副校長

 先日、多忙化と公募校長の横入りで校長への道が狭められ、降格希望者や病休、退職とつぶれていく教頭の悲鳴がマスコミで取り上げられていた。市教委が公表した教頭試験にかかる数字は、学校が組織として既に壊れていることを示すものとなっている。教頭試験の受験資格者が小学校で3000名を超える中で受験者が28名、合格者が23名、受験率が1%を割り、それでも教頭が足りず不合格者の中から追加して任用する事態となっている。この数字は中学校でも同様だ。誰も教頭になりたがらない。人事評価制度が導入された頃から受験者が減り、大阪維新の橋下効果がとどめを刺しているのが分かる。2015年度も教頭が20名足りないと追加募集を12月に入って行い、募集要項には新任教頭には補助員を付けるとか教頭が不足する場合は教諭から教頭職を行うような措置も検討するとしている。

 もともと鍋ぶた型と称される学校の仕組みを企業と同じピラミッド型に無理矢理変更したのだから、それぞれの教室や学年で責任をもっていたものを上意下達になれば「責任」を教頭や校長にお返しするようになるのは当然の帰結である。その綻びを繕うために主席や指導教諭で固め、まだ足りぬと副校長を置き、新任教頭には補佐する職員も手当てするという。学校事務職員からも手を貸せといわれているのだろう。とすれば、大阪市教委が学校事務の重用をにわかに行ったというのは早計だ。とにかく管理職をかき集めなければ学 校が立ち行かなくなるまでに追い詰められた大阪市教委のその場しのぎが実態なのであろう。

教頭・指導主事選考試験について(大阪市)

    【小学校】


有資格者数 受験者数 受験率 合格者数 合格率
平成13年度 3667 343 9% 26 8%
平成14年度 3423 323 9% 31 10%
平成15年度 3462 295 9% 48 16%
平成16年度 3253 248 8% 53 21%
平成17年度 3088 201 7% 39 19%
平成18年度 3146 188 6% 50 27%
平成19年度 2814 149 5% 60 40%
平成20年度 2762 100 4% 35 35%
平成21年度 2624 89 3% 36 40%
平成22年度 2365 69 3% 23 33%
平成23年度 2457 63 3% 21 33%
平成24年度 2383 58 2% 43 74%
平成25年度 3149 28 1% 23 82%

    【中学校】


有資格者数 受験者数 受験率 合格者数 合格率
平成13年度 2325 231 10% 7 3%
平成14年度 2246 220 10% 18 8%
平成15年度 2314 196 9% 12 6%
平成16年度 2228 193 9% 14 7%
平成17年度 2159 180 8% 19 11%
平成18年度 2073 178 9% 22 12%
平成19年度 2015 163 8% 42 26%
平成20年度 2003 132 7% 35 27%
平成21年度 1911 114 6% 39 34%
平成22年度 1766 78 4% 20 26%
平成23年度 1797 67 4% 33 49%
平成24年度 1717 37 2% 25 68%
平成25年度 2101 22 1% 19 86%

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