2015年6月13日

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全学労連ニュース今号の内容

 少子化の止まらない青森県・市町村を跨いだ統合が始まった

 新規採用28名! 10年ぶりの小中事務職員新採配置。今後も継続して新採配置を!

※ 第44回全国学校事務労働者交流集会・第24回福島県学校事務交流集会のご案内(pdfファイル)

少子化の止まらない青森県・市町村を跨いだ統合が始まった

部活動・行事存続のため

 2011年7月、地元の新聞によって西目屋村立西目屋中学校と弘前市立東目屋中学校の市町村を跨いだ学校統合が計画されており、早ければ2014年の実現を目指していることが報じられた。少子化の止まらない青森県内では各地で学校の統廃合が進められていたが、市町村を跨ぐ統合計画は聞いたことが無く、西目屋村のように小・中学校が1校ずつというケースでは小規模校のデメリット解消は不可能と思われていたし、08年に村長が議会で構想について言及した時も実現は無理と思われていた。しかし「ある程度の人数の中で切磋琢磨することが理想」「部活・行事を維持できない現状を解消したい」と考える村教委は市町村の枠を超えた統合に向けた協議を続けていたという。ちなみにこの時の生徒数は西目屋中が31人、東目屋中が55人。統合が実現しても各学年1クラスで、数年後は複式学級となることも予想されていた。

委託方式で可能

 学校教育法により市町村は学校をつくり、義務教育を行うことが義務とされている。このため、市町村を跨ぐ学校の設立は、通常は組合を設立し運営する『事務組合』方式がとられてきた。そもそも、行政地域を超える学校の統合は教育関連法では想定されておらず、文部科学省の見解も「出来ない」という。しかし今回明らかになったのは、西目屋村が弘前市に『委託料』を支払うことで教育委員会の業務を委託するという計画である。これは地方自治法上『可能』であり、この場合、法律上は学校を統合するのではなく、隣の市の学校で一緒に勉強するという事のようだ。ちなみにこの『委託方式』は事務組合を設立・運営する必要が無いため経費を軽減できるだけでなく、業務そのものの負担がないのだという。

 この『委託方式』による学校運営は長野県阿智村2011年4月からで行われていて、西目屋村は職員を派遣し調査、検討を重ねたそうだ。

気になる料金は?

 当然、地域には賛成・反対の両意見が出たが保護者の中では強固な反対論は無かったという。西目屋小学校の卒業生の中には、「野球部に所属したい」という希望から、弘前市に住所を移し東目屋中に入学した生徒もいた。後に保護者会が正式に「適正な規模の学校で教育を受けさせたい」と要望するに至っている。

 この計画は両市村が協議を重ね2014年9月に両議会で規約案が可決、2014年10月に調印式が行われた。この瞬間、西目屋中学校の廃校が決まった。村議会の資料によると委託料は年間約800万円だという。乱暴な話だが、技能主事一人の人件費+αを払えば学校予算を0に出来るという計算か。

中学校を足掛かりに

 2015年4月、新「東目屋中学校」がスタートした。村からの生徒22名と市の生徒44名。計画が明らかになってから20名ほど生徒が減っていた。

 2つの学校名で気付いた人もいると思うが東目屋と西目屋は昭和の大合併以前は中津軽郡に属する隣り合う村だった。2つの学校は4kmしか離れていない。大きな反対論が出なかった理由もここにあるかもしれない。保育園が一緒だった幼なじみと同じクラスになった生徒もいるそうだ。

 この統合は正しかったのか、間違いだったのか。結果が出るには時間がかかるだろう。「『成功』となれば、小学校についても事務委託されるだろう」とすでに噂が流れている。

新規採用28名!

10年ぶりの小中事務職員新採配置。今後も継続して新採配置を!

 前号にて基本定数が風前の灯だったことをお伝えした。結果、共同実施地区である江東区と武蔵村山市以外は基本定数が確保された。しかし、逆に言えば新採を配置できなければ欠員は発生していたということだ。

 2005年から小中学校には新採事務職員が配置されてこなかった。これは総務局の言う「新採を配置しても育成困難」であるという理由からだった。この理由を金科玉条のごとく都教委も私たちに振りかざして10年間新採配置を拒んできた。

 その結果生じたことは、小中学校事務職員の高齢化であり、平均年齢が50歳を超えているといういびつな職員構成だった。都教委はこの事態を小中学校事務職員の持っている問題点の一つに挙げているが、この事態を創出したのは都教委自身だったのである。

 今回の新採配置はそうした背景があったわけであるが、今後の小中事務への新採配置に大きく道を開いたと私たちは肯定的に評価すべきである。来年度以降も基本定数を遵守するには新採配置を当初から計画化すべきである。今年度の新採配置を緊急避難措置とさせずに、定数配置の際の恒常的な手段として位置付けさせることが大切である。

 さらに、各地区に配置された新採事務職員に対する丁寧なフォローが必要になってくる。区市町村費事務職員の配置されていない地区は特に新採1人で仕事をこなさなければならない。育成ができないから新採配置は困難、または新採育成には共同実施が不可欠という論理が横行してきた。しかし、私たちは各地区の事務職員会や組合を中心に様々な形で他地区や知事部局からの転入者に対してフォローしてきた。新採育成は都教委・地教委が責任をもって行うべきであるが、都教委や地教委が担えない学校現場のノウハウについては私たち事務職員がフォローしていかねばなるまい。

 違う学校にいても新採事務職員が孤立することのないようフォローしていく体制をぜひ各地区で模索してほしい。そうした取り組みがひいては共同実施を寄せ付けないことに通じていくと私たちは考える。

 学校現場にいながら共同性を持っていくことは十分可能であり、共同実施しかそれを保障できないという共同実施推進論には肯首しがたい。ただし、近年事務職員会や組合がそうした共同性を育てていく場になっていないという現実もある。私たちは再度共同実施によらない私たちの共同性を追求していくべきである。

新採関連データ

◎新採1名

23区:荒川・練馬・葛飾・新宿・台東・江東・品川・中野・板橋・千代田・中央・港・文京・墨田・目黒・杉並・豊島・足立
多摩:八王子・調布・町田・稲城

◎新採2名

世田谷・大田・江戸川

◎都立学校  新採73名

◎経営支援センター 新採6名

その他の異動データ

◎再任用(短) 233名

◎再任用(フル)104名

 年金支給年齢の引き上げに伴って再任用(フル)の人数が増加している。

 今年度は基本定数と共同実施にとっての正念場となるだろう。来年度共同実施地区を増やさせず、基本定数を遵守させる取り組みを強化させよう!各地区での闘いを!

学校事務ユニオン東京 JIM-UNION
NO.248 2015.5.21より転載

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