2015年7月11日

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全学労連ニュース今号の内容

 「チーム学校」って何だ?! 学校事務職員制度を揺るがす不穏な動きに警戒を!

 学労定期大会報告 青森県学校事務労働組合

 学労定期大会報告 福事労定期大会参加記

「チーム学校」って何だ?!

学校事務職員制度を揺るがす不穏な動きに警戒を!

 世界一多忙」と言われる教員の負担軽減のため、文部科学省が打ち出した「チーム学校」構想。事務職員やスクールソーシャルワーカー(SSW)・部活動指導者等の外部人材―教員以外のメンバーの大幅増で、教員は本来業務である授業に専念し、子どものさらなる学力向上を図ると言うのだが、これって良い?

 中教審で議論され、11月の答申に向けて7月には中間まとめが出される。早ければ来年にも法改正を目指すと言う。政令市費化や共同実施で揺れる私たち学校事務職員にとって、「チーム学校」は何をもたらすのか?

 安倍「教育再生」の目玉

 「チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会」は昨年11月からすでに13回。6月の会議では「中間まとめの骨子案」が示され了承、ほぼその中身が7月3日の第14回で確認される模様だ。

 教員の負担軽減のための柱は3つ。@教員の仕事分担の見直し(事務職員等への仕事の再配分)A資格スタッフの充実(SSW等)B地域の人材活用(有償ボランティア等)で、10年後には学校の教職員全体に占める教員の数を7割程度までに下げて「チーム学校」実現を目指す(文科省・新たな教職員定数改善計画)。けれど、すでに今年度の文科省予算を巡る財務省との攻防で敗北したということは前号の全学労連ニュースで述べたとおりだ。

 中教審に先立ち5月12日に出された自民党・教育再生実行本部の第4次提言(チーム学校部会)では、教員資質の向上に向け「チーム学校推進法(仮称)」の制定・教員資格の「国家免許」化とともに、事務職員の職名を「学校運営主事」に変え校長や副校長の負担を分担させるという方向性が出された。その二日後の5月14日、今度は首相の諮問機関―教育再生実行会議「これからの時代に求められる資質・能力と、それを培う教育、教師の在り方について(第7次提言)」の中でも、教員採用試験の全国共通化の検討などとともに、教員と事務職員の役割分担・事務長や副校長への登用など事務職員のキャリアパスの明確化・・・等「チーム学校」の実現が盛り込まれる。

 教員の資質向上と事務職員の新たな役割はセット。教育基本法が「改正」され教員免許更新制等の導入と同時に文科省が打ち出した「子どもと向き合う時間の拡充」政策の中でも、主幹教諭の設置や外部人材の活用、学校事務の外部委託化等の方向性が出ていた。「チーム学校」は、第一次安倍政権でできなかった「道徳の教科化」等、一層の安倍流教育「再生」実現のための教員労働強化策なのではないかと思う。教員に対するさらなる管理強化と、その手助けをする仕事など真っ平ごめんだ。

危うい「チーム学校」

 もちろん、こうした動きに飛びつく人たちもいる。中教審の作業部会には、全事研や日教組のブレーンとも言えるかの藤原文雄氏もメンバーに加わり、2月3日第三回の会議では新潟県事務研会長が共同実施について報告した。二年後を目途に進められる教職員給与費の政令市費化の問題でも、学校事務職員の任用一本化や給与水準の引き下げが懸念されるが、学校事務職員制度崩壊の攻撃に対して「チーム学校」を追い風として共同実施や事務長制を要求する教組や全事研の人々。彼らはピンチをチャンスに!とばかりに、自らが積極的に新たな役割を背負うことで、見返りとしての「事務長」などほんの一部の人の出世を求める。

 しかし、この間横浜や大阪、東京で策定された新たな「職務標準」を見よ!

 一人(ないし二人)ではやりきれない仕事の量に現場の事務職員は悲鳴を上げている。また東京で進む「校務改善推進プラン」による「経営支援部」導入の動きや、事務職員の定数削減(および非常勤化)を目的とした「共同実施」の画策等、私たち学校事務職員を巡る状況はあまりにも厳しい(東京の仲間が7者共闘で闘っていることは承知の通り!)。願望だけで現実は乗り越えられないよ。

教育の「民営化」にNO!

 地方制度調査会が役所の窓口業務の民間委託化についての方向性を示す(6/22論点整理)など、公共サービスの民営化の動きは止まらない。6月1日、財務相の諮問機関・財政制度審議会は「財政健全化計画等に関する建議」の中で「「(2024年度までに)教職員42000人削減可能」とし、それに対して6月5日文科省が反論、概算要求を経て予算編成の焦点になりそうだ。

 文科省の「チーム学校」要求に対して「政策効果を問う」という立場の財務省―問題にしているのが「基礎定数」でなくて「加配定数」であることに注目したい。総額裁量制等定数の弾力化以後、学校現場の非正規教職員の数は驚くほど増えた。「チーム学校」で言う専門スタッフや外部人材登用の前提も非正規労働者やボランティア(有償含む)の活用である。厳しい国・地方の財政状況の中で、いかに効率的に効果を出すか、財務省VS文科省の対立も結局のところその競い合いでしかない。

 学校現場にこれ以上不安定な労働条件の非正規労働者などいらない。学校事務職員に対する今以上の仕事の押し付け、合理化もごめんだ。「加配」ではなく基礎定数を増やし、正規・非正規の均等待遇を実現するなどの根本的な改善なくしては教職員の多忙化は改善されない。「多忙」の中味を問い、「学校」そのもののあり方を変えなければ、問題の解決にはならないのだ。

 攻撃に対してはきっちり反撃を!任用一本化や定数削減、「共同実施」、非正規雇用への置き換え等、学校事務職員制度の解体攻撃に対して、私たちも正念場だ。差別のない平等な、本当の意味での「チーム」としての学校を作るために全力で闘おう。学校事務職員制度の堅持を求めて一歩も引かない闘いを!

(がくろう神奈川  京極紀子)

学労定期大会報告

青森県学校事務労働組合

 6月20日、27回目の青学労定期大会が開催された。残念ながら本人は都合が合わず欠席となったが、久しぶりに新加入者を迎えての大会となった。

評価システムはまだ不明

 資格確認から始まる開会行事が続き、執行委員長挨拶があった。この挨拶の中で、このままでは来年度から勤務成績が昇給へ反映されることと、現在青森県知事部局で行われている査定昇給について報告があった。特に県教委から学校職員の評価システムについて未だに提案されていないことから、今後の交渉の持ち方も定まらない事が懸念であることも報告された。

共同実施反対への取り組み

 経過報告・財政監査等の報告があり、続いて議案の提案・審議に入った。昨年度のたたかいの総括と今年度のたたかいの方針では、昨年の給与の総合的見直しにより発生した基本給の逆転現象について多くの意見が交わされた。特に今後の県教委交渉等での要求や取り組み方針に時間を割いた。また、これまでの反共同実施の取り組みが組織拡大に繋がったこともあり、これまで以上に共同実施に反対していくことも確認された。また、予算案の審議では組合費収入が増えた事で組織拡大を実感することができた。

熱い議論の末・・・

 都合で意見交換を切り上げる事となったが、すべての案件が採択され大会は成功した。なお、その後の懇親会でも熱い意見が交わされた。

 青学労の今年のたたかいが始まった。今後、全交流や中央行動と全学労連の仲間とのたたかいも取り組んでいきたい。

(青森県学校事務労働組合 工藤雅人)

学労定期大会報告

福事労定期大会参加記

 6月20日に行われた福島県学校事務労働組合 2015年度 第27回定期大会に参加した。場所は二本松市。自動車で行くことにし、10時開会だが家からは遠いので、最初からはあきらめるが昼には着きたい。7時出発予定し、いきなり30分読み間違えて出遅れ、7時30分東京多摩地域を後にした。

―のんびりと向かった先は・・・―

 首都高は土曜日でもいつもなら、この時間結構渋滞しているであろうに、梅雨時期のせいか車は比較的少ない。法定速度の安全運転で順調に進む。東北道も眠くなるほどゆったりと進む。途中休憩を入れながら、11時30分二本松インターを出た。

 以前にも来たことがあるので、記憶を頼りに車を進めると目の前に見覚えのある建物が・・・あっここだ・・・福島県男女共生センター。近代的な立派な建物だ。駐車場に車を停め、大会の行われている会議室に向かう。

 エレベーターを4階で降り、会場へと急ぐ。途中、ガラス張りの廊下から見えるオープンデッキのテラスでは数人が薄曇りの中、のんびりと休日を過ごしているようだ。ん!なんと彼らは福事労のメンバーではないか!

 私は慌てて声をかける。

「こんにちは、遅くなりました。もう昼食休憩ですか?」

 すると返ってきた答えは、

「分散会やってたの!」

 えっ・・・外で分散会?相変わらず、福事労的な自由な発想だなと、出足から感じた。

―福事労大会のイメージ―

 さて、福事労定期大会の参加は3年ぶりだ。参加回数は忘れたが、結構参加している気がする。いつも元気、特に女性が元気な組合というイメージが強い。お菓子がいっぱいおいてあるというイメージも強い。大会議案の表紙には、福事労組合員が撮った鉄道関係の写真が使われているという印象も強い。しかし今回の表紙は漫画であった。

 (上手だな・・・しかし見覚えのあるタッチだな・・・あぁこれは・・・)

 それは、福事労組合員の息子さんが描いたものであった。最近漫画雑誌で新人賞を取り、続けて2作目も掲載されたという、なかなか未来有望な方だ。掲載作品は独特の視点(アングル)から描かれる、ほんわかしたものであった。この先も楽しみである。(なかなか大会の本題に入れない。)

―グループ討議で意見交換―

 福事労大会の特徴はグループ討議という事務研のような手法をとることだ。来賓というほどでもない私もグループ討議に参加させられ、意見を求められる。今回は「5級に昇格させるための主任主査昇任拡大と共同実施」「新人事評価制度の課題」「働きやすい職場」の3テーマだ。そのグループ分けも「今回は携帯電話のキャリアで分けます」と本部が提案。「ドコモの人こっち、auの人はこっち、・・・持ってない人はこっち」など、とてもユニークな発想で仕分ける。ガッチリした組合もいいが、のほほ〜んとした組合もいい。

 私の所属したグループは、およそ50分間、主任主査の話をしていた。5級昇任した者は共同実施のグループリーダーをする、しかしリーダーは固定化し、そのあとの者がなかなか昇任できなくなってきている。さらにはそのリーダーはだんだんと共同実施内で嫌味になっていき、内部が険悪なムードになっていく。皆は「こんなはずではなかった。」「共同実施は事務職員間の分断を生み出すだけだ!」「我々はどうしたらいいんだ!」と悩む、そして現状打破のために今立ち上がる・・・って映画になりそうなストーリーだ。

―「共同実施」が猛威を振るう―

 結局、「共同実施」という器ができてしまうと、ライトな「共同実施」も状況によってヘビーな「共同実施」にもなるし、そのために昇任昇格に制限がかかってくる。さらに進めば、そのメンバーが本務者である必要がなくなったり、2校を掛け持ったり・・・さまざまな弊害が出てくるであろう。“のどか”だと思っていた福島でさえそうなっている。

 東京での「共同実施」はまさにその最先端。人員削減のための共同実施をぐいぐい推し進めている。都教委の執拗なアピール・勧誘や、首長、教育長の新しいことへの取り組みなどで「共同実施」が利用され、多摩地域を中心に新たに導入しようというところがどんどん出てきている。任用一本化により新規採用の学校事務職員が久しくなかった東京で、今年度新採用者がようやく配属された(本誌前号参照)。それ故に新人育成のために「共同実施」が必要という論理には十分注意しなければならない。

―福事労大会の魅力―

 大会に話を戻そう。さて、修正案が何件か出されている。方針の文面で、「兼務発令に反対」の部分。数人が文言修正を求めている。主語の部分により若干ニュアンスが異なることについて、「本部は主旨を受け入れるので、文章をうまく作って・・・」すると会場から、「共同連携は・・・定数削減や・・・」「ここで“労働強化”が入るんじゃねーの」なんて具合に方針の文が修正されていく。板書しつつも「うーん、もう一回言って!」なんて割とアバウト、で採択。福事労っぽい。

 議長から「他に全般的な質問や意見はありますか」の問いに「人事評価の書き方見本を作るとか・・・皆のものを持ち寄るとか・・・作文的なものを・・・」なんていう意見が出た時、私が前の方で、小声で話していると「埼玉の人、ごにょごにょ言ってないで、ちゃんと立って話しなさい」と議長に指名を受ける。なんか和気あいあいとしていていいなと感じる。

 また大会欠席の組合員にアンケートを取っているという。「当日の議論の参考」として第1号議案に(賛成・概ね賛成・一部反対・反対)<ご意見><困っていること><近況報告>など・・・。何人かが提出していて会場でも配布された。こんな取り組みの積み重ねが福事労であり、らしさなのだと思う。

―全交流福島を成功させよう―

 今回の全学労連、夏の交流集会はご案内のとおり、福島県いわき市で行われる。福事労交流集会とセットというか福事労集会に組み込まれるような形で全交流が行われる。新しい取り組みだ。いや昔はこうだったのだろう。開催県が独自の色をだし、工夫し魅力のある集会で大盛況だったのであろう。あっ、今も魅力的で大盛況ですが・・・。

 福島での開催は私の知る限り、ここ十数年で3回目。それぞれ面白い企画で交流集会を盛り上げてくれる。今回もきっと楽しい集会にきっとなるだろう。大いに期待している。皆もぜひ参加して、明るく楽しく交流を深めよう。

 (事務局 吉田 泰)

2015全交流inいわき   実行委 通信 第3号  より

2日目講演者が決定しました。

 8月2日(日)、全交流午後の講演者が決まりました。お願いしていた、いわき市議会議員の佐藤和良さんに快諾していただきました。

 「原発震災から5年目の福島」と題しての講演をいただきます。

 午後1時から60分程度お話していただき、その後は質疑応答になります。

 午後3時には移動します。とのことです。

 佐藤和良さんの活動は、ブログhttp://skazuyosi.exblog.jp/ などで確認してください。

ボーナスカンパのご協力ありがとうございました

 この間カンパ呼びかけへのご協力ありがとうございました。まだまだ受け付けております。

 全学労連は、臨時的任用職員など非正規労働者の権利・労働環境にも全力で取り組んでまいります。もちろん、身近な学校事務課題にも闘います。特に「共同実施」や政令市費化問題など、今後も現場に起きるであろう課題にいち早く対応していきます。

 皆さんのご支援が、無駄にならぬよう、精一杯がんばってまいります。今後もご支援、よろしくお願いします。



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