2016年1月9日

top> ニュース> 381号

全学労連ニュース今号の内容

 攻防続く政令市費化反対闘争  川崎・相模原で学校事務職員制度守る!

 この10年で学校事務職員制度の空洞化は確実に進んでいる  ―資料に基づく制度の実態を見る―

 11.27 秋季中央行動を振り返って  「チーム学校」をぶっとばせ!

 中央行動 3省・団体・議員要請を振り返って  財務省への要請の中で見えてきた

 後記

攻防続く政令市費化反対闘争

川崎・相模原で学校事務職員制度守る!

 神奈川県内では川崎、相模原、横浜で政令市費化をめぐる攻防が続いている。国や県・市の都合で私たちの労働条件の切り下げを許してはならない。

<相模原では>

 相模原市教委は組合に対して、政令市費化後も行政職との任用一本化を行わず、行(1)給料表の1級〜5級を準用した学校事務職給料表を新たに創設する、と回答している。

 任用一本化阻止は組合の最大の獲得目標だが、全国状況を見ると移行時点では従来の制度を維持するものの、数年後の「再検討」や「一本化」を計画している政令市が多い。また給料表も、「行(1)給料表への編入」という形が一般的だ。こうした状況の中で、相模原市が給料表を「独自化」することは、将来的な学校事務職員制度の維持に向けた、大きな「足がかり」を得たことになると言えよう。

 その一方で、新たな給料表が「5級止まり」であることは、従来の労働条件の大きな後退になる。相模原市では年齢・5級在級年数等を基本とした客観的な6級任用が行われ、5級退職者が出ない状況が続いてきた。組合は、全学労連の文科省交渉における「現在の国庫負担金の算定基礎は事務職の6級昇格を前提としている」という回答を根拠に、従来の任用の継続を求めてきたが、「市職の6級は管理職」という市教委のスタンスを崩すことができず、課題を残す決着となっている。

<川崎では>

 学校事務職種の取扱いをめぐっては、6月の交渉で「当面存続」を示させました。政令市費化が決定する前より、任用一本化反対を訴えてきた取り組みの結果と言えます。

 しかし川崎市教委は同時に、将来改めて職種の在り方の協議・調整を行うとしており、この点はまったく承認出来ません。私たちとしては「存続」を本旨と受け止めた上で、付随部分は政令市費化後の課題として、警戒していきます。

 職種とあわせて重要視してきた事務職員定数の確保についても、義務標準法を遵守するという、納得いく回答を受けました。

 給料表については、市教委は行(1)給料表の適用を提案。組合は独自給料表の新設を求め、平行線です。

 扶養・通勤・住居の3手当は、全て川崎市に合わせる提案。特に住居手当は最大1万円以上の減額で、激変緩和措置もわずか1年という厳しいものです。なんら落ち度のない職員の手当が、大幅に減らされるのは理不尽そのもの。少しでも押し返せるよう取り組んでいきます。

(がくろう神奈川発行「連帯」No.260=15/11/24より 県・市名加筆の上掲載))



この10年で学校事務職員制度の空洞化は確実に進んでいる

―資料に基づく制度の実態を見る―

全学労連学校行革対策部 佐野 均

はじめに

 全学労連は、定数標準法に定められた公立小中学校の教職員定数及び文部科学大臣が省令で定める加配定数(以下合わせて「定数」と表記する)と、実際に配置されたフルタイム勤務の臨時的任用も含めた教職員数及び短時間勤務や非常勤教職員の定数換算数(以下合わせて「実数」と表記する)を、職種別・都道府県別に文部科学省より毎年入手して、定数と実数の関係や本採用者と臨時的任用者(以下「本採用」・「臨任」と表記する)の比率や再任用の実態などを分析している。ちなみに再任用者は臨任に含めている。

 「学校事務職員」「校長教諭等」「教諭・助教諭・講師」の三つの表は、それぞれ文部科学省から得た数を元にした分析の中から2006・2011・2015年度の3年分を抜き出したものだ。義務教育諸学校の教職員給与費の国庫負担率が1/2から1/3に切り下げられ、教職員定数の総額裁量制の導入後の10年間の三つのポイントの状況ということになる。この表のデータを使いグラフを作ってみた。

 分析の結果として作成した表やグラフの一部は、昨年11月27日の秋季中央?動の際に行った文科・財務・総務の三省や全国知事会他の地方団体や国会議員への要請に、教職員定数問題の資料として配布してある。以下グラフについてコメントをしていく。

事務職員の定数割れ傾向

 最初に「校長教諭等と事務職員の定数充足率比較」であるが、定数に対する実数の割合を校長教諭等(いわゆる教員)と事務職員を並べて棒グラフで示してある。100%のラインが法令で定められた定数の水準で、それ以下は実数が少ない定数割れということになる。一見して教員は100%以上が多く、事務職員は100%以下が多いことが判る。しかも年を追ってその差が広がっているところが目立つ。鳥取などは教員の伸びと事務職員の減少が見事に逆方向になっている。特に東京の事務職員の定数割れは著しいが、愛媛・大分もこれに続いている。余談だが、東京が「共同実施」のモデルとして参考にしたのがこの2県とのことである。三重は教員も事務も例外的にずっと実数が定数を上回っているが、その実態は次に示すグラフで明らかにする。

教員も事務も臨任率は増加傾向だが…

 次に「公立小中学校事務職員の実数に対する本採用と臨任構成」と「公立小中学校教員の実数に対する本採用と臨任構成」の二つのグラフだ。ここでいう教員とは先のグラフの「校長教諭等」ではなく、教諭・助教諭・講師のいわゆる「ヒラ教員」なので、普通臨任がいない管理職は除いてある。100%ラインが配置実数で、その内の臨任の比率を斜線で表している。比較してみると、概ね年を追って臨任比率が増えているのは、教員も事務も同じで、世の中の例にもれず学校においても不安定雇用が増えているのが判る。

 ただここでも教員と事務の違いを見逃してはいけない。2015年度までで臨任が20%以上になっているところは、教員は無いが、事務では北海道・岩手・富山・三重・京都・徳島・福岡・熊本・宮崎の9道府県になっている。その多くは10年前から急速に臨任比率が上がっているのが読み取れる。他にもすぐに20%を越えそうな勢いのところもある。秋田・神奈川・岐阜・兵庫・奈良・佐賀・鹿児島等だ。前述した三重は10年前から臨任比率が高かった。これは教員にも言えることで、定数の上乗せを臨任の多さで賄っているというのが三重の実態ということだ。

定数加配方式・総額裁量制・「共同実施」の弊害

 全学労連が以前から指摘しているように、臨任が増えるのは、児童生徒数や学級数の客観的基準の引き下げをする法改正による基礎定数の改善ではなく、省令による特定の目的のための加配方式の影響が大きい。目的が無くなれば引き上げられてしまう加配のために本採用を増やすのは、どの任命権者も躊躇せざるを得ないだろう。加配を受けるところと受けないところの配置格差も生ずる。

 また総額裁量制の導入により、職種別の定数を守らなくても定数標準法を基礎に計算された義務教育費国庫負担金は国から貰えるため、事務職員分を削って教員配置に使うことが可能になった。その結果が、先に見た教員の定数への上乗せと事務職員の定数割れの傾向として表れている。三重のように相対的に低賃金の臨任を増やすことで費用を捻出することも可能だ。

 その結果として生じる事務職員の減少や臨任者の増加を補う手法として、労働強化型合理化である「共同実施」が活用されている。東京のように行政との任用一本化のもとで、事務職員の削減そのものを目的とし、人員削減型合理化である「共同実施」を始めるところも出てきた。紹介した資料には無いが、今年度の東京の学校事務再任用者比率は全国一で、二位鹿児島の9.4%、三位の北海道8.0%を大きく引き離し15.4%にもなる。東京は全国に先駆けて学校事務職員制度の空洞化が進んでいるが、他のところでも多少の違いはあれ臨任の増加・定数割れ・「共同実施」と呼ばれる合理化は確実に進んでいる。

義務教育費国庫負担制度の改善を

 こうしたことの背景には、義務教育費の国庫負担率が1/3に切り下げられた(逆に都道府県の負担は2/3に増えた)ことが地方自治体の財政を圧迫し、合理化志向を後押ししているということがある。以前に比べ国庫負担金の「アリガタミ」は失われている。定数標準法を基礎にした義務教育費国庫負担金を貰うためには、2/3の給与費を自治体の財源から支出しなければならない。それなら低賃金の臨任を増やし職員を削減し費用を捻出するという発想が出るのは、ある意味当然だろう。さらに進んで、義務教育費国庫負担金を満額貰わずに済ますところも出てきている(この件については他で述べているのでここでは繰り返さない)。

 給与費の全額国庫負担・法改正による基礎定数の増加・総額裁量制の廃止・「共同実施」に依らない学校間交流の構築が必要である。まったく、「チーム学校」などで誤魔化されて浮かれている場合ではないと思うのだが…。



11.27 秋季中央行動を振り返って

「チーム学校」をぶっとばせ!

宮崎俊郎(事務局 秋季年末行動担当)

1.はじめに

 今年の秋季中央行動は、9月の戦争法強行採決の余韻が残り、辺野古新基地建設反対闘争が厳しい局面を迎えるという状況の中で取り組まれた。沖学労の仲間が参加できなかったということが事態の深刻さを象徴している。沖学労からの熱いメッセージをご覧いただきたい。

 全体を通して貫かれた論理は、文科省の「チーム学校」構想批判であり、その批判を政令市費化と事務の共同実施批判を通じて深化させることであった。私たちはまだ完全にその論理を構築できていないが、秋季中央行動の問題意識は鮮明だったと考えている。「チーム学校」構想が良い意味でも悪い意味でも学校事務職員制度に光を当てたことは間違いない。しかし大半の論理は、安易に事務職員の地位向上を指し示す論理と規定し、千載一遇のチャンスと浮かれる有様であった。現実的に進行する政令市費化や共同実施において現象しているのは、学校事務職員の地位向上どころか、学校事務職員制度そのものの崩壊に他ならない。こうしたシビアな現実を通して「チーム学校」を見るとき、私たちには地位向上のチャンスと見た人々とは全く異なる構想として「チーム学校」は投射され、批判的論理構築の必要性を実感させられるのだ。

 安易な職務標準などの技術的改良に流されることなく、私たち学校事務職員が他の学校労働者と真の意味で協働できるありようを模索していきたい。そういう意味では全国総決起集会の7つの問題提起はいずれも核心を突いたものであり、あとで要点を報告しよう。

2.省庁・教育団体・国会議員要請

 午前10時から午後2時まで手分けして省庁・地方団体・国会議員要請を行った。省庁は文科省・総務省・財務省。地方団体は中核市町会・全国市長会・全国知事会・全国都道府県議会議長会・全国都道府県教育委員会連合会・全国市議会議長会などである。

 国会議員は各県選出の議員に原則として事前にアポを取って要請を行った。小人数による要請なので、比較的担当者の本音が聞けることもあり、今後とも行っていきたい。

3.全国総決起集会

 近年参議院議員会館会議室にて行ってきたが、今年は会議室を予約することができず、憲政記念館の大きな講堂にて行った。全学労組3本、全学労連4本のレポートについて要約を掲載する。

@チーム学校をぶっ飛ばせ  全学労連 事務局 菅原

 11月16日中教審の初等中等教育分科会でチーム学校の答申の素案が出た。

 副校長が忙しすぎてなり手がいない現状がある。給特法の見直しやら教員の定数改善などはほとんど吹っ飛んでしまい、チーム学校が突然出てきた。様々な外部人材の導入などで副校長の勤務軽減を図る。結局概算要求では事務職員の加配のみを要求しており、教員の仕事を事務職員に回すという構図が出てくる。その議論は学校ごとに忙しさも違うし状況も違うのに、ほとんどそういう実態を無視して均一な状況を前提として議論してしまっているところが問題だ。

 結局事務職員の労働強化につながる。それも校長の学校マネジメントの強化に資する方針として出されてくるから、教員の管理も事務職員を通して行われていく可能性もある。一方全国的に事務の共同実施が進められているが、東京のような学校から県費事務職員を剥がして拠点校に集める方式だとチーム学校には加われない。大変矛盾している。

 チーム学校という構想は今後実現していくまでかなり時間を要する。私たちとしてもきちっとその議論を見て問題点を指摘していきたい。

A中山中の自衛隊火力訓練引率問題  横浜学校労働者組合 浅野

 横浜市立中山中が陸上自衛隊が8月に予定している富士総合火力演習の見学会に1年生の中から希望者を募集していた。この演習は国内最大級のもの。4億円も使って仮想敵国を撃破するというシナリオのもとに実弾を発射しまくる演習。これに中学生を引率しようというもの。見えてきたことが二つある。

 一つは市教委は公の機関が見学の一般公募をしているのだから美術館見学と何ら変わりないという回答。校長の適切な判断のもとに行われているとの回答を連発。

 最も優先されるべきは生徒の安全確保であるべきなのに、弾丸が雨あられのごとくに飛び交っている中に連れて行くということは何なのか。観客の中には実弾の破片が飛んでケガをしている事故も起こっていた。

 もう一つは、この見学会に引率していた教員は予備自衛官という身分も持っていた。予備自衛官というのは有事や訓練の際に召集され、自衛隊の任務に就く身分である。10年以上キャリアのある教員。この演習は軍事マニアにも大変人気の高いもので一般に応募しても20倍くらいの倍率がある。こうした教員の企画の下に一部中学生を自衛隊演習見学に引率していたということは大きな問題をはらんでいる。

B政令市費化の中の具体的闘い  がくろう神奈川 京極

 全学労連は、これまでこの問題を義務教育制度の破壊としてとらえて様々な取り組みをしてきた。残念ながら法的整備も進み、2017年4月移管ということが既成事実となってしまった。神奈川においては賃金を含む労働条件の切り下げを許さないということで組合サイドから積極的に当局に働きかけ取り組みを進めてきた。

 教員の給料表は現在のものをスライドさせてほぼ同水準の給料表を作るということになるが、行政系については市の給料表に統合される方向で、そうするとかなり賃金ダウンになる。さらに任用まで一本化するという動きがあったが、川崎市と相模原市は組合の取り組みよって阻止することができた。学校事務職員制度を残すことができたということだ。これはかなり大きな成果だ。まだ他の政令市においては結論が出ていないが、かなり大きな影響を与えることができるだろう。

 私たちが何十年もかけて作ってきた労働条件を任命権者が変わることによって一夜にして崩されるのは許せない。組合の在り方をも問う重要課題としてこの問題に継続して取り組んでいきたい。

C土曜補習問題について  アイム‘89 関

 2002年から週休2日が始まったが、2005年から都立高校で進学率向上をかけて土曜授業の再開がなされた。2007年に西高校の校長をやっていた石川が八王子の教育長となり、都教委に月2回、年間20回の土曜授業を八王子市において認めさせた。

 東京ではベーシックドリルというものを始めた。小学校の場合、3〜5年生で同じ問題を繰り返しやらせることで最後はみんな100点採れるようにする。しかしどうしても学力に差が出てくるので、教育委員会は補習授業をしてほしいと言ってきた。昭島市の例だが、木曜日の午後と土曜日をあててほしい、土曜日の6時間目は1,2年の先生が空いているからやってほしいと言いだし、交渉によって撤回させたが、教員OBや大学生のインターンシップに時給1500円払って始めるという。

 もう一つ、オリンピック・パラリンピック教育推進校として5年間で全校に毎年30万円予算をつけて35時間取り組みをやれという。何をやればよいのかと市教委に問うてもそれはわからない、という回答。この35時間は今のところ、総合学習等の既存枠内のようだが、いつプラスアルファとなるかもしれない。

 土曜日授業についてもいつ教員の労働として位置付けられるかもしれない。若手を中心に土日も出勤が強要されていくような事態を迎えないよう闘っていきたい。

D多忙化解消との闘い  青学労 工藤

 2014年青森県教委が学校の多忙化の実態調査を行った。教員多忙化の一つの原因として教員の事務処理が挙げられた。そしてその解消策として事務の共同実施による教員事務の移管が出てきた。この検討委員会には青森県内の組合から一人ずつ出ていた。日教組から出ていた委員は共同実施については大変良いことなので進めるべきだという発言を行った。共同実施その者の問題があること、やっていない市町村もあることなどを指摘した。全教系組合から出ていた委員もほとんど反対しなかった。そこで事務職員の声を届けるということで事務研にアンケートを取った。県の事務研会長は全事研の役員をやっている共同実施推進派だが、県教委のやり方には賛成できないと言ってくれた。共同実施の在り方についてはこの検討委員会が決めるべきことではないと。そうした現場の声を資料として検討委員会に提出したところ、他の委員もそういう反対の声があるのであればということで共同実施については白紙に戻すことになった。

 ただし、最終報告にいかなる形でまとめられるかはまだ予断を許さないので、継続して反対していきたい。

E混迷する大阪の教育 悪化する教育現場  大阪教育合同 高田

 橋下のおもちゃ大阪から来ました。3点私は大変苦しんでいる。

 一つ目、職員室における障がい児への差別的な発言の問題。二つ目、南京大虐殺はなかった、という発言が職員室で聞かれるようになってきた。潜んでいた歴史修正主義者が元気になってきた。三つ目。ついに道徳授業が行われるようになった。研究授業で行われる道徳授業への参加奨励。

 やりたくないことをやらされる、聞きたくないことを聞かされる教育現場になりつつあることを恐れる。こういう教育現場でおかしいことをおかしいと言える力が出てくることを願っている。

FSさんの現場復帰を勝ち取ろう!  がくろう神奈川 小内

 団体署名は200筆を超え、個人署名は1000筆を超える署名が集まった。お礼を言いたい。次回公判は12月22日。ぜひとも傍聴席を埋め尽くす参加者を期待したい。この間12回の公判のほぼすべて傍聴席を満席にすることができている。延べ人数でも500名を超える傍聴支援をいただいている。運動の広がりを実感している。

 裁判闘争はもうすぐ証人調べに入っていく。しかし証人尋問は1回で終わってしまうこともありえる。その際は皆さんの更なる傍聴支援をお願いしたい。弁護士は10個の解雇理由を一つずつ潰していく。そのうち7つ潰すことができたとしても免職相当という判決もありうるという。裁判は裁判の論理だけで勝てるものではない。運動を並行してこの問題を闘っていきたい。本人も同じ気持ちでいるので皆さんの更なるご支援を受けて闘っていきたい。


 その後、神奈川県共闘、全国一般神奈川から連帯挨拶を受け、集会宣言、団結ガンバローを行い、集会は終了した。

4.全学労連 独自集会

 デモ出発まで時間的ゆとりがあったため、今年度は全学労連の独自集会を同じ場所で行った。要請行動の報告を受けての討論、そしてマイナンバー(共通番号)の全国的状況と対処についての討論を行った。行動参加者による情報交換はかなり有意義で、今後もできるだけ追求したい。

5.デモ

 全学労組の文科省交渉設定が14:00〜14:30となったため、デモ出発は17時と例年より1時間遅いものとなった。

 デモ出発点は日比谷公園の霞門。私たちくらいの人数だと設備を予約しなくても自然集合、出発として認められた。普段の逆コースで経産省テント前を激励し、文科省前でシュプレヒコール、東電本社前では元気に脱原発コール、数寄屋橋の交差点近辺は暗かったが人出は多く、アピール効果は抜群だった。有楽町近辺の水谷橋公園にて解散。例年より暗くなっていたが、元気にデモンストレーションを貫徹した。



中央行動 3省・団体・議員要請を振り返って

財務省への要請の中で見えてきた「チーム学校」と定数のゆくえ

 中央行動では今年も文科・財務・総務の3省と地方団体、国会議員への要請行動を行なった。地方団体の対応は概ね良好で、特に定数や臨時職員の問題への関心が高いように感じられた。各県による議員要請も例年以上に活発に行われ、議員本人との面会も複数あった。いずれも直ちに効果が出る性質の取り組みではないが、全学労連としての考えや学校現場の実態を伝える機会として、引き続き取り組んでいきたい。

 総務省に対しては主に臨時職員の労働条件をめぐり要請。社会保険被保険者資格の継続扱いなど一定の前進はあったものの、学校現場の実態に照らせば、臨時職員の労働条件改善はまだまだ不充分。個別の状況を把握し、踏み込んだ対応を講ずるよう求めた。

 文科・財務省との最大の話題は「チーム学校」。スクールカウンセラーなど専門職員の学校配置を進めるとともに、学校事務職員についても学校経営に携わる専門職員といった方向に位置づけし直し、定数措置を図ることが検討されている。「チーム学校」については財務省も高評価で先行きは明るい……なんてことはやはりなく、私たちの想定していた通りの厳しい見通しが要請の中で明らかになった。

 要請で財務省の係長は「チーム学校」自体は評価しつつ、各種専門職員の基礎定数化については「必ずしもイコールとは考えていない」と説明。これは「チーム学校」は推進しても、それに伴う定数措置は法に定める基礎定数ではなく、政策や予算により毎年変動する加配定数にしかならない可能性を示唆している。

 加配となれば、そこには常勤ではなく臨時職員が充てられるのは今ある加配の実態から明白。「チーム学校」の結果が不安定雇用学校職員の増大となれば、「チーム」の名が泣くというものだ。

 学校事務業界では「チーム学校」を福音と捉える言説が少なくないが、目玉の専門職員の定数配置においてさえこの状況では、事務職員の定数措置の先行きも暗い。「専門職」などとおだてられても、その中身は管理職や教員の負担軽減という「学校内での負担の移し替え」であり、単なる労働強化に過ぎない。業務は増えれども定数は増えず。そんな「チーム学校」に期待や幻想をいだく余地はない。




後記▼明けましておめでとうございます。▼政令市費化まであと1年余り。給与制度や休暇制度といった労働条件は言うまでもないが、学労的には制度が残されるのかどうか任用一本化によって制度が解体されないかどうかが最大の関心事だ。各地では制度を守るための闘いを続けている。▼一方、定数をめぐる状況は悲惨だ。総額裁量制や定数加配方式は事務職員の定数割れや臨時職員化を進めている。各種の資料を読み解いて実態を暴露しているので、別冊資料とあわせて見てほしい。▼中央行動・集会では様々な視点からの問題提起を受けた。要約ではあれ、改めて文字になったのを見ると、日々の組合生活に新たな視点を見出させてくれる。▼連載記事「チーム学校って何だ」は今回はお休み。次号をお楽しみに。▼・・・ということで今年もよろしくお願いします。



無料WEB-pageスペースを利用しているため、広告が表示されますが、全学労連とは無関係です。



inserted by FC2 system