2016年7月21日

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全学労連ニュース今号の内容

 7.11全学労連 文部科学省交渉  職務標準・共同実施の法制化問題、蓋を開ければ業務増だけ、になりかねない

 学労大会報告  久々にたくさんの参加者のあった東京の定期大会

 学労大会報告  討論が尽きない青森の定期大会

 学労大会報告  10年後を見据えた「組織拡大」へのチャレンジを!

 学労大会報告  がくろう神奈川第20回定期大会開催  重点課題を議論・確認

 学校事務の職務内容・共同実施 法案提出へ?  文科省特別作業班の報告書で示す「業務適正化」報告書

7.11全学労連 文部科学省交渉

 職務標準・共同実施の法制化問題、
    蓋を開ければ業務増だけ、になりかねない

 7月11日、全学労連は過日提出した要望書に基づき、文部科学省初等中等教育局と交渉した。冒頭挨拶で、議長は「これまで、定数や非正規雇用職員の労働条件等の課題について話してきた。今回も定数、共同実施、チーム学校の動き等を中心に話を伺いたい。」と語った。政令市移管や共同実施、それらに伴い学校事務職員定数が不安視される中、当該の文科省に学校現場の実情を伝えた。以下、要望重点項目と回答、質問を交えて報告する。

組合要求事項文科省当初回答

1.義務教育費国庫負担制度(以下、義教金制度)及び学校事務職員制度について

A「総額裁量制」を廃止すること。

B 政令指定都市への教職員給与負担移管及び市区町村への人事権移譲を始めとする県費負担教職員制度解体につながる施策を行わないこと。

C 教職員給与費の政令市移譲に伴う任用一本化、労働条件改悪を行わないよう政令市に働きかけること。

→ 来年移譲予定の指定都市では、現在、移譲に向けて教職員の給与、服務に関する細かな作業が進んでいる。それが市によってまちまちの状況である。これはそもそもの所管である文部科学省が、各都道府県に教職員定数の「標準」を示すだけで、「総額裁量」によって、各県が標準定数法そのものを崩してきたことを容認していることにも一因がある。国庫給与費の配分先自治体が政令市費化によって増えていく中、政令市が各々の考えで配置数を決めていけば、自治体おける教育費、人件費の格差はますます広がると考えられるが、その状況をどう考えているか問いたい。

(政令市移管について)

 今回の給与費の移譲により、独自の学級編成等、地域の実情に応じて行うことができるようになる。学校の教育力、質の向上につながる。現場のそれぞれのニーズにあった配置が期待される。任免と給与負担と合わせて一元的に取り扱いができるようになる。文科省としては、移管がスムーズに行われるよう通知を出しているところである。内容は、標準法に基づき適切に配置すべきこと、地公法24条の均衡の原則に基づき職員の勤務条件は設定されるべきこと、等である。

D 「教育の民営化」の一環である学校事務の「共同実施」並びに「外部委託」を推進しないこと。

→ 学校を離れ一か所に集まり事務を「共同実施」することと、職場にいてサポートする「チームとしての学校」構想は、学校事務職員の立場から見れば、相反するように見受けられる。そこをどう考えているか。
  また、「チームとしての学校」構想で、学校マネジメント機能強化、事務体制の強化での、事務職員の、「学校教育法上の職務規定を見直し」や「共同実施組織について、法令上明確化」はどの程度進んでいて、実現可能な事柄なのか伺いたい。

2.定数改善等について

@ 加配方式による定数配置をやめ、学級数や児童生徒数を基準とした抜本的な基礎定数改善を行うこと。

A 事務職員については未配置校を解消し、複数基準を引き下げて、全校複数配置とすること。

→ 加配方式の定数改善では安定した定数増にはならず、臨時的任用者などが充てられる場合が多い。また、反対の立場であるが「共同実施」や「チーム学校」を実現するためには学校事務職員の活用も含めて、基礎定数増を考えてもよいのではなかろうか。定数基準の先行きを説明されたい。

(定数について)

 「チーム学校」についてはいろいろとあろうが、「学校の教育力を高める」ということで、いろいろな職種の力を結集しようということ。

 定数の在り方については、義家タスクフォースで検討している。4月の中間まとめで、加配について様々な指摘があった。文科省としても基礎定数の改善も求めているが、加配にも一定のメリットもある。そうした面も踏まえてベストミックスという表現をしたが、基礎だけでは機能的なことができない。基礎と加配の組み合わせでやっていくということで、来年度予算に向けて検討しているところ。大きく出したいが、経済状況等も踏まえてということになる。

B 標準法の要保護・準要保護加配の省令改定(25%かつ100名以上を、25%以上または100名以上へ)を行うこと。

→ 現在の加配基準によれば300名中99名では25%を超えていても加配が受けられない。また、500名中140名では25%を満たさないため加配が受けられない。教育における子どもの貧困が問題になっている今、基準見直しなどの方策は考えられるのか。

(要準加配について)

 学校が小規模化していく中で100人に達しない、また大規模校で25%に達しないところがあり、事務作業が多いことは承知している。様々な声を聞きながら検討しているところ。消費税の話や経済情勢等をみながら、学校現場が困らないように措置していきたいとは考えている。

 要準加配をめぐっては、貧困による教育格差といった問題にも義家タスクで触れている。実態は聞いているし、様々な声を受けて検討している。

 このような「当初回答」を得たのちに次のように文科省を追及した。(「全」は全学労連、「文」は文科省を指す)

全: 「検討中」ということだが、財政審からの提言も最近出た。基礎定数化をどう進めるのか。財務省は加配定数の役割という整理を言っている。加配となると地方では臨時職員を充てるので、基礎定数化をどうやって行くかが問題。

文: 財務省の言い方が、気持ち悪いくらいこちらによってきている。彼らにしても「40人学級に戻す」ということも踏まえ、ここでは戦えないということだろう。基礎定数にすれば少子化による自然減で予算が減らせるとの思惑だろう。
  文科省としては、基礎にするといっても現場が悪くなるのはダメだ。教育環境を悪くするわけにはいかない。しかし財務省が悪くならないようにしつつ基礎定数化するかは疑問。例えば、特別支援通級指導は子供13人につき1人の教員を加配している。これを基礎にするとなると子供15人につき1人という具合に今よりも悪くなりかねない。こういうことは文科省としては呑めない。教育条件を良くする基礎定数化なら進めたいが、悪くなっては元も子もない。今後、こういう駆け引きが出てくるだろうという意味で「検討」といった。

全: 基礎定数化にあたっての算出方法は二つ考えがある。理由付けにより出すのか、学級数など数に応じて出すのか。

文: どちらもありえる、やり方次第で両方ある。学級あたりとか、人当りとか、学校に一人とか、通級に一人とか、思案中だ。

全: 職種別に見た時の定数崩しに歯止めをかける姿勢が不十分ではないか。現状、総額裁量で、事務職員分が教員に回り、事務職員の定数割れがある。それへの歯止めがいる。政令市費化により労働条件の悪化が生じているのではないか。現状を把握しているのか。

文: 状況は聞いている。必要に応じて指導・助言している。ただ、必要な助言のために聞いていることなので、まとまった形で調査しているわけではない。

文: 基礎定数を算定するのは文科省。それが都道府県にいくといかようにもはりつけることができる。項目立てをして通級分とか、歯止めをかけることはできるが、教育委員会が鉈を振るえばやれてしまえる。

全: 政令市問題はそこにある。学校事務は行政と一本化し、東京のようになりかねない。例えば、その配置状況を今後数年追い続けることはできないか。

文: 教育委員会から数字をもらい、ヒアリングしていくつもり。

全: 政令市のほとんどは事務職員制度が残る様子だ。しかし、検討を始めると言っているところもある。給与も県より下がる。こういうことを文科省は知っているか。

文: 勤務条件がどうなるか、各市から聞いている。例えば「補佐級の人が主査級になる」ということを聞けば、「これは降格になるので慎重に考えてね」ということを言っている。しかし、「同じ給料表ではないので県のものは市の中ではこうなる」と言われると、強くは言えない。

全: 資料提供をしてほしい。

文:聞き取りの中でやっている。聞き取り時点から変わることもある。また調査を目的としてやっているわけではないので、外に出すことは困難。

全: だれが責任を持つのか、不安。文科省は現場のことを考えてというが、実際は落差がある。現場では(移譲を)いいと思っている人は誰もいない。教育にはお金がかかることを知っている。神奈川でいうと、横浜と相模原とでは財政規模が違う。今までは同じ県の中でという一定の担保があったが、市単独となるともろにその財政規模がかぶさってくる。政令市で崩れると全体がズタズタになる。

全: タクスフォースの報告の中に「法制化」の話があったが、現在どういう段階にあるのか。

文:  義家タスクのまとめは8月末か、9月になるかもしれない。法制化については今通常国会で出せなかった。チーム学校の法改正もあわせて今後国会で出す方向には違いはない。標準法の中でどのように表現するのか考えなければならない、という段階。

全: 学校教育法、地教行法の文言等、ある程度のものはあると思うが。

文: 現段階では分からない。確認する。

全: 職務内容と共同実施、28年度を目途に法制化と言っている。ここまで具体的に言ったのは初めてのこと。そういう動きが差し迫っていると理解しているが。

文: 調べて連絡する。が、「検討中」としか言わないと思うが…。

全: 事務加配でその理由がすべて「共同実施」になった。どういう事情か。

文: それを明確化したということだと思うが、具体は分からない。確認する。

全: 教員の多忙化解消が問題になっているが、その分を事務職員にやらせることは簡単にできてしまう。しかし、それでは本末転倒だ。様々な仕事を事務職員にやらせる、という流れを危惧している。

全: 自分の学校は東京で、要準生徒が150人で、全校の50%の比率になる。東京には一切加配がない。こういう状況を話すと、加配がうまくいくというのは信用できない。要準加配はいわゆる加配ではなく、基礎定数であるにもかかわらず。


 今回の文科省の回答では目新しいものはなかったと感じる。

 「チーム学校」構想がだされ2年。今年初めに中央教育審議会の3つの答申の内容の具体化を強力に推進するべく「次世代の学校と地域」創生プラン(馳プラン)がだされ、それを補完する形で義家文部科学副大臣を座長とする「次世代の学校指導体制強化のためのタスクフォース」が4月に中間まとめをだし、堂故大臣政務官を座長とする「次世代の学校指導体制にふさわしい教職員の在り方と業務改善のためのタスクフォース」が設置されて現在に至っている。

 学校と地域を取り巻く環境が変化している中、従前の教職員だけでは学校が機能しないという前提で、学校組織が大きく変えられようとしている。とりわけ学校事務職員も注目され、「共同実施」や「職務内容の明確化」が大きくすすめられようとしている。財務省や総務省との関係で、教職員定数は減らされる方向で議論されつつある中、わたしたち学校事務職員定数もその例外ではないことは確かだ。しかし、「共同実施」などであえて定数減になる危険がある可能性への選択はないだろう。

 全学労連はこれからも、学校事務労働への過剰な業務押しつけや、差別賃金導入へは大いに反発し、文科省や関係省庁の動向に注視していく。

学労大会報告

久々にたくさんの参加者のあった東京の定期大会

 私たち、学校事務ユニオンは定期大会を6月17日13:30?渋谷区立氷川区民会館にて開催した。現役組合員の減少の中、私たちの組合の定期大会は近年とてもアットホームな雰囲気で進行するのであった。大会の要は運動方針論議にあるが、普通の組合のような形式に基づいた審議ではなく、討論会のような様相を呈するのが特徴だ。特に議論においては組合員、来賓の区別なく発言し徹底討論を尽くすことを目指す。

 今年は毎年来賓が1人でも参加してくれてきたがくろう神奈川の京極さん、全学労連議長の佐野さん、ユニオン埼玉の布川さん、そして愛知から藤田さんが来賓として参加してくれた。愛学労の藤田さんが来てくれることは事前に知らなかったので大感激!

 さて、運動方針論議だが、一つは共同実施といかに闘うかで、もう一つはチーム学校をいかに対象化するかである。さんざん議論されてきているが、東京型共同実施は他県と異なり学校事務職員制度の崩壊を意味するものであり、私たちの運動の命運はこの一点にかかっていると言っても過言ではない。試行実施から5年目を迎えたにもかかわらず、全都で4地区しか導入できていないというのは私たちの運動の成果だ。しかし多摩地区において導入を目指す地区が出てきている。組合の主要活動家がいなくなった途端に国分寺市は検討を始めた。検討開始の匂いが立った段階で対応する地区の事務職員の行動が必要だ。日頃から地教委と接触を持ち、すぐに文句の言える関係性を作っていくことの大切さが語られた。さらに地教委を説得する論理が必要だろう。学校事務職員が学校現場にいてこそ学校にとって意味があることをもう少しアピールしていく必要があることも強調された。学校事務職員関連7組合が共闘しながら都教委を追い詰めていく取り組みを更に続けていく必要があるだろう。

 もう一つの「チーム学校」については、くしくも私たちの定期大会の日に都教委は「東京都におけるチームとしての学校の在り方検討委員会」第1回会議を行った。これまで東京は独自に校務改善推進として各学校に「経営支援部」を設置することを奨励してきた。私たちは学校現場から事務職員を引き剥がす共同実施が校務改善につながるはずがないと反論してきたが、文科省の推進する「チーム学校」とも相反する施策ではないかと指摘してきた。ところが国のチーム学校検討作業部会の座長である小川正人をわざわざ呼んできて東京版チーム学校を検討させるとはどういう意図があるのか、これまでの校務改善推進会議はどうなるのか、疑問は尽きない。チーム学校という美名のもとに教員や副校長の多忙な「校務」を事務職員に押し付ける「改革」が進行しようとしている。私たちの望む「チーム学校」との違いを鮮明化させながら現在出てきている「チーム学校」批判を行おう。

 最後に大会宣言を用意するのを忘れたという大会にあるまじきハプニング。急遽運動方針の前文を大会宣言に切り替え、私が読み上げ採択してもらった。大会終了後、渋谷駅近の飲み屋で懇親会を来賓も交えて賑やかに行った。来賓の皆さん最後までありがとう!

宮崎俊郎(学校事務ユニオン東京)

学労大会報告

討論が尽きない青森の定期大会

 6月18日、弘前市で28回目の青学労定期大会が開催された。残念ながら定年退職した組合員がいたために一人少なくなった青学労だが、一昨年新加入した組合員が新たに役員に加わり、大会にも初めての参加ということで、新鮮な顔ぶれでの大会となった。

 資格確認、議長選出といった恒例の開会行事が続き、執行委員長の挨拶があった。挨拶では、今年度から強行導入された人事評価制度のこれまでの交渉経過が説明され、この制度の問題点などが報告された。特に同じ職場に勤務していながら、教員と事務職員とでは評価のシステムや、評価期間さえも違うという、現場を無視した制度であることが確認された。

 経過報告・財政監査等の報告がされ、続いて議案の提案・審議に入った。大会後に県教委との春闘交渉を控えていたことから、活発な意見交換がされた。給与へ反映される新しい人事評価制度に対する今後の取り組みについて多くの時間を割いたが、一昨年強行された給与の総合的見直しにより発生した給与の逆転現象の解消を目指す取り組みについても多くの意見が交換された。また、青森県内3市町で組合員が共同実施のグループリーダーに任命されていることから、現場において起きている混乱について具体的に報告された。

 たたかいの方針・予算案が全会一致で承認された後、戦争できる国づくり・労働者を無視した経済政策を進める安倍政権を批判する大会宣言を採択し、大会は成功裏に終わった。時間が足りなく、意見交換を懇親会に持ち越す場面もあった。

 懇親会では退職した元組合員が数年ぶりに参加したこともあり、大いに盛り上がった。沖縄での全交流、秋の中央行動と全学労連の仲間とのたたかいへの取り組みも確認され、懇親会もまた、時間の都合で切り上げるほどであった。

学労大会報告

10年後を見据えた「組織拡大」へのチャレンジを!

 2016年6月24日、福事労第28回定期大会が開催された。

 今年、福事労では「島田新委員長の就任」という世代交代があったが、その他にも運動に関わる大きな方向転換を選択した。

 これまでの専従を置かずに一人一人が現場で仕事をしながら運動をしていく、というスタイルから、組合事務所に常駐する執行委員を置くこととしたのだ。

 専従職員がいれば、すぐに電話での相談に応じることや、職場訪問をすることなど、他の執行委員が学校での仕事を気にしながら組合活動をしていた時にはできなかったことが実現できる。また、年々難しくなっていく現場での組合活動を補強することができる。それを引き受けることが可能な人材がいたことが大きな要因ではあるが、このことで福事労の運動のスタイルは大きな変換をすることになる。

 そして、福事労の今年度最大のテーマは「組織拡大」である。他県でも組合員の減少で、活動が停滞しているという話を聞いている。最良の解決方法は新しい組合員の獲得だろう。 今年から3年間「組織拡大のキャンペーン」を展開することになった。

 福事労も結成から20数年となり、活動の中心になっていた方も次々と退職する年齢を迎える。退職者増加に伴い、事務職員全体の年齢構成も若返っている。福島県でも、ここ数年採用者が増え、福事労の存在を知らない世代も増えてきている。その若い世代に響く呼びかけをどうしていくのかが大きな課題でもある。

 今年新たに選出された島田委員長は40代である。この先10年後20年後を見据えた運動を福事労から発信していきたい。

福事労・書記次長 長谷川百合子

がくろう神奈川第20回定期大会開催

重点課題を議論・確認

 がくろう神奈川は7月5日、節目となる第20回定期大会をかながわ県民センターで開催しました。

 大会では闘いの基調として、横浜新人学校事務職員解雇問題と教職員給与費の政令市移管の問題を取り組みの重点と位置づけ、特に前者は「解雇撤回の闘いは、労働組合として根源的な役割」として、処分取消訴訟の勝利と解雇撤回、謝罪と原職復帰を勝ち取る1年にしていこうと確認しました。

 政令市移管をめぐっては横浜・川崎・相模原の県内3市の交渉状況を確認。労働条件では市に合わせる形での切り下げの状況などが見えてきました。学校事務の職は当面は維持される見込みですが、先行きは不透明です。また、今後3市においてはそれぞれで賃金闘争を組んでいくことになり、そうしたことも含めた今後の体制についても議論しました。

 チーム学校の動きについても議論。神奈川県内でも共同実施組織を設置する動きが広がっている他、政令市移管に伴う職や級の危機をテコとした一部事務職員側からの推進といった動きもあります。これに対し、説得力を持って抗していくことが必要です。

 来賓には全学労連、埼玉学労協、神奈川県共闘、全国一般全国協神奈川、少年写真新聞社分会、JAL不当解雇原告団などの多くの仲間が駆けつけてくれました。大会も無事成立。全ての議案が承認され、新しい1年のスタートを切ることとなりました。

(がくろう神奈川 伊藤)

学校事務の職務内容・共同実施 法案提出へ?

文科省特別作業班の報告書で示す「業務適正化」報告書

 文科省は6月13日、教職員の在り方と業務改善を検討する省内特別作業班がまとめた「学校現場における業務の適正化に向けて」という報告書を公表しました。

 同省は昨年12月に中教審がまとめた「チーム学校」など3答申を踏まえ、今年1月「『次世代の学校・地域』創生プラン」を公表しています。

 このプランは「一億総活躍の実現!地方創生の実現!」を目指す方向に掲げ、学校と地域社会の課題を一体的に克服しようというものです。現政権の政策プランがそのまま目指す方向に据えられており、文教施策というよりは政治的施策の面が強いものとも取れます。

 このプランに基づき目指す「次世代の学校」を実現するため、教員の職務環境や長時間労働を改善し、子どもと向き合う時間を確保するため、教職員の在り方や改善方策を提案したとするものが、今回の報告書です。

教員の負担は事務へ、という「改善」-------

 報告書の紙幅の多くは教員の業務の見直しを基本とし、あくまでその文脈において学校事務職員が登場します。すなわち、国の取るべき方策として「事務職員の職務内容を見直し、法律上明確化」すること、「共同実施を行うための組織を法律上明確化し、事務機能の強化を推進する」ことを挙げています。

 当然その意味するところは、現在教員が担っている事務業務を、事務職員に付け替えることに他なりません。 報告書では加えて、特に学校徴収金業務が教員の負担感が高いと指摘。受け皿のひとつとして学校事務の共同実施組織が挙げられています。

「教員の負担軽減を実現するため、事務職員の負担を重くしよう」という、事務職員をばかにした「改善方策」です。

工程に「法案提出」-----------------------------------

 とはいえ、ここまではそう目新しい話ではありません。しかし報告書には「改革工程」が付されており、来年度前半頃までに事務職員の職務内容・共同実施に関する法案提出を提案しています。ここまで踏み込んだのは初めてのことです。

 業務負担増も共同実施の法制化も、組合としては容認できません。全学労連とともに反対の取り組みを強めていきます。

むしろ教員に残業代を-------------------------------

 最後に、私たちは教員の長時間労働は当然解消されるべきと考え、そのための業務軽減の必要性もなんら否定しません。

 しかし、文科省が本気で教員の時間外労働をなくしたいのなら、何よりまず給特法を廃止し教員にも残業代を支給する制度に戻してはどうでしょう。残業代の割増賃金は、雇用者に割増分を払わせることで長時間労働を防ぐ機能を持っており、法的に長時間労働を防ぐための制度です。

 しかし、報告書はそうした点には触れようともしません。文科省の姿勢がそこに見て取れます。

(がくろう神奈川「連帯」No.268より)

横浜新人学校事務職員不当解雇裁判  最大の山場へ

 2014年4月に横浜市学校事務職員に採用され、6か月の条件付き雇用期間を延長されたあげく、2013年3月に分限解雇されたSさんの解雇撤回裁判は、2013年9月の提訴以来2年10か月の間に14回の口頭弁論を重ね、いよいよ証人尋問に入ることになった。

 一人校に配属された新人事務職員に対してまともな業務研修もなされず、一方で容赦なくやってくる仕事を懸命にこなしてきたSさんに対して、横浜市教委や校長は仕事上の細かなミスや書類提出のわずかな遅れをあげつらい、退職強要を含めた虐めや嫌がらせをし、その末に「能力に課題がみられる」として解雇に及んだのである。誰もが初任者の時、職場で心細い思いをしながら1年かけて仕事を覚え、経験を積み、仲間に支えられながら一人前になっていくにもかかわらず、だ。

 「横浜市教委の不当な仕打ちに泣き寝入りはしない」とするSさんのこの裁判、全学労連も応援している。是非、多くの仲間の傍聴をお願いしたい。

○8月23日(火)13:30〜17:00

   被告・横浜市側3名の証人尋問

○8月30日(火)13:30〜

   Sさん本人、原告側証人尋問

いずれも横浜地方裁判所502号法廷


 8月23日には裁判後、抗議デモと決起集会(波止場会館にて)が行われる。



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